梅々
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土方おめでとう!
- 2012/05/05 (Sat) |
- 土沖 |
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バラガキ編後初のとしたんなので、おにいさんに祝ってもらっていたのかなとか思うと悶々。センチメンタル。
鯉のぼりの片付けを兄ときゃっきゃして、今日だけは兄を独り占めできたりしたらいいね。
土方おめでとう。
ではとしたん。なのに今は山沖です。土沖になる予定。
鯉のぼりの片付けを兄ときゃっきゃして、今日だけは兄を独り占めできたりしたらいいね。
土方おめでとう。
ではとしたん。なのに今は山沖です。土沖になる予定。
月下点
カレンダーの今日の日付のところに、赤い丸がついているのが目に入って一気に、気分が悪くなった。眉が寄れば口もへの字になる。胸の辺りがもやもやしてきた。見なければ良かった、そう思うのに嫌に目につく。とりあえずカレンダーを壁から外して部屋の角に投げた。これで視界に入りはしない。
でもそんなもの見なくても、既に頭の中は色々なことが蘇ってぐちゃぐちゃで、数秒までの穏やかな気持ちは消え去っている。
あれを書いたのは土方さんであることや、去年の今日、初めて性交したこと、既にあの人は側にいないこと。芋蔓式に思い出してこれは気分転換に山崎辺りを呼ぶしかないだろうと携帯を手にとり、発信履歴一番上の番号を選ぶ。
数コールで出た昨日も聞いた声に、ふぅと落ち着いた。
『こんにちは、沖田さん』
「ザキ、会いたいんだけど」
『あー……じゃあ三十分待ってください。行きますから』
「なるべく早く」
『はい。急ぎます』
電話を切ると携帯をベッドに放る。そのまま俺も布団に飛び込む。俯せになったまま、山崎が来るまで寝てやろうとまぶたを閉じた。
土方さんとは幼馴染みだった。近藤さんと三人、高校まで仲良くつるんで、昔からよく土方さんをこき使っていた。あれやれこれやれ、あれがほしいこれがほしい。文句を言いつつも注文は大体叶えられていたのは、あの人が相当昔から俺をいかがわしい目で見ていたからなのだろう。
高三の五月五日。去年のことだ。あの日は剣道部の休日練習があって、それを知った女子がきゃあきゃあ言い、休憩時間毎に土方が面会するのを、近藤さんたちとモテる男は違うと冷やかしながら眺めていた。緑の葉、ぐずる空。帰りに雨に振られて、俺の家より学校に近い土方さん家にお邪魔した。風邪ひいちまう前にと風呂に入っていたら土方さんも入ってきて、気づいたら。土方さんの親が帰ってくるまでずっと、行為に没頭していた。風呂場では抵抗した、でも気持ち良さに流されて、布団に寝かされてからはされるがままだった。入れられた時は痛かったけれど、上回る快感に、絆された。
それからずるずる、そういう仲になって。一月のことだ。今年はちゃんと祝えと印をつけられた。
それなのに、あの人は東京の大学に行くからと独り暮らしを始めて、この町を出ていった。一月には決めていただろうに、俺に教えようとしなかった。近藤さんが教えてくれなきゃ、知らないままだったかもしれない。
胸くそ悪い。
引っ越すの、と土方さんに電話したのがあの人との最後の会話だった。近藤さんは見送りに行ったらしいけど、そう遠くもないし、わざわざ見送らなくてもいいだろうと俺は行かなかった。そもそも土方さんは教えてくれなかったのだから。電話したときもそう。東京のどこそこにいくしか言わなかった。そういうことだ。
俺に飽きたから構うのも止めたのだろう。それなら俺から構うこともない。離れてしまえば都合良く使うことなんかできないのだから。
家も近所で学校も同じだったから、一ヶ月以上丸々会わなかったのは初めてだ。多分二度と会うこともないだろうし、現にこうしてカレンダーを見なければ土方さんのことなんか思い出しもしなかった。もしかしたら同窓会とかで会うのかもしれない。でも行くのめんどくさいし行かないか。なら会わずに終わるのか。
