梅々
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壱
今日はセンター試験でしたね。雪降りませんでしたねー。明日は降るのかな?
一分早く終わったとかいう情報を得ましたがガチですか? どんなミス。
明日は中華街行きますー。親の仕事の付き合いで中華食べます。
チャイナ服着てけば?的な話を何度も繰り広げましたが、そんな度胸母にも私にもない。合う靴もないし。
んで、帰りは母たっての希望でアニメイトだぜ!
なんか保育園の文書にトーン使おうと思ったら私のに手頃なのがなくて。
うふふ・・・さぁ、楽園へ還りましょう。
では、センターネタ。
私が雪の日設定すると現実は必ず晴れる。
一分早く終わったとかいう情報を得ましたがガチですか? どんなミス。
明日は中華街行きますー。親の仕事の付き合いで中華食べます。
チャイナ服着てけば?的な話を何度も繰り広げましたが、そんな度胸母にも私にもない。合う靴もないし。
んで、帰りは母たっての希望でアニメイトだぜ!
なんか保育園の文書にトーン使おうと思ったら私のに手頃なのがなくて。
うふふ・・・さぁ、楽園へ還りましょう。
では、センターネタ。
私が雪の日設定すると現実は必ず晴れる。
遠い先のことだと思った未来は
足早に近付いてきて
いま 目の前にある
サクラサク
夜中から振り出した雪が、止まぬうちに朝が来た。
空気が冷たく、布団から出たくないが起きなければならない。渋々布団から出て制服に腕を通す。
荷造りは昨日のうちに出来ている、鞄を持ち階下のリビングへと向かう。
すりガラスの戸を開閉し中へ入ると暖房がきいていて暖かかった。
「おはよう。よく眠れたかしら?」
「とりあえず、いつも通り」
「そう。今日は頑張ってきて」
鞄を隅に置いてから、自分の席、となんとなく決まっている席に座る。
親父の分の食器はもうない。とっくに職場へ行ったのだろう。
今日は、センター試験の日だ。
結構、今後の人生がかかっていて重大な日であるのだ。だからこそ、いつも通りに過ごすべきであろう。
というわけで朝食は鮭の切身に漬物、小松菜のお浸しに味噌汁と素朴且つ日常的なもの。
最後の確認をしつつ、それらを食べているとガチャン、と玄関からドアの開閉する音が聞こえてきた。パタパタと歩いてくる足音、次いで開くすりガラスの戸。
「っはようごぜぇやす」
「総悟・・・ッ!」
「おはよう、そーちゃん。いまご飯、よそうわね」
驚いた俺とは逆に母は同時もせず俺の向かいに座った総悟の元へ茶碗やら鮭やらを持ってくる。
何故寝汚い総悟が休日だというのにこんな時間から起きて、家で飯を食っているのか。いつも通りの日常を求めているというのに変化を来たすというのは嫌がらせではないか。
蕪の漬物を咀嚼しつつ、一生懸命といった面持ちで鮭から骨を取っている幼馴染みに問う。
「なんで此処にいんの」
「昨日の夜、ちゃんとアポとりやしたよ。ね、おばさん」
「えぇ。朝御飯食べに来るって・・・」
聞いてねぇよ。
夜、というと。〆切前の小説家よりも真摯に机へ向かっていた。一度夜食を持ってきてくれたがその時だって総悟が来るとは一言も。
母は抜けている。仕方ないっちゃ仕方ない。
「せっかく応援しに来てやったんですぜ? あ、そだ。なんか奢ってくだせぇ」
「オイ、ちょっと待て。おまえ、ついてくんの?」
「そうでさァ。アンタのボディガードにって頼まれやして」
「まぁ、ボディガードじゃないわ! 大好きなそーちゃんがいれば俄然やる気が出るでしょうって・・・強いていうなら姫?」
「別にこんなヤツ好きなんかじゃッ・・・!!」
反論は受け入れてもらえず、息のぴったりと合った二人の話は止むことがない。
姑と嫁というと仲が悪いイメージだが、この二人は確実に合うと思う。
なんて、馬鹿なこと。
「・・・もう行く」
「え、あっ、ちょっと待ってくだせぇよ」
箸を揃え置き、立ち上がると最後の数口をガガッと詰め込み総悟も立ち上がる。
