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梅々

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近藤さんの命日

誕生日でした。たくさんの方に祝っていただきとても嬉しかったです。えへへ。そして花をいただいた。異性に。人生初。





それでは近←沖。
やまなしおちなしいみなしです。





















スタートライン





横を向いてぐぅかぐぅかと眠る、その頬に濡らしたタオルをそっとかける。ぴくり、と眉が動いた。けれど起きる気配はなく、眉間のしわがなくなり、安らかな顔をしてまた鼾をかいた。
幸せそうな顔。いま、どんな夢を見ているんだろうか。俺が出ていればいい、けれどきっと、近藤さんからしたら姉御がでていたほうが嬉しいのだろう。

「近藤さん」

小さくぼそり、呟いてみるが起きなくて、少しだけ悲しくなった。赤く腫れた頬はもう見慣れたものだけど、初めて見たときはとても驚いて、姉御に殺意がわいたのを思い出した。それでも、近藤さんがあの人を本当に好いているから、俺は何にもできない。
俺だけのものにしたかった。大好きな近藤さん。姉上と近藤さんだけが俺の世界の全てで、それ以外は何もいらないからと、ただ求めた。実際は今も変わらないのだ。俺は近藤さんだけがただ欲しい。俺だけのものになってくれるなら俺は何だってする。なってくれなくても、こうして側にいられるだけでいいと、妥協できるようにはなったけど。
隣にごろりと寝転んで、同じ角度からじぃっと熟視る。頬が腫れていてもかっこいい。じわじわ胸を満たす愛しさを、噛み締めながら手を伸ばす。タオルを引っくり返して、ついでにそっと触れてみる。暖かい。
そろそろ土方さんが探しに来る頃だろうと、上体を起こしておでこにちゅっと唇を当てる。

「総悟」

タイミングを計ったかのように声をかけられた。やおら振り向くと、土方さんがくわえ煙草で俺を見下ろしていた。
眉を寄せている。俺が近藤さんに恋しているのを、土方さんはよく思っていないからだ。誰を好きになろうが俺の自由なのに、叶わないんだから諦めろなどと言う。容易く諦められたらどんなに楽か。それが無理だからこんなに、悩んでいるのに。

「サボってんな。見回り行くぞ」
「へいへい」

にまにましてる近藤さんの寝顔をじっと見つめてから、よっこらしょと立ち上がる。それすらもまじまじと見られて、土方さんに視線を向けるとふいと反らされた。
俺には、まともな恋愛をしてもらいたいのだろう。結婚して、ガキを生ませてと、ありふれた幸せを手に入れてほしいのだろう。土方さん自身はきっと必要としていない。押し付けるなと言うのに。

「アンタはもう誰も好きになんねぇの?」
「……なんねぇだろうな」

そう、溜め息混じりに言った声が何故か、辛そうだった。

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