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梅々

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多忙

いまバトロワ読み耽ってます。で、ポワワワンとネタが出来はじめてます。勿論、3Zね。
土→沖←銀な感じで高→沖も含まれてるかな。総ちゃんは・・・近藤さん?誰が好きなのかは謎。あ~!書きたいッ!
でも原稿と連載かけるхを先に終わらさなきゃ・・・。



では17、18話です。




















“口付けると、相手に自分の気持ちが伝わり、その上相手の気持ちもわかる――――”と近所のおねーさんは言っていた。

それなら、なんで皆チューしないで言葉を交わすのだろう、と餓鬼の頃思った。

それを、近藤さんに訊ねたら、


――――皆が皆、接吻すれば気持ちが通い合う、っつうわけじゃなくて、稀、なんだよ。気持ちが通い合うなんて。

で、気持ちが通い合った相手が自分の“運命の人”なんだ


そう、言っていた。


俺の気持ちは、届いてますか? 










Ma cherie  第十七話 










「近藤さーん!」

「おう、総悟」

いつも通り豪快に笑いかけてくる近藤さんの後ろには、気まずそうに外方を向いてる土方さんが。 

・・・あ、そうか。アノ時から今まで、仕事なかったから、初の顔合わせになるのか。

そりゃあ気まずいよな。土方さんなんか特に。笑いを堪えていると、近藤さんが改まった口調ですまない、と呟いた。

「何がですかィ・・・?」

何もされてないし、謝られるような事は何もないはずだけど。

「こないだ邪魔したみたいで・・・」

「えっ・・・?」

邪魔した、とはあの引っ越しの日の事だろうかってかそれしかないよーな気がする。というか、土方さんは弁明してない訳?あんなにあたふたしてたのに。

「土方さん、弁明してねぇんで?」

「・・・聞く耳持たねぇんだよ」

不機嫌を表わにした表情で、なんとなくその時の状況がどんな感じだったかわかった。一生懸命言い訳・・・弁明しようとしてる土方さんに、「応援するから、言い訳すんな」と全く話を聞かない近藤さん。易々と脳裏に浮かぶ。

「近藤さん、あれはですねィ・・・事故なんでさァ」

「総悟まで・・誤魔化さないでいいんだぞ?」

「そりゃあ、俺は土方さんが好きですけどねィ?土方さんにはその気はねぇんでさァ」

さらっととんでもない事を言ってのける沖田に、土方は絶句した。が、それに近藤が頷くのをみて、頭をふった。


――――――自分は何か、とんでもない程の悪夢を視ているのでは・・・。


そう、思い込もうとした。けれど、人生そんなに楽ではない。

「あのな、」

漸く口を開いたが、近藤が鬼の形相・・・とまではいかないが、険しい顔をしてくるので、言葉が続かない。

「・・・何だよ、近藤さん」

「総悟の純情、弄んでんのか?」

「えっ?ちょっ、近藤さん、違いまさァ・・・」

「総悟、何も言うな」

「・・・だから勘違・・」

「トシ、どうなんだ?」

険しい顔をしている近藤さんの後ろで、珍しく戸惑った表情をしている沖田に目をやった。

嫌いか、と問われたら嫌いではない、と答えるだろう。だけど、好きか、ときかれたら・・・。熱烈にアタックしてきてて迷惑だが・・・。

「・・・ちゃんと真剣に考えてんよ」

「マジでかっ!?土方さん!」

ガッ、と身を乗り出し近藤を押し退けた沖田は顔を綻ばせている。

「・・・一応、は」

照れ隠しに頬をかいている土方に沖田は抱きついた。

「大好きでさァ!!」

「ぅぎゃあっ!」

ドタッ、と派手な音をたて、二人は床に倒れ込んだ。それでも沖田は気にせず、猫のように頬を擦り寄せてくる。ぷにっ、と柔らかくて気持ちいいのだが。

「・・中々お似合いだぞ?二人とも」

ニヤニヤしつつ見下ろす近藤を睨み付け、土方は溜息をはいた。 
















ふと、思い出した事がある。遠い昔、とは言えども餓鬼の頃の事だが、姉貴がよく言っていた台詞を。


―――――口付けただけで相手の気持ちがわかるようになるのよ。あなたが本当にその人の事が好きで、相手も同等、もしくはそれ以上の気持ちを返してくれているのなら、ね―――――


それが“運命の相手”なんだと、言っていた。そう考えると、総悟がキス魔なのは、その“運命の相手”とやらを探しているから――――と思えてくるのだが。まぁ、そんな訳はないけれど。

―――――アイツの気持ちは、痛い程伝わってきている。


じゃあ、俺の気持ちは? 










Ma cherie 第十八話 










「・・・いい加減離れろ。総悟」

「やでさァ」

総悟がさっきから、しがみ付いて離れない。なんとかスタジオまでは行けたのだが、カメラマンがこれじゃあ撮影はいつまでたっても始まらない&終わらない。

「ほら総悟。終わってから抱きつけばいいだろ?」

「・・・でも、今抱きつきたいんでさァ」

「・・んな事やってっと嫌われんぞ?」

いままでも、しょっちゅうこういう事されてきていたが、近藤が知る由もない。

「・・・まぁ、しょうがねぇですねィ」

が、総悟は最もあっさり離れた。鶴の一声ならぬ近藤さんの一声か、と楽観的に考えていると、近藤さんには聞こえないよう、俺の耳元に囁いた。

「後でたっぷりいちゃつかせてもらいまさァ」

「・・・なっ!?」

「さぁ近藤さん!頑張りますぜ!」

「よし、その意気だ!」

何故近藤さんは、素でこんな悪乗りできるのだろう。天然、とはこうも心臓に悪い・・・というか腹黒く感じるものだっただろうか。


―――――総悟に合わせてしまうから、黒くなるのか。


とは言っても、別にそこまで近藤さんが黒い、という訳ではなくて。ただ悪乗りしてるから黒く感じる訳で。だからって別にそこまで黒く感じるんじゃなくて、総悟をサポートしてるみたいな。

って訳わかんなくなってきた。

「土方さん、こっちは準備完了でさァ」

「え?・・・ああ」


やっぱ、コイツの所為で身の回りの世界が狂った気がする。


――――――狂ったのは、かわったのは、俺か。




カシャ、という独特の音とともに一瞬だけ光が舞う。

眩しくて、残像が焼き尽く。

向こう側から此方側は見えるけど、その逆は決して見えない。レンズの向こう側で、いま彼はどんな顔で、どんな事を思っているのだろう。

「今日の土方さん・・・最高でさァ」

考えてる事が筒抜けかと思うようなタイミングで、カメラの横から顔を覗かせた。 眩しいくらいの笑顔で。

「色気がすげぇでさァ。恋煩いしてるみてぇ」

「何言ってんだ?おまえ」

言ってることが可笑しくて、つい笑ってしまった。その顔も、総悟は隙を逃さず、といった風にカメラに収めた。

「とんなよ。これは営業用じゃねぇんだから」

「個人用でさァ。アンタの笑顔なんざそうそう拝めやせんからねィ」


――――ほんの一瞬だけ、総悟の為ならいくらでも笑ってやれる・・・と、そう思ってしまった。

「土方さん?どうかしやした?」

「別に。続けるぞ」

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