梅々
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睡眠不足
私は決意した。三月中に母にBL同人誌&小説を持ってることを暴露することを。
無理かなー。無理っぽいなー。
でも、自供したほうが証拠つきつけられるよりいいと思ったんです。
大丈夫かなー。
とにかく、第一のチャンスは明日。
それでは卒業ネタ。
無理かなー。無理っぽいなー。
でも、自供したほうが証拠つきつけられるよりいいと思ったんです。
大丈夫かなー。
とにかく、第一のチャンスは明日。
それでは卒業ネタ。
ねぇ、僕には君だけ居れば、それだけでいいんだよ。
他に何も望まないんだ。
─────僕だけが知る、僕の望み。
君にしか、叶えられない。
花宵時
ポツポツと振り続く雨は、沈んだ空気をより重くした。
濡れた足先から不快感が這い上がってきて、肌に引っ付くシャツも気持悪く、早く脱ぎ捨てたい。けれど、雨宿りの最中、そんなこと出来る筈もない。早く止め、それか少しでも弱まれと思いながら上から下へ通りすぎていく雨を眺める。
沈んでいる気持ちに追い打ちを掛けるようなこの雨は、苛立ちを増長させるばかりで鬱蒼とする。
卒業式の前日だというのに、にえきらない。
重い沈黙を破るかのように、総悟が溜め息をつく。
「明日には、あんたともお別れですねィ」
なんで人がそのことについて考え、凹んでるときにわざわざそれを言う。
たしかに、前日だしありふれた会話なのだけど、さっきまで一言も発しなかったくせに。
嬉しそうとも悲しそうともとれぬ無機質な声に内心驚く。もう、あんたのことからかえねぇんですね。とか言って悲しいフリをすると思っていたのだけど。
卒業してもいままで通りに接するつもりなのだろうか?
…………まさか。
ありえない。
「…そうだな」
「明日からはもう、こうやって二人で雨宿りすることもねぇんですねィ」
引き離すような、言葉ばかり。
最後だから、もう少し本音を聞かせて欲しいのに。本当に寂しくないのだろうか?
これからは知り合いなんて数少ない中、生活していかねばならないというのに。
近所に住んでいるから直ぐに会えると言えばそれまでだけど、会えなくなるのだ。今までみたく、毎日、四六時中傍にいることなんて。
「大人になるんだからな。…自立、しなくちゃなんねーし、もうつるんでらんねぇよ」
「さっすが土方さん。大人な意見ですねィ。…近くにいても、遠くにいても、友情は変わんねぇ、と?」
「変わんねぇよ」
たとえもう会えなくとも、総悟を想う気持ちは変わらないと思うから。
そう、信じているから。
自分から、この気持ちを伝える事はできないけれど。
昨日の悪天候は嘘のように青く広がる空の下、庭先の梅の花が咲き誇っていた。校門付近の梅の花も見事に咲き乱れていて、来年はもう見れないんだからと目に焼き付けておく。
終わった。
そんな満足感と、今までの日常が変わることへの喪失感が胸を覆う。走馬灯のように三年間の思い出が次々に浮かんでは消える。そのほとんど全てが総悟との思い出で、これからは毎日会えないんだと、今までずっと傍にいたんだと今更自覚する。
第二ボタンは秘かに、自分で外して総悟にやろうととっておいていた。渡せるかは別にして。
一応、別れの日なんだ。また明日、会おうとも。だから記念に何か、やりたくて。
いつものように土方さんと呼ばれ、反射的に振り返る。三割増しな笑顔に、此方の頬も自然と緩む。
「この後空いてやすかね」
「…ああ。どうした?」
「─────お別れを」
サァァァと風が二人の間を駆け抜ける。ミルクティー色の髪をなびかせ、総悟は微笑んだ。悲しそうに笑みの形を作ったその口許は、無理をしているようにも見える。
お別れ、なんて改めてしなくてもいいだろう。そういうまめな性格ではないのだから。
─────まるで、もう二度と会わないかのような。
俺の学ランの袖を掴み、総悟はスタスタ歩き始める。必然的にそれにつられ、見慣れた通学路を無言で歩く。大学へ通い始めると、もう此処は通らなくなる。そう思うとこの道も、短く感じる。
「…卒業祝いになんかやろうか?」
「何それ。あんた親じゃねぇんだから」
「別にいいだろーが。ほら、」
袖を掴んでいた手に第二ボタンを握らせる。
総悟は何だ、とそれを見つめた後、ニヤリ、と笑った。
「なんか、意味ありげですねィ」
「意味なんざねぇよ」
「まぁ、あんただと思って大事にしときまさァ。…離れても、友情は変わらねぇんでしょう?」
「……お前、どっか行くのか?」
言動が、そう告げている。
そんな気がした。
嘘だと思いたい。けれど、総悟が無表情で目を反らして、嘘じゃないんだと思い知らされる。
離れて行くんだ。明日、明後日、暇だから会うとか出来なくなるんだ。そんなの、信じられない。
立ちすくむ俺を総悟は振り返り、徐に口を開いた。
「…俺、田舎の方に行くんでさ。飛行機乗って。だから、あんたとはもう、しょっちゅう会えやせんね」
「何で今まで言わなかったんだよ?」
「…言い出せなかったんでさァ。察してくだせぇ」
そんなの、無理に決まってる。総悟がこの町を離れるなんて、全く考えていなかったんだから。
なんで。
どうして。
近藤さんだって知らなかったに違いない。人に嘘つくことができないあの人は、隠し事だって、できるはずがない。
誰にも相談しないで、何勝手にどっか行くとか決めてんだ。そんなに、頼りないのだろうか?
