梅々
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苺100%
できたので一応あげときます。
「あづい~」
「新八ィ~。お茶煎れるアル。冷たいのな」
「・・・ハイハイ。ったくもうしょうがないな・・・」
やれやれと立ち上がる新八の後ろ姿を見つめ微笑み、銀時は懐から小銭を取り出した。ただでさえ中身が少ないのだ。百円玉二、三枚取り出しただけで財布代わりの懐には総額百円程しか入っていない。ジャンプ用の金は別にしてあるのだけど。
「神楽、かき氷買ってこい。一番安いやつ、三つな」
「へいヨ!ちょっぱやで買ってくるネ!定春、行くアル!!」
どたばたと騒がしく家を出ていく一人と一匹を見送り、茶を煎れに行った新八の元へと向かう。湯呑みに氷を入れ、茶が出るのをぼーっと待っている後ろ姿が可愛らしい。
足音をたてないよう背後から近付き、ぎゅうっと抱きつく。その途端大袈裟なまでに肩を振るわせ振り向いた。驚いたように見開かれた瞳一面に、俺の姿が写し出される。
「銀さん・・・」
柔い笑みと一緒に、日頃の感謝の意を込める。
「誕生日、おめでとう」
「えっ・・・?」
瞬きを数度した後、戸惑いながら、ありがとうございます。と呟いた。徐に、回した手に心地よい温もりが触れる。
「銀さん知ってたんですか?僕の誕生日・・・」
「なんか、昨日知った。お前の姉貴が言ってたんだよ」
「姉上が・・・」
成程。と納得するように宙を見つめ、ハッと思い出したのかその後慌ててコップに茶を注いだ。その為強制的に退かされた手が所在なさげに彷徨う、肩に軽くぶつかる。
あ、と新八は茶を入れ終わったのか振り返った。
「・・・ところで、何かプレゼントとかあるんですか?」
「え~と・・・」
正直、ない。昨日の今日で金欠な俺が大層な物を準備出来るはずがなくて。本当ならホールケーキを作ってやりたかったけど、祝おうと思ってることがばれたら嫌だったし、材料が足らなかった。
辛うじて用意出来たのは花一本。
「花、でいいなら・・・」
頭をボリボリ掻きつつ口を開く。
「―――――銀さん、照れてるんですか?」
顔を背ける俺に、新八は嬉しそうにたずねる。顔を覗きこもうとするから後ろを向きつつ、思う。何がそんなに嬉しいんだろう、と。花一本しか貰えないのに。それに新八は男で花なんて欲しいと思わないはずなのに。
「銀さん、此方向いてくださいよ」
「いいじゃねぇか。このままでも」
「やっぱり照れてるんですね?」
「照れてなんかねぇよ。ただ後ろ向きたいだけですぅ」
嘘ばっかとでも言いたいのか噛み殺した笑いが背後から聞こえ、いたたまれない。言い返そうと振り返る刹那、抱きつかれた。
「花ひとつでも―――――銀さんから貰えるなら、僕は何でも喜んで貰うのに・・・。それぐらい、わかって下さいよ」
「・・・・・・新八、お前酔ってる?」
「酔ってなんかいません!」
俺だって思っている事だけど、言葉にして言うには恥ずかしすぎるその想いを告げてくれるとは思っていなかった。だから、余計不意打ちのその言葉が胸に響く。
幸せだなァ、と今更ながらに実感する。
「本当、お前って・・・」
正面から抱き締め直す。おずおずと背にまわされる手につい、にやけてしまう。それを隠すように、額に口付け強く抱き締める。
「わん!!」
「定春、しーっ!」
くぐもった声がしたほうへ、二人してゆっくりと視線を向ける。案の定、そこにはかき氷を買いに行っていた神楽の姿が。
「か・・・神楽ちゃん・・・・・・」
瞬時に新八の顔は赤く染まる。
「安心するヨロシ。二人がラブラブだなんて誰にも言わないって誓うアル!」
「お前は信用出来ねぇんだよ」
「まぁ、そんなことどうでもいいから早くかき氷食べようヨ~」
「どうでもよくないからね、本当・・・・・・」
ねぇ、と新八は銀時に同意を求めるが、銀時は銀時で何か考えこんでいる。
「・・・付き合ってるってことが世間の噂になったら誰も新八にちょっかい出さない・・・・・・?」
「ちょっと!何考えてるんですかっ!」
「早くしないと全部食べちゃうからネー」
今日も万事屋は賑やかです。
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