梅々
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俺の青春を返せっ!
初日のはずなのに初々しさがまったくなかったです←
まぁ、なんか友人に全て奪われた気がします。
そしてよりぬき銀魂さん。
OP・EDがやばかったです。かっこよすぎるよDOES。そしてバックの映像も堪らん。沖田と土方がけしからん。
あ、さっちゃんでるんだ(゜o゜)\(-_-)
あと、何事もなかったかのように普通に始まったのが良かったですww
次回予告はないのかい。
それではエイプリルフールネタ後編。
一つで収まらなかったので、前編は修正しました。4月1日の記事にありますよ!
土沖です。
まぁ、なんか友人に全て奪われた気がします。
そしてよりぬき銀魂さん。
OP・EDがやばかったです。かっこよすぎるよDOES。そしてバックの映像も堪らん。沖田と土方がけしからん。
あ、さっちゃんでるんだ(゜o゜)\(-_-)
あと、何事もなかったかのように普通に始まったのが良かったですww
次回予告はないのかい。
それではエイプリルフールネタ後編。
一つで収まらなかったので、前編は修正しました。4月1日の記事にありますよ!
土沖です。
飴色の鱗
それから約四時間。
カラオケ行って駅ビルでぶらぶらして、茜色に染まった空の下帰路を行く。
姉上は声が綺麗なだけじゃなくて上手いから、聞いてるだけでいいのに交互に歌いましょうねなんて言われてしまい。自分が音痴なのは重々承知しているけれどマイクを握った。音痴は音痴だけど、土方さんの方が耳が死にそうな程下手くそだからまだマシなはず。
「そうちゃんのお歌、私は大好きよ」
「姉上のほうが、上手です」
「そんなことないわ! 今度近藤さんと十四郎さんに聞いてもらいましょう?」
「心の底から止めてください姉上」
悪意無く澄んだ瞳でそんなことを提案されて冷や汗が出る。近藤さんといい姉上といい、無邪気にさりげなく陥れるようなことを言うからある意味尊敬する。俺は土方さん曰く悪意の塊だそうだから。
暫く他愛もない話をしていたら、ピピピピ、と着信音が鳴った。俺は常にバイブレーションだからこれは姉上の携帯の着信だ。
「はい、もしもし・・・あ、当馬さん?」
当馬さんとは姉上の旦那さんの名前だ。正確には五月に籍を入れるからまだ旦那さんではないんだけれど。
優しそうな、いい人だった。顔的には土方さんの方が整っているが、人柄の良さが出ていて好感が持てた。商売の才もあり誠実で姉上も幸せそう。だから俺は文句は一才ない。
強いて言うなら、土方さんが失恋するのが若干可哀想だ。
「そうちゃん」
「はい」
「これから夕飯を食べに行きましょうって」
「あ、僕は大丈夫です」
「どうして?」
どうして、と問われても。
これから結婚する二人の間に入るようなことを普通はしないだろう。ただでさえ邪魔しちゃっているのは分かっているから、これ以上はしたくないというだけなのに。
姉上はたまに鈍感で、それは大抵自分に関わることばりだ。俺や土方さんに関することならすぐ気付くのに。
近藤さんと姉上は似ている。だから同じくらい好きなのだろう。
「僕、近藤さんと食べる約束してました、忘れてたけど」
「そうなの? じゃあ、私待ち合わせしちゃったから・・・。気を付けて帰ってね、そうちゃん」
「姉上こそ気を付けてください。この辺は平和ですけど、物騒なので」
「そうね、じゃあ」
別れ際ぎゅっと指先を握り、心配そうに眉を寄せた彼女の指先は少し冷たい。
来た道を戻る後ろ姿を眺めて、視界から消えた後に俺も歩き出す。姉上にああ言ったけれどあれは白地に嘘なので兎に角、自分家に向かう。夕飯なんて納豆さえあればどうにかなるし。
姉上は、当馬さんを本当に好きなのだろう。数年前は、土方さんのことを気にしていたみたいだったけれど、今は楽しそうに彼の話をする。
土方さんか。なんて思っているのが彼にバレたら青筋立てて怒るだろうけれど。二人が想い合わなくてホッとしている自分がいる。そんな自分が嫌で嫌で堪らないのだけれど、どうしようもない。
「総悟」
「・・・土方さん」
