梅々
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ホワイトバレンタインデー
バイト終わったら雪降ってるし積もってるしでテンションあがりました。
そんなノリでバレンタイン土沖。軽く今日見たものとか入ってます。
拍手いただけたら続きのエロを書きたい・・・!
甘めですがやっつけクオリティ。
あんた馬鹿だ、こんなに俺を夢中にさせるなんて。
kiss me
バイトだから、と一ヶ月近く前から言ってあった。だから、今年もバレンタインは大して踏襲されるべき行事でもないんだ、なんて思っていた。そんなことを思いながら、顔の筋肉をどうにか動かして先輩に習った通りの接客をする。来るときから眠たかったが今は目がしょぼしょぼしてる。
「沖田くーん、閉店準備ー」
「へーい」
バタバタと慌ただしくレジの精算に清掃、ゴミ出しまでしたら上がっていいよーと緩く許可を貰った。
店長は銀髪にパーマという奇抜な髪型だけれど色、癖ともに天然であるというから不思議だ。それなのに日本人とか言われても信じられない。確かに、おっさんくさいけど。
鞄の中に入れてある包みを確認して、ふぅと息を吐く。バイトも終わったし帰るだけ。
「沖田くんチョコあげるー」
「本当ですかィやった!」
受け取ったそれは一口大のチョコで虹色の包みを、赤いリボンで留めてあった。中身は全く見えないけれどとてもおいしそうだ。
「ありがとうごぜぇやす」
「あ、待って魔法かけるから」
おいしくなーれおいしくなーれ、そう言いながら翳した手をぐるぐる、ぐるぐると回す。大真面目にそれをやられると本当に魔法がかかったんじゃないかと思えてくるから不思議だ。
お返しには自分のために買った○ロルチョコを。掴み取りでさァと袋を渡したら目一杯取られたけれど、いつも世話になっているから、文句なんか言わない。
外へ出たらテレビでしか見たことがないぐらいに雪が降っていた。しかも、三センチぐらい積もっている。傘を出すのが面倒だと言うから入れてやりながら駅ビルを出る。駅ビルなのに九時に閉まるとか大丈夫なのだろうか。大丈夫大丈夫、と店長が言うなら大丈夫そうだからそこまで気にはしない。
地下一階で別れて、店長は更に下の地下鉄のホームへ、俺は改札前を横切りバス停へ向かう。バレンタイン、しかも雪が降っているだけあっていちゃつくカップルが多い。この上なく密着して抱き合ってる高校生、浜辺にいるかのように走る高校生、ホテルの予約をしている社会人。少し羨ましく思いながらも歩いて、バス停へ続く階段を視界に入れたら、なんだか不思議なものを見た。
カップルであふれる中一人立っている、男だ。それが男を待っているなんて、不思議なものにしか思えない。こんなに恋人たちであふれる中で。
ちらり、一瞥くれたなと思ったら気付いたようで、体ごとその男はこちらを向いた。
「お疲れ様」
「・・・待ってたんですかィ」
「今待ち始めたばっかだけどな」
「・・・別にいいのに」
心の底からそう思って、口にしたら曖昧な表情とともに頭を撫でられた。そして泊まれと一言。
有無を言わさない強さに溜め息を溢す。これは、照れ隠し。
羨ましく思っていたものの中に入れて少し機嫌が良くなる。眠たいままだけど。
「んじゃ行くぞ」
「俺さくさく雪踏んで歩きたい」
「そう言うと思ったから、今日は車じゃねぇよ」
ぐっと胸が詰まって言葉にも詰まった。なんでこの人は俺のことなんでも分かっているんだろう。いつもは車で来ているくせに。今日も車で来ればよかったのに。これだから気障なやつは。
一緒に階段を上って傘を差して、並んでさくさく、音を立てる。振り返ったら白い雪に点々と足跡があって、一際黒く俺達の足跡が並んでる。
「チョコレートやりたくて。必死で何がいいか悩んでた」
「それで? 何にしたんですかィ?」
「家に置いてあるから。・・・少し待ってな」
優しい瞳を向けて土方さんが言う。街灯の橙の灯りに白く舞う雪、それに赤い傘。一枚の絵のようで、ふいと顔を背けた。しかも傘が、俺が去年のクリスマスにあげたものだったりするから。
