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梅々

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スモールワールド

おはようございます、とすました顔をし擦れ違おうとした沖田の腕を荒々しく土方は掴んだ。
屯所内禁煙など知るものかと吸っていた煙草を噛み潰す。
「おまえ、ヤったろ」
「何をです?」
ぱちぱちとわざとらしい瞬きをよこす沖田に舌打ちをしたいのを堪え、代わりに腕を掴む手に力を込めた。
一番隊隊士の死体が町外れの林から見つかったとの知らせをきいたのはほんの十分ほど前のことだ。
何も取られていないようだが組織にとっては物よりも情報のほうが重要だ。もしも攘夷浪士に情報を取られていたら、と思ったが殺された隊士の名をきいてその可能性はないと分かった。けれど、土方は眉を寄せた。
「俺は知らないとでも?」
「だからヤったってなにをでさァ。セックスですかィ? それとも人殺し?」
挑発する眼差しに、どうして露見しないと思っているのか分からないと土方は息をつく。
「両方だよ」
あの隊士と。そしてあの隊士を。
断言すれば引き結ばれた唇は何も告げないが土方を見据える瞳が揺れた。
いつまで経っても馬鹿な餓鬼だと拘束を解けば視線はそれる。
「閨で鎌掛けたら間者だって分かったんで。外でヤろうつったらのこのこついてきたんで斬りやした」
どうしてそう体を張る。誰も頼らない。危ない橋を渡る。おまえの役割じゃないだろう。勝手に抱かれやがって。
私情も混ざる小言のどれも殺し、頭に触られるのが嫌いなのを承知の上で撫でてやる。
くしゃくしゃに髪をかき混ぜればあどけない仕草で瞼を閉じ、身を固くした。
「あてつけか」
「そう思うのは疾しさがあるからですぜ」
つい先日、浪士と繋がる女といい仲になり情報を引き出した上討ち入りにまでこぎつけたのは確かに土方である。
こうやって悪いことばかり土方から盗んで学ぶ沖田が不憫だ。
「今夜おまえに疾しいことさせろよ」
不憫であると同時に、愛しくてたまらないのだから仕方ない。







突発的なお話。二年前くらいな妄想。
今日新歓で去年のスパークで名前を見かけましたって方がいらしてとても驚きました。以外と世間は狭い。

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