なんて考え事をしていたら視界に入った自分家の前に、人影があった。それはたった今まで頭の中に居た人間だからびっくり。そして、浮かべている表情が沈んだものだったから、詰まらないと思った。それと、後悔。他人を騙して楽しむ日に自虐をするなんて馬鹿だ。
姉上が結婚したと聞いて、表情を変えずにいられるような人ではないのに、土方さんは。
「どうしたんですかィ」
「・・・メール、見て」
「あぁ。・・・姉上は今いやせんが、上がってきやすか?」
俺の嘘なんて見えていないほど、土方さんは姉上の結婚に驚いたのだろう。
考えれば考えるほど、切なくなる。俺は、蚊帳の外なんだ。当たり前だけれど。
鍵を開けて中に入る、すると土方さんも当然のように続いて入ってきた。先に部屋へ行っててくだせェ、言えば沈痛な面持ちで頷かれて此方まで負のオーラが移ってしまう。
お客さんにはちゃんとお茶を出さなくちゃね、姉上の言葉を守ってお茶を淹れる。相手は土方さんだから出涸らしでもいいだろう、全然問題なし。
「ほら、茶でさァ」
盆にお茶を二人分、それと飴を五六個乗せて自室に入ると、紫のオーラを身に纏った土方さんが俺のベッドに寄り掛かり座っていた。表情の方は普段のものに戻ってきたが、オーラのほうは悪化している気がする。
はっきり言って、近寄りたくないほどだ。
テーブルに盆ごと置いて向かいに座る。お茶はまだ熱くて飲めないから飴を一つ口に放った。
「・・・結婚すんのか」
「えぇ、五月に。旦那さんはアンタとは違って誠実そうでさァ」
「俺とは違ってってな、」
切り返す声に迫力がない。いつもはキャンキャン喧しいのに、今日は。
俺は取り柄なんて剣道しかない馬鹿だし、性格も悪意の塊と称されるほどで悪くて、抑男であり。土方さんに好かれる要素なんて何一つないのは知っている。だけど、こうも凹まれると見込みの無いのは分かりきっているが、追い討ちをかけられた気分になる。
「アンタは恋人にはしたいけど旦那にはしたくないタイプですよねィ」
「なんだよ、それ」
「かっこいいからステータスにはなるけれど、妻になったらアンタがもてるから気苦労は絶えねぇし、女心はわかんねぇし」
「・・・おまえな、」
「その分俺は期待させるようなことはしないからマシでさァ。なんでアンタがもてるんだろ」
片想いしている今も、女が近づいているのを見るだけでこんなにも辛いのに、恋人、ましてや奥さんなんかになったら。どれだけ愛していて想いあっていたとしても信じられなくなるんじゃないだろうか。土方さんの奥さんになる人は余程人間が出来ているのだろう、きっと。
俺にはどう足掻いても関係のない話だけれど。
「お前も、恋人できたんだろ」
「・・・ちゃんとメール見てたんで?」
「あ? ったりまえだろ」
そうかそうか、と満たされた気になる俺は現金だ。ここで嘘だと言ってもいいのだけれどせっかくだからそのまま貫き遠そう、嘘を。嘘じゃないと露見しても大した反応はないだろうけれど、それでも揶揄うのが俺の趣味だから止めようがない。
そんな風にしか、この人と話せないから。
「で? 誰なんだよ。・・・お前の恋人」
「それは言えやせん。アンタに盗られたらイヤだし」
「俺を何だと思ってんだよ・・・」
「女好き」
「あぁそうかよ」
その言葉の重みを知らないのだろう、それでも苦々しい顔をする。女好きだから男は範疇にないのだ、この人は。それは世の中では問題ではないけれど、俺的には問題だ。
だって、実らない。非生産的。
ただ、同性に惚れてしまっただけなのに。どうしてこうも条件が変わるのか。
「可愛いのか?」
「ムサイ感じのおっさん、って言ったらどうすんで?」
「泣くかな」
「じゃあ、そんな感じのおっさんってことで」
「・・・冗談だろ?」
さぁ、と返すと紫色のオーラが消えた。代わりに、土方さんが見たことのない顔をする。引かれただろうか、でも冗談だと分かっているだろうし。なんて首を傾げれば、スクッと立ち上がる向かいの男。あまりにも急に立ち上がるものだから吃驚する。
「何ですかィ、急に」
「本当のこと言えよ」
そのまま俺の腕をグイと引っ張り無理矢理に立たせ、ベッドの上に放り投げる。
スプリングが僅かに軋むとは云えど、背中が痛い。乱暴に扱いやがって、と体を起こして睨み付けるよりも先に手首をシーツに縫い止められた。
目前に迫った顔はとても怒っている。何か怒らせるようなことをしただろうか?
