梅々
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七五三
昨日だか今日は七五三だから書いてみた!
明日は小テストなので寝ます。おやすみなさい←
明日は小テストなので寝ます。おやすみなさい←
こんなに丈夫に育ちました。
木枯らし
町を歩いているとやけに、今日は着飾った子どもが多い。男子は立派な袴、女子は振り袖だったり袴だったりまちまちだが鮮やかなものを。似合っている子どももいれば文字通り馬子にも衣装で笑ってしまいそうなのも、いる。
「土方さん、あの緑見てみなせェ! 岡目みてぇ!」
「指すな。思っても言うな。面よか中身だって言うだろ」
「見た目が九割って本がありやすぜ」
「そんなの出鱈目だ。・・・今日は七五三か」
パトカーの中でわいわいやっていたら土方さんが呟いた。
七五三。知ってる。幼い頃の姉上が可愛い格好をしている写真を見た記憶がある。朧気だけど。真っ赤な着物を着て、母上と父上と三人で微笑んでいた姉上。羨ましいと思わなかったと言えば、嘘になる。でも、姉上の傍にいられるだけで幸せだったから、そこまで親がいないことを気にしなかった。ただ、姉上の大変そうな姿を見る度に、辛くなったけれど。
全ては、過去のこと。
信号が変わったので車を進める。七五三への往路か復路か分からないが、家族連れで皆が、幸せそうな顔をしている。たまに泣いている子もいるけれど、母親があやしていたりと温かい。見ているだけで。
「アンタも袴着たの」
「あぁ。お下がりだったけどな」
「ふーん」
五歳児の土方さん。想像しても今の憮然としている顔しか想像できなくて、そんなもんかと思う。だって、会う前の土方さんのことなんてあまり知らない。
モテモテで、兄弟の一番下で、実家はそこそこの家で、喧嘩好きな野良猫のようだったらしいとかしか。
俺の知らない土方さんは十数年、土方さんの知らない俺は数年。なんか不公平。
「おまえは?」
「へ?」
「だから七五三」
煙草を灰皿で揉み消して、窓を閉める。暖房をつけて冷え性な土方さんは両手を擦り合わせた。
俺は、と聞かれるとは思っていなかった。七五三の話は終わっていた、俺的に。七五三。姉上がすまなさそうな顔をしていた記憶はある。
「してやせんよ」
「え、」
「袴なかったし。・・・無事に生きられたのは姉上のお陰だから、神様のとこなんて行く必要なかったんでさ」
再び信号が赤になった。言葉を返さない土方さんに視線を向けてみたら、驚いたような顔をしていた。地味な変化だから、無表情と大差ないけれど。
俺が七五三していなかったのがそんなに驚くことか。考えれば分かるだろうに。
「・・・総悟、コンビニ」
「煙草ですかィ。早く癌で死になせェ」
「うるせぇよ」
話し出したと思えばこれだ。日頃文脈がねぇんだよおまえ!とか怒るくせにアンタだってそうじゃんばーか。文句はもごもご飲み込んで、信号先に見つけたコンビニの前に車を止める。
まだまだ子どもがいっぱいいる。幸せそう。
寺子屋の皆はしていたらしい。あんまり仲が良いのがいなかったから詳しくは知らないけれど。千歳飴は近藤さんがくれたからそれで七五三はやったようなものだった。ある意味近藤さんと姉上が神様。
袋を持って土方さんが帰ってきたと思ったら、その袋をん、と押し付けられた。
「は?」
「やる」
中を覗き込む。
十本近くの千歳飴。紅白両方が同じぐらいずつ入ってる。意図が分からないんですけど。
目で問うても流されてしまう。
「・・・俺に何歳まで生きろと?」
「生きたいだけ食えよ」
同情されてしまったのか。とりあえず飴は食べたいからいただくが。
土方さんは優しいもんな。だから俺みたいのにつけこまれるのに。
「ありがとうございやす」
「・・・素直に礼言うな、気持ち悪い」
「アンタほどきもくはないでさ」
