梅々
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完成なりー
サイト名変更しましたー。と一応もう一回。
それと、六万五千打ありがとうございます!
今日はサーチ登録し直したから初見の方が多いかもです。
本当にもう、ブログ型止めたいんですけど真面目に作れないし今さらやったら死ぬ。数百の小説をコビペするなんて時間がないです。
で、今日沖田のフィギュア届きましたー!箱から出さずに何ヵ月いられるか。私的には入試終わるまで開けないでいたい。二ヶ月我慢できればいいかな。
あぁぁぁぁぁぁ可愛いです。
では、54000打杜様リクエストの「手錠の約束」(2007年2月26日)の続きです。三年半前のなんだなと染々思う。
杜様、リクエスト本当にありがとうございました。
続きを書く契機を与えてくださって感謝しています!
あ、土沖(+高)です。
それと、六万五千打ありがとうございます!
今日はサーチ登録し直したから初見の方が多いかもです。
本当にもう、ブログ型止めたいんですけど真面目に作れないし今さらやったら死ぬ。数百の小説をコビペするなんて時間がないです。
で、今日沖田のフィギュア届きましたー!箱から出さずに何ヵ月いられるか。私的には入試終わるまで開けないでいたい。二ヶ月我慢できればいいかな。
あぁぁぁぁぁぁ可愛いです。
では、54000打杜様リクエストの「手錠の約束」(2007年2月26日)の続きです。三年半前のなんだなと染々思う。
杜様、リクエスト本当にありがとうございました。
続きを書く契機を与えてくださって感謝しています!
あ、土沖(+高)です。
泳がせてやる
好きにさせてやる
でも散々我儘を聞いてやるんだから
全て済んだら覚えてろ
手錠の約束
ベッドを軋ませて上体を起こすと、隣で眠っていた男が身動いた。起こしたかと、音をたてないように様子を見る。けれど、眠ったままのようで、規則正しい寝息と共に剥き出しの肩が上下しているのを幾分か眺めてベッドから降りた。
噂に聞いたよりも中々いい男だった。頭の回りも良く、人の扱いもうまい。そんな、マフィアのお偉いさんが俺の隣で安眠している。このまま気絶させて、近藤さんのところに運ぶことだって出来るだろう。しないけど。
なんとかパーティーに潜り込んで、どう傍につくかと考えていたら。向こうから声をかけてきたのには驚いた。ワインを手に気障ったらしくどうぞ、と、言ったあの時のこの男のことを思い出すと笑ってしまう。
女たらしの鏡だな、と。胸に詰め物して背がざっくりあいたイブニングドレスを着た男を、ナンパするなんて。単なる笑い話で終わりそうなものなのに。俺が男だと知っても尚、この男は一緒に来ないかと自ら俺を傍に置いた。
その、意図は。
上に軽くパーカーを羽織り、携帯を手に寝室を出た。
今いるのは都内のマンションの一室で、ここは日本での隠れ家の一つであるようだ。部下が一人、下の階に住んでいるぐらいで護衛も何もつけていない。否、俺が護衛か。
暗いリビングからベランダに出て、何時であろうと変わらず煌めく、節操の無い町を見下ろしながら電話をかける。今日は初めての報告の日だが抜ける時間がなくて、電話ということになった。本部にかけては何かあったときに困るので、担当の高杉へとかける。
「もしもし?」
『沖田か』
「へい。とりあえずいい感じなんですけど詳しいことはさっぱりでさ。そっちは?」
『調べちゃいるが、何も。だが土方が意味なく帰国するはずはねぇ。何かある』
「いやに自信ありやすね。知り合いかなにかなんで?」
『・・・商売敵だっただけだ』
「へぇ」
くるりと夜景に背を向け手摺に凭れながらリビングに目をやる。深海に沈んだように暗く静かな中に、動く気配はない。
