梅々
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脱稿
- 2012/04/15 (Sun) |
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スパコミのお知らせが一個前の記事にあります。
そして入稿してきました。直接入稿いいね。その場で確認できる。
では、唐突に始まりゴールの見えない五周年記念企画で沖田総受け気味。
魔界学園ものというカオスです。
そして入稿してきました。直接入稿いいね。その場で確認できる。
では、唐突に始まりゴールの見えない五周年記念企画で沖田総受け気味。
魔界学園ものというカオスです。
本当の俺を受け止めて
リリスの微笑み
相変わらず綺麗な赤い空だと、欠伸をしながら芝の上に寝転んだ。温い風が頬を撫でる。花の香が、ふわりと舞った。甘ったるいそれに眉間が寄る。
花は、甘い香り、美しい見た目で人を誘い、触れたものの力を奪うのだ。花によっては触れただけで死を招くものもあるという。触れてもいい花はただ一つ、薔薇の花のみである。鋭い棘も、この世界では他愛ない武装だ。
ここは魔界だ。魔力を持ったものが住む世界。姿も魔力の形も様々なものが暮らしている。
人形のものは穏やかなものが多いが、獣姿のものや、植物などは理性がなくて危険だという。だから、人形のものは人間と同じように、集まって暮らしている。そんなものがなければ、学校にだって行かずに済んだのにと、そう俺は思う。
魔界にて生まれたものは必ず、全寮制の学校へ入れられる。それは無知な子どもを危険から遠ざけるためでもあり、勝手に人間界へ行かないようにするためでもある。学校で自分がどういう種族であるのかだとか、魔界の規則だとか、他の世界との関わり方だとかそういうものを学ぶのだけれど、正直飽きた。七つの頃から寮へ入れられ、既に十年は経っている。粗方のことは分かっているし、広いとはいえ檻から出られないのは、非常に詰まらない。姉上にも、長期休暇しか会えないのだ、家族なのに。
ごろんと横を向くと、芝の青い匂いがした。こっちの方が好きだと思いながらアイマスクを下ろす。姉上手作りのこれは肌身離さず持ち歩いている。
去年、体験学習で行った人間界は良かった。同学年の山崎と新八と、わあわあ言いながら観光したのを覚えている。教科書で見たのとあまり違いない世界は、魔界と空の色も空気も殆ど同じだったけれど、欲の匂いがしていた。俺たちの餌だ。人間の欲が何よりもご馳走だけど、勝手に狩るのは規則違反だ。違反者には重い罰が与えられるという。それは、学校を出てからも変わらない。
魔界の夕焼けがいつも血のように赤いのとは違い、人間界は橙色だったのも印象深い。あの唯一触れられる花である薔薇も、遥か昔に人間界から誰かが持ってきたものだそうだ。
「沖田さぁーん!」
ふわりと風が乱れて、せっかく青い匂いしかしなかったのにまた、甘ったるい匂いがしてきた。ちっと舌打ちをするけども反応を返さなければ、いたいた、と山崎の声がした。
「沖田さん、土方先輩が呼んでますよ」
「えー。あいつのとこ行きたくない」
「あいつって……」
声が近づいた。山崎が隣に腰掛けたのだと分かってアイマスクを上げる。先程よりも黒ずんだ空に、溶け込みつつある山崎が俺を見ていた。真っ黒い髪に真っ黒い瞳は悪魔の証。山崎も俺も新八も、悪魔である。なのに俺だけ毛色が違う。
悪魔は髪の先まで魔力が詰まっているのだ。色が濃ければ濃いほど、力が強いとされる。俺の髪とはまったく違い、綺麗な闇色の髪に手を伸ばした。
「沖田さん……」
「山崎、ほしい」
困ったように名を呼んで頭を近づけてくれた山崎の髪を指に絡める。すると何だか空腹を感じて、我慢することなくねだった。
俺の髪は淡い色だ。それなのに山崎達よりも魔力がある。それは、やっぱり種類が違うからなのだろう。
違うものであるように、珍しい色であるように。それは、魔界の花と同じようだと思う。全ては触れさせるため、虜にするため。
なぁ、山崎。吐息混じりに囁けば、すぐに唇を奪われた。そうして感じる蜜の味。
俺は悪魔だけど、こいつらとは違う。きもちいいことが、何よりの御馳走。
上顎を舐められて舌を吸われると気持ちが良い。同時に空腹感も癒えて、覆い被さる山崎の頭に手を差し込む。まぶたを閉じるとちりりと胸が痛んだ。
*
