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梅々

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106000打ありがとうございます!メリー腐リスマス!

メリークリスマス!

居酒屋のバイトは真綿で首を絞めるような地味な忙しさでした。

土方が洒落て食卓にキャンドル飾ったら沖田はふきけすんだろうな。





















それでは106000打リクの甘め沖田受け+クリスマスです。まだ続きます、こっから甘くします。リクエスト本当にありがとうございます!

将軍様×沖田と土沖!

















綺麗なものに触れてみたら

馴染んだずるさがほしくなった











松の廊下











馬子にも衣装とか言うけれど。育ちがいい人は何を着ても育ちの良さが露になるものだと知った。それは、端から見たら羨ましいことであるけれど同時に、利用するものなのではないか。誘拐だとか、服従したふりをして取り立ててもらうだとか。でも今では笑い者になる可能性もあるのか。

目の前にいるのは名ばかりの将軍様。表情はいつも通り硬いがしかし、格好は着流しに羽織りと、ラフなもので。どうしてこうなったと思いながら隣を見上げる。すると視線を感じた土方さんが眉を寄せて一瞥を寄越した。面倒くさそうでいて心配そうなその表情は思いの外かわいかった。

三日前に将軍様直々に御呼ばれされて、何の用だと思ったら落語に連れていってくれとのことで。そんなのとっつぁんと行けばいいのにと喉元まででかけたけれど、何も言うなとお目付け役の土方さんが視線で言うものだから渋々口にチャックをした。俺が落語を好きなことを、とっつぁんが覚えていたらしい。お陰でとんだ迷惑だけれども、公休で落語に行けると考えたら楽なものだ。外で待機させられる土方さんが可哀想。いい気味だけれど。



「世話をかける」

「本当でさァ」

「総悟!」



思ったままを言ったら鋭く睨まれた。土方さんとは真逆で、周りの隊士はニヤニヤしているけど。皆茶番に付き合わされるのだ。これまでの経験から、これから隊士がするだろう無意味な警護を思うと溜め息が出そうになる。でも今日は蚊帳の外ではない、寧ろ賓客だ。



「くれっぐれも、失礼のないようになクソガキ」

「アンタも俺がいないからってサボんねぇでくだせぇよ」

「誰がサボるか」



怒鳴るのを聞き流しながら促されるままにホール内へ入る。貸し切りにしても詰まらないだろうと、一般客に紛れているため将軍様のSPが前後左右についてこれがVIP待遇かと思う。恐らく、俺もSPに含まれているのだろうが。

隣を歩く将軍様は今日の演目を熱心に読んでいる。真面目な人間なのは知っている。そして、愚直であるのも。教わったことを疑わずに受け入れるもんだから、旦那方のホラを真に受けたりだとかして中々凄まじいらしいけれど、そこまで興味はない。スキーへ行けたりと何だかんだいい目を見させてもらってるけれど。



「将軍様はなんでとっつぁんと来ねぇで俺にしたんですかィ。口も性格も悪いの、知ってんでしょう?」

「……そなたが良かったのだ」

「え、」



おかしな言葉を聞いた、それも真面目な声で。空耳にしろ現実のものにしろうすら寒いと、焦点隣の男に写すと真面目な顔をしてこちらを向いていた。月代があるから、品があるように見えるのかもしれない。ほつれひとつない、束ねられた黒髪を見ているとどうしても、無造作に結っただけの長髪を思い出してしまう。昔は何度も掴んでいたけれど、いまはもう触れない。



「だからこの日にした。異文化の祝い事の日だろうと構わない、一日だけでよかったのだ。それらしいことができれば」

「まるで告白みたいですぜ、将軍様。酔ってらっしゃるんですかィ」

「拙者が酔って戯言を申しているように見えるか」



背筋を伸ばしたまま微塵の隙も見せずに言う。これはなんの茶番だろうか。そんな理由でクリスマスイブである今日を選んだのか。将軍様が俺をだなんて、信じた途端ドッキリの札が見えそうなものだけど。