薬でも密輸入していたのか。高杉の過去は面白そうだが本人が一向に口を割らないので謎のままだ。知られたくないのなら、無理して聞こうとは思わないが、好奇心は疼く。
『そういや』
「へい?」
『貞操は無事か?』
「・・・・・・・・・ぶぁっはは!」
『笑い事じゃねぇよ。近藤が日に日に窶れてく様を見せてやろうか』
「マジでか。帰ったら見せてくだせぇ」
『で、どうなんだ?』
「ほっぺにちゅーぐらいでさ。安心してくだせぇ」
パーティーのときに個室に連れ込まれて押し倒された。だから俺は男だと言ったけど、構わないと一蹴されたので此方は急所を一蹴してやって。痛みが幾分引いたところで、なんで女装してるのかと問われたから率直にアンタに会うためと返したら何故か護衛をやらされることになっていた。
毎晩一緒の布団で寝て、起きてから寝るまでも一緒。新参者をそんな容易く信用していいのか。何か考えがあっての行動なのか。
『・・・用心しとけよ』
「分かってまさァ。野郎とどうにかなるなんて絶対ごめんでさ」
『おまえはそう思っていても、向こうはその気だからな』
「はぁ?」
『じゃあ、また来週』
「え、ちょっ、待・・・っ!」
向こうはその気とはなんだ。そこんところを詳しく教えてくれ。というか無駄話しかしなかったけれどこれでいいのか。
溜め息を吐きながらも携帯を閉じる。部屋に入ったところで影がゆらり、揺れてハッと息を飲む。
壁に体を預け男が立っている。
羽織っただけのシャツの下からは鍛えられた上半身が覗いている。野暮ったさも厳つさもない、ただ色気と男らしさがあるのは何故だろうか。近藤さんには色気なんてないのに。
「どうしたんですかィ? 土方さん」
「いや、目が覚めただけだ」
「へぇ」
携帯をパーカーのポケットに仕舞う。視線を感じながらも気付かない振りをして、リビングの中程に立つ。電話の内容は聞かれていないはずだ。聞かれていたとしてもあんな会話なら、大丈夫な気もする。下手に此方から切り出すのは良くないのは百も承知。なのでまだ用がありそうな顔をする土方さんを前に首を傾げてみる。
「電話してたろ」
「友達でさ。就活がうまくいったんでその報告を」
「就活って」
「だってそんな感じでしょ」
言えばふむと考えこんだ。頭の切れは良い。が、お茶目と言えばいいのか、抜けたところがある。それは故意のものかどうか知らないが、とにかく今考えこんでいるのだって下らないことでだ。もしかしたら別のことかもしれない。なんて詮索し始めたらきりがない。
寝る前に何か飲もうと、土方さんの横を抜ける。
そうしたら腕を掴まれて、後頭部が厚い胸板にあたった。あれ、と思った頃には後ろから包まれている。
あったかい。そう思ってから男同士で云々と話をしたばかりだと思い出して、腕の中から出ようともがく。
「総悟」
「なんですかィ。・・・ってか離してくだせェ」
「寒い」
「じゃあ何か飲みゃいいでしょ」
「・・・」
返答が不満だったのか耳をかぷり。噛まれて腹の底から悲鳴を上げる。鳥肌が立って、ぞわっと寒気がした。この野郎、言おうと振り返ったら、余程酷い顔をしていたのか笑われた。誰の所為だ。
依然として離してはもらえないので、小さく、しかしツボに入ったのか結構笑い続けるのをぼんやりと見ていたら、急にぎゅっ、と。強く抱き締められた。
窒息しそうになってフガフガ、文句を言ってもそれまでもシャツに奪われてもどかしいを通り越して腹が立った。力が弱まったのを好機と、顔を上げてキッと睨めつける。
「気持ち悪いふざけんな死ねこの野郎触んなバカ!」
「・・・そこまで言われるようなことはやってねぇけど」
「俺は気持ち悪いと思うんでさァ。アンタとは違うんです!」
「何その首相的な発言」
言いながらも嫌がらせか反応を見るためか背中をすりすりやられて、思わず手が出ていた。ゴッ、と鈍い音がして、手が痛くなるとともに変態の体がよろよろ離れる。腹を抑えて唸る姿に感じる快感。
