梅々
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無我夢中
銀さん書けないんです。イラストも小説も。難しい。それなのに、小説で銀さんが出てくるとき気付けば大体銀さん目線なんです。これ完璧に墓欠掘ってるね。別にね、愛が足らないわけじゃない! 銀さん好きだもん! 問題は彼の思考回路なのだ。私の脳内と大分というか173゜ぐらい違うのだ。もうほぼ理解不能。だからこそ銀さんが好きなのだ。
では、スランプだけどブームな銀沖で百人一首。
では、スランプだけどブームな銀沖で百人一首。
みかきもり 衛士のたく火の 夜は燃え
昼は消えつつ 物をこそ思へ
蜘蛛の巣にかかった揚羽蝶
キィィ・・・と軋んだ音をたて、不透明な硝子を填めこんだ木製の扉が開いた。
其処から覗いた白い指先、金と茶の間の色をしたさらさらの髪に、沈んでいた気持ちが引き締まる。
「・・・寂れたバーですねィ」
「バーじゃねぇから。ホストクラブだから。・・・今日は定休日だし、君が入ってきたのは裏口だから」
成程。と沖田は言い、カウンターに腰をおろした。学校の帰りに直できたのか黒い詰め襟を着て、その上にシンプルなコートをはおっている。久しぶりに見るその姿に記憶の糸をたぐる。
年の差はどれ程だったか、と。
二桁まではいってなかったのは覚えているが。
「・・・今日は、どしたんですかィ?」
「ん~デートしようかと思ってよ」
「またラブホですかィ?」
つまらなさそうな声で沖田は無邪気に聞き返す。そういうことはあまりズバズバ言わない方がいいと前に言ったのに。この場に二人しか居ないからまぁいいけれど。
だが、デート=ラブホと思ってるのは問題だ。俺はそんなに甲斐性ナシなのか?
「・・・デートしたことなかったっけ?」
「えぇ。・・・強いて言えばコンビニ?」
「あ~、ホント? 晩飯とか無かったっけか?」
「あ、ありやした。確かあれは駅前のラーメン屋」
「・・・」
聞かなければ良かった、と少し後悔する。わざわざ墓欠掘るなんて馬鹿のすることだ。
青春真っ盛りなのだから何か、いい思い出を作ってやりたい。なんてオヤジくさい考えに溜め息が零れる。
ずっと側にいれりゃあいいけど、祝福されるような関係ではないし、街中を腕組んで歩くことさえ無理なのだから“ずっと側に”なんて無謀な望みだとわかってはいるが。
─────遊びだったはずなのに。
いつからこんな、餓鬼くさい想いを抱くようになったのだろう、思えば鼻たらしてた頃から今まで、まともな恋愛をしていない。それじゃあこれが初恋なのか、初恋は実らないと聞いたけれど。
「じゃあ、」
「あ~、旦那」
何処か。
遊園地だろうが水族館だろうが。行きたい所へ連れて行ってあげよう、まぁ、ちゃんと見返りを要求するけど。
そう告げようとしたが言葉を控え目に遮られる。ムッとするがそんなの一瞬だけだ。自分でもうすら寒いが、苛立ちはうまれない。これが新八とかなら反射で眼鏡を割ったりしているだろう。
「別に・・・俺ァ旦那と一緒にいられりゃ、デートなんざしなくていいんでさァ」
照れ隠しに少し不機嫌な顔をするけれど、どれだけの威力を、今の言葉が持っているか分かっていないのだろう。
至上最大級の殺し文句だ。何もしてやることの出来ない、マジで駄目な俺への。
「・・・そんなこと言ってるとマジで押し倒すよ?」
「いいですぜ。今日は定休日なんだろィ? ・・・でも、旦那に余裕があんなら、旦那ン家行きてぇなァ」
艶やかな笑みで言われた突然の提案に狼狽する。俺ン家に来ても、何も楽しい事はないだろうに。
ただ、腐海が広がっているだけなのに。
「・・・別に何もないどころか汚い家なんだけど」
「それでも、行ってみてぇでさァ。・・・あ、困ってやすね?」
確かに困ってるけれど。だからって何故そこで楽しそうに笑うんだ。生粋のドSだからか?まぁ、俺の方がドSレベル的なものは上なのだろうけど。
「・・・俺、困ってる旦那見んの好きなんでさァ」
「俺は、屈辱的な表情してる総悟君見んの好きだなァ」
ニコリと微笑んで告げると、刹那だけ顔を赤くし、恨みがましい視線を向けられた。
そんな表情でさえ愛しくて堪らない。大事にしたい、と思うと同時に壊したくなる。壊したい、と思うのはきっと“愛しい”という気持ちの裏返しなんだろう、歪んでるけど。
「・・・悪趣味な人ですねィ」
「人のこと言えねぇだろ」
「まぁ、でも旦那程じゃありやせんから」
「・・・そうかァ?」
十分そうだろ、と思ったけど口に出すのはやめといた。
そっと指先が頬を撫でる。なすがままに身を委ねていると、唇が重なった。触れ合わせるだけの口付けでも、熱が高まっていく。
「・・・旦那、」
「俺ン家とラブホ、どっちがいい?」
「何方でも? 言っただろィ、あんたがいれば、って」
真摯な瞳で見つめられ、自然に再び唇が重なる。
─────どうすれば、何もかも全て、手にすることができるのだろう。俺の世界の中、鮮やかに光り輝くこの少年を。
#49
昼は消えつつ 物をこそ思へ
蜘蛛の巣にかかった揚羽蝶
キィィ・・・と軋んだ音をたて、不透明な硝子を填めこんだ木製の扉が開いた。
其処から覗いた白い指先、金と茶の間の色をしたさらさらの髪に、沈んでいた気持ちが引き締まる。
「・・・寂れたバーですねィ」
「バーじゃねぇから。ホストクラブだから。・・・今日は定休日だし、君が入ってきたのは裏口だから」
成程。と沖田は言い、カウンターに腰をおろした。学校の帰りに直できたのか黒い詰め襟を着て、その上にシンプルなコートをはおっている。久しぶりに見るその姿に記憶の糸をたぐる。
年の差はどれ程だったか、と。
二桁まではいってなかったのは覚えているが。
「・・・今日は、どしたんですかィ?」
「ん~デートしようかと思ってよ」
「またラブホですかィ?」
つまらなさそうな声で沖田は無邪気に聞き返す。そういうことはあまりズバズバ言わない方がいいと前に言ったのに。この場に二人しか居ないからまぁいいけれど。
だが、デート=ラブホと思ってるのは問題だ。俺はそんなに甲斐性ナシなのか?
