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梅々

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コッペリア

今日、親戚一同集まって中華食べたのですが、雰囲気にのまれて全然食べられなかった。大好きな小龍包、一個しか食べられなかったんですよ。凹むなぁー。

あっ、そうそう。LOVELESS新巻漸く買いました。が、まだ読んでいない。
あともう一冊、ブックオフで欲しかった漫画買いました~。いま、物凄く嬉しい。スペインの無敵艦隊に勝てる程の興奮。…エリザベスさんか誰かにに破れてますがね、無敵艦隊。

加納さんの小説の螺旋階段のアリスが欲しかったのですが高くて……。百円にしていただきたい。
あ、加納朋子さんは小説『コッペリア』の作者です。まゆらドールの官能的な表現技法の虜です。コッペリア是非読んでみてください。ミステリーが待ってますよ。




それでは記念すべき50作目の百人一首。銀沖→←土チック。









陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに
乱れそめにし 我ならなくに





Sall we dance?





金に真紅、紫色。
ライトに煌めくドレスをなびかせて。




冷えた空気をほんのり照らす、闇夜にぽぅっと浮かぶ月を眺め、沖田はハァーと溜め息一つ。
グラスに注がれた真っ赤なワインを一口煽り、熱った頬を冷やす。手摺に寄りかかりガラスの向こう、賑やかに飲食、ダンスを楽しむ正装をした人々を不思議な物でも見るように見つめる。
何が楽しいのだろう。
ぼーっと立って飯食うなんて詰まらない。
再び手摺に顔を乗せ、ベランダから庭を見つめる。

最初見た時、此処ほんとに日本? と思った。簡単に言えばシンデレラ城とかそんな感じだ。だから、ベランダから眺める景色も緑豊かで広大で、自分が何処にいるのか分からなくなりそうになるのだ。

─────詰まらない。
仕事の付き合いでついてきたはいいけれど、楽しい事は何にもない。品無くガツガツ食うような真似はするなと言われているから、ワインをちびちび飲むぐらいしか自分にはすることがない。
もう、寝室に戻ろうかな、そんな考えに至った時だった。

「……総悟?」

と、少し間の抜けたような声が聞こえたのは。
懐かしい声。忘れるにも忘れられなかった、低く耳に馴染むその声の持ち主は、俺が長年想いを寄せていた人だ。
否。今も、想ってる、人。

けれどこの場にいるはずはない。

「総悟、だよな」

─────幻か。
半分の諦めと半分の期待をこめ振り返る。
…ああ、俺酔ってるな。
目の前にはたしかにいる。あの頃も大人びていたがもっとかっこよくなって、目付きもより鋭くなっているけれど、温和な笑みを浮かべたあの人が。
少し成長した姿を映し出すとは、俺の妄想はなんて現実的なの。

「俺酔っちまったのかねィ…? 土方さんの亡霊が見えらァ」

「亡霊じゃねぇよ。ちゃんと生きてるっつーの。……本当、相変わらずだな、総悟」

優しくその唇に名前を呼ばれて、ドキリと心臓が跳ねた。酔っているからか久方振りだからか、俺の心臓はこの人に対し繊細になってしまったらしい。
女々しすぎる。たった再会したぐらいで。

コツコツと革靴の音をたて土方は近付いてきて、隣に並び立つ。真っ直ぐと正面を見据え、徐に隣にいる総悟を見つめた。
慈しむように、優しい眼差しで。

「…何年振りだ?」

「高校ン時以来だから…五年?」

指折り数えてどれだけ久々なのかを実感する。18の時まで毎日のように会っていた人と、五年も会っていなかったのだと思うと不思議なもので、昨日も会ったような気もしなくはない。
それでも、隣に立たれると心臓がうるさくなるけれど。

「…近藤さん、元気にしてっかなぁ」

「あの人のことだから、まだストーカーでもやってんじゃね?」

「言えてらァ。…それにしても、なんでアンタこんなとこにいるんで?」

今日はいろんな会社の重役、将来有望株な社員や、その家族を集めたのだと彼は言っていたのだが。
なぜ、ここに土方が?
大学へ進学したその後、どんな会社についたのだろう。

