梅々
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大寒なのに春めいた
オリジナルが一本終わりました。あと一本とイラスト二枚を書くのが私の仕事です。いや、ほんとうの仕事は勉学ですが。
今日は温かかったですねー。風が生温いので気持ち悪かったです。
よし。明日から楽な日程なのでがんばります!
それでは土沖パロディ。
設定、詳しくは分かりません←
今日は温かかったですねー。風が生温いので気持ち悪かったです。
よし。明日から楽な日程なのでがんばります!
それでは土沖パロディ。
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春の夜の 闇はあやなし 梅の花
色こそ見えね 香やはかくるる
梅の花は春知らず
本当に時代錯誤だ、と頬杖をつき首元の紐を弄びながら思ったら運悪く口からぽろっと溢れていたらしい。
ペチッ、と腰ひもが頬を叩いて可愛らしい音が鳴る。
投げ返してやろうかと一度思う。が、それは結局のところ土方の思う壺となるので敢えてせずに、この紐をどう使って遊ぼうかと頭を働かせる。立てた膝に額をこんにちわさせると首元の鈴がシャラン、と鳴った。
これから土方は仕事なので、いつものように沖田はひとりぼっちになる。きっと今日も、さして面白くもないテレビを見、惰眠を貪り徒に時間を過ごすのだろうと欠伸を一つ。
「ほら、返せ総悟」
「イヤでさァ」
これまた時代錯誤な遊び人の風体だった土方がスーツを着終え手を差し出してくる。スーツを着た土方を見ることを何故か好まない沖田は、膝に頭を乗せたままそっぽを向いた。窓の外からは春めいた風が吹く。暦の上じゃあ今日は大寒だというのに今年で一番暖かい。
「・・・土方さんは」
「ん?」
「何がしたいんですか」
「・・・なんだと思う」
「もういいでさァ」
微笑を浮かべて土方は茶化す。茶化しながらも、分かりきったことを聞くなと呆れのようなものまで寄越される。
瞼を瞑れば感覚が鋭利になり、頬を生温い風が打つのがとてもよく分かる。とても居心地の悪さを感じる。この風に。なんとなく、春が嫌いなのは子どもの頃からだ。日だまりの温もりや人並みの温度の南風。それらが偽善的に感じられて嫌いになった。皆が好きだ好きだと云う桜だって不気味でしかない。生で見たことは殆んどないけれど。
だがこの窓から眺められる庭に植えられている梅は綺麗だと思う。淑やかに、上品に。艶やかさはなく、伏し目がちに佇むような。桜が太陽ならば梅は月。かつてそう言ったら、そうかと土方は考えこんでしまったのを覚えている。
「ほら、返せよ」
柔らかく言い土方は俺に近づいてきた。俺に任せたままじゃ片付けるどころか何処かへやられてしまうからと、土方は必ず自分のものは仕舞ってから仕事へ出る。
そんな、几帳面な男の首に腕を絡ませた。息のかかるほど傍に顔を寄せて、青みがかった瞳を覗き込む。
ああ、綺麗な瞳だ。
俺が動く度に、首に結わえたサテンの紐に取り付けられた鈴が鳴く。それを、恭しい手付きで土方は撫でる。
「行かないでくだせェ」
「、」
「寂しいじゃありやせんか」
どこまでも真摯に、戯れ言を紡ぐ。土方はこの声色に弱い。それを知っているから敢えて、土方に与えてやる。
俺ばかり与えられている気がしてきたので。
「総悟、」
「冗談でさァ。左様なら」
「・・・」
微笑を浮かべ嘘に感情を見せた土方から離れる。嘲る声に土方は眉間のしわを増やすが睦言という芝居を俺に教えたの自分だろう。引っ掛かってちゃあ情けない。
なんて嘲笑を浮かべていたら土方は俺を熟視る目付きを変えた。
慈愛というにはあまりにもな、哀れみと独占欲。
その二つを罪悪感で結んでいる土方こそが、哀れだ。
俺は不自由を手に入れたのに。欲しかった籠を手にいれたのに。