「・・・デートしたことなかったっけ?」
「えぇ。・・・強いて言えばコンビニ?」
「あ~、ホント? 晩飯とか無かったっけか?」
「あ、ありやした。確かあれは駅前のラーメン屋」
「・・・」
聞かなければ良かった、と少し後悔する。わざわざ墓欠掘るなんて馬鹿のすることだ。
青春真っ盛りなのだから何か、いい思い出を作ってやりたい。なんてオヤジくさい考えに溜め息が零れる。
ずっと側にいれりゃあいいけど、祝福されるような関係ではないし、街中を腕組んで歩くことさえ無理なのだから“ずっと側に”なんて無謀な望みだとわかってはいるが。
─────遊びだったはずなのに。
いつからこんな、餓鬼くさい想いを抱くようになったのだろう、思えば鼻たらしてた頃から今まで、まともな恋愛をしていない。それじゃあこれが初恋なのか、初恋は実らないと聞いたけれど。
「じゃあ、」
「あ~、旦那」
何処か。
遊園地だろうが水族館だろうが。行きたい所へ連れて行ってあげよう、まぁ、ちゃんと見返りを要求するけど。
そう告げようとしたが言葉を控え目に遮られる。ムッとするがそんなの一瞬だけだ。自分でもうすら寒いが、苛立ちはうまれない。これが新八とかなら反射で眼鏡を割ったりしているだろう。
「別に・・・俺ァ旦那と一緒にいられりゃ、デートなんざしなくていいんでさァ」
照れ隠しに少し不機嫌な顔をするけれど、どれだけの威力を、今の言葉が持っているか分かっていないのだろう。
至上最大級の殺し文句だ。何もしてやることの出来ない、マジで駄目な俺への。
「・・・そんなこと言ってるとマジで押し倒すよ?」
「いいですぜ。今日は定休日なんだろィ? ・・・でも、旦那に余裕があんなら、旦那ン家行きてぇなァ」
艶やかな笑みで言われた突然の提案に狼狽する。俺ン家に来ても、何も楽しい事はないだろうに。
ただ、腐海が広がっているだけなのに。
「・・・別に何もないどころか汚い家なんだけど」
「それでも、行ってみてぇでさァ。・・・あ、困ってやすね?」
確かに困ってるけれど。だからって何故そこで楽しそうに笑うんだ。生粋のドSだからか?まぁ、俺の方がドSレベル的なものは上なのだろうけど。
「・・・俺、困ってる旦那見んの好きなんでさァ」
「俺は、屈辱的な表情してる総悟君見んの好きだなァ」
ニコリと微笑んで告げると、刹那だけ顔を赤くし、恨みがましい視線を向けられた。
そんな表情でさえ愛しくて堪らない。大事にしたい、と思うと同時に壊したくなる。壊したい、と思うのはきっと“愛しい”という気持ちの裏返しなんだろう、歪んでるけど。
「・・・悪趣味な人ですねィ」
「人のこと言えねぇだろ」
「まぁ、でも旦那程じゃありやせんから」
「・・・そうかァ?」
十分そうだろ、と思ったけど口に出すのはやめといた。
そっと指先が頬を撫でる。なすがままに身を委ねていると、唇が重なった。触れ合わせるだけの口付けでも、熱が高まっていく。
「・・・旦那、」
「俺ン家とラブホ、どっちがいい?」
「何方でも? 言っただろィ、あんたがいれば、って」
真摯な瞳で見つめられ、自然に再び唇が重なる。
─────どうすれば、何もかも全て、手にすることができるのだろう。俺の世界の中、鮮やかに光り輝くこの少年を。
#49
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