「俺はアレだよ。一応、副社長だから」

「副社長!? あんたがっ!? だって、大学卒業してからまだ一年…」

ありえないだろう、普通に考えたら。
いくら頭良いって言ったって土方さんは天才じゃない。平社員からそんなお偉いさんになるなんておかしい。そりゃあ、中小企業とか個人企業ならありえそうだけどそれなら此処にいるはずもなくて。

「…いろいろあったんだよ。…でも、お前と会えたんだし結果的にはよかったのかもな」

「………」

険しい顔をし言った後、土方は口許を弛め沖田の頭を撫でた。
大変なことばかりだったのだろう、きっと。社会人一年目から副社長だなんて普通ではありえないのだから。
けど、それよりも。
会えて良かったとその口で言われるとは思っていなかった。いつも過度な悪戯ばっかりしていたし、喧嘩なんて日常茶飯事だったし。
いつになく優しい土方が、何だか怖い。ただでさえ今、心が硝子細工なのに、追い打ちを掛けるような言葉ばかり言う。
このまま耳が腐って落ちても構わない、そう思えるぐらい、甘く響く。

「ばっかじゃねぇの…。そういうのは彼女に言いなせぇ」

「彼女なんかいねぇよ。忙しかったつったろ。…そういうお前は何でこんなとこにいるんだよ」

聞かれて本当のことを言うべきか戸惑った。
─────高校を卒業した後、俺はただ無為に日々を送っていた。そんなある日、倒れたのだ。別に重い病気ってわけじゃなかったけど、入院が必要で。ニートさながらだった俺には入院費なんて当然、出すことが出来なかった。
そんな時彼に出会ったのだ。

『君の入院費用を出してあげよう。それだけじゃなく、住まいも、食事も、全て面倒を見てあげるよ─────言うことを、聞いてくれたなら』

その言葉を言われた時には既に費用を彼が出してしまっていたし、逆らう術が俺には無かった。
囲われている。
その表現が今の自分にはぴったりだ。
だから、素直に言うのは嫌なのだ。他の誰でもない、土方には。

「…成り行き、でさァ」

「はぁ? どんな成り行きだよ」

「別にどーでもいいだろィ」

わざと突き放すように言うと虚をつかれたような顔をして土方は黙りこんだ。
少し強く言い過ぎたかもしれない。だけど、知られたくないから。絶対に、このことは。

「総悟く~ん?」

「あ、旦那ァ」

二人分のワイングラスを持った彼が、窓辺に立っていつものように微笑んでいた。もう五年も傍にいるけれど、何を考えているのかさっぱりわからない。
常に眠そうな顔をしているが、二十代でありながら世界進出している企業の社長だけあって抜け目がない。だから俺は、抵抗することも出来ずにこの人に捕えられてしまったのだ。
微笑を浮かべたまま、彼は土方をチラリと見る。

「そちらさんは?」

「高校ン時の同級生でさァ。土方さん、この人は俺の知り合い。…名前なんだったっけ?」

「坂田銀時。お前さ、名前ぐらい覚えてくんない? 銀さん泣いちゃうよ?」

「坂田って……あの社長の坂田? このパーティーの主催の?」

「旦那、そうなんで?」

「そうだけど。土方……ってあれだろ。異例のスピード出世した、この業界で有名なヤツ。へ~。同じ高校だったとはな」

飲み終えたワイングラスを渡し、銀時が持っているグラスを受けとる。そのグラスには白ワインが入っていて、自分が赤ワインのグラスを取るのを見ていたのだろうか…? なんてどうでもいい詮索をしてしまう。

「意外ですかィ? 俺、馬鹿だからねィ」

苦笑しつつも、ぽんぽんと銀時は総悟の頭を撫で、グラスを煽る。
その様子を不愉快そうに土方は見ているのだが銀時は気付かないふりをしている。…総悟は本当に気付いていないけれど。