どう反応すればいいのか分からない。やらしい目で見られているのならば他の野郎と同じように半殺しにしてやるけれど、そうではなそうなので。玉の輿に乗りたいのなら従順な姿勢を見せるべきなのだろうけど、生憎そんなものには乗りたいと思わない、誰かの所有物になるのは絶対嫌だ。俺に鎖をつけてもいいのは近藤さんに土方さんだけ。



「アンタのものにならなきゃ打ち首ですかィ」

「そんなことはせぬ。それに求めておらぬ。ただ、今日を共に過ごしてくれればよいだけのこと」



頼む、デートとやらを教授してくれと、頭を下げて頼まれた。その様を見てにやりと口角があがっちまうのは仕方がないと思う。性悪だから、俺は。それに、こんなふうに真摯に求められるのは初めてで、むず痒さが顔に出る。

こんな俺のどこがいいのか分からない。この人は駄目な女に引っ掛かるタイプなのかもしれない。ああでも、ただの好奇心かもしれないと逃げ道を作っておいて。



「いいですぜ」

「真か」

「勿論。俺流でよければですけど」



ぱぁと、嬉しそうに目が潤み笑みを浮かべる。こんな純粋な人が恋人だったなら俺ももう少し真っ直ぐだったかもしれないとほんの少し思った。















「――それで?」

「それでじゃねぇよなんでアンタが此処にいるんですかィ。でてけ俺の部屋だ」



仄かに酔って高揚していた気分も、部屋の障子を開けて憎たらしい上司の顔を見ただけで水をかけられたように失せてしまった。萎えるわ、呟きながら敷いてあった布団に倒れこむと、煙を吐き出す音がした。この部屋は禁煙だ馬鹿野郎。

文句を言いたいけれどそれも面倒くさくて、枕をぎゅうと抱き締めていると気配が動いた。耳の横に手をついて、覆い被さってきた。



「総悟」

「へい」

「デート、してきたんだろ?」



恨みがましげな声に聞こえたのはきっと気のせいだ。やたらとデートの部分を強調しやがって。ごろんと寝返りを打てば正面から睨み合う形になった。将軍様の目が穏やかな水のようであるならこの人の目は燃え盛る炎だ。体に染み入る真摯さじゃなくて、衝動を孕むような。

これはヤキモチなんだろか。それならば俺は指をさして笑ってやるけれど、絶対に違う。自分の玩具をとられた子どもの癇癪みたいなものだ。だから、俺はそれを揶揄う。



「楽しかったですぜ?首輪つけても怒んなかったし。何より紳士でしたぜ、アンタとは違って」

「……粗相はねぇようにっつっただろ」

「喜んでつけてくれやしたから粗相じゃねぇでしょう」

「屁理屈だ」



ふんわりと酒の臭いがした。クリスマスイブに一人酒とは寂しい男だなと、揶揄おうかと思ったがもしかしたら誰か女と飲んだのかもしれない。不潔だ。



「…いいこに接待してきた俺にクリスマスプレゼントは?」

「なぁにが接待だ浮気しやがって」

「浮気だなんて。それ以前の問題でしょう」



付き合ってるわけじゃない。だからこそ、こうして関係をもてるのだけど。だってそうじゃなきゃ独占欲が沸々して死んじまいそうだ。

項に腕を回して、キスを強請る。軽く瞼を閉じるとふわふわと眠気が襲ってきたけれど、それを堪えていれば唇が塞がった。

煙草の味と酒の味が混ざる。まずいことこの上ないけれど、舌の動きも髪を撫でる手の動きもとても甘ったるい。お返しに甘いものが嫌いな土方さんに、甘えるように足を擦り寄せればちゅうっと舌を吸われた。



「んふぅ、っん!」



甘噛みされるとぞくぞくして堪らない。今なら酒の力で何でもできちゃいそうだけど、今日はそんな気分ではないのはあの真っ直ぐな瞳に当てられたからだろうか。

あんな視線を受けるには俺は汚くて、いたたまれなくなったのも事実だけど心地よくもあった。土方さんじゃ絶対に与えてくれない。

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