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梅々

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明日はクリスマスですね!
ラルクのアルバムを聞かなければ・・・。今週、祖父母の家でガンダム見ようとして挫折しました。従兄弟に言って、6chにさせたけど、祖父が「なんじゃこりゃ」的なこと言ったので、シャイな私はチャンネル権を祖父に返しました。

今日出先で、スーツ着た男性がパーティーなどにも出れそうなワンピース着た彼女の手を握ってエスコートしていて、きゅんときました。かっこいい。
『東京あまとりあ』の長男と主人公なイメージ。・・・ってマイナーな上主人公らの名前も忘れてるのですが。
あ、G線上の猫でもやれそうですね。黒が白のエスコートしてるといい。


それでは、何とか終わったクリスマスネタ(百人一首)。表では初期土沖で百人一首やりました。














由良の門を 渡る舟人 かぢを絶え
行方も知らぬ 恋の道かな





本能の欲求





君が欲しい。

壊れるぐらい抱き締めて。

その心音を手にしたい。





昨日の夜から降り始めた雨は、朝方には雪になっていたらしく、夕刻屯所を出る時には僅かながら積もっていた。

純白い雪が、はらり、はらり。

知っていたなら朝から眺めていたものを。惜しい事をした。
だが夕刻そう考えた事も、現か白昼夢か、今では分からない。

「・・・そういや明日、クリスマスだったな」

刀を鳴かせながら鞘に納める。鍔と鞘のぶつかる音に緊張感がほぐれる。

半年前に比べ可也早く陽が落ちるようになった。
黒い闇に、呟きが白く溶けていく。
「・・・そういや、そうですねィ」
この闇夜の様に冷たく固く、言葉を紡ぎ、沖田は頬に付着した汚れを手の甲で無心に拭った。
冷たい眼差しが、何の感情も抱かず、一点を唯見つめる。

─────黒い地に積もった純白。その白をじわじわと犯す純血が、端に行くにつれ淡い桜色に交じる。

横たわる、人だったモノをまともに見ることが出来ず、目を反らす。
月に照らされた、白い頬に付着した汚れは乾いていたらしく、手を離しても付いたままだった。
「聖夜に人殺したァ・・・。俺らもついてやせんね。・・・・・・いや、あんたがついてねぇのか」
「うっせ。いいからその物騒なモン仕舞えや」
無言で血の滴る刀身を振り、刀を鞘に納める。

それでも、こいつの狂気は治まらない。

死体から顔を背け、俺を見る眼は瞳孔が開いていて、殺気に満ち溢れている。いつ斬りかかれるか、わからない。もし、そんなことになったら俺には防ぎきれない。
剣筋さえも見極めることが出来ないだろう。
だが、そんな事は起きないと信じている。馬鹿みたいに、ずっと。

「欲しい物が、あるんです」

改まった口調が、やけに静かで凛としていて、やっと正常に戻ったのか、と期待するが相変わらず背景に溶けこみそうな程冷めた表情の儘で、とんでもない事を言いそうだと、背筋が震える。
それならば話を聞かなければいいだけなのだが、催促されるとどうしても断れない。甘やかしてしまっているのだとわかっていても。
この大人ぶった子どもの願いは、出来るだけ叶えてやりたいと思う。
「副長の座、とかはなしだからな。・・・高いのか?」
「・・・そこそこ、高いかもしれやせん」
「何が欲しいんだ?」