「野郎とデキてんのかよ」
「・・・ほんの冗談でさァ。何を、そんなに怒ってるんで?」
「・・・別に」
「そもそも、今日は何の日かご存知ですかィ、土方さん」
体勢は変えずに眉を寄せ、あらぬ方向を熟視して考え始めた土方さんの顔をそっと観察する。こんな至近距離、滅多にないから今がチャンスなのだ。
予想外に睫毛が多い。肌も何気に綺麗だ。唇は薄く、少し乾燥している。そして、印象的なのが灰色がかった空色をした瞳。吸い込まれそう、なんて見惚れていたら土方さんと目が合ってしまった。
どきり、心臓が跳ねて口から内臓が出るかと思った。
「エイプリルフールだな」
「そうでさァ」
「じゃあ、全部嘘?」
「・・・姉上が結婚するってのは、本当」
心臓が、密着を意識して自己主張を始めるが、反比例して頭は冷えていく。土方さんは姉上が好きなのだから、意識なんてこの男は小指の先程もしていないだろうに。
今頃、どうせ失恋を深く受け止めているのだろう。黄昏るのなら俺の上から退けばいいのに。
「良かったぁ」
「そう、良かったでしょうね。・・・って、ん?」
良かった、とは何がだ。シャツの隙間から覗く鎖骨から、さっきまで観察していたお綺麗な顔に視線を移す。
すると。
またもや不可解な顔で此方を見ていた土方さんは、笑みを浮かべた。
にっこりと。
今まで、見たことの無いほどのものを。
「・・・俺、お前が欲しくて仕方ないんだけど」
「奇遇ですねィ、俺もですぜ」
本心、だと信じたいけれど真意が掴めなくて。嘘のように聞こえるだろう本心を、微笑とともに伝えれば。
笑みは、さらに濃くなった。
「総悟・・・」
「ひ、ん、っ・・・!」
ゾクリ、と肌が粟立つ温度で囁かれて困惑した、俺の唇は薄いそれに塞がれた。
ドキドキが止まらない。このキスまでもが嘘だったらどうしよう。嘘だったら―――――俺はもう、生きていけない。
一度だけ触れ離れたそれはもう一度触れてきて、そのまま頬にこめかみ、額に耳朶とあらゆる場所にキスの雨を降らせた。
顔が熱くなる、絶対に真っ赤になってしまっている。
「んっ・・・ひじかた、さんっ」
「悪い、総悟・・・」
ハッとした風に土方さんは離れて、困ったような顔で俺を瞳に映す。離れたとは云えども、鼻と鼻が触れ合う距離だ。だが、キスにうっとりと浸った俺にはその距離さえもどかしい。
だから、恥を忍んで唇を開いた。
「
それから約四時間。
カラオケ行って駅ビルでぶらぶらして、茜色に染まった空の下帰路を行く。
姉上は声が綺麗なだけじゃなくて上手いから、聞いてるだけでいいのに交互に歌いましょうねなんて言われてしまい。自分が音痴なのは重々承知しているけれどマイクを握った。音痴は音痴だけど、土方さんの方が耳が死にそうな程下手くそだからまだマシなはず。
「そうちゃんのお歌、私は大好きよ」
「姉上のほうが、上手です」
「そんなことないわ! 今度近藤さんと十四郎さんに聞いてもらいましょう?」
「心の底から止めてください姉上」
悪意無く澄んだ瞳でそんなことを提案されて冷や汗が出る。近藤さんといい姉上といい、無邪気にさりげなく陥れるようなことを言うからある意味尊敬する。俺は土方さん曰く悪意の塊だそうだから。
暫く他愛もない話をしていたら、ピピピピ、と着信音が鳴った。俺は常にバイブレーションだからこれは姉上の携帯の着信だ。
「はい、もしもし・・・あ、当馬さん?」
当馬さんとは姉上の旦那さんの名前だ。正確には五月に籍を入れるからまだ旦那さんではないんだけれど。
優しそうな、いい人だった。顔的には土方さんの方が整っているが、人柄の良さが出ていて好感が持てた。商売の才もあり誠実で姉上も幸せそう。だから俺は文句は一才ない。
強いて言うなら、土方さんが失恋するのが若干可哀想だ。
「そうちゃん」
「はい」
「これから夕飯を食べに行きましょうって」
「あ、僕は大丈夫です」
「どうして?」
どうして、と問われても。
これから結婚する二人の間に入るようなことを普通はしないだろう。ただでさえ邪魔しちゃっているのは分かっているから、これ以上はしたくないというだけなのに。
