梅々
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喉がお疲れです。
うぅ・・・喉が痛い。
こんな寒空の下薄着でいなきゃなんないなんて・・・。
それでは肆萬打まひ路様リクの沖土です。続きます。
スランプ気味な上に期待に沿えているか分かりませんが、本当にありがとうございます。
こんな寒空の下薄着でいなきゃなんないなんて・・・。
それでは肆萬打まひ路様リクの沖土です。続きます。
スランプ気味な上に期待に沿えているか分かりませんが、本当にありがとうございます。
一寸触れた指先が
飽和量を越えた恋心を爆発させた
確信犯とは君のこと
駅から十分程歩いたところにある俺の住むアパートのすぐそばに、コンビニがある。コンビニの良い悪いは知らないからそのコンビニのおでんはどれくらい美味いのかだとか、そういったことも関係なく毎朝繁く通っている。毎朝といっても、会社へ行く平日だけなのだけれど。
聞き慣れた自動ドアの開く音、それを聞きながら店内に入り今日は何を買うか悩む。悩むったって電車の中で食えそうなものだとか飲み物を買うわけだからそこまでのことではない。大体は決まっている。
だから、いつも通り缶コーヒーを手に取りレジに向かう。
「おはようごぜぇやす」
「・・・おう」
「今日も無糖ですかィ? よく飲めやすね」
「甘ったるいのは嫌いなんだって、昨日も言ったろ」
カウンターを挟んで交わすやり取りは、ついこないだから始まったもの。それまで、顔を合わせてはいたが必要最低限のやりとりしかしてこなかった。いまでは顔を会わせる度、二三言交わすようになって、もう日課のようなものだ。
こんな、子どもじみた片想いをすることになるとは思わなかった。しかも、多分年下の男相手に。顔を見てやる気がでるだとか、話せたらそれだけで満足だとか、おかしくて他人には話せない、絶対に。
「じゃあ、頑張ってきなせェ」
「おう、ありがとな」
ビニール袋を受け取りじゃあと通勤に出る。新婚みてぇ、ふと思った言葉は流石に痛すぎて自己嫌悪に陥った。
*
大学の頃から一人暮らしを始めて、あまり親には頼らないで生活してきた。大学時代はバイトを掛け持って、自炊して無駄な金を使わないで、社会人になってからもそんな風にやってきた。だから、近所のコンビニへ行ったことがなかったのだ。煙草はコンビニ前の自販機で買えたし。
今年の正月のことだった。本当に久しぶりに風邪を引いて、流石になんも作れないと思いコンビニへ足を運んだ。
入る前から見えていた、立ち読みをする店員の姿。仕事サボって立ち読みしてんじゃねぇよ、と痛む頭の中思って、キッと睨み付けたら目が合った。それが、沖田だった。遠くから見たときはただのチャラ男に見えたけれど、正面から見たらそんなものではなかった。色素の薄い、人形のような人だった。パッと見、性別が分からないが胸がないから男なのだろうと判断して目当てのコンビニ弁当の棚へそそくさと向かい適当に手に取る。
レジにいたのは彼で、ネームプレートを見て沖田という名前なのだと知った。
温めやすか、とありがとうございやした、という言葉に家で思いだし笑いしたのも懐かしい。あの顔で江戸っ子口調って、と。
それから、毎日通うようになって。季節は二つも過ぎていった。
「土方さん」
「ああ?」
回想の邪魔をしたのは冴えない地味な声だった。舌打ち混じりに返事をして振り返ると、新入社員の山崎がいつも通りのヘラヘラした顔で立っていた。
こんなやつが後輩だとは。どうせなら沖田が後輩ならよかったのに。怒りは落胆へ変わり、溜め息を溢した。
「なんだよ」
「あの、課長がこの書類を渡せと」
「ああ。茶淹れろ。そんで死ね」
「はいぃぃ!? ちょっとなんでそうなるんですか」
「目障りだからに決まってんだろ」
見てるだけで苛立つ顔よりも見てるだけでほぅ、と感嘆の息を吐いてしまうような顔の奴の方がいいと思うのは普通だろう。ましてや、そんな奴に心を奪われている今。そんなことを思っても仕方がないとは分かっていても、気が付けばそんなことを考えてしまっていて。当たり散らしているだけじゃいけないのだけれど言葉は自然と口をついて出てしまっている。
後悔とかは微塵もしていないけれど、と書類に目を通しながら思う。
「それでは、」
