梅々
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ワンピースに笑った。
沖土祭ネタ漸く終了。でもパソコン触れないから投稿出来ないという。
今日は群馬の旅館に来てます家族旅行・・・二日目?なんか、土沖お初ネタが書きたい。お肌スベスベな総悟に欲情土方。よし、頑張る。
それじゃ、お披露目。なんか直したら、ってとこあったらコメントプリーズです。
今日は群馬の旅館に来てます家族旅行・・・二日目?なんか、土沖お初ネタが書きたい。お肌スベスベな総悟に欲情土方。よし、頑張る。
それじゃ、お披露目。なんか直したら、ってとこあったらコメントプリーズです。
茜色の空が、段々と傾いていっている。藍色が迫るその前に辿りつけるだろうか。
橙色の町を一人駆け抜ける。間に合う、だろうか。間に合ってくれなきゃ困るのだが。俺は諦めない。というか諦めきれないから。携帯で伝えるんてしたくないから。
どうか、間に合え。
日向ぼっこに向いている午後の屋上、微妙に音がずれてた鼻唄が風と共にふと止んだ。転がったまま隣で座っている総悟を見上げると、膝の上に頭を置いてうつ向いていた。
「どうした?」
「・・・別に」
ガシャ、と総悟の手から俺の携帯が落ちた。さっきまで、普通に携帯をいじっていたはずなのにいきなりどうしたんだ?と上体を起こし、携帯を拾おうとしたが、先に総悟の手がそれを拾いあげた。パタン、と携帯を片手で閉じ空を見上げた顔は無表情だ。
「俺、もう諦めまさァ」
「何をだよ?」
例によって例の如く、肝心なとこがわからない話し方に少しムッとするが先を促す。・・・今日、というか今の総悟は何故か、違和感がある。
「例えるなら、」
「いや、例えなくていいんだけど」
「月」
・・・月?月って英語でMoonの、かぐや姫が泣きながら帰る月、だよな。
月を諦める、とは。手に入れることを諦める、という意味か。
「月って何だよ」
「そんぐらい考えなせェ」
これで話は終わりだとでも言うように立ち上がり、サッサと階段へ向かう総悟を慌てて追い掛ける。
「ンなモン考えてもわかんねーよ」
トントントン、と規則正しい足音が階段に響く。けれど、聞きたい答えがいつまでも聞こえてこない。
「総悟!」
細くか弱そうに見えるが、見た目とは反して鍛えてある腕を掴むと、ゆっくりと総悟は振り返った。真っ直ぐな、射るような目で見上げてきた。真っ赤な、薔薇のような深い色の双眼が俺に何かを問いかける。
「俺ァ・・・どうすればいいんでしょ土方さん」
「えっ・・・?」
「土方さん、」
俺に聞かれても困る。諦めるべきかどうかは、自分で決めるものだし、俺にそれを委ねるなんておかしい。それにそんなの、総悟らしくない。けれど、答えを求められているのだから、答えなければいけない。
諦めるべきか、諦めないべきか。
「諦めろ。それでも未練が残んならまた追い続けりゃいいんじゃね?何かは知らねぇけど」
「そう・・・ですかィ」
一瞬だけ沖田は眩しそうに土方を見つめ、何か呟いたが土方は気付かなかった。
未練を断ち切るように、明るい声を出し不敵に笑う。
「よし、諦めまさァ」
「・・・で、何をだ?」
「だから、そりゃあ秘密です、ってば」
二人きりの階段で、総悟の声が淋しげに響いた。
「沖田よォ、月へ行くんだとよ」
「ハァ?」
日誌を渡しに行ったその先で、おかしな単語を耳にした。月に、行く?だってアイツは、月を諦めるって・・・そうだ、アレは物の例えだったっけか。じゃあ、コレも、例えなのか。
「月って何だよ」