忘れ物はないはずだ。あぁ、ホッカイロを持っていこう。
最終チェックを済ませ、防寒具を身に付けて鞄を持つ。
「んじゃあ、行ってきます」
「頑張ってね。ティッシュ持った? ハンカチ、受験ひょ・・・」
「大丈夫だから」
「それじゃあ、俺が責任持って連れてきまさァ」
「いってらっしゃい」
にこやかに手を振る仲良し二人。疎外感を感じたりはしていない。巻き込まれたくない。
手ぶらに近い格好で、ポケットに両手を突っ込み歩く総悟といると緊張感が無くなる。
バスに乗って電車乗って、その道中でも総悟は始終黙って隣にいるだけだった。
借りてきた猫、ぬいぐるみ。否、人形か。邪魔するでもなく応援するでもなく、静かに外の景色を熟視ている。
雪は積もっているが俺の用いるバスにも電車にも支障は無かった。
万が一に備えて早目に出たから相当早く着くだろう。寒い中大分待たすことになる。
「寒くねぇか?」
「ちょっと寒ィけど、外のが寒いですし」
「そうか」
無防備に投げ出されていた小さな手を、周りに露見しないよう秘かに握るとビクリと冷たい指が震えた。
怪訝そうで照れ臭そうな難しい表情。
過度な緊張は宜しくないけれど、こう緩みきっているのも良くはない。
「・・・頑張りなせぇよ」
「おまえがそんなこと言うなんてな」
「たまにはいいじゃねぇですか」
窓の外を眺めながら握り返してくる。視線を合わせてこないのは柄にもないこと言って照れているからだ。
可愛いことしちゃって。
電車を降りると目的地はすぐだ。駅に近いし総悟が暇を潰せる場所もたくさんあるだろう。
「どこで待ってる?」
「・・・アンタ、俺と帰る気満々なんだ」
「・・・」
そういえば、往きの話はしていたが帰りのはしていない。
これじゃあ待っていて欲しいと言っているみたいじゃないか、というか仁くそう。
段々と顔が熱っていく。そうなっても依然と寒いままだが。
「・・・まぁ、最初から待ってるつもりでしたがね。そこの喫茶店で待ってやすから、やるだけやって来なせぇ」
「分かった。いいこで待ってろよ」
「えぇ、努力しまさァ」
キョロキョロ。
辺りを見回し総悟は微笑を浮かべる。
俺のマフラーを引いて刹那だけ、唇を触れ合わせる。
本当に、応援してるから
そう言って喫茶店へ入っていく後ろ姿を呆然と見送って、別れ際ポケットに突っ込まれたものを出してみると合格祈願のお守りだった。
こんなこと、されたら。
寒さも何も苦にはならず、これが終わったらとりあえず何よりも先に抱き締めてやろうと固く決意し人混みに紛れた。
春は、もうすぐそこに。
足早に近付いてきて
いま 目の前にある
サクラサク
夜中から振り出した雪が、止まぬうちに朝が来た。
空気が冷たく、布団から出たくないが起きなければならない。渋々布団から出て制服に腕を通す。
荷造りは昨日のうちに出来ている、鞄を持ち階下のリビングへと向かう。
すりガラスの戸を開閉し中へ入ると暖房がきいていて暖かかった。
「おはよう。よく眠れたかしら?」
「とりあえず、いつも通り」
「そう。今日は頑張ってきて」
鞄を隅に置いてから、自分の席、となんとなく決まっている席に座る。
親父の分の食器はもうない。とっくに職場へ行ったのだろう。
今日は、センター試験の日だ。
結構、今後の人生がかかっていて重大な日であるのだ。だからこそ、いつも通りに過ごすべきであろう。
というわけで朝食は鮭の切身に漬物、小松菜のお浸しに味噌汁と素朴且つ日常的なもの。
最後の確認をしつつ、それらを食べているとガチャン、と玄関からドアの開閉する音が聞こえてきた。パタパタと歩いてくる足音、次いで開くすりガラスの戸。
「っはようごぜぇやす」
「総悟・・・ッ!」
「おはよう、そーちゃん。いまご飯、よそうわね」
驚いた俺とは逆に母は同時もせず俺の向かいに座った総悟の元へ茶碗やら鮭やらを持ってくる。
何故寝汚い総悟が休日だというのにこんな時間から起きて、家で飯を食っているのか。いつも通りの日常を求めているというのに変化を来たすというのは嫌がらせではないか。