憐れを買うような要素は一つとしてない、というのを知らずに。
「・・・行ってくる」
「どうぞ気をつけて」
空虚な遊戯を楽しむフリをして傷ついている、あんたを愛しく思うと告げたらこの遊戯は終わってしまう。
だから俺も、ほんとうをうそに変えて唇を触れ合わせた。
色こそ見えね 香やはかくるる
梅の花は春知らず
本当に時代錯誤だ、と頬杖をつき首元の紐を弄びながら思ったら運悪く口からぽろっと溢れていたらしい。
ペチッ、と腰ひもが頬を叩いて可愛らしい音が鳴る。
投げ返してやろうかと一度思う。が、それは結局のところ土方の思う壺となるので敢えてせずに、この紐をどう使って遊ぼうかと頭を働かせる。立てた膝に額をこんにちわさせると首元の鈴がシャラン、と鳴った。
これから土方は仕事なので、いつものように沖田はひとりぼっちになる。きっと今日も、さして面白くもないテレビを見、惰眠を貪り徒に時間を過ごすのだろうと欠伸を一つ。
「ほら、返せ総悟」
「イヤでさァ」
これまた時代錯誤な遊び人の風体だった土方がスーツを着終え手を差し出してくる。スーツを着た土方を見ることを何故か好まない沖田は、膝に頭を乗せたままそっぽを向いた。窓の外からは春めいた風が吹く。暦の上じゃあ今日は大寒だというのに今年で一番暖かい。
「・・・土方さんは」
「ん?」
「何がしたいんですか」
「・・・なんだと思う」
「もういいでさァ」
微笑を浮かべて土方は茶化す。茶化しながらも、分かりきったことを聞くなと呆れのようなものまで寄越される。
瞼を瞑れば感覚が鋭利になり、頬を生温い風が打つのがとてもよく分かる。とても居心地の悪さを感じる。この風に。なんとなく、春が嫌いなのは子どもの頃からだ。日だまりの温もりや人並みの温度の南風。それらが偽善的に感じられて嫌いになった。皆が好きだ好きだと云う桜だって不気味でしかない。生で見たことは殆んどないけれど。
だがこの窓から眺められる庭に植えられている梅は綺麗だと思う。淑やかに、上品に。艶やかさはなく、伏し目がちに佇むような。桜が太陽ならば梅は月。かつてそう言ったら、そうかと土方は考えこんでしまったのを覚えている。
「ほら、返せよ」
柔らかく言い土方は俺に近づいてきた。俺に任せたままじゃ片付けるどころか何処かへやられてしまうからと、土方は必ず自分のものは仕舞ってから仕事へ出る。
そんな、几帳面な男の首に腕を絡ませた。息のかかるほど傍に顔を寄せて、青みがかった瞳を覗き込む。
ああ、綺麗な瞳だ。
俺が動く度に、首に結わえたサテンの紐に取り付けられた鈴が鳴く。それを、恭しい手付きで土方は撫でる。
「行かないでくだせェ」
「、」
「寂しいじゃありやせんか」
どこまでも真摯に、戯れ言を紡ぐ。土方はこの声色に弱い。それを知っているから敢えて、土方に与えてやる。
俺ばかり与えられている気がしてきたので。
「総悟、」
「冗談でさァ。左様なら」
「・・・」
微笑を浮かべ嘘に感情を見せた土方から離れる。嘲る声に土方は眉間のしわを増やすが睦言という芝居を俺に教えたの自分だろう。引っ掛かってちゃあ情けない。
なんて嘲笑を浮かべていたら土方は俺を熟視る目付きを変えた。
慈愛というにはあまりにもな、哀れみと独占欲。
その二つを罪悪感で結んでいる土方こそが、哀れだ。
俺は不自由を手に入れたのに。欲しかった籠を手にいれたのに。
憐れを買うような要素は一つとしてない、というのを知らずに。
「・・・行ってくる」
「どうぞ気をつけて」
空虚な遊戯を楽しむフリをして傷ついている、あんたを愛しく思うと告げたらこの遊戯は終わってしまう。
だから俺も、ほんとうをうそに変えて唇を触れ合わせた。
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