「お前少しは敬語使えよ。・・・まぁなんか、アイツ理科超得意だろ?だから、どっかの理系の頭の良い学校からお誘いがあってよ。全寮制で高いんだけど費用全部学校持ちらしいぜ?すげぇなァ」
そんな非日常的なこと、一言も聞いていない。いつも通り三人でつるんでるのに、何も。
「・・・いつ、行くんだ?」
「さァ?」
ピロリロリン、と聞いてて腹立たしい着信音が流れた。どうやらメールだったらしく、ワンフレーズで音は止んだが。担任はすぐさま携帯を開くと、ニヤニヤ笑い、俺を見てきた。
「お前、もう帰れば?もう出るってよ」
「!!」
聞きたいことがある。
何でアイツは俺らに何も言わず別れようとしたのか。月、って何なのか。お前が何かを諦めるならば、俺も何かを諦めるべきなのか。
ちゃんと、面を合わせて、顔を見て言ってほしい。
「総悟!!」
俺ン家とほど近い総悟の家の前にタクシーが止まっていた。その中へ乗り込もうとする人影が一つ、視界に入った。
「あれ・・・土方さん」
然程驚いた表情を見せず、総悟は呟いた。運転手に二言ばかし話かけ、此方へ悠然と歩いてくる。
「見送りですかィ?そんなん気持ちだけでもいらねぇってのに」
「違うわボケ!俺ァな、てめぇが転校することも今日出ることも知らなかったんだ。何で言わなかったんだ?」
はぁ、と納得いかないような相槌をうち、でも、と不満そうに眉を寄せる。
「アンタ知ってやしたぜ」
「え・・・」
いや、知らない。転校なんて単語聞いた覚えがない。
「ほら、月諦める、ってやつ」
「そういうことかよ・・・」
「そうですぜ。で、用はそれだけで?」
そうだ、本題を忘れるとこだった。俺はそのことを言う為に、わざわざ走ってきたんだから。きちんと言うべきだ。
でも、なんと?好きだとか愛してるだとか・・・言え、と?
「・・・好き、だ」
「・・・え?あ、すいやせん。ちゃんと聞いてやせんでした」
意を決し言ったのだが、総悟は満面の笑みで聞き返す。この顔は、絶対。
「聞こえただろ」
「いえ?好き、ぐらいしか」
「聞こえてんじゃねぇかァ!!」
「アンタ、冗談抜きで俺のこと好きなんで?」
ニヤニヤ笑う顔に何だかいたたまれなくなって目線を反らす。意気込んで来たけれど、やっぱやめときゃよかったと少し、後悔。
「まぁ、な」
改めて肯定すると思わず喉がなるような笑みを浮かべた。妖艶、とも少し違う、肌が粟立つような笑みを。
「じゃあ、俺は、月を諦めないで済みやすね」
え、と思う間もなく唇が触れ合う。チュ、チュとついばむようなものから一変し、激しく口唇を貧られる。永遠にも感じられた一瞬を、絶対俺は忘れられない。
なんせ主導権を取られたのだから。
「じゃ・・・俺が帰ってくるまでいいこにしてるんですぜ?」
「なんだ、ソレ」
苦笑混じりに言葉を返すと、少し濡れてる唇が耳元に寄せられた。
「他の誰にもやらせねぇでくだせェよ。アンタの処女は俺が貰うから」
「なっ・・・!」
満足げな顔をして去っていく総悟に、ふざけんじゃねぇ何が処女だ、と怒鳴り返したかったが誰が聞いているかわからない。変人だと思われる前に喉の奥に戻す。
「さいなら、土方さん!」
乗り込む寸前に聞こえた挨拶に、待ってるから、と口パクだけでかえした。多分、見えただろう。
車が見えなくなるまで見送り、空を見上げると蒼く暗く、空が輝いていて。あんなヤツに惚れるとは、しかも待ってると約束するとは、と多少、後悔。けれど約束を違えるのが嫌いだから、きっとずっと待ち続けるんだろう。浮気一つせずに。
#9 黄昏まじりの青春
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