あとは寝るだけという状態にして自習時間に部屋を出る。ここの寮は勿論性で建物が分けられていて二人一部屋となっているのだけれど、相部屋だった先輩がついこないだから研修に行ってしまって、今は俺一人でのびのびと部屋を使っている。きっと土方さんが呼んだのはそのことが関係するんだろうなと、溜め息をはく。一人で部屋を使えるのは、原則寮長と一部の最上級生のみだ。
土方さんは一期上の先輩で、委員会副会長兼寮長をやっている。頭もいいし見た目もよく魔力もあって、番になりたがる女が捨てるほどいる。聞けば学校の外にまで土方さんのファンがいるとかなんとか。
「入りやすよー」
そんな土方さんの部屋へ、ノックをせずに入る。入学当初、同室だったこともあって土方さんとは親しいと、周りからは見られているらしい。確かに、よく話すしなぁと思いながらずんずん進む。左手にユニットバスに続くドア、真っ正面には曇りガラスのついた部屋へ続くドアがある。寮長室は他の部屋より広めの作りだから、部屋に入るのに二度もドアを開閉しなきゃいけない。めんどくさいと思いながらドアを開ける。
「……またお前は。ノックしろよ」
「でも鍵開けといてくれたんだからアンタ分かってたでしょ」
風呂上がりなのだろう、半裸で首にタオルを引っかけた土方さんが、ベッドに腰掛けタバコを吸っていた。あのタバコも、人間界のものらしい。あと土方さんが好きなマヨネーズもそうなのだと聞いた。
土方さんから視線をそらして、机の上に飾ってある花を見る。真っ赤な薔薇だ。いつ来てもあるからすっかり見慣れたけれど、本当は魔界では珍しいものだ。
「で、何のようですかィ」
「ん? あぁ」
タバコを灰皿に磨りつけて土方さんはこちらを見たのが分かった。それでも土方さんを見ずにいると、咎めるように名を呼ばれた。
渋々と土方さんを見ると、青く透ける氷のいろをした瞳がじっと俺を見ていた。真摯な瞳で見つめられてぞくりと鳥肌立った。晒されている白い肌がいけない、程好くしまった腕に、胸板に、意識が奪われそうになる。色気がすごいのだ。だから俺は、入学当初も苦労した。我慢しなきゃいけない。この人の前では、ふしだらな自分を隠さなきゃいけないから。
「とりあえず座れよ」
そう言い土方さんは自分の隣を叩いて促す。
ベッドの上、半裸のアンタと二人きり。冗談じゃない。
「とりあえず服を着なせェ」
「そうだな」
ジャージを着て土方さんが俺を見る。これで座らなきゃ意識していると思われそうで、仕方なく間を開けて腰かける。
土方さんはタバコの混じった優しい匂いがする。これを嗅ぐと落ち着いてしまう自分が嫌で、早く部屋から出ようと用件を問う。
「で?」
「おまえ今、部屋一人だろ」
「へい」
「規則だから、誰かと同室にならねぇといけねぇ。分かるな」
「へい」
「この部屋、来るか?」
「へ?」
寮長と最上級生のみに、認められた特権が一人部屋だ。だから俺が、一人で悠々自適に部屋を占領しちゃいけないのは分かっているけれど。
なんでアンタと?
恐らく、他にも一人きりで部屋を使っている上級生はいる。ベッドが一つしかないこの部屋とは違って、ベッドも机も二つある部屋を使っている人が。それなのに、なんで。
意味が分からなくてぱちくりと瞬きをする。すると困ったような、顔を返された。
「……俺の血を吸う気ですかィ?」
「ばか。心配してんだよ」
くしゃりと髪をかきまぜられる。そしてふと思い出す。
俺が入学して三年経った頃、土方さんは人間界へ留学してしまった。だからその時、他の人と同室になったのだけれど、そいつがとんでもない下衆野郎で。最初は優しかった。勉強も教えてくれてお菓子もくれて、遊んでくれた。そうして信頼させて、俺を油断させて、あの男は。
「思い出させんじゃねぇよ馬鹿土方」
「悪い」
蘇る光景から逃げようと土方さんの匂いに意識を集中させる。ここは土方さんの部屋で、俺に触ってるのは土方さんで、すぐとなりに、いてくれて。じっと土方さんを見ると、ふと視線を反らされた。罪悪感を抱いたのだろうか。
何だか嫌な空気だ、此方を見てくれない土方さんに分かりやしたと言うと、漸く俺を見てくれる。
土方さんの眼差しには、魔力があるんじゃないかと思っている。その眼差しで捕らえて、血を吸うんじゃないかと。尖った犬歯を突き刺して、宥めるように体を愛撫して、そして、体も奪うのが吸血鬼の手口だという。土方さんも吸血鬼だ、きっと、ファンの女に血をもらったりしているのだろう。だって女なんて選り取りみどりだ。
それを想像したら、物凄く不快な気分になった。
「……もう戻りやさァ」
「ああ。一週間以内に決めとけ」