蕪の漬物を咀嚼しつつ、一生懸命といった面持ちで鮭から骨を取っている幼馴染みに問う。
「なんで此処にいんの」
「昨日の夜、ちゃんとアポとりやしたよ。ね、おばさん」
「えぇ。朝御飯食べに来るって・・・」
聞いてねぇよ。
夜、というと。〆切前の小説家よりも真摯に机へ向かっていた。一度夜食を持ってきてくれたがその時だって総悟が来るとは一言も。
母は抜けている。仕方ないっちゃ仕方ない。
「せっかく応援しに来てやったんですぜ? あ、そだ。なんか奢ってくだせぇ」
「オイ、ちょっと待て。おまえ、ついてくんの?」
「そうでさァ。アンタのボディガードにって頼まれやして」
「まぁ、ボディガードじゃないわ! 大好きなそーちゃんがいれば俄然やる気が出るでしょうって・・・強いていうなら姫?」
「別にこんなヤツ好きなんかじゃッ・・・!!」
反論は受け入れてもらえず、息のぴったりと合った二人の話は止むことがない。
姑と嫁というと仲が悪いイメージだが、この二人は確実に合うと思う。
なんて、馬鹿なこと。
「・・・もう行く」
「え、あっ、ちょっと待ってくだせぇよ」
箸を揃え置き、立ち上がると最後の数口をガガッと詰め込み総悟も立ち上がる。
忘れ物はないはずだ。あぁ、ホッカイロを持っていこう。
最終チェックを済ませ、防寒具を身に付けて鞄を持つ。
「んじゃあ、行ってきます」
「頑張ってね。ティッシュ持った? ハンカチ、受験ひょ・・・」
「大丈夫だから」
「それじゃあ、俺が責任持って連れてきまさァ」
「いってらっしゃい」
にこやかに手を振る仲良し二人。疎外感を感じたりはしていない。巻き込まれたくない。
手ぶらに近い格好で、ポケットに両手を突っ込み歩く総悟といると緊張感が無くなる。
バスに乗って電車乗って、その道中でも総悟は始終黙って隣にいるだけだった。
借りてきた猫、ぬいぐるみ。否、人形か。邪魔するでもなく応援するでもなく、静かに外の景色を熟視ている。
雪は積もっているが俺の用いるバスにも電車にも支障は無かった。
万が一に備えて早目に出たから相当早く着くだろう。寒い中大分待たすことになる。
「寒くねぇか?」
「ちょっと寒ィけど、外のが寒いですし」
「そうか」
無防備に投げ出されていた小さな手を、周りに露見しないよう秘かに握るとビクリと冷たい指が震えた。
怪訝そうで照れ臭そうな難しい表情。
過度な緊張は宜しくないけれど、こう緩みきっているのも良くはない。
「・・・頑張りなせぇよ」
「おまえがそんなこと言うなんてな」
「たまにはいいじゃねぇですか」
窓の外を眺めながら握り返してくる。視線を合わせてこないのは柄にもないこと言って照れているからだ。
可愛いことしちゃって。
電車を降りると目的地はすぐだ。駅に近いし総悟が暇を潰せる場所もたくさんあるだろう。
「どこで待ってる?」
「・・・アンタ、俺と帰る気満々なんだ」
「・・・」
そういえば、往きの話はしていたが帰りのはしていない。
これじゃあ待っていて欲しいと言っているみたいじゃないか、というか仁くそう。
段々と顔が熱っていく。そうなっても依然と寒いままだが。
「・・・まぁ、最初から待ってるつもりでしたがね。そこの喫茶店で待ってやすから、やるだけやって来なせぇ」
「分かった。いいこで待ってろよ」
「えぇ、努力しまさァ」
キョロキョロ。
辺りを見回し総悟は微笑を浮かべる。
俺のマフラーを引いて刹那だけ、唇を触れ合わせる。
本当に、応援してるから
そう言って喫茶店へ入っていく後ろ姿を呆然と見送って、別れ際ポケットに突っ込まれたものを出してみると合格祈願のお守りだった。
こんなこと、されたら。
寒さも何も苦にはならず、これが終わったらとりあえず何よりも先に抱き締めてやろうと固く決意し人混みに紛れた。
春は、もうすぐそこに。
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