梅々
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処女作。
明日は節分ネタやりたいです。
ゆらゆらと揺れるモスグリーンのカーテンの向こうは白銀の桃源郷
雪見菊
「最近アンタ、忙しそうですねィ」
騒々と賑やかな休み時間の教室。その片隅で、他者を寄せ付けない雰囲気で話をしている二人組が。
片方は携帯をいじっており、もう片方は参考書とノートをテニスの観客のように忙しそうに見比べている。
「そりゃあ・・・。三年のこの時期でヒマなのは、お前くらいだろ、総悟」
土方が言っている事は、とても正しい。三年の入試前の二月に、四六時中携帯をいじっているのはもういくところが確定している奴か、いく、というか寧ろ逝く奴ぐらいだろう。だが、今年の三年は未だ誰一人、推薦を受けていなければ一次試験を受かった奴もいない。それに一人をのぞき、皆学業に勤しんでいる。
そんな中、沖田は平然と余裕そうに携帯でテトリスをやっている。
大丈夫なのだろうか、と土方は心の底から強く思う。
「お前、そんなんで大丈夫なの・・・?あ、ソレ、右!」
「わかってらァ!」
まぁ、はたから見れば、土方も同じなのだが。沖田と一緒になってテトリスをやっているし。
本人は気付いていないが。
「・・そうじゃなくて」
土方がノートと参考書、そして新たに教科書を眺めていると、沖田はパタンと携帯を閉じ、言った。
「・・・は?」
会話は終わった、と思っている土方は何の事だかわからず、顔を上げ沖田を見た。
すると、沖田は焦れったそうに土方を見、ストラップを壊しそうな勢いで弄び始めた。
「だから、最近あんた勉強だけじゃなくて、委員会とか、デートとかしてるなァ、って・・・」
「ハァ?デートなんざする暇ねぇし。・・・委員会は・・・たしかに」
土方は二年からの風紀委員に続き、生徒会長をも兼任している。
三年は受験間近で、一二年は期末テストで忙しいのだがこの時期は引継ぎの準備等、色々とやることが多いのだ。
完全下校後も、土方は学校に残って書類を作ったりしている。ということを沖田知っていた。
道路を挟んだ隣の家の二階の部屋―――――土方の部屋に電気がつくのはこの一ヵ月、平均で九時だ。
って別に一ヵ月間、毎日学校から帰ってからずーっと土方さんの部屋を見てた訳じゃないけれど。
「近藤さんも心配してやしたぜ?過労死すんじゃねぅか、って」
“も”という事は、総悟も心配してくれてるのか。と土方は少し嬉しくなった。
「・・・心配してくれてんのか?」
「え・・・?ンな訳ねぇだろィ!?」
どうやら、“も”と言ってしまったのは失言だったらしい。
ポカン、とした後、フンと拗ねてしまった。そして横を向いた際に目に映ったのか、開け放してある窓の元へと行ってしまった。
カーテンの、向こう側へ。
「総悟」
土方も立ち上がり、沖田の隣に立った。
「今夜、雪見酒でも呑むか」
「えっ?」
此方を見上げ、勿体ぶるような間をあけてからフフ、と小さく笑った。
「秀才が、法律破っていいんですかィ?」
「知るかよ、ンなもん。生徒会長だろーが秀才だろーが風紀委員だろーが、どうでもいい」
「?」
俺には、そんなもんより大切だ。お前が。
必要なのは―――――お前だけだ、総悟。
思いを告げるかわりに、口付けた。
カーテンと、雪に囲われた二人だけの世界で。
甘い。です。
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