梅々
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不都合
- 2015/02/07 (Sat) |
- 土沖 小ネタ |
- CM(0) |
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- ▲Top
今日はサークルの追い込んだったんですが、具合悪くなってしまいました……。バイトで睡眠不足だったのかな。申し訳ないことをしました。
「おまえ、また万事屋行くのか」
小言に顔を上げると不機嫌そうな顔を土方さんはしていた。いったい誰に聞いたのだろう、なんて情報源は一人しかいなのだけれど。
「偵察でさァ」
「嘘付け」
ますます眉間にしわが寄る。
見慣れた顔から目をそらしとんとんとブーツのつま先を地面に当てて玄関の戸を開ける。
「別になにも情報漏らしたりしやせんよ」
「そういう問題じゃねぇ」
なんていつもいうけれど、ならばどういう問題なのだろう。聞いても答えやしないけれど。
俺とあの人が会うことで土方さんにどんな不都合があるのだろうか。俺にあの人を会わせたくないのか、あの人に俺を会わせたくないのか。
いずれにせよ土方さんが俺を好きだとかなけではないのだ。それなら旦那に横恋慕か。
婚約者がいるくせに。
「おまえ、また万事屋行くのか」
小言に顔を上げると不機嫌そうな顔を土方さんはしていた。いったい誰に聞いたのだろう、なんて情報源は一人しかいなのだけれど。
「偵察でさァ」
「嘘付け」
ますます眉間にしわが寄る。
見慣れた顔から目をそらしとんとんとブーツのつま先を地面に当てて玄関の戸を開ける。
「別になにも情報漏らしたりしやせんよ」
「そういう問題じゃねぇ」
なんていつもいうけれど、ならばどういう問題なのだろう。聞いても答えやしないけれど。
俺とあの人が会うことで土方さんにどんな不都合があるのだろうか。俺にあの人を会わせたくないのか、あの人に俺を会わせたくないのか。
いずれにせよ土方さんが俺を好きだとかなけではないのだ。それなら旦那に横恋慕か。
婚約者がいるくせに。
我のみぞ知る
- 2015/02/05 (Thu) |
- 土沖 |
- CM(0) |
- Edit |
- ▲Top
拍手ありがとうございます。
三月に母とお伊勢参りすることが決まりました。卒業旅行等が三月に固まったので、二月の間に原稿しないと詰みます。
そしてようやっと大奥十一巻読みました。思いの外絶望的展開ではなかったけど手放しでは喜べない。治済のキャラクターが本当に毒々しい。あの母からあの息子が生まれるのか。
それでは、くるみ様リクエストの告白ネタです。今回は沖田からの。続きをちゃんと書きたいです……。
玄関そばを通りかかったらちょうど戸が開く音がして、夜勤組が忘れ物でもしたかと顔を覗かすと帰ってきたのは土方さんだった。
そういえば今夜は接待だったなぁと思いながら出迎える。
「お帰りなせぇ」
「おう」
そういって顔を上げた土方さんと視線が交わって、これは不味いなと思った。
目の据わりようが半端じゃない。これはかなり酔っている上に、あまりいい酒ではなかったようだ。接待だから仕方ない、の粋を越えてる感じがする。
たったまま靴を脱ごうとした土方さんが勢いよく壁に手をついた。殴るような勢いで、ドンと大きな音がたつ。
それを聞きつけたのか、土方さんが帰るのを待っていたのか、すかさず山崎が現れる。
「副長、おかえりなさい」
言いながら何かしたのかという視線を向けるものだから何もしていないと睨み返せば山崎はごまかすような笑みを浮かべた。
「山崎、土方さんの部屋に水運んどいて」
「はい」
やっと靴を脱ぎ終えた土方さんがふらりと歩き出す。
酔っ払いと出くわしてしまったら、放置せず面倒を見るというのが屯所での暗黙のルールで、面倒だけれど明日からかうために面倒を見てやろうと、千鳥足の土方さんを支えてやる。どうせこんなに酔ったら今夜の記憶は明日にはなくなっているので、あることないこと言って土方さんで遊ぼう。
「気が利くな、そうご」
「いーえ」
まるで猫でも呼ぶような柔らかな呼び方にうんざりする。
うんざりしながら土方さんの部屋の障子を開けると、よくできましたとばかりに頭を撫でられた。
「……」
いらっとしながら、一緒に部屋に入り、布団の上に土方さんを座らせる。
山崎が水を持ってきたついでに行灯をつけ布団も敷いておいてくれたらしい。ありがたい。
今日の土方さんはめんどくさいので、予定変更して着替えさせないでこのまま部屋へ戻ってしまおうかと背を向ければ、水に手を伸ばしていたはずの土方さんの手が俺の袖を掴んだ。
「そうご」
「……あんたその呼び方どうにかなりやせんか」
甘ったるい呼び方に嫌気がさして、渋々座りながらそういえば土方さんは柔く笑った。