ドキドキしてしまう。恋人達にとって、この手のイベントは発情の契機に過ぎないんだ。いつもより美化してしまう。・・・土方さんを。
マンションについて土方さんが鍵を開けるのを待つ。深々雪が降っているのに見惚れていると腕を引っ張られた。
「・・・あったけ」
「部屋着ソファーに出してあっから着とけ」
「へーい」
暖房を付けっぱなしにして部屋を暖めておいてくれたらしい。そんな心遣いよく出来るななんて思いながらリビングへ、行ったら。
ソファーの上には宣言通り、もこもこで黒い俺愛用の部屋着が置いてあった。でもそれよりも。テーブルのうえに大きな箱が置いてあって。三十センチ四方の、可愛くデコレーションされた箱。今日の日付と先程の台詞からそれはプレゼントだと分かるけれど。箱の大きさに戸惑った。
後ろから近づいてきた足音がすぐ後ろ足で止んで、ぎゅっと抱き締められる。
「え、なにこれ」
「開けて御覧」
促されるまま、近寄って開ける。後ろに張り付いたままの土方さんが煩わしかったりするけれどそれは口に出さない。
リボンを解いて包装紙を所々破きながら箱を出す。薄桃色のそれを開けると、沢山の、チョコレートが。しかも、食べたかったやつばかり。社会人の経済力はやっぱり高校生とは比べ物にならない。
「高くて少ないよりも、一杯あったほうが喜ぶだろ?」
「ありがとうごぜぇやす・・・。ん、あれ?」
がさごそ、チョコレートをひっくり返して見ていたら、箱の底に小さな箱があった。他のチョコレートの包みとは明らかに違う。食品関係ではなさそうな、箱。取り出して見ると案外重くて、性急な手付きで中身を取り出す。
指輪の、ケースが現れた。
「え、」
「虫除けに薬指につけとけ。売約済みですってよ」
耳元で囁かれて心臓が馬鹿になった。ばくばく、煩くて、一向に治まらない。
気障なやつめ、流したくても流せなくて、鞄に閉まってあるネクタイを渡すタイミングをぼんやりと考えた。
アンタだって、虫除けが必要なのに。
そんなノリでバレンタイン土沖。軽く今日見たものとか入ってます。
拍手いただけたら続きのエロを書きたい・・・!
甘めですがやっつけクオリティ。
あんた馬鹿だ、こんなに俺を夢中にさせるなんて。
kiss me
バイトだから、と一ヶ月近く前から言ってあった。だから、今年もバレンタインは大して踏襲されるべき行事でもないんだ、なんて思っていた。そんなことを思いながら、顔の筋肉をどうにか動かして先輩に習った通りの接客をする。来るときから眠たかったが今は目がしょぼしょぼしてる。
「沖田くーん、閉店準備ー」
「へーい」
バタバタと慌ただしくレジの精算に清掃、ゴミ出しまでしたら上がっていいよーと緩く許可を貰った。
店長は銀髪にパーマという奇抜な髪型だけれど色、癖ともに天然であるというから不思議だ。それなのに日本人とか言われても信じられない。確かに、おっさんくさいけど。
鞄の中に入れてある包みを確認して、ふぅと息を吐く。バイトも終わったし帰るだけ。
「沖田くんチョコあげるー」
「本当ですかィやった!」
受け取ったそれは一口大のチョコで虹色の包みを、赤いリボンで留めてあった。中身は全く見えないけれどとてもおいしそうだ。
「ありがとうごぜぇやす」
「あ、待って魔法かけるから」
おいしくなーれおいしくなーれ、そう言いながら翳した手をぐるぐる、ぐるぐると回す。大真面目にそれをやられると本当に魔法がかかったんじゃないかと思えてくるから不思議だ。
お返しには自分のために買った○ロルチョコを。掴み取りでさァと袋を渡したら目一杯取られたけれど、いつも世話になっているから、文句なんか言わない。
外へ出たらテレビでしか見たことがないぐらいに雪が降っていた。しかも、三センチぐらい積もっている。傘を出すのが面倒だと言うから入れてやりながら駅ビルを出る。駅ビルなのに九時に閉まるとか大丈夫なのだろうか。大丈夫大丈夫、と店長が言うなら大丈夫そうだからそこまで気にはしない。
