梅々
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血の涙
「神田、誕生日おめでとうございます」
「あ゛ぁ?」
「誕生日おめでとうさ~、ユウ」
「だからそう呼ぶなつってんだろ、」
「もう、神田ぁ! 素直にお礼言いなさい! ほら、ケーキも用意したから皆で食べよう?」
というわけで神田ハピバ。新巻の表紙に居た君は可愛かったよ。というか新巻読みたい。
そうそう。今日知ったんだけど女郎は三回目まで同衾しないっての嘘らしいですよ。初回から同衾してたらしい。びっくりだわー。
それでは時期的に少しKY感が無くもない、体育祭ネタ。
「あ゛ぁ?」
「誕生日おめでとうさ~、ユウ」
「だからそう呼ぶなつってんだろ、」
「もう、神田ぁ! 素直にお礼言いなさい! ほら、ケーキも用意したから皆で食べよう?」
というわけで神田ハピバ。新巻の表紙に居た君は可愛かったよ。というか新巻読みたい。
そうそう。今日知ったんだけど女郎は三回目まで同衾しないっての嘘らしいですよ。初回から同衾してたらしい。びっくりだわー。
それでは時期的に少しKY感が無くもない、体育祭ネタ。
忘らるる 身をば思はず 誓ひてし
人の命の 惜しくもあるかな
青少年の過ち
少し薄曇りな空の下、健全な少年少女らは体育祭という名目でグランドを駆け、飛び回る。
その様子を同年代だというのに冷静に見守っていた青年は、何か思い立ったように突然立ち上がり、自分の応援席を離れた。
今は体育祭目玉の応援合戦の真っ最中。誰も自分の行動を気に止めないはずだ、そう思いつつも向かったのは自分と同じ、今日ばかりは周囲から浮いているであろう少年の元。
予想通り、皆が最前列付近で声を張り上げているのに対し、一人ぽつんと椅子に座っていた彼の名を呼ぶ。
「総悟」
「あ、土方さん」
普段と変わらぬ無表情が此方を振り返り、ほんの少し口角を上げる。
祭事は好きだが体育祭だけは乗る気はしない、とは中々不思議なヤツだ。元から普通から駆け離れた人間だけれど。
空いてる隣の席に座り、朝、総悟に盗られた自分の茶で喉を潤す。
「あ~、俺の勝手に飲まねぇでくだせぇよ」
「お前のじゃねぇだろ、俺のだろ」
「土方さんが俺にくれたんだろィ」
「お前が勝手に盗ったんだろーが・・・」
流石にもう不毛だと思い溜め息混じりにそう返し、真っ正面にある人垣を見遣る。
もし、いま此処でキスしても誰も見ていないだろう、なんて思って、もう一度名前を呼んで此方を向いたところで口付けた。
ぱちくりと驚いた風に瞬き一つしてから、素直に総悟は瞼を閉じる。
キスしている最中の、総悟の顔が好きだ。
長い睫毛が少し赤みを帯びた頬に影を落とし、キュッと眉を寄せて抵抗せずにされるがままの総悟は普段とはうって変わってしおらしくて、何だか優越を覚える。
「んっ・・・」
苦しげな声に唇を離すと恨みがましげな目で睨まれておもいっきり足を踏まれた。
「ってぇな」
「・・・・・・土方さん」
じんじんとする足を擦りながら文句を言うが黙殺され、遠くを見たまま総悟が口を開く。
自由奔放だと本当に思う。
「賭け、しやせんか」
「賭け?」
「俺のチームが勝ったら俺の勝ち、あんたのチームが勝ったらあんたの勝ち。負けた方が勝った方の言うこと、一つだけ聞くんでさ」
「何でもか?」
「何でも」
チラリ、と教室に掛けられている得点板を見上げる。
誕生月別のチーム編成で俺と総悟は別のチームだ。総悟の方のチームが二位で俺のとこのチームが一位。その差は100点ばかりある。
これじゃどう考えても俺の方が有利だ。そう思い視線を隣に戻すとニヤリと年相応の顔をした。
「このままサヨナラ勝ちするかもしれやせんぜ?」
「100点差だろ、ありえねぇだろ」
「さぁ、分かりやせんよ。で、どうすんで? 今ンとこあんたの方が有利ですぜ?」
「・・・いいぜ。受けて立つ」
詰まらない体育祭が少しでも楽しめるのなら、と承諾すると総悟は満面の笑みを浮かべた。
そして閉会式も終え後夜祭へ出たり下校したりで無人に近い教室。
窓の外揺らめくキャンプファイヤーをクラスメイトの席に座って眺めていると、クイッ、と袖を掴まれた。
橙色に照らされた髪が形容しようのない、綺麗な色をしている。
「昇降口もう施錠されちまいやしたぜ。どうやって外出る気ですかィ」
「まぁ何とでもなるだろ」
折角二人っきりだというのに、色気もへったくれも無い会話だ。袖を掴んだままの総悟の手を握り、指先に軽く口付ける。
結局、点差は30点まで縮んだが総悟のチームは逆転優勝することなく体育祭は終わった。けれど、総悟は悔しがったりしなければ賭けをナシにしたりもしなかった。
もしかしたら、と。
もしかしたら負けるのを充分承知でこの賭けを提案したんじゃないか、などと思う。
キャラ的には有り得ないが。
「お前、負けるの分かってただろ」
