梅々
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閏年
- 2012/02/29 (Wed) |
- 沖土 |
- CM(0) |
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今日は居酒屋バイトで新しいこと教わって頭パンパンです。
あとカテゴリ分けしました!
そして拍手ありがとうございます´`
では沖→土。一応モンブラン続きの沖田視点にしたかったのですが全然関係なくなりました。
あとカテゴリ分けしました!
そして拍手ありがとうございます´`
では沖→土。一応モンブラン続きの沖田視点にしたかったのですが全然関係なくなりました。
ああアンタに教えてあげたい
罪のつまった林檎の味を
noir
暦の上では疾うに春は訪れているのに、春告草は未だに咲かない如月の終わり、昨夜から夕方にかけ雪がしとしと降っていた二十九日。月の綺麗な夜道をサクサクと雪を踏みながら歩いていると煙草の匂いがふわりとした。あの人の匂い。
そちらの方向を見ると男が立っていた。黒い服、黒い髪、紫煙越しに見る空のような色をした切れ長の瞳。俺の上司様だ。
ばったり会った、というよりかは待ち伏せされたように思える。隠す気配もない、足元に散らばった煙草の吸殻。二十分近く待ってたんじゃないか。相手が俺とは限らないけれど。
吸っていた煙草を踏み火を消して、土方さんは此方へ近寄る。
「ポイ捨て厳禁ですぜ」
「山崎に拾わす」
私的に使いすぎだろう。からかいたいが他人事ではないから口には出さない。
月明かりに照らされた土方さんは、ぞくりとするような色香を纏っている。夜目遠目傘の内などと言うけれど、確かにその通りなのかもしれない。昼日中、いつもの土方さんには色気もなにも感じない。感じてたまるものか、保護者面した上司に。これでこの人が女だったならまだしも。女だったとしても綺麗なんだろう。でも、性別など関係なくその切れ長の瞳をじっと見ていると潤ませたくなってくる。
屯所へ歩む俺の斜め前、いつもの距離を土方さんは歩む。
「待ち人は、いいんですかィ」
「もう待ちくたびれた」
無防備な背中。それを見ていると斬りかかりたくなる。噛みつきたくなる。日頃露出しないから白い肌には、ところどころ傷痕があって、それを、一つ一つ数えたいという願望を俺は抱いている。
雪は止んだが寒さが身にしみる。じわじわと寒気が身を蝕んではぁと息をついた。吐息は白い、だが胸の内はからかわれるまでもなく真っ黒だ。
土方さんが欲しくてたまらない。
その目がずっと俺を映していればいいと思う。それが叶わぬなら、せめて最期の瞬間ぐらい、とまで思う。それでは飽きたらず、同じように俺を思っていてほしい。嫌いなままでもいい。でも、土方さんに知ってもらいたくもあるのだ。土方さんへの想いが、どれほど美味であるのかを。
好きなんて言葉じゃ片付けられない、想いを。
「アンタ寒いの嫌いなのに、よくもあんなに待てやしたね。それほどご執心なんですかィ」
問えば、ちらりと此方を見た土方さん。その流し目にぞくぞくする。乱したくなる。片方だけでもいい、抉りとって腐らないようにホルマリンに浸して、部屋に飾らせてくれないか。
「……まぁな」
「ふぅん。色男のアンタをそんなに惚れさすとはすげぇお人ですねィ。今度会わせてくだせぇよ」
「やなこった」
紫煙が揺れる。雲の漂う空に、吸い込まれていく。
近頃土方さんは俺を見ない。厳密には違う、見ないのではなく目を合わせないのだ。視線は以前より感じるようになった。それでいい。土方さんが俺を意識するようになった、これがどれだけ嬉しいことか。じっくりじっくり手間暇かけて、土方さんが俺に堕ちるように罠をしかけて。俺が想うのと同じぐらい求められるように。
道の脇に積もった、汚れていない雪を掴んでえいと背中へ投げる。ひっとひきつった声をあげて振り向いた、土方さんの目の真ん丸いこと真ん丸いこと。それが細められてきっと睨まれた。
