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梅々

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撲殺

・・・は沖田の場合ないですね。
斬殺か惨殺・・・駄洒落じゃないです。
あとは呪殺とかバズーカでえい!ですね。
殺害方法はどうでもいい。


今日朝一で一冊同人誌を読んで思ったのが、同じ素材で本当に、作品に差ができるものだなぁということでした。もう素晴らしくて感動して、それに比べて私はまだまだだなぁと思いました。
それを考えたら刀匠でも大工でも同じなんだなと。技量を磨き感性をカバーするしかないですかね(>_<)





それでは、長らくお待たせしてしまった沖土連載第二話です。
やっと下拵えが終わったかなぐらい。下手したら材料を準備できたぐらいですが(O.O;)(oo;)
















知らないことをひとつずつ知っていく喜び。

そして、その知識を誰かの為に使う喜び。

いつの間に忘れてしまっていたのだろう。





Tu me plais 第二話





炒飯を作っていたら自分が鼻唄を歌っていて吃驚した。
フンフフン、なんてやりながらフライパンを揺すっている自分なんて想像できなくて気持ちが悪い。それなのにやっていた自分に引いてしまう。
時は九時半。会社員ならもう会社についている時間だ、多分。俺はサラリーマンではないから知らないが。
とにかく、あの夜中のやり取りの後爆睡して、起きたら九時だった。心地好い朝と休日にほぅと息をついて、そのまま機嫌良く飯を作っていたから鼻唄を歌っていたんだ、きっと。
出来上がった炒飯を二皿に分け、テーブルに置く。それでもまだあの青年は起きてきてはいなかった。起きた時に着替えを取りにこそこそと、それこそ空き巣のように静かに寝室に入った時に寝息が聞こえたし布団も膨らんでいたから寝ているのは確か。
栄養失調で倒れそうになるなんて。この三日間どう生きていたのだろう。事件と結び付けたがるのは職業病だから、監禁の可能性も消えてはないと思っている。
疲れているなら、寝かしておくべきか。
だけれど栄養失調なら飯を食った方がいいだろう、とドアを開ける。そうしたらベッドの上で座り込んでいたのでホッとした。
他人の起こし方なんて知らない。

「おはよう、ごぜぇやす・・・」

「おはよう。飯出来てっけど、食うか?」

「・・・いいんですかィ?」

「いいも何も、二人前作っちまったから食ってもらわなきゃ困る」

「それなら、いただきまさァ」

ふっと柔く笑ったのにつられて笑みを浮かべた、自分が本当に今日はおかしいと思う。
鼻歌を歌ったり、見ず知らずの人間につられて笑ったり。こんなキャラだっけな、悩みつつもリビングに戻る。ダイニングの必要性に首を傾げるような人間だから、当然飯を食うのもテレビを見るのも同じ部屋だ。
少し遅れて向かいに座った彼は顔を洗ってきたようで、前髪が所々濡れている。気になんないのか。ぼんやり見ていたらスプーンを持つだけ持って、彼は此方に視線を向けた。

「食えよ」

「・・・いただきやす」

礼儀正しく待っていたようだった。今時のやつにしては律儀だと思ったのは少し下の世代の利口なやつに失礼か。俺も、行儀が良い方ではないし。
うまいうまい言いながら食って、向かいの皿はあっという間に空になった。満足げに手を合わせるのを見ると、たまには他人に作ってやるのも悪くはない。

「おまえ、帰るとこあんのか?」

「ん~。今んとこ、ねぇでさ」

腹を擦りながら事もなく言うが、それって結構すごいこと。好奇心で動くなんて柄ではないが、少し、興味がある。
着ていたものも品があり草臥れてはいない。家出だろうかとまた詮索しかけて、漸く大事なことを訊いていないと気付いた。

「おまえの名前は?」

「へ?」

「だから、名前だよ」

「・・・総悟でさァ」

渋々と名前を答えて意図を探ろうと真っ直ぐ、俺を見る。
赤の他人に易々と名前を教えて大丈夫かよ、突っ込む前に自分はよりリスクがあることをしたから何も言えない。
どうせ、仕事であまり家にはいられない。
誰もいないよりは、番犬がいたほうが安心できる。
勿論、総悟の素性は知らないから、帰ったらもぬけの殻ってこともあるかもしれない。けれど、不思議とそんなことをするようには見えないから。

「うちにいろよ」

「・・・はい?」

「帰るとこ、見っかるまでうちにいれば?」

溜め息を寄越された。
そりゃ当然の反応だろうけれど。一日泊めるのも住まわせるのも一緒、だと思うのは俺だけなのか。
食べ終えてしまったので返事を待つよりも先に皿を片付けようとしたら、先に手が伸びてきて総悟がそれをキッチンへと運ぶ。後ろ姿を眺めていたらチラリと冷たい目線を寄越された。
馬鹿にしようとしているのが丸分かりな目付きにムッとする。

「アンタみてぇな甘い人間っているもんなんですねェ。知らなかった」

「うるせぇ。・・・忘れろ、今俺が言ったこと」

「・・・まぁ、アンタみたいなあまちゃんが俺以上に悪い人間に引っ掛かんないように、見張っててやりやすかね」

「は、」

向かいに座り直した奴の顔を見る。そいつは軽く頭を下げてニヤリと笑った。

「お言葉に甘えて、居候させていただきまさァ。土方さん」

やっぱ言わなければ良かった、伝う冷や汗にまじまじと感じる後悔。
だけど言ってしまった以上どうにもならなくて。
こうして、身元不明な総悟と俺の一つ屋根の下生活は始まった。





「土方さーん」

「あんだよ」

「タオルー」

「・・・はいはい」

日中はぐうたらして三時頃に買い出しに出たらおやつをせびられて。渋々喫茶店に入ったり、買い物カゴに菓子の袋を入れられたりと、一体何歳児を相手にしているのかわからない。今だって、そう。
単語連発するなっての、とか思いながら甘やかしている。

「ほらよ」

「ありがとうございやす」

少し開いたドアの隙間から総悟が手を出した。渡すと、総悟が物言いたげに俺を見てきたから去ろうにも去れず。

「何」

「背中流してやりやしょうかィ」

「・・・俺いま忙しいんだけど」

「あとで流してやるから、俺の背中流しなせェ」

「だから俺いま忙しいんだけど!」

ニタニタ笑ったまま、総悟は何にも言わない。相手にしてられっかとキッチンに戻れば、ケチーと宣う居候。
ケチじゃねぇよ当然だろこれは。
言い返したら負けだと思うので何も言わず、心の中でぶつくさ思いながら鍋を混ぜるとなんだかどっかの魔女にでもなった気分だ。

「あーいい風呂だった」

「そうかよ。ほら、めしできたぞ」

「カレーですかィ。いい匂いでさァ」

不思議だ。
なんでこんなにすんなり、会話しているんだろう。俺も総悟も昨日初めて会ったというのに、こんなにも違和感なく生活している。それもこれも、総悟の性格によるものだろうか。良くも悪くも遠慮せず、接してくるから。

「そういや、アンタの仕事は?」

「警察」

「・・・警察、ですかィ」

似合わねぇの。
そう呟いて、総悟は何か考えるような素振りをしたけれど、結局何も言わなかった。

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