梅々
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リスク
一個、試験かえってきました。
ケアレスミスが多いので鬼のように自分に厳しくしミスをなくしたいと思います、来年は。
いま年賀状下書き描いてます。ティエと、米英か土沖か。
とりあえずティエは取り込みました。
よぉし、鬼畜頑張るぞ~!
それではスランプな百人一首。土沖傾向?
ケアレスミスが多いので鬼のように自分に厳しくしミスをなくしたいと思います、来年は。
いま年賀状下書き描いてます。ティエと、米英か土沖か。
とりあえずティエは取り込みました。
よぉし、鬼畜頑張るぞ~!
それではスランプな百人一首。土沖傾向?
愛したことは罪じゃなくて
壊したことが罪なんだ
それが故意でなくとも
枯れた花
上京してから数年が経った。生まれも育ちも一応東京都だが外れの田舎で。大学の方も何とか落ち着いて戻ろうという気になるまでこんなにかかった。
本当なら、もっと早く。
町は変わらずのようで新築の家がポツポツあって、時代の移りに切なくなった。
実家には戻ると連絡しておいた。今は姉夫婦しか住んでいないけれど、変わらずあるのは有り難い。
時折微香が風に乗り漂う。昔笑われるのを承知で好きなんだと言った、そして案の定笑われた梅の香りだ。甘ったるくなく上品で落ち着いた芳香。控え目でありながら美しい花。うちの庭に紅白ともにあって、総悟の家にも同じようにあった。
体が記憶している道を歩いていくと自分の家についた。周りと比べると少し古臭い、日本家屋。
ガラガラと、蹴破れば簡単に開きそうな引き戸を開ける。昔の家は土間だったんです、大学で偉ぶって吹聴していた奴がいたが、俺の家には紛うことなく生粋の土間がある。火事にあったらよく燃える木造、地震が来たらすぐに倒れる年季。この間災害対策と称して色々やったらしいが意味の有無は定かでない。
「あら、おかえり」
「おう」
「何偉そうにしてんのよ。そこはただいま、って言うとこでしょ」
「・・・ただいま」
「よろしい」
満足そうに笑い姉は家の奥へ行く。スリッパを下ろして久方振りの実家を見回す。
両親の部屋と祖父母の部屋には仏壇があった。家具とかそのままにしてあるのが姉らしい。一応手を合わせてから自分の部屋へ向かう。
数年前と何も変わらない部屋。まめな姉が掃除してくれていたのだろうそこは、主さえ戻れば普遍の日々がまた始まりそうだった。
喩えそうでももう、戻れない。
物は不変でも人の心は変わる。
机の上を見ると一つだけ見知らぬものがあった。白いフレームの写真立て。
その中の写真は高校の卒業式のもので、俺と近藤さんと総悟の三人が写っていた。
皆、笑っている。
―――――総悟も。
「十四郎」
「なに」
「ご飯、用意できたから来な」
「・・・ああ」
いつまでも続くと信じていたものが壊れた時。
滑稽なぐらい必死にその欠片を掻き集めて直そうとしたら。以前とは違っていてもそれなりの信じられる道が出来ていたのかもしれない。
今からでは遅すぎるか。
手を伸ばしたら握り返してくれるか。
夢想は夢想でしかないけれど。
居間へ行くと久々に会う義兄がいた。普段着が着物というのは珍しいが、この家にはふさわしい。
姉とは逆で温厚だ。姉も温厚ではあるが、落ち着いた物静かな人ではない。
向かいに腰を下ろすと義兄柔い笑みを浮かべた。
「久しぶりだな、十四郎」
「久しぶりです。梅が綺麗に咲いてますね」
「ああ。・・・そういや、総悟君も同じことを言っていたよ」
「総悟が・・・?」
同じことを言っていたのならば。つい最近此処へ来たことになる。
何故、今更? 何年も前に、俺たちは終わってしまったというのに。
都合の良い方向へ考えようとする頭をどうにか軌道修正して、もう終わった事だと自分にいい聞かす。無駄なことだと分かっていながら。
「先週だったかな。来たんだよ、一人で。なぁ?」
「そうそう。来たわよ。相変わらず可愛い顔しててさ、羨ましい限りね」
「で、なんだって?」
「ただ久々に来たから寄っただけって。アンタとは違い手土産持ってきてくれたけどね」
「・・・たかが自分家に、手土産なんて必要ないだろ」
“安心してくだせぇよ。これからは他人。二度と関わることもねぇでしょう”
そう言い切った揺らがない瞳。忘れることなんか出来なかった。今まで、ずっと。
もう二度と、俺はこいつと昔みたいに話したり何をするでもなく側にいたりすることができないのだと改めて知って、だから忘れようとしていたのだ。
だから、帰ってこれなかったというのもあるけれど。
どんな気持ちで、いま。
それとも俺は、もう本当にどうでもいいのだろうか。
「十四郎はどうしてるか、って開口一番に言っていたよ」
「え・・・?」
「てっきり毎日会ってるのかと思っていたんだがね・・・。隣町に住んでいるらしいから」
“さようなら、土方さん”