「いいだろ、別に」
よくないから言っているのに。
俺は引き留められたからこうしているだけで、特に用はないから水をごくごく飲む土方さんをぼんやりと眺める。
喉仏のラインがいやに目に付く。綺麗な曲線を描くそれが水を飲むたび上下して、つい見入る。
そしてグラスを持つあの節榑立った指先も、俺には縁のないものだ。うらやましいと眺めていれば、おもむろに土方さんが俺を見た。ぺろりと口元を舐める仕草に視線を逸らす。
「今夜、一緒に寝ろよ」
逸らした視線を一瞬で土方さんに戻す。目が合うなりふと笑われて、顔が熱くなった。
「はぁ? アンタなに言ってんの。酔うにもほどがあらァ」
顔の火照りを隠すように早口にそう返す。多分、土方さんが素面なら動揺してることに気づいていただろう。それならそもそもこんなこと、言ってないんだろうけれど。
「……そうだよな。お前、俺のこと嫌いだもんな」
空のグラスを弄びながら、落ち込んだように言う。
アンタのことが嫌いだなんて。
嫌いなはずが、ないのに。ずっとずっと、アンタしか見ていないのに。叶わないと知っていながら、馬鹿みたいに。
だから、どうしたらいいかわからなくて子どものように悪戯をしかけてしまう。怒らせてしまう。もっと俺を見てほしくて。子どもっぽくて女々しくて、嫌になる。
露見していないことを素直に喜べなくて、ふと、魔が差した。
「……俺、アンタのこと好きですぜ」
どうせ今夜のことは記憶に残らない。言ったとしても伝わらない。それなら、それならいっそ。
全部ぶちまけて。
「ガキの頃から、アンタのことしか見てなかった。近藤さんが一番なのは昔から変わらないけど、近藤さんを一人占めしたいなんて思わない。でも、アンタが俺のもんになってくれたらって、何度も何度も思って、」
一人占めしたくて、触れたくて、触れられたくて。
どうしようもない感情に言葉が詰まる。
土方さんに触れられる夢を見たこともある。優しい声で名を呼ばれて嬉しくて、でもそれは夢の中のことだから起きてしまえばただ虚しさだけが残った。罪悪感も抱いた。
身近な人間にそんな妄想をされてるなんて、気持ち悪くて許せないだろう。
涙すら浮かんできて、膝の上に置いた自分の指先をぼんやりと眺める。
衣擦れの音に続いて文机にグラスを置く音がした。追い出されるのか罵られるのか、きっと明日には忘れてるだろうけど拒絶されるのはつらくて顔を上げずにいれば、さっきと同じように名を呼ばれた。
優しい、こそばゆくなるような呼び方。おそるおそる顔を上げると、ぐいと手を引かれて、呆気にとられたまま土方さんの腕の中。
「一緒に寝ろよ」
「え……」
「なにもしねぇから」
俺を抱いたまま土方さんは横になる。隊服がしわになっちまう、とどうでもいいことを心配する俺を後目に土方さんは行灯を消して、俺に布団をかけて、再び抱きしめてくる。
煙草と酒のにおいがする。そしてあたたかい。
拒絶されなかった。その上、一晩だけ俺の気持ちをくんでくれるという。
嬉しくて嬉しくて、俺も土方さんを抱きしめ返す。朝まで離れないように、足に足を絡める。
「……なにしても、いいのに」
一晩抱きしめていてくれるだけでも十分なのに、好色な土方さん相手だから冗談めかしてそんなことを言ってしまう。
どうせ一晩だけなのだから、あすにはなかったことになるのだから、何をしてもいい。
本意には気づかなかったのか追々なと土方さんは返して、俺の頭に鼻を埋めた。
きっと、今夜以上に幸せな夜なんてない。
三月に母とお伊勢参りすることが決まりました。卒業旅行等が三月に固まったので、二月の間に原稿しないと詰みます。
そしてようやっと大奥十一巻読みました。思いの外絶望的展開ではなかったけど手放しでは喜べない。治済のキャラクターが本当に毒々しい。あの母からあの息子が生まれるのか。
それでは、くるみ様リクエストの告白ネタです。今回は沖田からの。続きをちゃんと書きたいです……。
玄関そばを通りかかったらちょうど戸が開く音がして、夜勤組が忘れ物でもしたかと顔を覗かすと帰ってきたのは土方さんだった。
そういえば今夜は接待だったなぁと思いながら出迎える。
「お帰りなせぇ」
「おう」
そういって顔を上げた土方さんと視線が交わって、これは不味いなと思った。
目の据わりようが半端じゃない。これはかなり酔っている上に、あまりいい酒ではなかったようだ。接待だから仕方ない、の粋を越えてる感じがする。
たったまま靴を脱ごうとした土方さんが勢いよく壁に手をついた。殴るような勢いで、ドンと大きな音がたつ。
それを聞きつけたのか、土方さんが帰るのを待っていたのか、すかさず山崎が現れる。
「副長、おかえりなさい」
言いながら何かしたのかという視線を向けるものだから何もしていないと睨み返せば山崎はごまかすような笑みを浮かべた。
「山崎、土方さんの部屋に水運んどいて」
「はい」