「そんなこたァありやせんよ」
「嘘つけ」
そう言うと目をそらし総悟は窓の外を眺めた。掴んだ指先が握り返してくる。
「たまには、こういうのもいいじゃねぇですかィ。あんたが何て言うのか、聞いてみたかったんでさァ」
真摯な目に射止められて、誘われるがまま唇を重ねた。指先を繋いだままついばむように触れ合って、名残惜しくキスを止める。
こつんと額を合わせて互いの瞳に相手を写し、囁きかける。
「ずっと俺の傍にいろ」
嬉しそうに瞳を細め、総悟は笑みを浮かべて頷いた。
#38
人の命の 惜しくもあるかな
青少年の過ち
少し薄曇りな空の下、健全な少年少女らは体育祭という名目でグランドを駆け、飛び回る。
その様子を同年代だというのに冷静に見守っていた青年は、何か思い立ったように突然立ち上がり、自分の応援席を離れた。
今は体育祭目玉の応援合戦の真っ最中。誰も自分の行動を気に止めないはずだ、そう思いつつも向かったのは自分と同じ、今日ばかりは周囲から浮いているであろう少年の元。
予想通り、皆が最前列付近で声を張り上げているのに対し、一人ぽつんと椅子に座っていた彼の名を呼ぶ。
「総悟」
「あ、土方さん」
普段と変わらぬ無表情が此方を振り返り、ほんの少し口角を上げる。
祭事は好きだが体育祭だけは乗る気はしない、とは中々不思議なヤツだ。元から普通から駆け離れた人間だけれど。
空いてる隣の席に座り、朝、総悟に盗られた自分の茶で喉を潤す。
「あ~、俺の勝手に飲まねぇでくだせぇよ」
「お前のじゃねぇだろ、俺のだろ」
「土方さんが俺にくれたんだろィ」
「お前が勝手に盗ったんだろーが・・・」
流石にもう不毛だと思い溜め息混じりにそう返し、真っ正面にある人垣を見遣る。
もし、いま此処でキスしても誰も見ていないだろう、なんて思って、もう一度名前を呼んで此方を向いたところで口付けた。
ぱちくりと驚いた風に瞬き一つしてから、素直に総悟は瞼を閉じる。
キスしている最中の、総悟の顔が好きだ。
長い睫毛が少し赤みを帯びた頬に影を落とし、キュッと眉を寄せて抵抗せずにされるがままの総悟は普段とはうって変わってしおらしくて、何だか優越を覚える。
「んっ・・・」
苦しげな声に唇を離すと恨みがましげな目で睨まれておもいっきり足を踏まれた。
「ってぇな」
「・・・・・・土方さん」
じんじんとする足を擦りながら文句を言うが黙殺され、遠くを見たまま総悟が口を開く。
自由奔放だと本当に思う。
「賭け、しやせんか」
「賭け?」
「俺のチームが勝ったら俺の勝ち、あんたのチームが勝ったらあんたの勝ち。負けた方が勝った方の言うこと、一つだけ聞くんでさ」
「何でもか?」
「何でも」
チラリ、と教室に掛けられている得点板を見上げる。
誕生月別のチーム編成で俺と総悟は別のチームだ。総悟の方のチームが二位で俺のとこのチームが一位。その差は100点ばかりある。
これじゃどう考えても俺の方が有利だ。そう思い視線を隣に戻すとニヤリと年相応の顔をした。
「このままサヨナラ勝ちするかもしれやせんぜ?」
「100点差だろ、ありえねぇだろ」
「さぁ、分かりやせんよ。で、どうすんで? 今ンとこあんたの方が有利ですぜ?」
「・・・いいぜ。受けて立つ」
詰まらない体育祭が少しでも楽しめるのなら、と承諾すると総悟は満面の笑みを浮かべた。
そして閉会式も終え後夜祭へ出たり下校したりで無人に近い教室。
窓の外揺らめくキャンプファイヤーをクラスメイトの席に座って眺めていると、クイッ、と袖を掴まれた。
橙色に照らされた髪が形容しようのない、綺麗な色をしている。
「昇降口もう施錠されちまいやしたぜ。どうやって外出る気ですかィ」
「まぁ何とでもなるだろ」
折角二人っきりだというのに、色気もへったくれも無い会話だ。袖を掴んだままの総悟の手を握り、指先に軽く口付ける。
結局、点差は30点まで縮んだが総悟のチームは逆転優勝することなく体育祭は終わった。けれど、総悟は悔しがったりしなければ賭けをナシにしたりもしなかった。
もしかしたら、と。
もしかしたら負けるのを充分承知でこの賭けを提案したんじゃないか、などと思う。
キャラ的には有り得ないが。
「お前、負けるの分かってただろ」
「そんなこたァありやせんよ」
「嘘つけ」
そう言うと目をそらし総悟は窓の外を眺めた。掴んだ指先が握り返してくる。
「たまには、こういうのもいいじゃねぇですかィ。あんたが何て言うのか、聞いてみたかったんでさァ」
真摯な目に射止められて、誘われるがまま唇を重ねた。指先を繋いだままついばむように触れ合って、名残惜しくキスを止める。
こつんと額を合わせて互いの瞳に相手を写し、囁きかける。
「ずっと俺の傍にいろ」
嬉しそうに瞳を細め、総悟は笑みを浮かべて頷いた。
#38
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