「へい。おやすみなせぇ」
「おやすみ」
優しい声に胸がずきりと痛んだ。
土方さんは変なところ潔癖性だ。もし、俺が、夢魔だと知れたら、軽蔑されるんじゃないか。それを思うと怖くて、側に痛いのと同時に側から離れたくなる。
何も知らないでいて、土方さん。俺を変わらずかわいがって。
リリスの微笑み
相変わらず綺麗な赤い空だと、欠伸をしながら芝の上に寝転んだ。温い風が頬を撫でる。花の香が、ふわりと舞った。甘ったるいそれに眉間が寄る。
花は、甘い香り、美しい見た目で人を誘い、触れたものの力を奪うのだ。花によっては触れただけで死を招くものもあるという。触れてもいい花はただ一つ、薔薇の花のみである。鋭い棘も、この世界では他愛ない武装だ。
ここは魔界だ。魔力を持ったものが住む世界。姿も魔力の形も様々なものが暮らしている。
人形のものは穏やかなものが多いが、獣姿のものや、植物などは理性がなくて危険だという。だから、人形のものは人間と同じように、集まって暮らしている。そんなものがなければ、学校にだって行かずに済んだのにと、そう俺は思う。
魔界にて生まれたものは必ず、全寮制の学校へ入れられる。それは無知な子どもを危険から遠ざけるためでもあり、勝手に人間界へ行かないようにするためでもある。学校で自分がどういう種族であるのかだとか、魔界の規則だとか、他の世界との関わり方だとかそういうものを学ぶのだけれど、正直飽きた。七つの頃から寮へ入れられ、既に十年は経っている。粗方のことは分かっているし、広いとはいえ檻から出られないのは、非常に詰まらない。姉上にも、長期休暇しか会えないのだ、家族なのに。
ごろんと横を向くと、芝の青い匂いがした。こっちの方が好きだと思いながらアイマスクを下ろす。姉上手作りのこれは肌身離さず持ち歩いている。
去年、体験学習で行った人間界は良かった。同学年の山崎と新八と、わあわあ言いながら観光したのを覚えている。教科書で見たのとあまり違いない世界は、魔界と空の色も空気も殆ど同じだったけれど、欲の匂いがしていた。俺たちの餌だ。人間の欲が何よりもご馳走だけど、勝手に狩るのは規則違反だ。違反者には重い罰が与えられるという。それは、学校を出てからも変わらない。
魔界の夕焼けがいつも血のように赤いのとは違い、人間界は橙色だったのも印象深い。あの唯一触れられる花である薔薇も、遥か昔に人間界から誰かが持ってきたものだそうだ。
「沖田さぁーん!」
ふわりと風が乱れて、せっかく青い匂いしかしなかったのにまた、甘ったるい匂いがしてきた。ちっと舌打ちをするけども反応を返さなければ、いたいた、と山崎の声がした。
「沖田さん、土方先輩が呼んでますよ」
「えー。あいつのとこ行きたくない」
「あいつって……」
声が近づいた。山崎が隣に腰掛けたのだと分かってアイマスクを上げる。先程よりも黒ずんだ空に、溶け込みつつある山崎が俺を見ていた。真っ黒い髪に真っ黒い瞳は悪魔の証。山崎も俺も新八も、悪魔である。なのに俺だけ毛色が違う。
悪魔は髪の先まで魔力が詰まっているのだ。色が濃ければ濃いほど、力が強いとされる。俺の髪とはまったく違い、綺麗な闇色の髪に手を伸ばした。
「沖田さん……」
「山崎、ほしい」
困ったように名を呼んで頭を近づけてくれた山崎の髪を指に絡める。すると何だか空腹を感じて、我慢することなくねだった。
俺の髪は淡い色だ。それなのに山崎達よりも魔力がある。それは、やっぱり種類が違うからなのだろう。
違うものであるように、珍しい色であるように。それは、魔界の花と同じようだと思う。全ては触れさせるため、虜にするため。
なぁ、山崎。吐息混じりに囁けば、すぐに唇を奪われた。そうして感じる蜜の味。
俺は悪魔だけど、こいつらとは違う。きもちいいことが、何よりの御馳走。
上顎を舐められて舌を吸われると気持ちが良い。同時に空腹感も癒えて、覆い被さる山崎の頭に手を差し込む。まぶたを閉じるとちりりと胸が痛んだ。
*
あとは寝るだけという状態にして自習時間に部屋を出る。ここの寮は勿論性で建物が分けられていて二人一部屋となっているのだけれど、相部屋だった先輩がついこないだから研修に行ってしまって、今は俺一人でのびのびと部屋を使っている。きっと土方さんが呼んだのはそのことが関係するんだろうなと、溜め息をはく。一人で部屋を使えるのは、原則寮長と一部の最上級生のみだ。
土方さんは一期上の先輩で、委員会副会長兼寮長をやっている。頭もいいし見た目もよく魔力もあって、番になりたがる女が捨てるほどいる。聞けば学校の外にまで土方さんのファンがいるとかなんとか。