やっと靴を脱ぎ終えた土方さんがふらりと歩き出す。
酔っ払いと出くわしてしまったら、放置せず面倒を見るというのが屯所での暗黙のルールで、面倒だけれど明日からかうために面倒を見てやろうと、千鳥足の土方さんを支えてやる。どうせこんなに酔ったら今夜の記憶は明日にはなくなっているので、あることないこと言って土方さんで遊ぼう。
「気が利くな、そうご」
「いーえ」
まるで猫でも呼ぶような柔らかな呼び方にうんざりする。
うんざりしながら土方さんの部屋の障子を開けると、よくできましたとばかりに頭を撫でられた。
「……」
いらっとしながら、一緒に部屋に入り、布団の上に土方さんを座らせる。
山崎が水を持ってきたついでに行灯をつけ布団も敷いておいてくれたらしい。ありがたい。
今日の土方さんはめんどくさいので、予定変更して着替えさせないでこのまま部屋へ戻ってしまおうかと背を向ければ、水に手を伸ばしていたはずの土方さんの手が俺の袖を掴んだ。
「そうご」
「……あんたその呼び方どうにかなりやせんか」
甘ったるい呼び方に嫌気がさして、渋々座りながらそういえば土方さんは柔く笑った。
「いいだろ、別に」
よくないから言っているのに。
俺は引き留められたからこうしているだけで、特に用はないから水をごくごく飲む土方さんをぼんやりと眺める。
喉仏のラインがいやに目に付く。綺麗な曲線を描くそれが水を飲むたび上下して、つい見入る。
そしてグラスを持つあの節榑立った指先も、俺には縁のないものだ。うらやましいと眺めていれば、おもむろに土方さんが俺を見た。ぺろりと口元を舐める仕草に視線を逸らす。
「今夜、一緒に寝ろよ」
逸らした視線を一瞬で土方さんに戻す。目が合うなりふと笑われて、顔が熱くなった。
「はぁ? アンタなに言ってんの。酔うにもほどがあらァ」
顔の火照りを隠すように早口にそう返す。多分、土方さんが素面なら動揺してることに気づいていただろう。それならそもそもこんなこと、言ってないんだろうけれど。
「……そうだよな。お前、俺のこと嫌いだもんな」
空のグラスを弄びながら、落ち込んだように言う。
アンタのことが嫌いだなんて。
嫌いなはずが、ないのに。ずっとずっと、アンタしか見ていないのに。叶わないと知っていながら、馬鹿みたいに。
だから、どうしたらいいかわからなくて子どものように悪戯をしかけてしまう。怒らせてしまう。もっと俺を見てほしくて。子どもっぽくて女々しくて、嫌になる。
露見していないことを素直に喜べなくて、ふと、魔が差した。
「……俺、アンタのこと好きですぜ」
どうせ今夜のことは記憶に残らない。言ったとしても伝わらない。それなら、それならいっそ。
全部ぶちまけて。
「ガキの頃から、アンタのことしか見てなかった。近藤さんが一番なのは昔から変わらないけど、近藤さんを一人占めしたいなんて思わない。でも、アンタが俺のもんになってくれたらって、何度も何度も思って、」
一人占めしたくて、触れたくて、触れられたくて。
どうしようもない感情に言葉が詰まる。
土方さんに触れられる夢を見たこともある。優しい声で名を呼ばれて嬉しくて、でもそれは夢の中のことだから起きてしまえばただ虚しさだけが残った。罪悪感も抱いた。
身近な人間にそんな妄想をされてるなんて、気持ち悪くて許せないだろう。
涙すら浮かんできて、膝の上に置いた自分の指先をぼんやりと眺める。
衣擦れの音に続いて文机にグラスを置く音がした。追い出されるのか罵られるのか、きっと明日には忘れてるだろうけど拒絶されるのはつらくて顔を上げずにいれば、さっきと同じように名を呼ばれた。
優しい、こそばゆくなるような呼び方。おそるおそる顔を上げると、ぐいと手を引かれて、呆気にとられたまま土方さんの腕の中。
「一緒に寝ろよ」
「え……」
「なにもしねぇから」
俺を抱いたまま土方さんは横になる。隊服がしわになっちまう、とどうでもいいことを心配する俺を後目に土方さんは行灯を消して、俺に布団をかけて、再び抱きしめてくる。
煙草と酒のにおいがする。そしてあたたかい。
拒絶されなかった。その上、一晩だけ俺の気持ちをくんでくれるという。
嬉しくて嬉しくて、俺も土方さんを抱きしめ返す。朝まで離れないように、足に足を絡める。
「……なにしても、いいのに」
一晩抱きしめていてくれるだけでも十分なのに、好色な土方さん相手だから冗談めかしてそんなことを言ってしまう。
どうせ一晩だけなのだから、あすにはなかったことになるのだから、何をしてもいい。
本意には気づかなかったのか追々なと土方さんは返して、俺の頭に鼻を埋めた。
きっと、今夜以上に幸せな夜なんてない。
立春が終わってしまった。
- 2015/02/05 (Thu) |
- 未選択 |
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