梅々
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茫然自失
最近平井堅の新曲にはまってる早良です★
なんか土沖でやりたい。としろーが歌手で、沖田がその恋人。なのかな?ってーのが脳内設定。読みたいなァ。
それでは百人一首で土沖。
なんか土沖でやりたい。としろーが歌手で、沖田がその恋人。なのかな?ってーのが脳内設定。読みたいなァ。
それでは百人一首で土沖。
土方さんは綺麗なものが好きだ。白粉で素顔を隠す、上品なお姉さん達に、洗濯した後のシャツとか、真っ赤な梅、硝子細工にも興味はあるらしい。
土方さんは完璧だから、完璧な綺麗なものが好き。
俺とは真逆。俺は道端にずたずたになって死んでる猫とか、降り出しそうな空とかそっちのほうが、心にずん、とくる。
汚い俺。自分と同じ、命あるものを自らの意思で殺めている。
なのに、なんでアンタは、そんな神聖なものに触れるように俺に触れるの?
ダイヤモンドダスト
男のくせに真っ赤な唇が俺の指先を、形を辿るように這う。土方さんの男らしい手より一回り小さくて、俺の中で一番汚いと思う、手を。
右手全部の指を終えると、次は左手に移る。なんだか儀式のようだとも思う。
何の為の、儀式?
「土方さん」
「黙ってろ」
あ、と思った。
もしかして俺は身代わり?
そう思うとなんかつじつまが合ってきて、怖いぐらいだ。なんで土方さんがこんな変な事してるのか、とか悩んでいたのがすっきりしたのは喜ばしいけれど、また少し悶々とする。
俺を必要としてるわけじゃないんだな、と。馬鹿馬鹿しいけど、思う。
両の手が終わると、今度は頬を撫でられる。慈しむような、優しい温もりが壊れ物を扱うように、触れてくる。
「総悟・・・」
少し無理矢理に合わされた視線。土方さんの海みたいに蒼い眼が俺を射抜く。痛々しい程優しい眼で見られていたたまれなくなって眼を反らした。
全てを見透かされそうで恐くなる。きっと、隊士もこの目が怖いんだろう。秘密を隠し通せなくなるんだ。
この、清んだ瞳に。
「・・・俺、もう眠いんですけど」
両頬を捕えられたまま、視線だけは出来る限り土方さんを映さないよう端に向ける。それでも目の前に居るのだから必然的に視界に入る。
早く、逃れたい。
誰かの代わりにされんのなんか嫌だ。
それに、いつもよりも可也優しい土方さんに調子が狂う。冗談言ってかわしたり出来なくなる。
「・・・嫌か?俺に触られんの」
少し不抜けな質問が可笑しくてつい笑い声が漏れてしまった。怪訝そうに眉を潜める。
「普通そういうこと聞きやせんよ」
「まァそりゃあ・・・。でも、嫌ならいいぜ。戻って」
戻りたい、そう思ったけれど、身代わりじゃないなら触って欲しい。・・・勘違いしてるだけかもしれないから。
「そう言われたら困るんですがねィ。そこまで嫌なわけじゃありやせんから」
「でも、お前妙に静かだからよ」
それはアンタが妙だから。
別にアンタだけじゃないんですぜ、戸惑ってるのは。
そんなことさえ気付かないんで?