アンタみたいなのが蹲って苦しんでいるのを見る方が余程キモチイイっての。学生時代から疚しいことをしようとしてくるやつを一人残らず半殺しにしてきた俺を、なめるな。
言いたいけど相手は相手だし、と心内で毒づいていたらあっと思い出した。相手の立場、俺の立場。怒らせたに違いない。これで殺そうと思ったらこの変態は俺を殺せるだろう。逃げ仰せても潜入捜査は失敗になる。大見得切ったのに尻尾巻いて帰るなんて矜恃が許さない。それ以前に、チャンスはこの一回きり。
とんでもないことをしたんじゃないの、これ。
慌てて様子を見ようと駆け寄る。決して野郎の心配はしていない、保身のため。
「だいじょうぶ、・・・っ!」
ですか、と続くはずの声は無音の悲鳴に変換された。またもや腕を引かれて、驚いた俺の唇が塞がれたのだ。視界いっぱいに、してやったり顔が写る。
貞操は無事か、いや無事じゃなくなりそう。
向こうはその気、只今はその気のようです。
高杉の言葉がぐるぐるぐる、頭の中で渦巻いて、触れてるだけじゃなくて強弱をつけてくるそれにぎゅっと目を瞑る。総悟は混乱したようだ、誰か助けてください。
とりあえず仏に祈ってみていたら、唇が離れた。でも、呼吸はかかる距離。
「総悟」
「・・・」
「目ェ開けろよ」
「・・・なんで野郎とちゅーしなくちゃなんねぇの、俺」
「今日はキスで我慢するから、お前も我慢しろ」
なんて横暴な!
文句はまたもや吸い取られて、ぬめり、得体の知れないものが侵入してきた。条件反射で噛む、けれど逃げられて、唇の上をそれが這う。
あぁ、舌か。
認識した自分は驚くほど冷静。口の中、遠慮せず荒らすそれを大人しく我慢して、代わりに腕に爪を立てる。舌を噛んだら死んじまう。腕ならどれだけやっても大丈夫。
「・・・っん、」
酸素が足りなくなって求めたら、鼻から声が抜けて、聞き慣れないものが出た。高い声だ。けどそれに構っていられない、死ぬ。ねっとり絡んでは離れる、その合間に空気を補充する。
今日はこれで我慢するといっていたが、今度があったらその時こそ貞操は危ないのか。それまでに勃たなくなってたりしないか、寧ろ、勃たなくしてやろうか。ちょんぎってやりたい、なんて物騒なことを考えていたら、今度こそ本当に唇が離れた。
頭が眩む、酸素不足だ。
「・・・悪趣味な同性愛者め」
「そんなやつんとこに就職したお前が悪い」
誰も好き好んで来たんじゃない。言いたいのは山々だったが言っちゃいけないのは分かっているので唇を真一文字に結ぶ。変な感覚がまだ、口内にあって、コトがすんだら覚えてろ、声には出さず呟いた。
好きにさせてやる
でも散々我儘を聞いてやるんだから
全て済んだら覚えてろ
手錠の約束
ベッドを軋ませて上体を起こすと、隣で眠っていた男が身動いた。起こしたかと、音をたてないように様子を見る。けれど、眠ったままのようで、規則正しい寝息と共に剥き出しの肩が上下しているのを幾分か眺めてベッドから降りた。
噂に聞いたよりも中々いい男だった。頭の回りも良く、人の扱いもうまい。そんな、マフィアのお偉いさんが俺の隣で安眠している。このまま気絶させて、近藤さんのところに運ぶことだって出来るだろう。しないけど。
なんとかパーティーに潜り込んで、どう傍につくかと考えていたら。向こうから声をかけてきたのには驚いた。ワインを手に気障ったらしくどうぞ、と、言ったあの時のこの男のことを思い出すと笑ってしまう。
女たらしの鏡だな、と。胸に詰め物して背がざっくりあいたイブニングドレスを着た男を、ナンパするなんて。単なる笑い話で終わりそうなものなのに。俺が男だと知っても尚、この男は一緒に来ないかと自ら俺を傍に置いた。
その、意図は。
