梅々
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ブルーな気持ち
センチメンタルです。
いきなりなんだよって話ですが、センチメンタル。曇天に冷たい空気は切なくなります。ある意味鬱。雪のツバサとかG線上の猫とかそんな感じ。
そういや、母が漸く猫読みはじめて、いま三巻目。昔の理也がいいよね~って会話をしてました。色で言うなら透明な感じ。
それでは、一日で完成した百人一首。
いきなりなんだよって話ですが、センチメンタル。曇天に冷たい空気は切なくなります。ある意味鬱。雪のツバサとかG線上の猫とかそんな感じ。
そういや、母が漸く猫読みはじめて、いま三巻目。昔の理也がいいよね~って会話をしてました。色で言うなら透明な感じ。
それでは、一日で完成した百人一首。
ああ僕は、やさしさに包まれて育ったんだ
虹の架け橋
灰色い街を彩る色とりどりの傘を眺めていたら不意に、山崎が俺の名前を呼んだ。けど気のせいかと思って無視しているとまた、沖田さん、と呼ばれた。
「なに」
「今日泊まりに行ってもいいですか」
「はぁ」
なにその山崎のくせになんの脈絡も無い、不可解な言葉は。からかってんのか、たかが山崎のくせに。
けれど山崎が自分をからかうことができるようなキャラではないことをしかと知っていて。
じゃあ何と、悩んでいるとまた名前を呼ばれた。
そう気安く俺の名前を呼ぶな、言う代わりにガツンと頭を殴る。と、うめいた山崎は傘を手放し両手で頭を抑えた。
天の涙がポタポタと、山崎を浸食していく。
「い・・・ッたいですよ、沖田さん・・・・・・」
雨に濡らされ恨みがましげな目で見上げてくる山崎は小動物を感じさせる。
それなら俺は肉食獣だ、なんて思ってニヤリと笑うと怯えたような目をしつつ落とした傘を拾い、さした。
「・・・家事出来んなら来ていいですぜ」
「え? あぁ、はい。ありがとうございます」
そこまで山崎とは仲良くねぇってのに、なんて考えて先週は原田さんが泊まりに来てたのを思い出す。
その前は近藤さん、その前は土方さん、その前は・・・・・・。
―――――ああ、そうか
「近藤さんに言われたんで?」
「えぇ・・・。って、内緒って言われたんでッ」
近藤さんには言わねぇよ、と返してやると山崎はホゥッ、と安堵の息をつく。
・・・俺は今まで、何も知らないで。
―――――姉上が死んでしまってから、休日に一人で家に居ることが無かった。
思えば、剣道部の誰かしらの家に泊まりに行ったり、泊まりに来られたり、不自然な程誰かと休日を過ごしていた。休日はずっと姉上と二人っきりでいたから、一人でいたらきっと思い出に耽って廃人のように日々を過ごしていたに違いない。
そうではなくても、こんな風に変わらぬ日々を送ってはいないだろうというのは確か。
何で気付かなかったのだろう。あまりにも、自然に手を差し延べられたからだろうか。
こんなにも、俺は回りの人に庇護されて、それに気付かないで生きているんだ。
「ああ、でも」
「? 何でィ、山崎」
「これは本当に誰にも言わないでくださいよ? 殺されるんで」
「言わねぇから」
「言い出しっぺは部長じゃなくて副部長らしいですよ」
「土方さんが?」
嘘っぽい。けど山崎が言うのだ、嘘や冗談では無いのだろう。
確かに、それじゃあ俺が知ったとばれたら山崎に明日は無い。
山崎をボッコボコにしてから、「別にてめぇの為じゃねぇからなッ!!」とか照れ隠しに怒鳴ったりして、近藤さんに素直じゃねぇなァってからかわれるんだ、あの人は。
馬鹿で、気障な人だ。
俺と同じぐらい、それ以上にダメージを受けてるくせに。
―――――だから、今度は俺が。
「山崎、土方さん家に泊まりに行くから」
