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梅々

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きらびやかな夢幻

6000HIT完成!
と一時はなったんだけれど、あまりにもつまらなさすぎた。だから続きを作ることにしました。前後編だね、正しくは。
目指せ、鬼畜外道な沖田!
と、心機一転頑張りたい。
新しいことしたいなァ。まんねりは防がなければ。あ、なんか沖田の思考みたい(笑)





それじゃ、前編。前編は生温い感じです。














喩えどんな風にこの関係が崩れようと、君の傍に必ず居るから。





歪な恋愛模様





只今、深夜である。
それ故、この夜の街は昼間よりも騒がしく華々しい。
場所は歌舞伎町。その外れにある真選組屯所で、密やかに、然し確実にある異変が起きていた。
猛者共が居住する此処は昼夜変わらず喧しい。夜は夜番の者以外殆どが眠りについているが、局長・近藤を筆頭に鼾が凄いのだ。夜中に一度目覚めたら、再び眠りにつくことは不可能に近い。其れ程なのである。
が、幹部の寝室は静かだ。
―――――いつも通りならば。

「っ~~~~~!!」

この夜、鬼の副長と呼ばれ攘夷志士だけではなく町人、仲間からも恐れられている土方は言葉にならぬ悲鳴を上げた。
真夜中だというのに迷惑なものである。
だが、この悲鳴を聞いた者はどうやら居なかったようだ、唯一人を除いては。

カラカラと、例によって例の如くノックもせず不躾に、土方の部屋の障子を開けたのは沖田総悟、花の十八歳。
いつものようにからかおうとして土方を見た沖田は驚いた。
驚いたが、感情の乏しい沖田は顔には出ない。

(おや、こりゃァ・・・)

驚愕よりも好奇心の方が強い沖田は直ぐに口を開いた。

「土方さん、あんた一体どうしたんです?」

それには応えず土方は、もう一度手鏡に視線を落とす。
其処にはちゃんと土方が映っている。
―――――そう。幼い土方が
沖田は少年時代の土方を知らない。会ったときには既に土方は思春期も終わる頃だったからだ。
故に、少し高めの声も、幼い顔つきも新鮮で堪らない。
近寄っていって脇の下に手を入れ、ひょいと持ち上げてみる。
軽い。
メタボリック症候群の猫と同じぐらい、下手したらそれより軽いかもしれぬ。
ジタバタと暴れる土方を物ともせず、沖田はそのこどもを抱え、立ち上がると障子の方へ歩き始めた。

「っ離せ! 何処行くつもりだッ! オイ、総悟!」

ハスキーがかった高めの声で名を呼ばれると、この状況がどれ程奇怪なものなのか思い知らされる。
年上の筈の土方が二十歳も若返って、自分の方が年上になってしまった。
普通ならありえない。だが天人がいるこの世界なら、ありえなくはない。

「とりあえず、ナニするにしても俺の部屋で落ち着きやしょう」

「何するつもりなのお前っ!!」

サァッと顔を青ざめさせる土方の背をポンポンと幼子をあやすように優しく叩いてやるが、不安を煽るだけらしい。益々青ざめる土方を見てにっこりと沖田は笑んだ。





「―――結局、何でそうなったか解んねぇ、ってぇんですねィ?」

「ああ、そうだ」

癖で火をつけかけた煙草を沖田に取り上げられながらも、土方はホッと安堵の息を心の中で吐いた。
意味ありげな言葉に一体何をされるかと刹那怯えたがどうやらただの冗談だったらしい。
先程、書類整理を終えて三日間徹夜した自分の顔はどれ程やつれているのだろうと鏡を見たら、こうなっていたのだと沖田に言うと、滅多に見ることの出来ない、悩むような表情をし、沖田は黙りこくってしまった。
優越を憶える。
誰にも見せない表情を自分だけが見ることが出来る。近藤さえも、知らない。そう思うとゾクゾクする。

「じゃあ・・・いつ戻るかさえ」

「解んねぇな」

それじゃあ、と囁くように低く呟かれた声に顔を上げると目前に沖田の顔が迫ってきていた。これまでの経験から何されるか直感した瞬間、唇が重なっていた。
ちゅっちゅっとついばみ、悪戯な舌が唇を辿る。

「ん・・・っんん・・・・・・」

漸く耳に届いた声に満足したのか、柔い笑みを浮かべ沖田は離れた。
そっと頬を撫でる手がいつもより大きく感じて、キスしていた間忘れていた自分が幼児化しているという事実を思い出した。

「っ餓鬼にさえ手ェ出すのかよ」

「そりゃあ、小さくたってあんたはあんただから」

「―――」

「どんな姿だろうと、好きですぜ。あんたのことを」

ポム。

矢鱈にファンシーで可愛らしい音が靄の発生とともにし、二人の視界を覆う。
何事だ、と驚く土方の視界は少しして晴れる。
目の前には変わらず沖田がいる。
が、先程とはどこか違う。

「・・・戻った?」

「戻ったみてぇですねィ。良かった良かった」

意外な程に朗らかに笑う沖田が可愛く見えて、思わず目を擦る。
何かの錯覚だ、沖田が可愛く見えるなど。きっとアレ、後遺症的なものだ。何で小さくなったのか知らないけれどその所為だ。
そう思いたい。
土方さん、呼ぶ声と共に振ってきたじゃれるような口付けの嵐を戸惑いつつも甘受しているとそのまま体重が背後に片寄っていき背が畳に触れる。

「これで気兼なく出来まさァ」

「・・・そういう意味での“良かった”かよ」

「えぇ。小さいアンタにムラムラしちまってたから」

「チッ。外道が」

罵ってはみたが悪い気はしない。沖田の熱をおびた眼差しは麻薬のように体内を蝕んで、心地好くて堪らない。殺意に近い性欲は自分にだけ向けられるモノだから。
優越。
それが矜恃も何も刹那だけ土方から捨てさせる。

「夜はこれからですぜ、土方さん」

飢えた獣のような瞳を細め、沖田はニヤリと口角を上げた。

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