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梅々

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父上、父上。

白い布団から青い空を眺めていた父上。空を塞ぐ鉄の塊をじっと見ていた父上。
僕の、父上。

「あれ、沖田さんじゃないですか」
「あ? 旦那んとこの眼鏡」

物思いに耽ってる間に間違ってSM店にでも来てしまったかと辺りを見るがそうじゃないらしい。白を基調とした店には色とりどりのケーキが並んでいる。
沖田さんがケーキ屋に?
なんでまた。

「どうしたんですか、ケーキ買うなんて」
「……父の日だからでさ」

詰まらなさそうに言うのを聞いて訊いちゃいけなかったかなと思うけれど、箱を受け取っても立ち去る様子がないのを見て急いで、僕もショートケーキを3つ注文する。

「僕も、父の日なんで買いに来たんです」
「仏壇に供えんの?」
「えぇ。それで、姉上と食べるんです」

シスコンと馬鹿にされるかも、と言ってから気づいた。でも沖田さんは遠くを見たまま何も言わない。
お待たせしました、渡された箱を受けとると、歩き出した沖田さんの後を追った。なんか、いつもの沖田さんと違う気がする。

「おまえの父ちゃん、どんな人だった?」
「あんまり覚えてないんです。優しくて、強かったイメージがありますけど。床に臥せて空を見ていたことしか」
「へぇ」

同じケーキの箱を持ったまま並んで歩く。
こんな風に沖田さんとゆっくり話したことなかったなぁと感慨に耽っていると、ぽつり、沖田さんが呟いた。

「ねーちゃん、大事にしろよ」
「え?」
「おまえなら大丈夫だろうけど」

意味深な言葉に首を傾げる。じゃあ、と分かれ道で、颯爽と歩いていく後ろ姿にあんな風に、沖田さんのように守りたいものを守れる強さがあれば父上も誇りに思ってくれるんじゃないかと思った。
守りたいもの。
姉上。
銀さんに出会ってから得た、たくさんのもの。知り合った人たち、仲間。
誇れるものは既に持っている。諦めない強さも、信じ合うことができる人たちもいる。
少しずつ得て、少しずつ、父上に誇れる自分に。

姉上、父上、待っていてください。









新八難しい。沖田は父の日は近藤さんとケーキを食べるといい。
父親がちゃんといるキャラ神威と神楽しかいない。あと栗子。戦う父親ばかりだね。

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