そそくさと自分の席に戻る後ろ姿からデスクの上のコーヒーの空き缶に視線を移す。
一日一回、十分にも満たない間しか会えない。会話も少し。それで満たされてはいるけれど、きっとすぐにもっと多くを望むようになるのだろう。それがどんなに不相応なものかを差し置いて。
飽和量を越えた恋心を爆発させた
確信犯とは君のこと
駅から十分程歩いたところにある俺の住むアパートのすぐそばに、コンビニがある。コンビニの良い悪いは知らないからそのコンビニのおでんはどれくらい美味いのかだとか、そういったことも関係なく毎朝繁く通っている。毎朝といっても、会社へ行く平日だけなのだけれど。
聞き慣れた自動ドアの開く音、それを聞きながら店内に入り今日は何を買うか悩む。悩むったって電車の中で食えそうなものだとか飲み物を買うわけだからそこまでのことではない。大体は決まっている。
だから、いつも通り缶コーヒーを手に取りレジに向かう。
「おはようごぜぇやす」
「・・・おう」
「今日も無糖ですかィ? よく飲めやすね」
「甘ったるいのは嫌いなんだって、昨日も言ったろ」
カウンターを挟んで交わすやり取りは、ついこないだから始まったもの。それまで、顔を合わせてはいたが必要最低限のやりとりしかしてこなかった。いまでは顔を会わせる度、二三言交わすようになって、もう日課のようなものだ。
こんな、子どもじみた片想いをすることになるとは思わなかった。しかも、多分年下の男相手に。顔を見てやる気がでるだとか、話せたらそれだけで満足だとか、おかしくて他人には話せない、絶対に。
「じゃあ、頑張ってきなせェ」
「おう、ありがとな」
ビニール袋を受け取りじゃあと通勤に出る。新婚みてぇ、ふと思った言葉は流石に痛すぎて自己嫌悪に陥った。
*
大学の頃から一人暮らしを始めて、あまり親には頼らないで生活してきた。大学時代はバイトを掛け持って、自炊して無駄な金を使わないで、社会人になってからもそんな風にやってきた。だから、近所のコンビニへ行ったことがなかったのだ。煙草はコンビニ前の自販機で買えたし。
今年の正月のことだった。本当に久しぶりに風邪を引いて、流石になんも作れないと思いコンビニへ足を運んだ。
入る前から見えていた、立ち読みをする店員の姿。仕事サボって立ち読みしてんじゃねぇよ、と痛む頭の中思って、キッと睨み付けたら目が合った。それが、沖田だった。遠くから見たときはただのチャラ男に見えたけれど、正面から見たらそんなものではなかった。色素の薄い、人形のような人だった。パッと見、性別が分からないが胸がないから男なのだろうと判断して目当てのコンビニ弁当の棚へそそくさと向かい適当に手に取る。
レジにいたのは彼で、ネームプレートを見て沖田という名前なのだと知った。
温めやすか、とありがとうございやした、という言葉に家で思いだし笑いしたのも懐かしい。あの顔で江戸っ子口調って、と。
それから、毎日通うようになって。季節は二つも過ぎていった。
「土方さん」
「ああ?」
回想の邪魔をしたのは冴えない地味な声だった。舌打ち混じりに返事をして振り返ると、新入社員の山崎がいつも通りのヘラヘラした顔で立っていた。
こんなやつが後輩だとは。どうせなら沖田が後輩ならよかったのに。怒りは落胆へ変わり、溜め息を溢した。
「なんだよ」
「あの、課長がこの書類を渡せと」
「ああ。茶淹れろ。そんで死ね」
「はいぃぃ!? ちょっとなんでそうなるんですか」
「目障りだからに決まってんだろ」
見てるだけで苛立つ顔よりも見てるだけでほぅ、と感嘆の息を吐いてしまうような顔の奴の方がいいと思うのは普通だろう。ましてや、そんな奴に心を奪われている今。そんなことを思っても仕方がないとは分かっていても、気が付けばそんなことを考えてしまっていて。当たり散らしているだけじゃいけないのだけれど言葉は自然と口をついて出てしまっている。
後悔とかは微塵もしていないけれど、と書類に目を通しながら思う。
「それでは、」
そそくさと自分の席に戻る後ろ姿からデスクの上のコーヒーの空き缶に視線を移す。
一日一回、十分にも満たない間しか会えない。会話も少し。それで満たされてはいるけれど、きっとすぐにもっと多くを望むようになるのだろう。それがどんなに不相応なものかを差し置いて。
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