「入りやすよー」
そんな土方さんの部屋へ、ノックをせずに入る。入学当初、同室だったこともあって土方さんとは親しいと、周りからは見られているらしい。確かに、よく話すしなぁと思いながらずんずん進む。左手にユニットバスに続くドア、真っ正面には曇りガラスのついた部屋へ続くドアがある。寮長室は他の部屋より広めの作りだから、部屋に入るのに二度もドアを開閉しなきゃいけない。めんどくさいと思いながらドアを開ける。
「……またお前は。ノックしろよ」
「でも鍵開けといてくれたんだからアンタ分かってたでしょ」
風呂上がりなのだろう、半裸で首にタオルを引っかけた土方さんが、ベッドに腰掛けタバコを吸っていた。あのタバコも、人間界のものらしい。あと土方さんが好きなマヨネーズもそうなのだと聞いた。
土方さんから視線をそらして、机の上に飾ってある花を見る。真っ赤な薔薇だ。いつ来てもあるからすっかり見慣れたけれど、本当は魔界では珍しいものだ。
「で、何のようですかィ」
「ん? あぁ」
タバコを灰皿に磨りつけて土方さんはこちらを見たのが分かった。それでも土方さんを見ずにいると、咎めるように名を呼ばれた。
渋々と土方さんを見ると、青く透ける氷のいろをした瞳がじっと俺を見ていた。真摯な瞳で見つめられてぞくりと鳥肌立った。晒されている白い肌がいけない、程好くしまった腕に、胸板に、意識が奪われそうになる。色気がすごいのだ。だから俺は、入学当初も苦労した。我慢しなきゃいけない。この人の前では、ふしだらな自分を隠さなきゃいけないから。
「とりあえず座れよ」
そう言い土方さんは自分の隣を叩いて促す。
ベッドの上、半裸のアンタと二人きり。冗談じゃない。
「とりあえず服を着なせェ」
「そうだな」
ジャージを着て土方さんが俺を見る。これで座らなきゃ意識していると思われそうで、仕方なく間を開けて腰かける。
土方さんはタバコの混じった優しい匂いがする。これを嗅ぐと落ち着いてしまう自分が嫌で、早く部屋から出ようと用件を問う。
「で?」
「おまえ今、部屋一人だろ」
「へい」
「規則だから、誰かと同室にならねぇといけねぇ。分かるな」
「へい」
「この部屋、来るか?」
「へ?」
寮長と最上級生のみに、認められた特権が一人部屋だ。だから俺が、一人で悠々自適に部屋を占領しちゃいけないのは分かっているけれど。
なんでアンタと?
恐らく、他にも一人きりで部屋を使っている上級生はいる。ベッドが一つしかないこの部屋とは違って、ベッドも机も二つある部屋を使っている人が。それなのに、なんで。
意味が分からなくてぱちくりと瞬きをする。すると困ったような、顔を返された。
「……俺の血を吸う気ですかィ?」
「ばか。心配してんだよ」
くしゃりと髪をかきまぜられる。そしてふと思い出す。
俺が入学して三年経った頃、土方さんは人間界へ留学してしまった。だからその時、他の人と同室になったのだけれど、そいつがとんでもない下衆野郎で。最初は優しかった。勉強も教えてくれてお菓子もくれて、遊んでくれた。そうして信頼させて、俺を油断させて、あの男は。
「思い出させんじゃねぇよ馬鹿土方」
「悪い」
蘇る光景から逃げようと土方さんの匂いに意識を集中させる。ここは土方さんの部屋で、俺に触ってるのは土方さんで、すぐとなりに、いてくれて。じっと土方さんを見ると、ふと視線を反らされた。罪悪感を抱いたのだろうか。
何だか嫌な空気だ、此方を見てくれない土方さんに分かりやしたと言うと、漸く俺を見てくれる。
土方さんの眼差しには、魔力があるんじゃないかと思っている。その眼差しで捕らえて、血を吸うんじゃないかと。尖った犬歯を突き刺して、宥めるように体を愛撫して、そして、体も奪うのが吸血鬼の手口だという。土方さんも吸血鬼だ、きっと、ファンの女に血をもらったりしているのだろう。だって女なんて選り取りみどりだ。
それを想像したら、物凄く不快な気分になった。
「……もう戻りやさァ」
「ああ。一週間以内に決めとけ」
「へい。おやすみなせぇ」
「おやすみ」
優しい声に胸がずきりと痛んだ。
土方さんは変なところ潔癖性だ。もし、俺が、夢魔だと知れたら、軽蔑されるんじゃないか。それを思うと怖くて、側に痛いのと同時に側から離れたくなる。
何も知らないでいて、土方さん。俺を変わらずかわいがって。
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