「…行くなよ」
「土方さんにそんなこと言われるとは意外だなァ。…もう、決めちまったんでさァ。皆から離れるって」
「なんでそんなことっ…!!」
「中途半端な距離感が嫌なんでさァ。会いたきゃ会いに行ける距離にいんのに、忙しいとかそんな理由で会えないなんて、嫌だ。だから、会いたいとき会えないぐらい、遠くに行こうって。…あんたから、自立できるように」
「そんなんしなきゃいい。会えなくたってメールとかできんだろ」
「メール? メールったってあんたの顔は見えねぇ。どんなに、今までと同じようなやりとりしたって、会えるわけじゃねーでしょう。…傍にいるから、欲張りになっちまうんでさァ、きっと」
─────傍にいるから、欲張りになる。
それは的を射ている。俺だってそうだから。だから、総悟が傍から離れるなんて思ってもみなかったんだ。
でも、離れたからって欲張りな気持ちが萎えるなんてことは有り得ない。そんな軽い気持ちならば、悩んだりしないのだから。傍にいたって、増長するはずはないのだから。
わかってるだろうに、そんなことぐらい。
わかっていて離れるぐらい、想ってる人がいるのだろうか?
「…好きなヤツがいんのかよ」
「─────あんたはいつも、俺の傍にいてくれて俺のこと、見てやしたよね」
子どもの頃からずっと。
休日も放課後も、三人で遊んでいた。高校入ってからは近藤さんが抜けることが結構あって、二人で、何をするわけでもなくただ傍にいた。
近藤さんよりも頼りにして欲しかった。総悟の一番になりたかった。
「─────俺は……あんたさえいりゃ大丈夫だって言って欲しかった。誰よりも傍にいて欲しかった」
それが、傍にいた理由。
貪欲に、俺という人間を求めてほしいと、ひたすらに思った。
この手さえ離さなければ、総悟は離れていかないと。
勘違いするくらい。
「俺ァ、あんたがいるからダメになっちまうんでさァ」
「悪かったな……!」
涙が出そうだ。
滑稽な勘違いをしていた自分に対して。総悟が俺のことを想うはずがないのに。
愚かすぎる。恋は盲目というが本当にその通りだ。
「あらら。泣かねぇでくだせぇよ。今のはそういう意味で言ったんじゃなくて」
「どういう意味だよ」
不意に視界がうるむ。
今涙なんか流したら絶対からかわれるのがオチだ。なんでこのタイミングで涙腺が弛むんだ。
泣くものかと、歯をくいしばっていると、段々と総悟が近付いてきた。
そして、ギュッと抱き締められる。
「土方さん、あんたにメロメロなんでさァ」
「えっ……」
「だから、あんたの傍にいるとあんたを壊しちまいそうで…」
嘘じゃないよな…?