地下一階で別れて、店長は更に下の地下鉄のホームへ、俺は改札前を横切りバス停へ向かう。バレンタイン、しかも雪が降っているだけあっていちゃつくカップルが多い。この上なく密着して抱き合ってる高校生、浜辺にいるかのように走る高校生、ホテルの予約をしている社会人。少し羨ましく思いながらも歩いて、バス停へ続く階段を視界に入れたら、なんだか不思議なものを見た。
カップルであふれる中一人立っている、男だ。それが男を待っているなんて、不思議なものにしか思えない。こんなに恋人たちであふれる中で。
ちらり、一瞥くれたなと思ったら気付いたようで、体ごとその男はこちらを向いた。
「お疲れ様」
「・・・待ってたんですかィ」
「今待ち始めたばっかだけどな」
「・・・別にいいのに」
心の底からそう思って、口にしたら曖昧な表情とともに頭を撫でられた。そして泊まれと一言。
有無を言わさない強さに溜め息を溢す。これは、照れ隠し。
羨ましく思っていたものの中に入れて少し機嫌が良くなる。眠たいままだけど。
「んじゃ行くぞ」
「俺さくさく雪踏んで歩きたい」
「そう言うと思ったから、今日は車じゃねぇよ」
ぐっと胸が詰まって言葉にも詰まった。なんでこの人は俺のことなんでも分かっているんだろう。いつもは車で来ているくせに。今日も車で来ればよかったのに。これだから気障なやつは。
一緒に階段を上って傘を差して、並んでさくさく、音を立てる。振り返ったら白い雪に点々と足跡があって、一際黒く俺達の足跡が並んでる。
「チョコレートやりたくて。必死で何がいいか悩んでた」
「それで? 何にしたんですかィ?」
「家に置いてあるから。・・・少し待ってな」
優しい瞳を向けて土方さんが言う。街灯の橙の灯りに白く舞う雪、それに赤い傘。一枚の絵のようで、ふいと顔を背けた。しかも傘が、俺が去年のクリスマスにあげたものだったりするから。
ドキドキしてしまう。恋人達にとって、この手のイベントは発情の契機に過ぎないんだ。いつもより美化してしまう。・・・土方さんを。
マンションについて土方さんが鍵を開けるのを待つ。深々雪が降っているのに見惚れていると腕を引っ張られた。
「・・・あったけ」
「部屋着ソファーに出してあっから着とけ」
「へーい」
暖房を付けっぱなしにして部屋を暖めておいてくれたらしい。そんな心遣いよく出来るななんて思いながらリビングへ、行ったら。
ソファーの上には宣言通り、もこもこで黒い俺愛用の部屋着が置いてあった。でもそれよりも。テーブルのうえに大きな箱が置いてあって。三十センチ四方の、可愛くデコレーションされた箱。今日の日付と先程の台詞からそれはプレゼントだと分かるけれど。箱の大きさに戸惑った。
後ろから近づいてきた足音がすぐ後ろ足で止んで、ぎゅっと抱き締められる。
「え、なにこれ」
「開けて御覧」
促されるまま、近寄って開ける。後ろに張り付いたままの土方さんが煩わしかったりするけれどそれは口に出さない。
リボンを解いて包装紙を所々破きながら箱を出す。薄桃色のそれを開けると、沢山の、チョコレートが。しかも、食べたかったやつばかり。社会人の経済力はやっぱり高校生とは比べ物にならない。
「高くて少ないよりも、一杯あったほうが喜ぶだろ?」
「ありがとうごぜぇやす・・・。ん、あれ?」
がさごそ、チョコレートをひっくり返して見ていたら、箱の底に小さな箱があった。他のチョコレートの包みとは明らかに違う。食品関係ではなさそうな、箱。取り出して見ると案外重くて、性急な手付きで中身を取り出す。
指輪の、ケースが現れた。
「え、」
「虫除けに薬指につけとけ。売約済みですってよ」
耳元で囁かれて心臓が馬鹿になった。ばくばく、煩くて、一向に治まらない。
気障なやつめ、流したくても流せなくて、鞄に閉まってあるネクタイを渡すタイミングをぼんやりと考えた。
アンタだって、虫除けが必要なのに。
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