なんで気付かなかったのだろう。
全て一方的であいつも同じなんだって決めつけて、何も・・・何も知らないまま、勝手に終わらせたのだと。
変わるものばかりだけど、変わらないものだって、ちゃんとあるんだ。
#35
人はいさ 心も知らず ふるさとは
花ぞ昔の 香ににほひける
壊したことが罪なんだ
それが故意でなくとも
枯れた花
上京してから数年が経った。生まれも育ちも一応東京都だが外れの田舎で。大学の方も何とか落ち着いて戻ろうという気になるまでこんなにかかった。
本当なら、もっと早く。
町は変わらずのようで新築の家がポツポツあって、時代の移りに切なくなった。
実家には戻ると連絡しておいた。今は姉夫婦しか住んでいないけれど、変わらずあるのは有り難い。
時折微香が風に乗り漂う。昔笑われるのを承知で好きなんだと言った、そして案の定笑われた梅の香りだ。甘ったるくなく上品で落ち着いた芳香。控え目でありながら美しい花。うちの庭に紅白ともにあって、総悟の家にも同じようにあった。
体が記憶している道を歩いていくと自分の家についた。周りと比べると少し古臭い、日本家屋。
ガラガラと、蹴破れば簡単に開きそうな引き戸を開ける。昔の家は土間だったんです、大学で偉ぶって吹聴していた奴がいたが、俺の家には紛うことなく生粋の土間がある。火事にあったらよく燃える木造、地震が来たらすぐに倒れる年季。この間災害対策と称して色々やったらしいが意味の有無は定かでない。
「あら、おかえり」
「おう」
「何偉そうにしてんのよ。そこはただいま、って言うとこでしょ」
「・・・ただいま」
「よろしい」
満足そうに笑い姉は家の奥へ行く。スリッパを下ろして久方振りの実家を見回す。
両親の部屋と祖父母の部屋には仏壇があった。家具とかそのままにしてあるのが姉らしい。一応手を合わせてから自分の部屋へ向かう。
数年前と何も変わらない部屋。まめな姉が掃除してくれていたのだろうそこは、主さえ戻れば普遍の日々がまた始まりそうだった。
喩えそうでももう、戻れない。
物は不変でも人の心は変わる。
机の上を見ると一つだけ見知らぬものがあった。白いフレームの写真立て。
その中の写真は高校の卒業式のもので、俺と近藤さんと総悟の三人が写っていた。
皆、笑っている。
―――――総悟も。
「十四郎」
「なに」
「ご飯、用意できたから来な」
「・・・ああ」
いつまでも続くと信じていたものが壊れた時。
滑稽なぐらい必死にその欠片を掻き集めて直そうとしたら。以前とは違っていてもそれなりの信じられる道が出来ていたのかもしれない。
今からでは遅すぎるか。
手を伸ばしたら握り返してくれるか。
夢想は夢想でしかないけれど。
居間へ行くと久々に会う義兄がいた。普段着が着物というのは珍しいが、この家にはふさわしい。
姉とは逆で温厚だ。姉も温厚ではあるが、落ち着いた物静かな人ではない。
向かいに腰を下ろすと義兄柔い笑みを浮かべた。
「久しぶりだな、十四郎」
「久しぶりです。梅が綺麗に咲いてますね」
「ああ。・・・そういや、総悟君も同じことを言っていたよ」
「総悟が・・・?」
同じことを言っていたのならば。つい最近此処へ来たことになる。
何故、今更? 何年も前に、俺たちは終わってしまったというのに。
都合の良い方向へ考えようとする頭をどうにか軌道修正して、もう終わった事だと自分にいい聞かす。無駄なことだと分かっていながら。
「先週だったかな。来たんだよ、一人で。なぁ?」
「そうそう。来たわよ。相変わらず可愛い顔しててさ、羨ましい限りね」
「で、なんだって?」
「ただ久々に来たから寄っただけって。アンタとは違い手土産持ってきてくれたけどね」
「・・・たかが自分家に、手土産なんて必要ないだろ」
“安心してくだせぇよ。これからは他人。二度と関わることもねぇでしょう”
そう言い切った揺らがない瞳。忘れることなんか出来なかった。今まで、ずっと。
もう二度と、俺はこいつと昔みたいに話したり何をするでもなく側にいたりすることができないのだと改めて知って、だから忘れようとしていたのだ。
だから、帰ってこれなかったというのもあるけれど。
どんな気持ちで、いま。
それとも俺は、もう本当にどうでもいいのだろうか。
「十四郎はどうしてるか、って開口一番に言っていたよ」
「え・・・?」
「てっきり毎日会ってるのかと思っていたんだがね・・・。隣町に住んでいるらしいから」
“さようなら、土方さん”
なんで気付かなかったのだろう。
全て一方的であいつも同じなんだって決めつけて、何も・・・何も知らないまま、勝手に終わらせたのだと。
変わるものばかりだけど、変わらないものだって、ちゃんとあるんだ。
#35
人はいさ 心も知らず ふるさとは
花ぞ昔の 香ににほひける
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