上に軽くパーカーを羽織り、携帯を手に寝室を出た。
今いるのは都内のマンションの一室で、ここは日本での隠れ家の一つであるようだ。部下が一人、下の階に住んでいるぐらいで護衛も何もつけていない。否、俺が護衛か。
暗いリビングからベランダに出て、何時であろうと変わらず煌めく、節操の無い町を見下ろしながら電話をかける。今日は初めての報告の日だが抜ける時間がなくて、電話ということになった。本部にかけては何かあったときに困るので、担当の高杉へとかける。
「もしもし?」
『沖田か』
「へい。とりあえずいい感じなんですけど詳しいことはさっぱりでさ。そっちは?」
『調べちゃいるが、何も。だが土方が意味なく帰国するはずはねぇ。何かある』
「いやに自信ありやすね。知り合いかなにかなんで?」
『・・・商売敵だっただけだ』
「へぇ」
くるりと夜景に背を向け手摺に凭れながらリビングに目をやる。深海に沈んだように暗く静かな中に、動く気配はない。
薬でも密輸入していたのか。高杉の過去は面白そうだが本人が一向に口を割らないので謎のままだ。知られたくないのなら、無理して聞こうとは思わないが、好奇心は疼く。
『そういや』
「へい?」
『貞操は無事か?』
「・・・・・・・・・ぶぁっはは!」
『笑い事じゃねぇよ。近藤が日に日に窶れてく様を見せてやろうか』
「マジでか。帰ったら見せてくだせぇ」
『で、どうなんだ?』
「ほっぺにちゅーぐらいでさ。安心してくだせぇ」
パーティーのときに個室に連れ込まれて押し倒された。だから俺は男だと言ったけど、構わないと一蹴されたので此方は急所を一蹴してやって。痛みが幾分引いたところで、なんで女装してるのかと問われたから率直にアンタに会うためと返したら何故か護衛をやらされることになっていた。
毎晩一緒の布団で寝て、起きてから寝るまでも一緒。新参者をそんな容易く信用していいのか。何か考えがあっての行動なのか。
『・・・用心しとけよ』
「分かってまさァ。野郎とどうにかなるなんて絶対ごめんでさ」
『おまえはそう思っていても、向こうはその気だからな』
「はぁ?」
『じゃあ、また来週』
「え、ちょっ、待・・・っ!」
向こうはその気とはなんだ。そこんところを詳しく教えてくれ。というか無駄話しかしなかったけれどこれでいいのか。
溜め息を吐きながらも携帯を閉じる。部屋に入ったところで影がゆらり、揺れてハッと息を飲む。
壁に体を預け男が立っている。
羽織っただけのシャツの下からは鍛えられた上半身が覗いている。野暮ったさも厳つさもない、ただ色気と男らしさがあるのは何故だろうか。近藤さんには色気なんてないのに。
「どうしたんですかィ? 土方さん」
「いや、目が覚めただけだ」
「へぇ」
携帯をパーカーのポケットに仕舞う。視線を感じながらも気付かない振りをして、リビングの中程に立つ。電話の内容は聞かれていないはずだ。聞かれていたとしてもあんな会話なら、大丈夫な気もする。下手に此方から切り出すのは良くないのは百も承知。なのでまだ用がありそうな顔をする土方さんを前に首を傾げてみる。
「電話してたろ」
「友達でさ。就活がうまくいったんでその報告を」
「就活って」
「だってそんな感じでしょ」
言えばふむと考えこんだ。頭の切れは良い。が、お茶目と言えばいいのか、抜けたところがある。それは故意のものかどうか知らないが、とにかく今考えこんでいるのだって下らないことでだ。もしかしたら別のことかもしれない。なんて詮索し始めたらきりがない。
寝る前に何か飲もうと、土方さんの横を抜ける。
そうしたら腕を掴まれて、後頭部が厚い胸板にあたった。あれ、と思った頃には後ろから包まれている。
あったかい。そう思ってから男同士で云々と話をしたばかりだと思い出して、腕の中から出ようともがく。
「総悟」
「なんですかィ。・・・ってか離してくだせェ」
