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梅々

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半ば偽物の自覚があったらいい

明大博物館行ってきました!

江戸時代の拷問道具とか鉄の処女とかギロチンとか旧律令下での絞首に使われていたものとか見てきました。

鉄の処女は扉を開けると下が開くようになっているらしいよ。

鉄の処女って沖田に似合うと思う、内面と外面の差というかなんというか。





そしてメイト行きました。銀魂のカレンダー二種ともに半額!やった!

あと黒執事をかりました。シエル可愛い。シエル好きだ。



あ、スパコミ出れそうです!











では、久々に衝動的に書いた二年後編。

愛迷エレジーなイメージだけど。
































愛迷エレジー











どぷん、と音がした。

他人事のような響きを持った水の音だけれど、ふと、自分の体に生じた違和感にそれは自分の体が沈んだ音だと知る。

鉛のように体が重い、腕が動かない、持ち上がらない。足も駄目だ、気だるくて重たくて儘ならない。なんとか眼を開けると、青い青い世界があった。水の中から見上げると、こう見えるのか。感嘆の息を吐くと泡がこぽこぽ、水面を目指した。泡が遠退く。段々と青が藍色に変わっていく。

沈んでいる。

まるで、あの人の瞳の色のような水のなか、沈んでいく。あの人のところへ沈んでいけると言うのなら、それも悪くはないけれど。そんな幸せなことが起きるはずがない。



(土方、さん)



俺はただ欲しかっただけ。無い物ねだりしただけ。手を離されてしまったから、駄々を捏ねただけ。子どもなんだ、分かってる。

でも、あなたが私を、止めてくれればこうはならなかったのに。いつものように叱ってくれれば、それで良かったのに。思い通りに動くから付け上がって、虚しくなって、余計、欲しがった。

甘やかすなとか普段言ってたくせに。こういうときにアンタが甘やかしてどうするの。一番質が悪いのはアンタだよ。

そう、思うのに。ひとりになるのは怖くて、アンタに縋りついていた。

このまま沈んだら、ひとりになって、しまう。

嫌だ、いやだ。



私は。



………俺は。







「おい」



閉じかけた瞳を開く。揺らめく中に、此方へと伸ばされた手が見えた。水色に浅葱色、光を透かした水の色をしたそれは、見知った人のものだ。節榑立った指先、剣だこに中指にあるぺんだこ。土方の手が頬に触れた。

久方ぶりに触れられた。冷えた手が懐かしくて、癪なことに落ちついて。うっとり、瞼が落ちる。

錯覚でもいい、しあわせだ。



「総悟」



恍惚としたままに体諸とも落ちそうな意識を掬いあげるように名前を呼ばれてはっと呼吸が止まった。

その途端、今まで意識しなかった苦しさを感じてごほごほと噎せる。肺に水が入る、呼吸なんかできやしない。

助けて。苦しい。息ができない。言葉なんて生まれなくて、代わりに必死になって手を伸ばす。助けてよ、土方さん。



「おい、総悟!」



また名前を呼ばれて、伸ばした指をきゅっと握られ、これが悪夢なのか分からなくなった。何年ぶりだろう。こうやって名前を呼んでくれたのは。アンタが、平伏し俺をカイザーと呼ぶ度に見捨てられた気持ちになっていた。もう俺のことを名前で呼んでくれる人もいなくなって。



「ひじかた、さん」



俺をこのままひとりになんかさせないで。どんな形でもいいから傍に居続けて。

名前を呼んだ途端に手を握る力が強くなって、そんな反応が嬉しい自分を笑いたくなった。

そうしてやっと、あんなに苦しかったのに、呼吸ができていることに気付いて、はっと目を開けた。



「……総悟」



さっきまでの青さが嘘のように暗い中、俺の大好きな顔が心配したように覗き込んでいた。それでいて、依然のような精悍さが戻っている。あの見飽きた偽物のようなへらへらした顔ではない。

土方さんだ。



「……どうして、」

「部屋の前通ったら魘されてるのが聞こえたんだよ。大丈夫か?」



低い声にぞくりと体が反応した。びりびりする。俺の闘争本能を刺激するような、声。久々に聞けた。

全部夢だったのか。それならあれはただの悪夢で、ここにいまこの人がいるのは幸せな夢なのか。

それならいますぐ覚めろ。起きた時が辛くなるだけだから。



「勝手に、部屋に入るな」

「総悟、」

「気安く名前を呼ぶな」



指先を包んだままの手がぴくりと震えた。離さないで。離さないでよ。夢が覚めるまでは触れさせて。



「……申し訳ございません」

「その言葉は聞きあきている。芸がないな、……土方」



終わらせて、くれればいいのに。あなたが私を。そうしたら、そうしたら私は強請れる。もっと素直にもっと純粋に。

足掻いても足掻いても、あなたに絡めとられて私は逃げ出せない。捕まえたのは私なのに、檻の中にいる気分になる。



「寝ずの番をしても、良いですか」

「此処へ入るのはおまえぐらいだ」

「悪い夢からです」

「相変わらず気障だな。山崎を呼ぶからいい、下がれ」

「カイザー様」

「っ」



握られたままだった指先に唇が触れた。もう夢は覚めているのに、溺れそうだ。感覚は褪めない。



「……好きにしろ」

「ありがとうございます」



温もりが解け合って、土方の手の温もりを感じた。私のが移ったのだと思うと笑ってしまいそうになる。

もう満足だから。泡のように消えさせて。

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