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梅々

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爆睡するぞ!

明日は午後から狂言みに行きます。だから午前中は寝たおしたいけど勉強しとかなきゃ後々辛いのです。
曇天が先週オリコン三位だったのはすごいと思う。





それでは予定通りにいったぜな梅雨ネタ後編。納得いかない出来だけど堪忍してください。


















「行かないで」

と伸ばされた手を

どうしてあの時、掴んで抱き締めてやらなかったのだろう





灰の空





事後の気だるい雰囲気を一蹴して立ち上がり、シャツの釦を止め、手早く帰り支度をしてゆく。
未だ布団に寝っ転がったままの女が後ろ髪を引っ張るように、問う。

「今日もお帰りになるの? たまには泊まってゆけばいいのに」

「いや、帰る」

「・・・つれないヒト」

―――――優しいのは最中だけね。

と言われたのはいつのことだったか。
当たり前だろ、と思う。別に心の底から愛しているとかそういうわけではないのだから。
じゃあ、と後ろ手にヒラヒラ手を振り夜道を歩く。
チカチカしている街灯と何処かの星から来た宇宙船の光が、元来は暗い道を照らす。
昼間は晴れていたが、月には雲がかかっている。梅雨の貴重な日光だと、山崎が洗濯物を干していた姿を思い出す。

―――――今日は、きっと自室で眠っているだろう。
この間、甘い香りを身に纏い帰って来たときから急に大人びたように思える総悟の姿が一瞬頭に浮かび、続いて胸を覆った靄をどうにかしようと煙草に火を付けた。
あの甘い香りは、と考えて行き着くものは気にくわない、あの男。最近知り合ったばかりだというのに総悟は、矢鱈とあの男とつるんで甘味を食べに行ったりしている。

とても、気にくわない。

今日の昼間も、二人仲良く座り、会話していたのが目に入った途端に頭の中で何かが弾けていて。気付けば総悟の腕を掴み屯所へと向かっていた。
以前より妙に増した色香に、押し倒してしまわなかったのが唯一の救いか。
あの色香に、何度理性が崩壊しそうになったことか。子どもの頃から傍にいて、昼寝している姿に欲情したことも、たった一度だけだが、行くなと引き留められたこともあった。あの時、あのまま総悟の傍にいたら、無理矢理にでもあの小さな体を抱いてしまいそうで。酷いことをしたと分かっていながら、あいつを置いて出ていった。
それからだ。死ねだの何だの、嫌がらせ等がエスカレートしたのは。

―――――それでも、好きだった。

あの頃から、ずっと。

この気持ちは、あいつに伝わることは無いけれど。




「ヤな雨ですね~」

「だな」

茶を持って来た山崎の他愛も無い世間話に相槌をうち、書類に判子を押す。これで今日のノルマは終わったと、伸びてから山崎が未だ退室せずそこにいることに違和感を覚える。
もう用は無いし、山崎だって用は無いはずだ。最近仕事を頼んだ覚えはなく、故に報告などもされるはずがないのだから。

「副長」

「なんだ」

「近頃、雨ばかりですね」

「だから、なんだ」

「・・・」

言おうとしていることは分かっている。だからこそ、聞きたくない。
雨になるたび総悟が何処へ行っているか、などと。
女が出来たのか、それとも男かと、詮索するのはヤボだけれども。
総悟は他の誰かを想っているのだと、考えただけで息が詰まりそうだ。

「俺、隊長は副長のことを誰よりも想ってると思うんです」

「んなこと言ってもよ、現にアイツは此処にいねぇだろ」

「・・・擦れ違ってるだけなんじゃないでしょうか」

たかが山崎のくせにやけに食いかかる。
今日は一体どうしたんだなどと、山崎を心配してやる余裕は無い。

―――――きっと、あの時。

あの手を掴んでやれていたなら、全ては変わっていた。あんな天パ如きに嫉妬心を抱くこともなかった。


悪いのは、俺なんだ。

「山崎、ちょっと出てくる」

「はい。沖田さんは明日非番ですからね」

確執なんか無くなるぐらい大喧嘩しようと何しようと大丈夫。
と暗に言われた気がして改めてこいつは隠密なんだと思う。



しとしと、と静かに振る雨の中じゃ目立つあの髪で見付けることはできない。
だけど。
何処に居たって見付けられる自信がある。

見慣れた通りを突き進むと、段々と辺りの雰囲気は変わり妖しげな建物が増す。
直感に従い歩いて来たが、果たして此処にあいつはいるのだろうか・・・・・・?
なんて考えは杞憂に終わった。少し先の路地から出てきた二人組の片方が、総悟だったのだ。そしてもう片方は、知らない中年。身なりからしてそれなりに金持ちだろうというのは分かるが、幕府の人間でも無さそうだし、何故二人でいるのか分からない。