「っにしやがる!」
「雪がそこにあったから」
「登山家みてぇなこと言ってんじゃねぇよ」
ちらちら背中を見ては舌打ちをする、土方さんの反応は相変わらず可愛くて。
キスしてぇなぁ、ふとわいた衝動をぐっと堪えて、もう一度、今度は後頭部に向けて雪玉を投げつけた。
罪のつまった林檎の味を
noir
暦の上では疾うに春は訪れているのに、春告草は未だに咲かない如月の終わり、昨夜から夕方にかけ雪がしとしと降っていた二十九日。月の綺麗な夜道をサクサクと雪を踏みながら歩いていると煙草の匂いがふわりとした。あの人の匂い。
そちらの方向を見ると男が立っていた。黒い服、黒い髪、紫煙越しに見る空のような色をした切れ長の瞳。俺の上司様だ。
ばったり会った、というよりかは待ち伏せされたように思える。隠す気配もない、足元に散らばった煙草の吸殻。二十分近く待ってたんじゃないか。相手が俺とは限らないけれど。
吸っていた煙草を踏み火を消して、土方さんは此方へ近寄る。
「ポイ捨て厳禁ですぜ」
「山崎に拾わす」
私的に使いすぎだろう。からかいたいが他人事ではないから口には出さない。
月明かりに照らされた土方さんは、ぞくりとするような色香を纏っている。夜目遠目傘の内などと言うけれど、確かにその通りなのかもしれない。昼日中、いつもの土方さんには色気もなにも感じない。感じてたまるものか、保護者面した上司に。これでこの人が女だったならまだしも。女だったとしても綺麗なんだろう。でも、性別など関係なくその切れ長の瞳をじっと見ていると潤ませたくなってくる。
屯所へ歩む俺の斜め前、いつもの距離を土方さんは歩む。
「待ち人は、いいんですかィ」
「もう待ちくたびれた」
無防備な背中。それを見ていると斬りかかりたくなる。噛みつきたくなる。日頃露出しないから白い肌には、ところどころ傷痕があって、それを、一つ一つ数えたいという願望を俺は抱いている。
雪は止んだが寒さが身にしみる。じわじわと寒気が身を蝕んではぁと息をついた。吐息は白い、だが胸の内はからかわれるまでもなく真っ黒だ。
土方さんが欲しくてたまらない。
その目がずっと俺を映していればいいと思う。それが叶わぬなら、せめて最期の瞬間ぐらい、とまで思う。それでは飽きたらず、同じように俺を思っていてほしい。嫌いなままでもいい。でも、土方さんに知ってもらいたくもあるのだ。土方さんへの想いが、どれほど美味であるのかを。
好きなんて言葉じゃ片付けられない、想いを。
「アンタ寒いの嫌いなのに、よくもあんなに待てやしたね。それほどご執心なんですかィ」
問えば、ちらりと此方を見た土方さん。その流し目にぞくぞくする。乱したくなる。片方だけでもいい、抉りとって腐らないようにホルマリンに浸して、部屋に飾らせてくれないか。
「……まぁな」
「ふぅん。色男のアンタをそんなに惚れさすとはすげぇお人ですねィ。今度会わせてくだせぇよ」
「やなこった」
紫煙が揺れる。雲の漂う空に、吸い込まれていく。
近頃土方さんは俺を見ない。厳密には違う、見ないのではなく目を合わせないのだ。視線は以前より感じるようになった。それでいい。土方さんが俺を意識するようになった、これがどれだけ嬉しいことか。じっくりじっくり手間暇かけて、土方さんが俺に堕ちるように罠をしかけて。俺が想うのと同じぐらい求められるように。
道の脇に積もった、汚れていない雪を掴んでえいと背中へ投げる。ひっとひきつった声をあげて振り向いた、土方さんの目の真ん丸いこと真ん丸いこと。それが細められてきっと睨まれた。
「っにしやがる!」
「雪がそこにあったから」
「登山家みてぇなこと言ってんじゃねぇよ」
ちらちら背中を見ては舌打ちをする、土方さんの反応は相変わらず可愛くて。
キスしてぇなぁ、ふとわいた衝動をぐっと堪えて、もう一度、今度は後頭部に向けて雪玉を投げつけた。
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