「寒い」
「じゃあ何か飲みゃいいでしょ」
「・・・」
返答が不満だったのか耳をかぷり。噛まれて腹の底から悲鳴を上げる。鳥肌が立って、ぞわっと寒気がした。この野郎、言おうと振り返ったら、余程酷い顔をしていたのか笑われた。誰の所為だ。
依然として離してはもらえないので、小さく、しかしツボに入ったのか結構笑い続けるのをぼんやりと見ていたら、急にぎゅっ、と。強く抱き締められた。
窒息しそうになってフガフガ、文句を言ってもそれまでもシャツに奪われてもどかしいを通り越して腹が立った。力が弱まったのを好機と、顔を上げてキッと睨めつける。
「気持ち悪いふざけんな死ねこの野郎触んなバカ!」
「・・・そこまで言われるようなことはやってねぇけど」
「俺は気持ち悪いと思うんでさァ。アンタとは違うんです!」
「何その首相的な発言」
言いながらも嫌がらせか反応を見るためか背中をすりすりやられて、思わず手が出ていた。ゴッ、と鈍い音がして、手が痛くなるとともに変態の体がよろよろ離れる。腹を抑えて唸る姿に感じる快感。
アンタみたいなのが蹲って苦しんでいるのを見る方が余程キモチイイっての。学生時代から疚しいことをしようとしてくるやつを一人残らず半殺しにしてきた俺を、なめるな。
言いたいけど相手は相手だし、と心内で毒づいていたらあっと思い出した。相手の立場、俺の立場。怒らせたに違いない。これで殺そうと思ったらこの変態は俺を殺せるだろう。逃げ仰せても潜入捜査は失敗になる。大見得切ったのに尻尾巻いて帰るなんて矜恃が許さない。それ以前に、チャンスはこの一回きり。
とんでもないことをしたんじゃないの、これ。
慌てて様子を見ようと駆け寄る。決して野郎の心配はしていない、保身のため。
「だいじょうぶ、・・・っ!」
ですか、と続くはずの声は無音の悲鳴に変換された。またもや腕を引かれて、驚いた俺の唇が塞がれたのだ。視界いっぱいに、してやったり顔が写る。
貞操は無事か、いや無事じゃなくなりそう。
向こうはその気、只今はその気のようです。
高杉の言葉がぐるぐるぐる、頭の中で渦巻いて、触れてるだけじゃなくて強弱をつけてくるそれにぎゅっと目を瞑る。総悟は混乱したようだ、誰か助けてください。
とりあえず仏に祈ってみていたら、唇が離れた。でも、呼吸はかかる距離。
「総悟」
「・・・」
「目ェ開けろよ」
「・・・なんで野郎とちゅーしなくちゃなんねぇの、俺」
「今日はキスで我慢するから、お前も我慢しろ」
なんて横暴な!
文句はまたもや吸い取られて、ぬめり、得体の知れないものが侵入してきた。条件反射で噛む、けれど逃げられて、唇の上をそれが這う。
あぁ、舌か。
認識した自分は驚くほど冷静。口の中、遠慮せず荒らすそれを大人しく我慢して、代わりに腕に爪を立てる。舌を噛んだら死んじまう。腕ならどれだけやっても大丈夫。
「・・・っん、」
酸素が足りなくなって求めたら、鼻から声が抜けて、聞き慣れないものが出た。高い声だ。けどそれに構っていられない、死ぬ。ねっとり絡んでは離れる、その合間に空気を補充する。
今日はこれで我慢するといっていたが、今度があったらその時こそ貞操は危ないのか。それまでに勃たなくなってたりしないか、寧ろ、勃たなくしてやろうか。ちょんぎってやりたい、なんて物騒なことを考えていたら、今度こそ本当に唇が離れた。
頭が眩む、酸素不足だ。
「・・・悪趣味な同性愛者め」
「そんなやつんとこに就職したお前が悪い」
誰も好き好んで来たんじゃない。言いたいのは山々だったが言っちゃいけないのは分かっているので唇を真一文字に結ぶ。変な感覚がまだ、口内にあって、コトがすんだら覚えてろ、声には出さず呟いた。
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