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梅々

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お疲れ様です

期末レポート終わらせましたー!ひゃっほーい!
あとは木曜から始まる試験に備えないとですね憂鬱。トップバッターが英語で挫けます。





それでは受験ネタ。
前回から三人称の訓練をしていますがうまくいかないです。

一応去年の卒業ネタの続きの土沖です。














一年、いやそれ以上の期間準備してきたものが、終わった。
丸一日かかったけれど、こうして宵闇の空を見上げてこれで終わったのだと思うと、案外呆気ない。だがしかし、これは始まりでしかないのだ。結果次第では。
だけれど今日はもう早く帰って寝ても、明日ははめを外してもいいだろう。
ただでさえ不真面目な沖田がここまで頑張ったのだから。正しいかどうかは分からないが分からない問題はなく、全問一応解けたのだから。
先日の大雪の名残をさくさく踏んでいると、手洗いへ行っていた山崎が手を拭きながら駆け寄る。
「お待たせしました」
「本当遅い」
「……すみません」
理不尽なことを言われているにも関わらず山崎は苦笑しながらも謝る。
「折角ですし、ファミレスでも寄って帰ります?」
「いや、いい。俺約束があるんでィ」
携帯のディスプレイに照らされた沖田の顔は無表情であるが、その声はどこかそわそわしているように山崎には聞こえた。基本的に声にも顔にも感情を現さないタイプであるから、親しい山崎ですらうっすらとしか感じ取れない。
「お姉さんですか?」
「や、違う」
かしかしと両手で、恐らくメールを打ち込んでいる沖田を眺めながら山崎はそれなら誰だろうと、試験中よりも頭を働かせる。
その様子に携帯から顔を上げた沖田は気づいて、余計な詮索はするなと一睨みする。
煩わしいのもあるが何より、ぼろを出すわけにはいかない。相手が誰かを言えば空気を読まずについてきそうであり、関係を言ってもし相手を見られたらと思うとそれはそれは面倒くさい。共に受かれば同じ大学、同じ学部なのだ、卒業まででの付き合いで終わる保証もない。
ああでもそれならば、言っておいたほうが楽かもしれないと考え直す。
だから。
「もしかして恋人ですか」
なんていう山崎の質問ににっこり笑って返してやる。
「そうでさァ。それじゃあ、また月曜日」
彼がいるからその大学を目指した、というほど恋に流されているわけではないが、一因にはなったかもしれない。やりたいことはぼやけてしか浮かばないが、なんとなく大学に行きたいと思っていた頃よりはましだろう。それも彼のお陰であるから、やはり彼がいるから目指したといっても過言ではないのかもしれない。
試験会場を出て点滅しかけた信号を見て、小走りに横断歩道を渡る。返信を見れば信号を渡った先の喫茶店にいるとのことだ。
最後に会ったのは夏休みだった。別に正月に会いに来てくれても構わなかったのに、勉強の邪魔はできないと堅物っぷりを発揮されたのだった。一緒に初詣に行って、必勝祈願をして、というのが受験生のデートだと思っていたのにできなかった。彼が受験生のときはまだ、恋人同士だという自覚はなかったから意識することもなく初詣に誘われてついていっていた。勿体ないと、沖田は自分でも思う。
暫く歩いて見つけた喫茶店の、色褪せた金のノブを掴み、中へ入る。がらんどうな店の中、新聞を読んでいた店主がちらりと此方を見て若干の気まずさに視線を反らす。そして店の奥へと目をやれば、煙草をふかす後ろ姿を見つけた。
知らず知らずのうちに頬が緩んでいることに、沖田自身は気づいていない。
「土方さん」
「総悟、お疲れ」
入ってきたことに気づいていただろうに振り向かず待っていた土方にかっこつけしいだなぁと思いながら、沖田は向かいの席に座り正面から土方の顔を見る。
相変わらず整った顔をしている。沖田が受験生になってからはめっきり触れていない唇も、切れ長でいて優しげに見つめてくる眼差しも、ちっとも変わっていない。
「解けたか」
「それなりには」
触れたいと、うずうずしているのに沖田の口からは無感情で素っ気ない言葉のみが生まれる。夏休み以来電話やメールでやり取りするばかりで、その上真面目に勉強なんぞもしてしまったものだから欲求不満なのかもしれない。触れたくて仕方がない。あわよくば、今すぐにでも口づけたいと思うぐらいには。
「明日はどうすんだ?」
「予定はないですけど」
「じゃあ、」
今晩泊まりに来ないか。
そう囁いた唇が弧を描く。沖田はどきりとして、土方から視線をそらした。
反らしたもののこれといった目のやりばがなく、徐に視線を戻せば土方は少し照れたような顔をしてじっと沖田を見つめていた。
泊まりになんて行ったら、そう考えると顔に血が集まって火照っていくのが分かる。なんて疚しいのだろう。
「……予定もないですしね」
「んな面して言ってもな」
「今夜覚えときなせぇよ」
「こっちの台詞だ、ばか」
ばか、と言った声色があまりにも優しく甘ったるいものだから沖田は机上に突っ伏した。

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