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梅々

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ああぁぁぁぁ

寝る前に昨日もらってきた同人誌を読んだら物凄くたぎったので小説を書いてしまった。

山→沖→土でした。

痛くて痛くて、幸せになってほしくて、でも私の技量じゃ幸せにはできないようです。

そんな、影響もろうけの山→沖です。






























ねぇ、絶対



人は幸せになるために生まれてきたなんて



嘘だよ











捨て猫の寝息











ばたん、と激しい音がした。何かがぶつかったような、倒れたような。それが目的地であった副長室から聞こえてきたから、少し足を早めた。

失礼します、なんて声かけることを失念するぐらい焦って、障子に手をかける。もし奇襲だったら、なんて恐ろしい考えが頭の中を泳ぎ回る。

開こうと、すると同時に開かれた障子。その向こうで、沖田さんが驚いていた。

愛らしい顔を、涙で濡らして。



「おき―――」



「っ・・・」



驚いていた固まった俺を退けるようにして、沖田さんは走り出す。

追いかけたい、本能はそう告げて体がぴくっと動くも、現状把握が大事だと理性が俺の邪魔をした。

漸く部屋を見れば、副長が突き飛ばされたのか、腰を床につけたまま一点を見ていた。その方向に視線を向けて、何かが落ちているのを認める。でも此処からじゃ分からない。



「大丈夫ですか」



「・・・ああ」



「・・・何が、あったんですか」



「何でもねぇよ」



部屋へ入ってみればそれは沖田さんの携帯のストラップで。姉上と一緒なんでさァ、嬉しげに言っていた顔を思い出すが先程の泣き顔がかぶる。

前に膝をついて副長の具合を見る。此方に顔を向けた副長の、左頬が腫れている。殴り飛ばされたのかと、理解したらこの状況の恐ろしさまでも分かってしまった。

何だかんだ喧嘩しても、どちらかが泣いたり、悲痛な顔をすることはなかった。本気で喧嘩していても、それは一種のコミュニケーションだった。

でもこれは違う。

それはいつも通りで片付けられることではなかったし副長に非があったから、副長は遣り返すこともしなかったのだ。

あの人は傷ついた表情をしていた。この人は、いったい何を。



「山崎、俺は大丈夫だ」



だから、なんて言葉が繋がらなくても先は読めて、ストラップを拾ってから失礼しますと部屋を出た。

いつもなら自分で行くのに。合わす顔がないとでも言いたげな。

いつもそこまで弱さを表にしない、沖田さんがあんなにも自分を取り繕えない程に、副長は酷いことをしたのか。

―――――沖田さんは副長のことを、想っているのに。



「・・・沖田さん」



町中探し回って、見つけたのは昼間でも日の差さない、ビルの合間だった。夜になればネオンが照らすけれど、自然の光が届かない暗闇。

そんな場所で丸まって顔を伏せていた。



「・・・山崎か」



どこか安心したような声が近寄ることを許してくれた。これが副長だったならきっと、事態は悪化していただけだろうと思う。そんな、はりつめた、空気。

隣に同じように腰かける。服が汚れるとか気にしていられない。そんなことよりも、この人のほうが比べられないぐらい大事だから。



「山崎」



「はい」



顔を上げないままに、沖田さんは俺の服の裾を掴んだ。掴んで、そのまま沈黙が続く。だけれど聞き糺すなんて常識的にするわけもなく、続く言葉を待つ。

俯いているから、白い項が視界に入る。色素の薄い襟足が微風に仄かに揺れる。

戦場にも勝る緊張感に汗が流れる。物音を立てたら全てが駄目になりそうだ。



「・・・ばれちまった。俺が、土方さん好きなこと。・・・土方さんに」



「そう、ですか」



「あり得ないだろ、って。よく考え直せって言われたんでさ」



「・・・」



「そんなこと、俺が一番分かってるのに」



漸く顔を上げた沖田さんの頬は幾筋も涙の跡の上にさらに涙を流し、壊れそうな笑顔を浮かべていた。

下手な言葉を口にしたなら粉々に壊れてしまいそうに、儚い。

そんな表情までもが綺麗だなんて思う、俺は醜悪な人間だ。

悲しんでいるのに。



「沖田さん、」



「・・・まだまだだな、俺も」



そう言ってまた下を向いてしまう。

世界はやさしくねぇな、小さな呟きと共に、服を握った手が小刻みに震えていた。

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