安堵とともに涙が零れる。よしよし、と背を撫でられて、次から次へと涙が出てくる。
こんな昼日中、路上でこんな風に抱き締められて泣いてることなんて気にならない程、嬉しくて。
顔を覗きこまれ、背けようとするけど顎に手を掛けられて、じぃっと舐めるように凝視される。
居心地悪いし恥ずかしい。
「写真撮っていいですかィ? 土方さんの泣き顔すんごく可愛い」
「なっ……! 可愛くなんかねぇよっ」
「可愛いですぜ」
涙を舌で絡め取るように頬を舐められ、そのまま唇を重ねられる。
チュッ、チュッと啄むように唇を奪われて、初めてでもないのに照れてしまう。
「一年だけ、あっち行ってきまさァ。いい男になって戻ってくるんで、浮気しねぇで待っててくだせぇ」
「だっ…誰もお前が好きっつってねぇだろ」
「そんなこと言うんで? じゃあ俺やっぱ帰ってくんの止めまさァ」
「っ!! 駄目だ!」
その返事を待っていたかのようにふわりと総悟は笑み、再び口付けられる。
これからは、ずっと二人で─────
他に何も望まないんだ。
─────僕だけが知る、僕の望み。
君にしか、叶えられない。
花宵時
ポツポツと振り続く雨は、沈んだ空気をより重くした。
濡れた足先から不快感が這い上がってきて、肌に引っ付くシャツも気持悪く、早く脱ぎ捨てたい。けれど、雨宿りの最中、そんなこと出来る筈もない。早く止め、それか少しでも弱まれと思いながら上から下へ通りすぎていく雨を眺める。
沈んでいる気持ちに追い打ちを掛けるようなこの雨は、苛立ちを増長させるばかりで鬱蒼とする。
卒業式の前日だというのに、にえきらない。
重い沈黙を破るかのように、総悟が溜め息をつく。
「明日には、あんたともお別れですねィ」
なんで人がそのことについて考え、凹んでるときにわざわざそれを言う。
たしかに、前日だしありふれた会話なのだけど、さっきまで一言も発しなかったくせに。
嬉しそうとも悲しそうともとれぬ無機質な声に内心驚く。もう、あんたのことからかえねぇんですね。とか言って悲しいフリをすると思っていたのだけど。
卒業してもいままで通りに接するつもりなのだろうか?
…………まさか。
ありえない。
「…そうだな」
「明日からはもう、こうやって二人で雨宿りすることもねぇんですねィ」
引き離すような、言葉ばかり。
最後だから、もう少し本音を聞かせて欲しいのに。本当に寂しくないのだろうか?
これからは知り合いなんて数少ない中、生活していかねばならないというのに。
近所に住んでいるから直ぐに会えると言えばそれまでだけど、会えなくなるのだ。今までみたく、毎日、四六時中傍にいることなんて。
「大人になるんだからな。…自立、しなくちゃなんねーし、もうつるんでらんねぇよ」
「さっすが土方さん。大人な意見ですねィ。…近くにいても、遠くにいても、友情は変わんねぇ、と?」
「変わんねぇよ」
たとえもう会えなくとも、総悟を想う気持ちは変わらないと思うから。
そう、信じているから。
自分から、この気持ちを伝える事はできないけれど。
昨日の悪天候は嘘のように青く広がる空の下、庭先の梅の花が咲き誇っていた。校門付近の梅の花も見事に咲き乱れていて、来年はもう見れないんだからと目に焼き付けておく。
終わった。
そんな満足感と、今までの日常が変わることへの喪失感が胸を覆う。走馬灯のように三年間の思い出が次々に浮かんでは消える。そのほとんど全てが総悟との思い出で、これからは毎日会えないんだと、今までずっと傍にいたんだと今更自覚する。
第二ボタンは秘かに、自分で外して総悟にやろうととっておいていた。渡せるかは別にして。
一応、別れの日なんだ。また明日、会おうとも。だから記念に何か、やりたくて。
いつものように土方さんと呼ばれ、反射的に振り返る。三割増しな笑顔に、此方の頬も自然と緩む。
「この後空いてやすかね」
「…ああ。どうした?」
「─────お別れを」
サァァァと風が二人の間を駆け抜ける。ミルクティー色の髪をなびかせ、総悟は微笑んだ。悲しそうに笑みの形を作ったその口許は、無理をしているようにも見える。
お別れ、なんて改めてしなくてもいいだろう。そういうまめな性格ではないのだから。
─────まるで、もう二度と会わないかのような。
俺の学ランの袖を掴み、総悟はスタスタ歩き始める。必然的にそれにつられ、見慣れた通学路を無言で歩く。大学へ通い始めると、もう此処は通らなくなる。そう思うとこの道も、短く感じる。
「…卒業祝いになんかやろうか?」
「何それ。あんた親じゃねぇんだから」
「別にいいだろーが。ほら、」
袖を掴んでいた手に第二ボタンを握らせる。
総悟は何だ、とそれを見つめた後、ニヤリ、と笑った。
「なんか、意味ありげですねィ」
「意味なんざねぇよ」
「まぁ、あんただと思って大事にしときまさァ。…離れても、友情は変わらねぇんでしょう?」
「……お前、どっか行くのか?」
言動が、そう告げている。
そんな気がした。
嘘だと思いたい。けれど、総悟が無表情で目を反らして、嘘じゃないんだと思い知らされる。
離れて行くんだ。明日、明後日、暇だから会うとか出来なくなるんだ。そんなの、信じられない。
立ちすくむ俺を総悟は振り返り、徐に口を開いた。
「…俺、田舎の方に行くんでさ。飛行機乗って。だから、あんたとはもう、しょっちゅう会えやせんね」
「何で今まで言わなかったんだよ?」
「…言い出せなかったんでさァ。察してくだせぇ」
そんなの、無理に決まってる。総悟がこの町を離れるなんて、全く考えていなかったんだから。
なんで。
どうして。
近藤さんだって知らなかったに違いない。人に嘘つくことができないあの人は、隠し事だって、できるはずがない。
誰にも相談しないで、何勝手にどっか行くとか決めてんだ。そんなに、頼りないのだろうか?
