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梅々

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ちくしょう・・・ッ

不憫をかこうと努力してます。かけるかな・・・(・・;)

バレンタインデーですね、そういえば。小説書くぐらいしかしなかっ・・・あ、朝一でさーたあんだーぎー作ったな、お返し用に。
それぐらいしかない。
・・・一人楽しすぎるー。





左手が腱鞘炎なのか痛いぞ☆今年入ってから頑張り過ぎかもしれない。右手じゃ少し遅い・・・のかな。
では、バレンタインネタです。山沖風味(誕生日祝に黒め)且つ土沖で温い濡れ場ありです。去年のBDに続いてる感じです。
文章的に甘めにしたつもりだけど・・・。















ほんの少しの気紛れにすぎないんだから、勘違いしないで。

としか言えない。

素直になんかなれない。





梅つ五月





何気無く、それはもう、無意識の内にと言ってもいい程自然とテレビをつけたら、バレンタイン特集をやっていた。アイドルが次々に紹介し試食するデパ地下の高級な色とりどりのチョコはとても、美味しそうで。
俺は男だから勿論、貰う立場。去年はそれなりに、土方さんよか少ないけど貰えた。比較しているからって別に、あの人と数を競う気はない。どうせ全て俺の胃袋へ消えていくのだから。
今年はいくつ貰えるのか。
それと。

「デパ地下のチョコは止めといた方がいいですよ。売り場は戦場と化しますから」

「俺ァなんにも言ってやせんぜ、山崎」

音をたてずに室内へ入ってきた山崎が、コトッ、と湯飲みをテーブルに置きながら口を挟む。
流石は真選組監察。他人の心情を機敏に察知する。なんて迷惑極まりないけれど。
山崎がいれてきた茶で喉を潤し、テーブルの真ん中の籠から煎餅を取る。バリボリと豪快に食べながら、テレビをじいっと見続ける。

『やはり、大手のチョコレートも人気ですが、手作りというのも人気ですよね』

『そうですよね。こういう綺麗なのもいいけど、心がこもってるって思えるのはやっぱ手作りですよ』

「・・・俺も同意見ですよ」

「だぁから、何も言ってねぇだろィ!」

テレビの中での、女子アナとアイドルの会話を静かに聞いていると山崎が再び出張ってきた。俺の何を知っているというんだ、この地味な男はと睨めつけると余裕そうに山崎は茶を飲んだ。
とてつもなく腹が立つのは仕方がない。たかが山崎が自分よりも優位に立とうとしているのだから。
フルボッコにでもしてやろうかなどと不安な考えが意識上に浮かんできたところで漸く山崎は湯飲みを置いた。

「副長に作るんでしょう? どうせなら俺にも・・・」

「寝言は寝て言え、山崎」

「冗談とかじゃないですよ。余りでもいいんで。沖田さんのなら、毒入りでも」

「おまえ・・・っ」

この手の話題で揶揄されるのがとても嫌で、バッと振り返り反論しようとすると、俺よりも早く山崎が動き、文句を言う前に顎を掬われる。
山崎らしからぬ、自分と同じような黒いオーラ。
本能が若干、危機感を抱くが山崎相手に負けるのは矜恃が許さず、真っ直ぐと睨む。すると、くすりと口許を歪め、山崎の顔が次第に近付いてきた。
いやいや、まさか。
何するつもりだと、近付いてくる男に問えば軽くあしらわれる。

「分かってるはずでしょう? 副長と数えきれないぐらいしてるんだから。一回ぐらいいいじゃないですか」

「・・・俺の唇は安くねぇぜ?」

「そんなの、知ってますよ」

数回、あの人とキスしているところを見られたのは知っている。というか、あの変態野郎は見られた方が燃えるらしく。見せ付けとけ、そう言い捨て呼吸をも奪うようなのを幾度も山崎の前でされた。求められて、拒めないのを知っているからこそあの変態は無謀なことをするんだ。
悪質で隠険だ、全く。
皮肉をサラッと返し、より接近してきた山崎の顔に目を瞑ると、一瞬だけ額に柔らかいものが触れた。
え、と目を開ければ先刻までの距離に戻りいつも通りへにょへにょしている山崎。

「副長は手作りの方が嬉しいと思いますよ」

「・・・・・・手作り」

話が呆気なく戻ったことに呆然としつつ呟く。
今年で土方さんと付き合い始めて二年目。
去年までは殺伐としていたというのに、ホワイトデーに初めて肌を触れ合わせてからというもの、二日に一夜のペースで求められている。最初に美味しく頂かれてなければ、立場が逆だったかもしれないのに。去年、俺からキスしてなけりゃ、こうも色めいては無かったのに。
テレビは別の話題に切り替わったというのに、俺は未だバレンタインのことで悩んでる。話題提起してそのままなんて、とテレビに文句言ったって何も始まらない。
一口サイズのチョコから一変、手作りだなんて。しかも、俺が?