いずれにせよ終わったこと。俺は今山崎と付き合っているのだし。
「沖田さーん」
「んー」
とんとん、控え目に肩を叩かれてまぶたを開ける。じっと俺を見つめる山崎と目が合って、やっと来たと目を細めた。どれくらい寝ていたのだろう。空の色は変わりがないから、本当に三十分前後で来たのだろう。流石山崎。そういうところは好き。
ごろんと仰向けになって手を伸ばす。すると困った顔をしながらも山崎はその手を握ってきて、ちゅっと手の甲に口付けられた。
「なにしてんでィ。きもい」
「三十分以内に来たんですから、ちょっとくらいご褒美もらってもいいじゃないですかぁ」
「……言えばちゃんとやりまさァ」
ぐいと髪を引っつかんで引き寄せ、ちゅっちゅっと唇を合わせる。山崎の小さな眼がまん丸くなっているのを見て、へへっと笑ってしまう。
手を離して至近距離で見たまま頬を掴む。アホ面で固まったままのそのおでこをぺしっと叩いた。
「いったいですよぉ……」
「だっておもしれぇ顔してんだもん」
「そりゃ、ファーストキス奪われたばっかですもん、びっくりしちゃって」
「ファーストキスだったのか」
付き合って一ヶ月、そういやまだキスはしてなかった。手を繋いで、一緒の布団で寝て意味もなくくっついて、一ヶ月。俺はそれで十分だからいい。でも山崎は、告白してきたのだからきっと欲だってあるだろうに、何もしてこない。俺が土方さんとセフレだったのも、中学から同級生だったコイツは知っているだろうに。
「なぁ、なんにもしなくて、いいの」
「何がですか?」
「だってお前、俺に欲情したりしねぇの」
「ぶっ」
至近距離で噴かれて唾がかかった。きったねぇなと山崎の服でごしごし顔を拭う。
俺にのしかかったままで、山崎はうぅんと視線を他所へ向けた。
眉間にしわが寄っている。そんなに悩むようなことなの。欲求はもっと単純だろうと思うけど。俺と土方さんなんて、二人きりになるとやっていたようなもんなのに。
「したい、ですけど。それより俺は傍にいられるだけでドキドキしちゃって、いっぱいいっぱいなんです」
「いまもドキドキしてんの」
「もちろんですよ」
ほら、と促されて胸元に触れる。どくどくどくどく、早いリズムで脈を刻むのが分かって、なんだかそれが、移ったように俺までどきどきする。
こんなの初めてだ。こんな風にどきどきしたことなんていままでない。
何から何まで土方さんとは違うなと、笑いながら山崎を抱き寄せた。
カレンダーの今日の日付のところに、赤い丸がついているのが目に入って一気に、気分が悪くなった。眉が寄れば口もへの字になる。胸の辺りがもやもやしてきた。見なければ良かった、そう思うのに嫌に目につく。とりあえずカレンダーを壁から外して部屋の角に投げた。これで視界に入りはしない。
でもそんなもの見なくても、既に頭の中は色々なことが蘇ってぐちゃぐちゃで、数秒までの穏やかな気持ちは消え去っている。
あれを書いたのは土方さんであることや、去年の今日、初めて性交したこと、既にあの人は側にいないこと。芋蔓式に思い出してこれは気分転換に山崎辺りを呼ぶしかないだろうと携帯を手にとり、発信履歴一番上の番号を選ぶ。
数コールで出た昨日も聞いた声に、ふぅと落ち着いた。
『こんにちは、沖田さん』
「ザキ、会いたいんだけど」
『あー……じゃあ三十分待ってください。行きますから』
「なるべく早く」
『はい。急ぎます』
電話を切ると携帯をベッドに放る。そのまま俺も布団に飛び込む。俯せになったまま、山崎が来るまで寝てやろうとまぶたを閉じた。
土方さんとは幼馴染みだった。近藤さんと三人、高校まで仲良くつるんで、昔からよく土方さんをこき使っていた。あれやれこれやれ、あれがほしいこれがほしい。文句を言いつつも注文は大体叶えられていたのは、あの人が相当昔から俺をいかがわしい目で見ていたからなのだろう。