「…行くなよ」
「土方さんにそんなこと言われるとは意外だなァ。…もう、決めちまったんでさァ。皆から離れるって」
「なんでそんなことっ…!!」
「中途半端な距離感が嫌なんでさァ。会いたきゃ会いに行ける距離にいんのに、忙しいとかそんな理由で会えないなんて、嫌だ。だから、会いたいとき会えないぐらい、遠くに行こうって。…あんたから、自立できるように」
「そんなんしなきゃいい。会えなくたってメールとかできんだろ」
「メール? メールったってあんたの顔は見えねぇ。どんなに、今までと同じようなやりとりしたって、会えるわけじゃねーでしょう。…傍にいるから、欲張りになっちまうんでさァ、きっと」
─────傍にいるから、欲張りになる。
それは的を射ている。俺だってそうだから。だから、総悟が傍から離れるなんて思ってもみなかったんだ。
でも、離れたからって欲張りな気持ちが萎えるなんてことは有り得ない。そんな軽い気持ちならば、悩んだりしないのだから。傍にいたって、増長するはずはないのだから。
わかってるだろうに、そんなことぐらい。
わかっていて離れるぐらい、想ってる人がいるのだろうか?
「…好きなヤツがいんのかよ」
「─────あんたはいつも、俺の傍にいてくれて俺のこと、見てやしたよね」
子どもの頃からずっと。
休日も放課後も、三人で遊んでいた。高校入ってからは近藤さんが抜けることが結構あって、二人で、何をするわけでもなくただ傍にいた。
近藤さんよりも頼りにして欲しかった。総悟の一番になりたかった。
「─────俺は……あんたさえいりゃ大丈夫だって言って欲しかった。誰よりも傍にいて欲しかった」
それが、傍にいた理由。
貪欲に、俺という人間を求めてほしいと、ひたすらに思った。
この手さえ離さなければ、総悟は離れていかないと。
勘違いするくらい。
「俺ァ、あんたがいるからダメになっちまうんでさァ」
「悪かったな……!」
涙が出そうだ。
滑稽な勘違いをしていた自分に対して。総悟が俺のことを想うはずがないのに。
愚かすぎる。恋は盲目というが本当にその通りだ。
「あらら。泣かねぇでくだせぇよ。今のはそういう意味で言ったんじゃなくて」
「どういう意味だよ」
不意に視界がうるむ。
今涙なんか流したら絶対からかわれるのがオチだ。なんでこのタイミングで涙腺が弛むんだ。
泣くものかと、歯をくいしばっていると、段々と総悟が近付いてきた。
そして、ギュッと抱き締められる。
「土方さん、あんたにメロメロなんでさァ」
「えっ……」
「だから、あんたの傍にいるとあんたを壊しちまいそうで…」
嘘じゃないよな…?
安堵とともに涙が零れる。よしよし、と背を撫でられて、次から次へと涙が出てくる。
こんな昼日中、路上でこんな風に抱き締められて泣いてることなんて気にならない程、嬉しくて。
顔を覗きこまれ、背けようとするけど顎に手を掛けられて、じぃっと舐めるように凝視される。
居心地悪いし恥ずかしい。
「写真撮っていいですかィ? 土方さんの泣き顔すんごく可愛い」
「なっ……! 可愛くなんかねぇよっ」
「可愛いですぜ」
涙を舌で絡め取るように頬を舐められ、そのまま唇を重ねられる。
チュッ、チュッと啄むように唇を奪われて、初めてでもないのに照れてしまう。
「一年だけ、あっち行ってきまさァ。いい男になって戻ってくるんで、浮気しねぇで待っててくだせぇ」
「だっ…誰もお前が好きっつってねぇだろ」
「そんなこと言うんで? じゃあ俺やっぱ帰ってくんの止めまさァ」
「っ!! 駄目だ!」
その返事を待っていたかのようにふわりと総悟は笑み、再び口付けられる。
これからは、ずっと二人で─────
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