「ほらほら凹むな。…俺まだ仕事あるけど、どうする? 先戻ってるか?」

「んじゃあ戻ってまさァ」

「後で飯届けさせてやるから。…客人も連れていけば? いい暇潰しになるだろうし」

「じゃあ、そうさせてもらいまさァ。土方さんは、どうする?」

「……行こうかな」

それじゃあ、と総悟は立ち去ろうとするが、ガシッとその腕を銀時が掴む。なんだ? と総悟が顔を上げると、銀時は折角だから、と耳元に囁く。
土方には聞こえないように小さく。

「ドレス用意したから踊ってくんない?」

「は…?」

悪戯にウインクをして、彼は土方を指差す。
どうせ言ってないのだろう、と。この関係を。
渋々頷いて、ワイングラスを土方に手渡す。

「どうした?」

「ちょっと余興を。待っててくだせェ、踊り終えるまで」

「ああ…」

腕を引かれたまま、上の階の個室に連れていかれる。
部屋に入った途端、壁に押し付けられ唇を奪われた。

「んっ………んん…」

俺何かしたのだろうか。そんなことを考える暇さえない程のくちづけに、息が苦しくなる。
角度を変えて幾度となくくちづけられる。
漸く離れた唇に、ハァと大きく息を吸い込む。

「…浮気は許さないから」

「そんなんするわけねぇだろィ?」

「さぁ? わかんねぇよ?」

にっこりと、笑顔で言われ言葉につまる。
促されるようにして部屋の奥へ行くとベッドの上に淡い水色のドレスが広げられていた。
綺麗だと思う。けれど、男の俺には似合わないだろう。思ったままを口に出すと、「大丈夫大丈夫。似合うように仕立てさせたんだから」と返答に困るような言葉を返され絶句する。
どうにもこうにも、着なければ始まらないのだし…と再びドレスを見るが溢れ出る溜め息は止めようが無い。



ただならぬ関係。
だと土方の目には写った。彼ら─────総悟と銀時は。
だから、銀時は苦手な部類に入るのだろう、これから、自分の中では。
誰よりも、大切だから─────総悟のことが。彼と親しい人間なんて俺以外いなければいいと、子どもの頃から思っていた。けれど彼は誰よりも近藤に懐いていて、それが気にくわないからこそ自分からあいつに歩み寄ろうとはしなかったのだろう。
もったいないことをした。
と、今になって思う。
また会えた、今だからこそ。

抱き締めそうになった。さっきベランダで見掛けたとき。抱き締めたら殴られそうだがそんなの関係なしに。嫌われたら困る、その一心で思いとどまったのだが。
見た目は大人びて憂いを帯たけれど、中身は全然変わっていなくて安心した。身長差もあまり変わらなかったみたいだし、この恋心は益々増長するのだろう、きっと。

ワァァァと、ダンスホールの辺りがざわめき、意識が現実へ引き戻される。なんだと振り向くと、正面の階段を、銀時が誰かをエスコートしてくるところだった。水色の、きらびやかなドレスから白い素足を覗かせ、純白のハイヒールで一段一段階段を降りてくるのは他でもない、自分の想い人だった。
耳元に大輪の花飾りをつけ、化粧は真っ赤な紅を引いただけなのだが妖艶なオーラが漂っているように見えるのは惚れた弱味だけではないはず。

綺麗、すぎる。

階段を降りきった二人はホールの真ん中まで歩いてきて、手を組み合う。キッと坂田を睨みつつ踊る総悟はどこからどう見ても女にしか見えない。色っぽくて人形のような美貌で、目を奪われる。視線を外せなくなる。けれどそんなのお構い無しに、総悟は真正面の銀時だけを見続けている。

嫉妬がざわりと胸の中疼く。
他の誰かを愛すことなんてもう無理な程心を囚われたというのに、自分のものにすることができないもどかしさ。
抱き締めて壊せたら、自分のものに出来たらもう何も望まないのに。





#14

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