姉上はたまに鈍感で、それは大抵自分に関わることばりだ。俺や土方さんに関することならすぐ気付くのに。
近藤さんと姉上は似ている。だから同じくらい好きなのだろう。
「僕、近藤さんと食べる約束してました、忘れてたけど」
「そうなの? じゃあ、私待ち合わせしちゃったから・・・。気を付けて帰ってね、そうちゃん」
「姉上こそ気を付けてください。この辺は平和ですけど、物騒なので」
「そうね、じゃあ」
別れ際ぎゅっと指先を握り、心配そうに眉を寄せた彼女の指先は少し冷たい。
来た道を戻る後ろ姿を眺めて、視界から消えた後に俺も歩き出す。姉上にああ言ったけれどあれは白地に嘘なので兎に角、自分家に向かう。夕飯なんて納豆さえあればどうにかなるし。
姉上は、当馬さんを本当に好きなのだろう。数年前は、土方さんのことを気にしていたみたいだったけれど、今は楽しそうに彼の話をする。
土方さんか。なんて思っているのが彼にバレたら青筋立てて怒るだろうけれど。二人が想い合わなくてホッとしている自分がいる。そんな自分が嫌で嫌で堪らないのだけれど、どうしようもない。
「総悟」
「・・・土方さん」
なんて考え事をしていたら視界に入った自分家の前に、人影があった。それはたった今まで頭の中に居た人間だからびっくり。そして、浮かべている表情が沈んだものだったから、詰まらないと思った。それと、後悔。他人を騙して楽しむ日に自虐をするなんて馬鹿だ。
姉上が結婚したと聞いて、表情を変えずにいられるような人ではないのに、土方さんは。
「どうしたんですかィ」
「・・・メール、見て」
「あぁ。・・・姉上は今いやせんが、上がってきやすか?」
俺の嘘なんて見えていないほど、土方さんは姉上の結婚に驚いたのだろう。
考えれば考えるほど、切なくなる。俺は、蚊帳の外なんだ。当たり前だけれど。
鍵を開けて中に入る、すると土方さんも当然のように続いて入ってきた。先に部屋へ行っててくだせェ、言えば沈痛な面持ちで頷かれて此方まで負のオーラが移ってしまう。
お客さんにはちゃんとお茶を出さなくちゃね、姉上の言葉を守ってお茶を淹れる。相手は土方さんだから出涸らしでもいいだろう、全然問題なし。
「ほら、茶でさァ」
盆にお茶を二人分、それと飴を五六個乗せて自室に入ると、紫のオーラを身に纏った土方さんが俺のベッドに寄り掛かり座っていた。表情の方は普段のものに戻ってきたが、オーラのほうは悪化している気がする。
はっきり言って、近寄りたくないほどだ。
テーブルに盆ごと置いて向かいに座る。お茶はまだ熱くて飲めないから飴を一つ口に放った。
「・・・結婚すんのか」
「えぇ、五月に。旦那さんはアンタとは違って誠実そうでさァ」
「俺とは違ってってな、」
切り返す声に迫力がない。いつもはキャンキャン喧しいのに、今日は。
俺は取り柄なんて剣道しかない馬鹿だし、性格も悪意の塊と称されるほどで悪くて、抑男であり。土方さんに好かれる要素なんて何一つないのは知っている。だけど、こうも凹まれると見込みの無いのは分かりきっているが、追い討ちをかけられた気分になる。
「アンタは恋人にはしたいけど旦那にはしたくないタイプですよねィ」
「なんだよ、それ」
「かっこいいからステータスにはなるけれど、妻になったらアンタがもてるから気苦労は絶えねぇし、女心はわかんねぇし」
「・・・おまえな、」
「その分俺は期待させるようなことはしないからマシでさァ。なんでアンタがもてるんだろ」
片想いしている今も、女が近づいているのを見るだけでこんなにも辛いのに、恋人、ましてや奥さんなんかになったら。どれだけ愛していて想いあっていたとしても信じられなくなるんじゃないだろうか。土方さんの奥さんになる人は余程人間が出来ているのだろう、きっと。
俺にはどう足掻いても関係のない話だけれど。
「お前も、恋人できたんだろ」
「・・・ちゃんとメール見てたんで?」
「あ? ったりまえだろ」