高三の五月五日。去年のことだ。あの日は剣道部の休日練習があって、それを知った女子がきゃあきゃあ言い、休憩時間毎に土方が面会するのを、近藤さんたちとモテる男は違うと冷やかしながら眺めていた。緑の葉、ぐずる空。帰りに雨に振られて、俺の家より学校に近い土方さん家にお邪魔した。風邪ひいちまう前にと風呂に入っていたら土方さんも入ってきて、気づいたら。土方さんの親が帰ってくるまでずっと、行為に没頭していた。風呂場では抵抗した、でも気持ち良さに流されて、布団に寝かされてからはされるがままだった。入れられた時は痛かったけれど、上回る快感に、絆された。
それからずるずる、そういう仲になって。一月のことだ。今年はちゃんと祝えと印をつけられた。
それなのに、あの人は東京の大学に行くからと独り暮らしを始めて、この町を出ていった。一月には決めていただろうに、俺に教えようとしなかった。近藤さんが教えてくれなきゃ、知らないままだったかもしれない。
胸くそ悪い。
引っ越すの、と土方さんに電話したのがあの人との最後の会話だった。近藤さんは見送りに行ったらしいけど、そう遠くもないし、わざわざ見送らなくてもいいだろうと俺は行かなかった。そもそも土方さんは教えてくれなかったのだから。電話したときもそう。東京のどこそこにいくしか言わなかった。そういうことだ。
俺に飽きたから構うのも止めたのだろう。それなら俺から構うこともない。離れてしまえば都合良く使うことなんかできないのだから。
家も近所で学校も同じだったから、一ヶ月以上丸々会わなかったのは初めてだ。多分二度と会うこともないだろうし、現にこうしてカレンダーを見なければ土方さんのことなんか思い出しもしなかった。もしかしたら同窓会とかで会うのかもしれない。でも行くのめんどくさいし行かないか。なら会わずに終わるのか。
いずれにせよ終わったこと。俺は今山崎と付き合っているのだし。
「沖田さーん」
「んー」
とんとん、控え目に肩を叩かれてまぶたを開ける。じっと俺を見つめる山崎と目が合って、やっと来たと目を細めた。どれくらい寝ていたのだろう。空の色は変わりがないから、本当に三十分前後で来たのだろう。流石山崎。そういうところは好き。
ごろんと仰向けになって手を伸ばす。すると困った顔をしながらも山崎はその手を握ってきて、ちゅっと手の甲に口付けられた。
「なにしてんでィ。きもい」
「三十分以内に来たんですから、ちょっとくらいご褒美もらってもいいじゃないですかぁ」
「……言えばちゃんとやりまさァ」
ぐいと髪を引っつかんで引き寄せ、ちゅっちゅっと唇を合わせる。山崎の小さな眼がまん丸くなっているのを見て、へへっと笑ってしまう。
手を離して至近距離で見たまま頬を掴む。アホ面で固まったままのそのおでこをぺしっと叩いた。
「いったいですよぉ……」
「だっておもしれぇ顔してんだもん」
「そりゃ、ファーストキス奪われたばっかですもん、びっくりしちゃって」
「ファーストキスだったのか」
付き合って一ヶ月、そういやまだキスはしてなかった。手を繋いで、一緒の布団で寝て意味もなくくっついて、一ヶ月。俺はそれで十分だからいい。でも山崎は、告白してきたのだからきっと欲だってあるだろうに、何もしてこない。俺が土方さんとセフレだったのも、中学から同級生だったコイツは知っているだろうに。
「なぁ、なんにもしなくて、いいの」
「何がですか?」
「だってお前、俺に欲情したりしねぇの」
「ぶっ」
至近距離で噴かれて唾がかかった。きったねぇなと山崎の服でごしごし顔を拭う。
俺にのしかかったままで、山崎はうぅんと視線を他所へ向けた。
眉間にしわが寄っている。そんなに悩むようなことなの。欲求はもっと単純だろうと思うけど。俺と土方さんなんて、二人きりになるとやっていたようなもんなのに。
「したい、ですけど。それより俺は傍にいられるだけでドキドキしちゃって、いっぱいいっぱいなんです」
「いまもドキドキしてんの」
「もちろんですよ」
ほら、と促されて胸元に触れる。どくどくどくどく、早いリズムで脈を刻むのが分かって、なんだかそれが、移ったように俺までどきどきする。
こんなの初めてだ。こんな風にどきどきしたことなんていままでない。
何から何まで土方さんとは違うなと、笑いながら山崎を抱き寄せた。
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