七五三も中々いいものかもしれない。
一本目の千歳飴を舐めながらそう思った。
木枯らし
町を歩いているとやけに、今日は着飾った子どもが多い。男子は立派な袴、女子は振り袖だったり袴だったりまちまちだが鮮やかなものを。似合っている子どももいれば文字通り馬子にも衣装で笑ってしまいそうなのも、いる。
「土方さん、あの緑見てみなせェ! 岡目みてぇ!」
「指すな。思っても言うな。面よか中身だって言うだろ」
「見た目が九割って本がありやすぜ」
「そんなの出鱈目だ。・・・今日は七五三か」
パトカーの中でわいわいやっていたら土方さんが呟いた。
七五三。知ってる。幼い頃の姉上が可愛い格好をしている写真を見た記憶がある。朧気だけど。真っ赤な着物を着て、母上と父上と三人で微笑んでいた姉上。羨ましいと思わなかったと言えば、嘘になる。でも、姉上の傍にいられるだけで幸せだったから、そこまで親がいないことを気にしなかった。ただ、姉上の大変そうな姿を見る度に、辛くなったけれど。
全ては、過去のこと。
信号が変わったので車を進める。七五三への往路か復路か分からないが、家族連れで皆が、幸せそうな顔をしている。たまに泣いている子もいるけれど、母親があやしていたりと温かい。見ているだけで。
「アンタも袴着たの」
「あぁ。お下がりだったけどな」
「ふーん」
五歳児の土方さん。想像しても今の憮然としている顔しか想像できなくて、そんなもんかと思う。だって、会う前の土方さんのことなんてあまり知らない。
モテモテで、兄弟の一番下で、実家はそこそこの家で、喧嘩好きな野良猫のようだったらしいとかしか。
俺の知らない土方さんは十数年、土方さんの知らない俺は数年。なんか不公平。
「おまえは?」
「へ?」
「だから七五三」
煙草を灰皿で揉み消して、窓を閉める。暖房をつけて冷え性な土方さんは両手を擦り合わせた。
俺は、と聞かれるとは思っていなかった。七五三の話は終わっていた、俺的に。七五三。姉上がすまなさそうな顔をしていた記憶はある。
「してやせんよ」
「え、」
「袴なかったし。・・・無事に生きられたのは姉上のお陰だから、神様のとこなんて行く必要なかったんでさ」
再び信号が赤になった。言葉を返さない土方さんに視線を向けてみたら、驚いたような顔をしていた。地味な変化だから、無表情と大差ないけれど。
俺が七五三していなかったのがそんなに驚くことか。考えれば分かるだろうに。
「・・・総悟、コンビニ」
「煙草ですかィ。早く癌で死になせェ」
「うるせぇよ」
話し出したと思えばこれだ。日頃文脈がねぇんだよおまえ!とか怒るくせにアンタだってそうじゃんばーか。文句はもごもご飲み込んで、信号先に見つけたコンビニの前に車を止める。
まだまだ子どもがいっぱいいる。幸せそう。
寺子屋の皆はしていたらしい。あんまり仲が良いのがいなかったから詳しくは知らないけれど。千歳飴は近藤さんがくれたからそれで七五三はやったようなものだった。ある意味近藤さんと姉上が神様。
袋を持って土方さんが帰ってきたと思ったら、その袋をん、と押し付けられた。
「は?」
「やる」
中を覗き込む。
十本近くの千歳飴。紅白両方が同じぐらいずつ入ってる。意図が分からないんですけど。
目で問うても流されてしまう。
「・・・俺に何歳まで生きろと?」
「生きたいだけ食えよ」
同情されてしまったのか。とりあえず飴は食べたいからいただくが。
土方さんは優しいもんな。だから俺みたいのにつけこまれるのに。
「ありがとうございやす」
「・・・素直に礼言うな、気持ち悪い」
「アンタほどきもくはないでさ」
七五三も中々いいものかもしれない。
一本目の千歳飴を舐めながらそう思った。
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