梅々
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水音は果てしなく澄んで
美術館行ってきました。
ってか今年のルパン、知ってる声優さん二人いたよ。珊瑚訳の人とヅラ。びっくし。
それじゃ、百人一首始動です。
山崎はやっぱ片想いだよね。
ってか今年のルパン、知ってる声優さん二人いたよ。珊瑚訳の人とヅラ。びっくし。
それじゃ、百人一首始動です。
山崎はやっぱ片想いだよね。
かくとだに えやはいぶきの さしも草
さしも知らじな 燃ゆる思ひを
笑う熾天使
「オイ」
呼び掛ける声に目が覚めた。またぱしられるのか、と憂鬱な気持ちで顔を上げようとしたがどうやら俺を呼んだんじゃないらしい。隣の席で携帯をいじっていた音が止んだ。そう、俺を呼ぶ回数よりもこの人を呼ぶ回数の方が文字通り圧倒的に多いんだ。土方さんは。
「何ですかィ?」
隣の席になれた事は運命としか言いようがない。けれど、それでも距離は縮まらなかった。これっぽっちも。土方さんには、全く及ばない。
「ちょっとよ、」
そこで言葉をきり、沖田さんの前の席に向かい合わせになるように座った。沸き上がる好奇心に勝てず、寝たフリしたまま盗み聞きする。腕の隙間から微かに見える沖田さんの唇はいつものように赤い。
「口、貸してくんね?」
は、思わず声がもれそうになったがギリギリ堪えた。口を貸す、って、何だ?手を貸すなら聞いた事はある。けど口って・・・貸してどうするんだ?悶々と考えていると、赤い唇が笑みの形をつくった。人を小馬鹿にしたような、それでいて見惚れてしまう独特の笑顔。はっきりいって俺に向けられた事は五指に収まりきるくらいだけど、土方さんには常に向けられている。
羨ましいことに、当人はその笑顔があまり好きじゃないようだけど。
「いいですぜ。何、また禁煙?」
「ま、な。そんなトコ」
次の瞬間、唇が合わさった。
驚いて顔を上げ、教室の中を見回すが、誰も気にもとめてない。男子校だから、とありふれた光景なのかただ気付いていないだけか、多分後者だと思うが。
改めて、まじまじと見てしまう。好きな人が他の奴とキスしてんのをまじまじと見んのは自虐的な行為な気もするが、目がはなせない。残念なことに。
慣れてる気がする。沖田さんも、勿論土方さんも。相手の唇の感触を確かめあうように重ねた後、今度は恋人同士のように舌を軽く絡ませあって。沖田さんの睫が陰を白い頬に落とすのにつれ、その頬に向かって手が伸ばされていく。
今更だけど目を瞑り再び顔を伏せる。けれど今度は、水音が耳に響き、もっといたたまれなくなる。
「・・・あんた欲求不満でたまってんじゃね?」
「仕方ねぇだろ。ヤり盛りの思春期なんだから」
「ただの発情期だろィ」
くすくす笑うその声にまで、耳を塞ぎたくなる。さっきの情景が瞼の裏に焼き付けられて、目を開けてもまだ、残像が見える。
勝ち目なんてない、不毛な恋だとわかっていたけど、淡い期待を抱いていた。だって、土方さんの次に仲良いの俺だし、暇潰しに、だけど放課後色んな所に遊びに行ったこともある。
沖田さんが目で土方さんを追っていたのも、土方さんも同じようにそうしてたのも知ってたし、時折沖田さんが第一釦まで閉じていた理由も知ってる。
それでも、こんな場面を目にしても、諦めきれない。
まだ勝ち目はあると淡い期待をする。だって。
「彼女とはシねぇんで?アンタのことだ。もう喰っちまったんだろィ?」
「ヤり過ぎはよくねぇだろ。いくらなんでも」
いつかは、沖田さんが諦めるんじゃないか、って思うから。二人は本気だけど、“遊び”で付き合ってるようなフリを互いにしていて、互いに片想いのままで。卑怯な真似だけど、俺は黙って待つしかしない。
「・・・放課後、空いてるか」
「アンタの為なら喜んで空けやすよ」
本心を冗談のように言いながら、土方さんの首筋に、口付けた。シャツの隙間からギリギリ見えるその位置に、赤い痕が一つ。
「・・・お前此処につけんなよ」
文句を言いつつ予鈴の為立ち上がった彼に向かって、沖田さんは寂しそうに微笑んだ。
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