そうかそうか、と満たされた気になる俺は現金だ。ここで嘘だと言ってもいいのだけれどせっかくだからそのまま貫き遠そう、嘘を。嘘じゃないと露見しても大した反応はないだろうけれど、それでも揶揄うのが俺の趣味だから止めようがない。
そんな風にしか、この人と話せないから。
「で? 誰なんだよ。・・・お前の恋人」
「それは言えやせん。アンタに盗られたらイヤだし」
「俺を何だと思ってんだよ・・・」
「女好き」
「あぁそうかよ」
その言葉の重みを知らないのだろう、それでも苦々しい顔をする。女好きだから男は範疇にないのだ、この人は。それは世の中では問題ではないけれど、俺的には問題だ。
だって、実らない。非生産的。
ただ、同性に惚れてしまっただけなのに。どうしてこうも条件が変わるのか。
「可愛いのか?」
「ムサイ感じのおっさん、って言ったらどうすんで?」
「泣くかな」
「じゃあ、そんな感じのおっさんってことで」
「・・・冗談だろ?」
さぁ、と返すと紫色のオーラが消えた。代わりに、土方さんが見たことのない顔をする。引かれただろうか、でも冗談だと分かっているだろうし。なんて首を傾げれば、スクッと立ち上がる向かいの男。あまりにも急に立ち上がるものだから吃驚する。
「何ですかィ、急に」
「本当のこと言えよ」
そのまま俺の腕をグイと引っ張り無理矢理に立たせ、ベッドの上に放り投げる。
スプリングが僅かに軋むとは云えど、背中が痛い。乱暴に扱いやがって、と体を起こして睨み付けるよりも先に手首をシーツに縫い止められた。
目前に迫った顔はとても怒っている。何か怒らせるようなことをしただろうか?
「野郎とデキてんのかよ」
「・・・ほんの冗談でさァ。何を、そんなに怒ってるんで?」
「・・・別に」
「そもそも、今日は何の日かご存知ですかィ、土方さん」
体勢は変えずに眉を寄せ、あらぬ方向を熟視して考え始めた土方さんの顔をそっと観察する。こんな至近距離、滅多にないから今がチャンスなのだ。
予想外に睫毛が多い。肌も何気に綺麗だ。唇は薄く、少し乾燥している。そして、印象的なのが灰色がかった空色をした瞳。吸い込まれそう、なんて見惚れていたら土方さんと目が合ってしまった。
どきり、心臓が跳ねて口から内臓が出るかと思った。
「エイプリルフールだな」
「そうでさァ」
「じゃあ、全部嘘?」
「・・・姉上が結婚するってのは、本当」
心臓が、密着を意識して自己主張を始めるが、反比例して頭は冷えていく。土方さんは姉上が好きなのだから、意識なんてこの男は小指の先程もしていないだろうに。
今頃、どうせ失恋を深く受け止めているのだろう。黄昏るのなら俺の上から退けばいいのに。
「良かったぁ」
「そう、良かったでしょうね。・・・って、ん?」
良かった、とは何がだ。シャツの隙間から覗く鎖骨から、さっきまで観察していたお綺麗な顔に視線を移す。
すると。
またもや不可解な顔で此方を見ていた土方さんは、笑みを浮かべた。
にっこりと。
今まで、見たことの無いほどのものを。
「・・・俺、お前が欲しくて仕方ないんだけど」
「奇遇ですねィ、俺もですぜ」
本心、だと信じたいけれど真意が掴めなくて。嘘のように聞こえるだろう本心を、微笑とともに伝えれば。
笑みは、さらに濃くなった。
「総悟・・・」
「ひ、ん、っ・・・!」
ゾクリ、と肌が粟立つ温度で囁かれて困惑した、俺の唇は薄いそれに塞がれた。
ドキドキが止まらない。このキスまでもが嘘だったらどうしよう。嘘だったら―――――俺はもう、生きていけない。
一度だけ触れ離れたそれはもう一度触れてきて、そのまま頬にこめかみ、額に耳朶とあらゆる場所にキスの雨を降らせた。
顔が熱くなる、絶対に真っ赤になってしまっている。
「んっ・・・ひじかた、さんっ」
「悪い、総悟・・・」
ハッとした風に土方さんは離れて、困ったような顔で俺を瞳に映す。離れたとは云えども、鼻と鼻が触れ合う距離だ。だが、キスにうっとりと浸った俺にはその距離さえもどかしい。
だから、恥を忍んで唇を開いた。
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