梅々
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左近の桜
- 2012/03/03 (Sat) |
- 土沖 |
- CM(0) |
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バイトから帰ったららいあーげーむついてたので途中からいままで見ちゃいました。
きのこ頭はツンデレで調教されてる。秋山さんかっこいい。白髪はベジータ。
あと菱餅を買いました。あれってただの餅なのね。
それでは雛祭りネタ。土沖っぽい。
きのこ頭はツンデレで調教されてる。秋山さんかっこいい。白髪はベジータ。
あと菱餅を買いました。あれってただの餅なのね。
それでは雛祭りネタ。土沖っぽい。
右近の橘
昼間、総悟が珍しく部屋に閉じこもっていたのは知っていた。どうせ寝ているのだろうと推測して、非番だから放っておいた。だが、寝ていたのではないらしい。
仕事が終わり湯を浴びてから総悟の部屋に訪れた。隊士から借りたのか布団の上寝そべり、漫画を読んでいる総悟に視線を向けると、違和感を感じた。部屋の雰囲気がちがうのだ。なんだ、と総悟から視線を上げればすぐに、違和感の正体が分かった。
文机の上に、雛人形が置いてあったのだ。瓜実顔の一対の人形が、台座の上、金の屏風を背にし飾ってあった。一瞬、ぶわっとなんともいえない感傷が胸を苛んだ。見たことがある気がする。
「早くしめてくだせぇよ」
「その、雛人形どうしたんだよ」
そもそも何故飾ってあるのか。真選組に女はいない。桃の節句などかれこれ一度も祝ったことがない。端午の節句もそうだ。それを口実に酒を飲んだりはするが。
障子を閉じつつ問えば、総悟が此方を向いた。感情の読めない真ん丸な赤い瞳が俺を射抜く。
「姉上の形見なんでさ」
ああ。
納得した。そうだ、見たことがある。あの武州の、鄙びた村の古い家。居間の桐箪笥の上に、飾られていた。両脇に毎年花を添えて、桃の節句はいつも、あの家で酒を飲んでいた。ミツバと総悟は甘酒を飲みひなあられを食べていた。楽しそうに。
不埒な思いを抱いて来たのにその気が一気に殺げた。俺は相変わらずミツバに弱いらしい。寝転がり漫画に視線を戻した総悟の横に座って、頭を撫でてやる。
「何ですかィ急に」
「おまえこそ何で飾ったんだ。去年は出してなかったろ」
「……なんか思い出したんでさ」
ぱたんと漫画を閉じ、枕元に置いた。それからごろんと仰向けになり、総悟はしねぇの? と一言。
襟元から鎖骨が僅かに見える。その奥へ続く白い肌も赤く誘う飾りも、見たいし触れて味わいたいと、確かに思うけれど。郷愁が理性の役割を果たして、その欲求を抑える。
代わりに、と無防備なからだを抱き締めて布団に横たわった。
「土方さん?」
「ん」
「なに、してんのアンタ」
さらりと重力に従い落ちる、茶色い髪越しに雛人形が視界に入る。見張られているようだ。今日はなにもしねぇよ、と心内で言い訳をして、そっと背中を撫でる。
人形は嫌いだ。よく、持ち主の思いが残って……とかいう話を聞くがそんなの関係なくて、遺品の人形を愛でるのは結局自分のためだからだ。代わりにするなんて馬鹿げてる。そうやって物に感情を注ぐから、ありもしない怪奇現象だの何だのが噂になるに違いない。
でも、ミツバに代わり、人形を大事にしている総悟を見ていたら何とも言えない気持ちになった。どんなことを考えながら、おまえはこれを飾ったんだ。
「なにもしねぇから」
「嘘くさ」
「しねぇって」
する気は既に萎えている。期待されたとしても応えられない程に。自意識過剰なのか、人形の視線を感じるようで何とも言えない。
「……電気消すから、離してくだせェ」
困ったような声色に、素直に離してやれば、総悟は憮然としつつも困惑した表情を浮かべていた。カチカチ、と明かりを消し、総悟は俺の腕の中へ戻ってきた。布団を肩までかけてやれば身を擦り寄せてくる。首筋を柔らかな髪が撫でてこそばゆい。
感情の種類はおかしいのかもしれないが、コイツを愛しく思っているのは俺もミツバも変わらない。ミツバに対する思いもそうだ。綺麗な、尊いものだと思っている。俺の総悟に対するものは異なるが。
だから、人形の視線が気になるのだ。ミツバのものだったからと、気にして、総悟に嫌がられるかもしれないと想像して。
「土方さん」
「なんだ」
「おやすみなせぇ」
「おやすみ」
武州にいた頃よりは、互いに素直になれているのだと思うが。互いに言葉にするのが苦手だから、実際のところは分からないのだ。
**
見回りから戻り部屋の障子を開きぎょっとした。書類の山に囲まれて、人形が此方を向いていたのだ。昨日、いや今朝まで総悟の部屋にあった雛人形が。しかも女の方だけだ、内裏の人形はない。
心拍数の戻ったのを確認してから、部屋の真ん中に寝転ぶ総悟の腹を小突く。
「いてぇ」
「いてぇじゃねぇ。なに飾ってんだ」
「一応、アンタの部屋のまずい空気も吸わせようかと」
アイマスクを上げた総悟がぱちぱち瞬きし、また、感情の読み取れない目を向ける。
それはただの人形だ。昨日の自分は棚にあげて言いかけた唇を塞がれた。
「おまえは信心深いのか、そうでないのかわかんねぇ」
「信心深いですぜ。じゃなきゃアンタを呪いやしない」
同じ尺度で測っていいのか。
呆れた俺に、アンタも信心深いくせにと拗ねたようにと呟いて、再び唇を重ねてきた。
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