「え? 急にどうしたんですか?」
「馬鹿で気障でガラスハートな土方さんを勇気づけに行くんでィ」
「ちょっ、俺からきいたって言わないでくださいよ本当に!!」
パサ、と傘をたたんで、雨上がりの街を駆ける。
後ろから山崎の間の抜けた声が追い掛けてきた。
#23
月見れば 千々に物こそ かなしけれ
わが身ひとつの 秋にはあらねど
虹の架け橋
灰色い街を彩る色とりどりの傘を眺めていたら不意に、山崎が俺の名前を呼んだ。けど気のせいかと思って無視しているとまた、沖田さん、と呼ばれた。
「なに」
「今日泊まりに行ってもいいですか」
「はぁ」
なにその山崎のくせになんの脈絡も無い、不可解な言葉は。からかってんのか、たかが山崎のくせに。
けれど山崎が自分をからかうことができるようなキャラではないことをしかと知っていて。
じゃあ何と、悩んでいるとまた名前を呼ばれた。
そう気安く俺の名前を呼ぶな、言う代わりにガツンと頭を殴る。と、うめいた山崎は傘を手放し両手で頭を抑えた。
天の涙がポタポタと、山崎を浸食していく。
「い・・・ッたいですよ、沖田さん・・・・・・」
雨に濡らされ恨みがましげな目で見上げてくる山崎は小動物を感じさせる。
それなら俺は肉食獣だ、なんて思ってニヤリと笑うと怯えたような目をしつつ落とした傘を拾い、さした。
「・・・家事出来んなら来ていいですぜ」
「え? あぁ、はい。ありがとうございます」
そこまで山崎とは仲良くねぇってのに、なんて考えて先週は原田さんが泊まりに来てたのを思い出す。
その前は近藤さん、その前は土方さん、その前は・・・・・・。
―――――ああ、そうか
「近藤さんに言われたんで?」
「えぇ・・・。って、内緒って言われたんでッ」
近藤さんには言わねぇよ、と返してやると山崎はホゥッ、と安堵の息をつく。
・・・俺は今まで、何も知らないで。
―――――姉上が死んでしまってから、休日に一人で家に居ることが無かった。
思えば、剣道部の誰かしらの家に泊まりに行ったり、泊まりに来られたり、不自然な程誰かと休日を過ごしていた。休日はずっと姉上と二人っきりでいたから、一人でいたらきっと思い出に耽って廃人のように日々を過ごしていたに違いない。
そうではなくても、こんな風に変わらぬ日々を送ってはいないだろうというのは確か。
何で気付かなかったのだろう。あまりにも、自然に手を差し延べられたからだろうか。
こんなにも、俺は回りの人に庇護されて、それに気付かないで生きているんだ。
「ああ、でも」
「? 何でィ、山崎」
「これは本当に誰にも言わないでくださいよ? 殺されるんで」
「言わねぇから」
「言い出しっぺは部長じゃなくて副部長らしいですよ」
「土方さんが?」
嘘っぽい。けど山崎が言うのだ、嘘や冗談では無いのだろう。
確かに、それじゃあ俺が知ったとばれたら山崎に明日は無い。
山崎をボッコボコにしてから、「別にてめぇの為じゃねぇからなッ!!」とか照れ隠しに怒鳴ったりして、近藤さんに素直じゃねぇなァってからかわれるんだ、あの人は。
馬鹿で、気障な人だ。
俺と同じぐらい、それ以上にダメージを受けてるくせに。
―――――だから、今度は俺が。
「山崎、土方さん家に泊まりに行くから」
「え? 急にどうしたんですか?」
「馬鹿で気障でガラスハートな土方さんを勇気づけに行くんでィ」
「ちょっ、俺からきいたって言わないでくださいよ本当に!!」
パサ、と傘をたたんで、雨上がりの街を駆ける。
後ろから山崎の間の抜けた声が追い掛けてきた。
#23
月見れば 千々に物こそ かなしけれ
わが身ひとつの 秋にはあらねど
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