「俺も手伝いますから、少し分けて下さいね」

「・・・・・・作んの? 俺が?」

「一年に一回ぐらいは、素直になったらどうですか?」

「何様おまえ。ジミーのくせに。偉そうなこと言ってんじゃねぇや」

「ただこうした方がいいって助言してるだけですって。作りましょう」

にっこりと言われて渋々、傾きかけた心のまま頷く。
あの人は喜ぶだろうか。別に、喜んで欲しいわけじゃないけど。


運良く、土方さんは十三日に出張が入っていていなかった。食堂のおばちゃんは快く調理場を貸してくれて山崎が準備した材料とレシピを元に、チョコクッキーとやらを作った。順調に進んだのは俺一人じゃなかったからか、それとも山崎が簡単なのを選んでくれたのか、兎も角俺の腕がいいから、という理由ではないことは確かだと思う。

「いい感じに出来たじゃないですか」

「上から目線で言うのやめなせぇ。何個欲しいんで?」

「沖田さんの気持ちの分だけでいいですよ」

奇怪なことを言われ戸惑う。一個でいいのか。気持ちの分ってどれくらいなんだ。
悩んだ末に一個、はいと山崎の眼前に差し出す。
けれども一向に食べようとしない。
痺を切らすのは当然、俺が先だ。

「いらねぇの」

「・・・一個なら、口移しで」

「ばっかじゃねぇの。調子のんじゃねぇや、山崎如きが」

「はいはい」

妥協してやるか、といった顔をして、山崎は俺の指から直に、クッキーを口へと運んだ。
揶揄われている。それが伝わってドロドロと腹の底で黒いものが渦を巻くが、この程度に負けちゃいけない。
コトが済んだら精々こき使ってやろうと決め、残ったクッキーを包みながら、一個だけ味見する。素朴な歯応えに甘く、それでいて苦味のあるチョコの味がふわりと口の中いっぱいに広がる。美味しい美味しい。土方さん仕様だから少し苦いが、十分美味しくてあの人にあげるのはもったいない。

「明日は副長室に缶詰の筈ですよ。いつ渡すんですか?」

「・・・夜にでも。土方さんに何にも言うんじゃねぇよ、凹んだ顔見たいんだから」

「分かってますよ」

苦笑混じりに言って、山崎は頑張ってください、と言った。
頑張れ、って何を。問う前に山崎はさっさと行ってしまって何のことだかさっぱり分からない。
でも、とりあえず作ったのだし、これで一安心だとそう思っていたのだが。



「・・・・・・なにしてんの」

「さぁ、なんでしょう」

風呂上がりの土方さんが障子を開けた格好のまま立ち尽くす。
所変わって土方さんの部屋。あと数時間で十五日になりそうな時間帯。副長室に行ったら誰もいなかったから、この部屋へ来たら昨年同様、足の踏み場もなく。仕方なしに自分一人が横になれる分だけ隙間を作って、ごろんと横になっていた。
以心伝心、ご都合主義。偶然は必然、とかいうが兎も角土方さんがやってきた。自室だから来て当然なんだけど、山崎情報によると仕事が大変らしいし来ないと思っていたのに。

「あんたはなにしてんで」

「・・・・・・お前の部屋行ったらいなかったからよ」

「なんか用ですかィ?」

言うと、暫しの沈黙の後、床を覆う包装された箱の間を縫い土方さんが俺の方へ近付いてきた。そしてそのまま、腕を引かれ立たされる。
なんだ、と逆らいもせずにいると手首を握ったまま土方さんは歩き出す。