「こういう風に触られんの、慣れてないから仕方がねぇんです」
「・・・」
両頬を包んでいた手が離れていった。
土方さんがどんな気持ちでこんな風に触れてくるのかは分からないけれど、俺には、愛撫されてるようにしか感じられない。
そういう経験をした事が未だ無いけれど、繋がる為の、前戯のようで。
「・・・気持ち悪かったか?」
「・・・それ聞いてどうするんですかィ」
「悪くない、つったら続きするに決まってんだろ」
「・・・続き、ってぇと?」
もしかしてもしかすると。
「・・・・・・ヤりてぇな、と」
「変態?変人?どっちですかィ」
「やっぱ言わなきゃよかった」
ハァ、と殊更重々しく溜め息をつかれた。別に嫌だとは言っていない。それなのに。
「嫌じゃねぇんですけどねィ、俺は。・・・でも」
「でも、なんだよ?」
何と言えばいいんだろう。
俺は汚いから、アンタとは不釣り合いだ。・・・とは言えない。
「俺はアンタの美学に反すると・・・」
「なんだそれ」
「アンタは綺麗なものが好きだろィ?」
「まぁ・・・そうだな」
「俺は、汚ねぇでしょう」
だから、何で触んのか分からない。
分からないことばかりだ。
「・・・は、」
途端に間抜けっ面になった土方さんが不思議で気になったけれど、先を進める。
「土方さんは汚いもの嫌いでしょう」
間抜けな顔のまま土方さんは俺をじいっと見てくる。
沈黙が、長い。
「・・・お前って汚ねぇの」
「そりゃあ。何人も殺してやすし」
「それなら俺もだろ」
そりゃあまァ、と頷いた瞬間、目の前が真っ黒くなった。かぎ慣れた匂いがする。
抱き締められてんだな、とボンヤリ考えて、やり場のない両手の行き先に悩んだ。
「・・・汚ねぇモン同士なら問題ねぇだろ」
「だから、アンタは嫌だろ、って・・・」
「だから、関係ねぇつってんだろ。ったく、なんつったら通じんだよ・・・」
だから何を、と呟いたがくぐもって、耳に届いたか定かではない。でも、どうやらこの会話の流れから、誰かの身代わりにされてるわけじゃないみたいだ。少し、ホッとした。
―――――俺は、この人が好き・・・なのか?
寒気がする。そんなこと考えた自分が、気持ち悪い。
土方さんが好き?有り得ない。寧ろ俺は、この人が嫌いだ。それは何事にも変えられない、決定事項。だけれど、触れられて嫌じゃない、ってことは。
肯定でもあり、否定でもある。
「―――――地獄まで、一緒に行こうぜ」
「・・・」
顔を見上げると案外真顔で、何も言い返せない。
幼稚な、告白。
この人らしくない。女の人相手だったらこんな幼稚な科白をはかないだろう。
俺の為だけの、子どもみたいな言葉。
徐々にじわじわと胸に染みてくる。
「俺が行くのは天国ですがねィ」
「うっせ。地獄に引きずり込んでやる」
「・・・って死ぬときは一緒になっちまうんじゃ?」
それでもいい、と思ったのはただの気まぐれだけど。
窒息するぐらい強く、抱き締めた。
高砂の 尾上の桜 咲きにけり
外山の霞 立たずもあらなむ
#73
土方さんは完璧だから、完璧な綺麗なものが好き。
俺とは真逆。俺は道端にずたずたになって死んでる猫とか、降り出しそうな空とかそっちのほうが、心にずん、とくる。
汚い俺。自分と同じ、命あるものを自らの意思で殺めている。
なのに、なんでアンタは、そんな神聖なものに触れるように俺に触れるの?
ダイヤモンドダスト
男のくせに真っ赤な唇が俺の指先を、形を辿るように這う。土方さんの男らしい手より一回り小さくて、俺の中で一番汚いと思う、手を。
右手全部の指を終えると、次は左手に移る。なんだか儀式のようだとも思う。
何の為の、儀式?
「土方さん」
「黙ってろ」
あ、と思った。
もしかして俺は身代わり?
そう思うとなんかつじつまが合ってきて、怖いぐらいだ。なんで土方さんがこんな変な事してるのか、とか悩んでいたのがすっきりしたのは喜ばしいけれど、また少し悶々とする。
俺を必要としてるわけじゃないんだな、と。馬鹿馬鹿しいけど、思う。
両の手が終わると、今度は頬を撫でられる。慈しむような、優しい温もりが壊れ物を扱うように、触れてくる。
「総悟・・・」
少し無理矢理に合わされた視線。土方さんの海みたいに蒼い眼が俺を射抜く。痛々しい程優しい眼で見られていたたまれなくなって眼を反らした。
全てを見透かされそうで恐くなる。きっと、隊士もこの目が怖いんだろう。秘密を隠し通せなくなるんだ。
この、清んだ瞳に。
「・・・俺、もう眠いんですけど」
両頬を捕えられたまま、視線だけは出来る限り土方さんを映さないよう端に向ける。それでも目の前に居るのだから必然的に視界に入る。
早く、逃れたい。
誰かの代わりにされんのなんか嫌だ。
それに、いつもよりも可也優しい土方さんに調子が狂う。冗談言ってかわしたり出来なくなる。
「・・・嫌か?俺に触られんの」
少し不抜けな質問が可笑しくてつい笑い声が漏れてしまった。怪訝そうに眉を潜める。
「普通そういうこと聞きやせんよ」
「まァそりゃあ・・・。でも、嫌ならいいぜ。戻って」
戻りたい、そう思ったけれど、身代わりじゃないなら触って欲しい。・・・勘違いしてるだけかもしれないから。
「そう言われたら困るんですがねィ。そこまで嫌なわけじゃありやせんから」
「でも、お前妙に静かだからよ」
それはアンタが妙だから。
別にアンタだけじゃないんですぜ、戸惑ってるのは。
そんなことさえ気付かないんで?
