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梅々

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花見

確か桜が綺麗な道がこの先にあると沖田が話していた。それを思い出し、遠回りだと知っていながらも桜が咲いている道へ足をのばす。
等間隔に並んだ街灯が夜桜を照らし出す様はなかなか風情がある。煙草に火をつけ、煙を風に遊ばせながら見上げて歩いていれば、人の気配がした。木々に向けていた視線を下げれば、風に舞う栗色の頭が視界に入った。
あの見慣れた丸い後ろ頭は。
「総悟」
「あれ、土方さん」
振り返った沖田はもとから丸っこい目をさらに丸くして俺を見た。気のせいか、目尻から頬にかけて赤みを帯びている。酒でも飲んだのか。
土方が出てきた時点で日付が変わってから一時間は過ぎていた。未成年者がこんな時間にひとりでいるのは宜しくない。特に、沖田のような見た目のものが。なんて言えやしないが。
「何してるんだ」
「花見でさ」
「一人でか?」
「いえ。旦那とでさ。ちょっとつまみを調達に行っちまいやしたが」
万事屋と。そう聞いて土方の眉間にしわが寄る。
万事屋自体が好きでない上に、沖田がその男と一緒にいるということが面白くない。しかも、気がゆるんでいるのか珍しく酔いが回っているようだ。仄かに表情が緩んでいる。
「……もう時間も遅い、帰るぞ」
「やでさァ。白粉臭いあんたと並んで歩けやすか」
ふい、と沖田は顔を背けた。
まるで妬いているかのようだ。なんて、自惚れたことを考え自嘲する。
あまり吸わないまま短くなってしまった煙草を捨て火を踏み消し、息を吐く。
「会議には遅刻すんなよ」
「……へーい」
花見ぐらいは自由にさせてやろうと、無理矢理にでも連れ帰りたいのをこらえ背を向けた。








両片思いが好きです。
あと拍手ありがとうございます!最近頻繁にいただけて嬉しいです。
スマホにしてからタイプミスが多くて苛々していますが五周年ネタもそろそろ書きたいな!!
あとネタバレは文面でお願いしたい!

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祝☆映画化

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