「それじゃあ、」

とその男は茶封筒を総悟に渡し、ねちっこい手付きで肩を撫で、耳元で何か囁き去っていった。

―――――予感してたと言えば嘘になる。

だけど、そう簡単に信じられる事実じゃない。

「総悟」

名を呼ぶと背を向けていた総悟はビクリと体を震わせ、振り向いた。
目と目が合った途端、硝子玉のような瞳に驚愕という色が宿る。

思い違いではないのだと、その反応が現実をつきつける。

一歩踏み出すと弾かれたように総悟は走り出す。傘を投げ捨て追い、己のものより細いそれを掴む。

「っや・・・ッ!!」

此方を見た総悟の瞳には大粒の涙がたまっていて、寄せられた眉に胸がズキリと痛む。
必死に離そうと、もがく総悟の腕を掴む力をより強くすると、小さくうめいた。

「何してたんだよ、お前」

「・・・・・・何って見りゃ分かんだろ。エンコーでィ」

開き直ったような口調でそういうくせに、雨だけではなく涙で頬を濡らした総悟を抱き締めた。
刹那強張った体の力はすぐに抜け、縋るように背の布を掴む。
二人してこのまま雨に打たれている訳にはいかないと、腕を掴んでいた手を総悟の手に絡め、雨宿りにと近くの建物内へ入る。とはいっても此処は歓楽街であるからにして、当然此処もそういった類の宿泊施設で。
適当に部屋を選び、総悟の手を引き部屋へと赴く。
一番安いものを選んだのだがそれでも豪華だった。キングサイズのベッドは天蓋つきで、一面鏡張りにでもできるのだろう、枕元にはボタンがある。風呂の壁も硝子張りでベッドから中が見えるようになっている。

「・・・・・・」

「とりあえず座れよ」

「―――なんで、怒んねぇんですかィ」

ポツリ。
互いの気持ちを落ち着かせるため一先ず、と思い放った言葉に背後で総悟は呟いた。
顔を見れば涙はもう流れていなくて、ただただ、悲しそうな双眸が見つめてきているだけだった。

「どうして、理由きかねぇんですかィ。罵りもしないんですかィ。あんたの中で、俺は・・・・・・・・・俺は、そんなにどうでもいい存在なんですか、土方さん・・・」

白い袷から見える赤い情事の痕に怒りが沸くよりも早く、再び総悟は涙を流し始める。

理由なんてきける程、冷静なわけじゃない。

罵れる程、自分は立派な人間じゃない。

―――――大切だから、何も言えない。

あの時、あの小さな手を離してしまった俺には、傷付いた総悟を癒す権利なんかないのだから。

「・・・・・・じかた、さん・・・」

腕を引いてもう一度、総悟を抱き締める。そのままベッドに座り、足の上に総悟を乗せ、座らせる。
よしよし、と頭を撫でつつ華奢な体を抱き締め直す。

「なぁ、お前あんとき、どんな気持ちで手ェ伸ばしたんだ?」

「え?」

「餓鬼ン頃だよ」

「・・・・・・・・・寂しかったからでさァ」

素直な返答に満足して口角を上げると不思議、というよりも不満気な表情で見上げられる。
頬を伝う涙を指で絡めとってやり、コツン、と濡れた額をくっつけ視線を合わす。
あの時、あの手をとっていたならと、後悔しても仕方が無い。
それに、総悟がこんな事をしたのも俺の所為なのだと、思うのは自惚れかもしれないが。

「悪かった、総悟。あのまま傍にいたら自分が何すっか分からなかったんだよ。―――だから、これから先はずっと、傍にいてやる。もうするな、こんなこと」

「・・・・・・・・・ッ」

目を見開いて驚き、瞬巡するような素ぶりを見せた後、安堵した化のような、年相応の笑みを浮かべ総悟は強くしがみついてきた。
愛しい。
意固地にならず、もっと素直になるべきだったのだ、互いに。

「あんた、気障過ぎまさァ」

「そうでもねぇよ」

ひくひくと嗚咽を繰り返す総悟は何年分もの涙全てを流すように静かに泣いた。
漸く此方を見た顔は泣き腫れていて酷い有り様だった。バツの悪そうな、ふてくされた表情よりも、胸元に目がいってしまう自分の人間性が嫌になる。
そっと痕をなぞると一瞬痛みにか、眉を寄せ、ハッとした表情を浮かべ、袷を掴んだ。その手を退けさせ、袷を開く。

白い肌に無数に散らばる、朱。

いたたまれなさそうに総悟は顔を反らす。

「ったく・・・モノじゃねぇんだ、体大事にしろっての」

「・・・仕方ねぇだろィ」

「あのな、」

「でも、もうしやせんから」

甘えるように顔を擦り付けられて、多分二度と、こんな風に泣いたり甘えたりしてこないのだろうと思う。
でも、いい。
いつも通り、総悟が傍に居てくれるなら。

「このまま寝るか・・・」

「明日あんたは仕事だろィ。サボる気なんで?」

「たまにはいいんだよ」

そう笑いながら言うと、総悟は艶やかな微笑を返した。

―――――俺も、あんたと寝てぇな、今日は。

呟きとともに押し倒され、しがみついたまま総悟は寝る態勢に入った。
バクバクと高鳴った心音を聞かれないかと内心ヒヤヒヤしたけれどすぐに、寝息が耳に届いた。



次の日、夕方になってから二人して屯所へ戻ると、山崎が庭先でミントン片手に掃除していて、目があうと安堵したような微笑を浮かべた。
山崎のくせに、予想できてたみたいなその態度が気に入らない。

「オイコラ死ね山崎ィィィ!!」

「えっ、ちょっ、何でですかっ」

「俺も協力しまさァ、土方さん」

いつものように真っ黒い笑みを浮かべた総悟に、やっぱり総悟はこうでなければと思った。

その日ニュースで、梅雨明けを告げていた。

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