「─────あんたの存在が欲しい」

一瞬止まった思考を再起動させたのは、総悟が自嘲的に微笑んだからだ。“馬鹿にするだろうけど”と思っているのだろう、そんなこと、全く無いのに。

欲しいと言うものは、殆どやってきたはずだ。
それこそ、屋台の林檎飴から、(経費から出したけれど)バズーカまで、様々な物を。
─────俺の命ぐらい、欲しいのならくれてやる、とさえ思っている。勿論、安易にはやれない。やる、と約束したところで、総悟と近藤さんならば近藤さんを選ぶし、総悟と真撰組ならば真撰組を選ぶ。
だが、どうやら欲しいのは命ではないらしい。“存在”と“命”の違いがよくわからないけど。
「存在、って命じゃねぇのか?」
「えぇ。あんたの命は真撰組のもんだから、手に入んねぇってわかってやすし」
そこで一度、総悟は言葉をきり、再び足元に転がる死体に目をやった。
つられてソレを見そうになって、ハッとし目を瞑る。

頬に、冷たくも温かい人肌が触れ、瞼を開けると真摯な眸が俺を見つめていた。

「─────この、何処の誰か知らない人を斬っても俺にはもう罪悪感なんてない。・・・麻痺、しちまったんだろうなァ。感覚が。・・・・・・この世からこの人の存在が消えても、胸は痛くない。それなのに、夢の中であんたを斬るたび、胸がずきずきする・・・。俺は・・・どうすればいいんですかねィ?」

「総悟・・・・・・」
呟いた声はかすれていて、総悟は苦笑しながら、指先を離す。
徐に俺から離れ暗闇の彼方を見上げ、しんしんと降り始めた雪に手を伸ばした。
「・・・・・・別に・・・答えを聞きたい訳じゃねぇんで、いいですぜ。無理しねぇで」
「無理なんかしてねぇよ」
「さぁ、どうだか。それなら答えられるんですかィ? あんたは」
どうすればいいかなんて答えられる訳がない。それは総悟自身が決める事であるからにして、俺が決めるべきではないからだ。
それでも、感情は何か言おうと、せわしなく頭を働かす。
「・・・本当、馬鹿ですよねィ、俺は」
「何でだ?」
「・・・土方さんに、こんな感情抱いちまうなんざ笑っちまう」
「─────俺もだ」
俺も。
可愛いなどと、こいつに向かって思うとは。
「やるよ、存在・・・っつう意味はわかんねぇけど」
「・・・嘘だァ」
ぱちくりと、瞬いた目は尋常に戻っていて、くりくりっとした双眼が、驚く。
「何で嘘だっつうんだよ。人がせっかく・・・」
「ずっと、俺の隣に居てくれやすかィ?」
「あぁ」
「何があっても?」
「あぁ」
「・・・俺の事、どう思ってんですかィ?」
「そりゃアレ・・・嫌いじゃねぇに決まってんだろ」
唐突な質問に驚き、しどろもどろに答える。
好きだと、純真に言うには大人になりすぎて、誤魔化すには足りなすぎる言葉しか思い付かなくて、結局、目の前の子どもを喜ばしてしまう言葉しか言えない。
・・・こいつに口喧嘩で勝てる事は未来永劫無いだろう。けれど、駆け引きを楽しみたい。
それには、俺の国語力の向上を望まなければならないが。
「はっきり、言いなせェよ」
「んでだよ。てめぇだって曖昧に表現してんだろ」
「・・・じゃあ、俺が言えばいいってんで?」
「あぁ」
どうせまた、抽象的な言葉を寄越すだろう。
という予想は尽く打ち砕かれた。
「好きです」
「・・・・・・」
「ほら、あんたも」
腹を、括らなければ。
でも、言葉が出ない。総悟みたく、真っ直ぐな言葉なんて。
それでも、期待を込めた眼差しで見られると、唇は素直に言葉を紡いでしまう。
「─────好きだよ」
「・・・よく言えやした」
眩しい程の笑みにくらりとした。そんな俺を放って、さっさと総悟は帰路についてしまう。嬉しそうに、クリスマスソングを鼻唄で奏でながら。

総悟は、“ついてない”なんて言ったけれど、今年はついてるんじゃないだろうか。神の情けかもしれないけど。

何はともかく、手にした幸福に酔いしれたくて、細い冷たい指先に指を絡めた。





#46

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