「こういう風に触られんの、慣れてないから仕方がねぇんです」
「・・・」
両頬を包んでいた手が離れていった。
土方さんがどんな気持ちでこんな風に触れてくるのかは分からないけれど、俺には、愛撫されてるようにしか感じられない。
そういう経験をした事が未だ無いけれど、繋がる為の、前戯のようで。
「・・・気持ち悪かったか?」
「・・・それ聞いてどうするんですかィ」
「悪くない、つったら続きするに決まってんだろ」
「・・・続き、ってぇと?」
もしかしてもしかすると。
「・・・・・・ヤりてぇな、と」
「変態?変人?どっちですかィ」
「やっぱ言わなきゃよかった」
ハァ、と殊更重々しく溜め息をつかれた。別に嫌だとは言っていない。それなのに。
「嫌じゃねぇんですけどねィ、俺は。・・・でも」
「でも、なんだよ?」
何と言えばいいんだろう。
俺は汚いから、アンタとは不釣り合いだ。・・・とは言えない。
「俺はアンタの美学に反すると・・・」
「なんだそれ」
「アンタは綺麗なものが好きだろィ?」
「まぁ・・・そうだな」
「俺は、汚ねぇでしょう」
だから、何で触んのか分からない。
分からないことばかりだ。
「・・・は、」
途端に間抜けっ面になった土方さんが不思議で気になったけれど、先を進める。
「土方さんは汚いもの嫌いでしょう」
間抜けな顔のまま土方さんは俺をじいっと見てくる。
沈黙が、長い。
「・・・お前って汚ねぇの」
「そりゃあ。何人も殺してやすし」
「それなら俺もだろ」
そりゃあまァ、と頷いた瞬間、目の前が真っ黒くなった。かぎ慣れた匂いがする。
抱き締められてんだな、とボンヤリ考えて、やり場のない両手の行き先に悩んだ。
「・・・汚ねぇモン同士なら問題ねぇだろ」
「だから、アンタは嫌だろ、って・・・」
「だから、関係ねぇつってんだろ。ったく、なんつったら通じんだよ・・・」
だから何を、と呟いたがくぐもって、耳に届いたか定かではない。でも、どうやらこの会話の流れから、誰かの身代わりにされてるわけじゃないみたいだ。少し、ホッとした。
―――――俺は、この人が好き・・・なのか?
寒気がする。そんなこと考えた自分が、気持ち悪い。
土方さんが好き?有り得ない。寧ろ俺は、この人が嫌いだ。それは何事にも変えられない、決定事項。だけれど、触れられて嫌じゃない、ってことは。
肯定でもあり、否定でもある。
「―――――地獄まで、一緒に行こうぜ」
「・・・」
顔を見上げると案外真顔で、何も言い返せない。
幼稚な、告白。
この人らしくない。女の人相手だったらこんな幼稚な科白をはかないだろう。
俺の為だけの、子どもみたいな言葉。
徐々にじわじわと胸に染みてくる。
「俺が行くのは天国ですがねィ」
「うっせ。地獄に引きずり込んでやる」
「・・・って死ぬときは一緒になっちまうんじゃ?」
それでもいい、と思ったのはただの気まぐれだけど。
窒息するぐらい強く、抱き締めた。
高砂の 尾上の桜 咲きにけり
外山の霞 立たずもあらなむ
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