「土方さん?」

「今年はお前からくれよ」

「―――」

無い、という答えが返ってくる筈もないと確信している声の強さ。

また俺は、この人に抗がえず。

―――――否、抵抗する気なんて元から無い。

どうぞ、直視出来ず、目を反らして言う。包むのは自分一人でやったから、多少歪だけれど、それぐらいの不格好さは許して欲しい。こんなにも、恥ずかしい思いをしているのだから。
失念していた。何よりも渡す瞬間が恥ずかしいことを。
お礼にバズーカぐらい貰わなきゃ、割に合わない。

「・・・これ、」

「山崎にほんの少し手伝ってもらって作ったんでさァ。毒入ってねぇけど、不味くて死ねるかも」

本当は毒なんか入る気ないし、自分で食べて不味くなかったけれど。口を開けばそんな言葉ばっかり出てくる。
天邪鬼。素直になる気なんて毛頭ない。
渡すべきものは渡した。夜は急ぎ足で更けていくものだ。寝よう、と掴まれた手を解こうとするが強く掴まれたままで。

「未だなんか用があるんで?」

「お前の部屋、足の踏み場さえねぇだろ」

「・・・まぁ」

肯定すると空いた手でするすると袖を捲られ露になった腕の内側に口付けられる。次第に唇が、肘へと上昇してきて、むず痒い感覚に体が震えた。
息が上がる。
ざわざわと眠気を押し退けて欲情が芽を出した。
このままじゃ眠れるわけがない。それを分かっていて、わざと。

「嫌なら行けよ、総悟」

「ヘタレですねィ、あんた。寝かせねぇぐらい言ったらどうなんで?」

「いいんだな? 覚悟しろよ」

そう言って、色男は俺を抱き寄せ、唇を重ねてきた。



触れられて、愛でられて、弱点と化したところを優しく擦られた。それだけで堪らない快楽が生まれて頭の中がそれでいっぱいになる。
満たされても、次から次へと欠けていく様は波に似ている。濡れた砂は乾き、乾いた砂は濡らされる。タイミング良く与えられる刺激に感じる気持ち良さは倍増して。
そんな波の狭間で、俺はギリギリ理性を保っている。

「あっ・・・あぁっ!」

「未だ序盤だぜ? 減らず口はどうした」

「っるさ・・・・・・ンっ!」

視界は涙で霞んで、静けさの中耳はいやらしい音ばかり拾う。水音に、低く響く声。
接吻されたら五感全てで土方さんを感じてしまって、辛い程膨大な悦楽を前に声を上げるしかできない。
大っ嫌いな、媚びるような鼻にかかった自分の声。殺すと土方さんが自棄になって出させようとするから殺せずに。

「んふっ・・・ァン、ッやぁ・・・ひじかっ・・・・・・!」

「・・・んだよ」

慣らそうとする緩い動きに焦れて、腰が振れる。浅ましさに余計涙が浮かぶけど、そんな自分にさえ感じてしまう俺こそが、本当に浅ましい。
優しい色を浮かべて、それでいて俺が求めるまで意地悪く焦らす目の前の男が、俺をこんな風にした。いつになったら、見返してやれるのか。年の差は一向に縮まらない。
瞬きで視界を鮮明にして、真っ直ぐと土方さんを見据える。
折角だから、少しぐらい甘えてやろう。

―――――今の俺にはもう、アンタだけだから。

「・・・もっと・・・・・・ぉく、に・・・くだせぇ・・・ッ」

「―――参った・・・」

しがみついて言うと、きゅんと熱の質量が増した。
はぁ、と慎重に息を吐いて土方さんは願い通り奥まで満たしてくれた。
その激しさに目が眩む。
無意識の内に縋った背に爪をたてていて、小さく土方さんは呻く。

「ひぁあぁぁ・・・っ! ぁんっ、だめぇ・・・!!」

「そんなにいいかよ・・・?」

「・・・ンっ、いぃ・・・でさッ! ひゃぁッ、ぃくっ・・・!!」

「・・・ッはぁ、ったく・・・。中に、出してやるよ・・・総悟ッ」

「んぁぁぁ・・・ッ!!」

切羽詰まった声、強烈な突き上げに白い欲情の証を放つ。
ぎゅうっと抱き締められながらも中に注がれて、収まりかけたものがまためぶく。

「・・・もっと」

「今日のお前、やたら素直だな・・・」

「んぁ・・・っ」

啄むような口付けに次いで、再び愛撫される。
閉じた瞼を開けるとうれしそうな顔をしているのが映って。
たまには、こんなのもいいかと思えた。

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