梅々
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ギリギリ間に合った
小説いっこ書き終えました!
試験四日前だけど!
では土沖風味でちょっと遅れたけど金木犀ネタです!九月に書き始めたから仕方がない、です。
801なのはいつものことなのでむしむし。
試験四日前だけど!
では土沖風味でちょっと遅れたけど金木犀ネタです!九月に書き始めたから仕方がない、です。
801なのはいつものことなのでむしむし。
アンタの中心は近藤さんでしょ?
じゃあ俺はどこにいる?
棺桶に敷き詰めて
すぅ、と深呼吸してみる。すると甘い芳香が胸いっぱいに満ちて溺れそうになった。実家に小振りながらあった金木犀のことを思い出して瞼を閉じる。
甘いだけの香り。それなのに切なく感じるのは何故だろうか。郷愁を誘う、そんな香りだからだろうか。
閉じた瞼の暗闇に、大好きだった人の姿が映る。いつでもそこにいる、でも、それに触れることはできない。
「何してんだ」
「・・・土方さん」
最初は一緒に巡回していたけれど土方さんが女に絡まれたので俺は一人、お気に入りの場所に来ていたのに。対して探した様子もなく追い付かれて少し不愉快。
実は発信器でもつけられているんじゃ、と疑ってしまうほど、基本的にこの人は俺を探さずにして見つける。団子屋にいるときや河原で寝てるとき、ガキと遊んでいるときも当たり前のようにサボるなとか声をかけてくる。ストーカーのように。だから、見つからないとたまに物足りなくなったりもするのだけれど、行動範囲が知られているのは気に食わない。
風が止んで、濃厚な香りが辺りを包む。もう一度瞼を閉じて深呼吸すれば再び瞼の裏に姉上の姿が浮かぶ。どこまでも甘い香りに、淡い姿。
思春期真っ盛りなのだろうか、切なくて、あの頃に戻りたくて仕方がない。今も幸せだけれど、何も失っていない時代に焦がれてしまうのは仕方がないこと。
「土方さん、くせぇ」
「あぁ?」
「煙草の匂い、すごいでさ」
んなこと言われても、と自分の匂いをすんすん、嗅いでいるのを眺める。ヘビースモーカーだから、服と言わず体にまで染み付いているに違いない。だから自分じゃ分からないんだ。
だから善意で、顔を寄せて息をいっぱい吸う。甘い香りが負けてしまうぐらい、煙草の匂いしかしない。とても臭い。元来俺は煙草の匂いが大っ嫌いだ。
「アンタの匂いでさ」
「臭いってか」
こんなちっぽけなことにムッとして、煙草に火を付けた。長い指が、白いそれを持つ様に密かに憧れていたりする。
煙草の匂いは嫌いだ。でも、土方さんの匂いが臭くて嫌いだとは言っていない。寧ろ、安心する。
一歩土方さんから離れたらまた、不安定な香りが漂う。金木犀は好きだ。でも、それは姉上が好きだったからかもしれない。姉上が好きなものは自然と俺も好きになっていた。姉上を喜ばす為かもしれない。姉上が嫌いなものだって、似たようなもので。虫ぐらい外に捨てられたし、嫌いな雷だって、姉上を勇気付けられるぐらいには、堪えられた。要するに姉上が俺の世界の中心だ。
そして、多分土方さんもそう、だった。
「俺は近藤さんが好きでさ」
「唐突になんだよ、おまえ」
「多分、唯一姉上を理由にしないで好きになったんでさァ」
「・・・それで?」
「俺はアンタが大っ嫌いです」
瞼を開ける。紫煙を纏った土方さんが、俺を見る。
大分関係は変わった。俺が先輩だったのにこいつは上司になった。喧嘩ばかりなのは変わらないが肌を寄せるように、なった。それでも根本は変わっていない、はずだ。
俺のこの小さくて要領の悪い頭じゃ、いくら土方さんのことを考えても分かることなんて少ない。この人ならこう考えるだろうとか、確証にはならなくて想像の域を出ない。分からないのに分かった気になるのは愚かなことだから、分かることから考えてみた。優しくて生温い、土方さんについて。
「アンタは唯一、姉上が好きなものなのに俺が好きになれなかったものなんです」
「敬遠したんじゃねぇの」
「純粋な幼い俺は、アンタとこんな風になるとは思っていやせんでした」
「なるほど。じゃあ、俺も近藤さんと同じく特別ってわけか」
意外にも、満足げに笑った。嫌いって言っているのに喜び、甘んじるのが土方さんらしい。
くしゃり。頭を撫でられて髪についていただろう小花が落ちる。甘い香りはまた消えて、鼻だけでなく口までも苦い煙草が占領した。
じゃあ俺はどこにいる?
棺桶に敷き詰めて
すぅ、と深呼吸してみる。すると甘い芳香が胸いっぱいに満ちて溺れそうになった。実家に小振りながらあった金木犀のことを思い出して瞼を閉じる。
甘いだけの香り。それなのに切なく感じるのは何故だろうか。郷愁を誘う、そんな香りだからだろうか。
閉じた瞼の暗闇に、大好きだった人の姿が映る。いつでもそこにいる、でも、それに触れることはできない。
「何してんだ」
「・・・土方さん」
最初は一緒に巡回していたけれど土方さんが女に絡まれたので俺は一人、お気に入りの場所に来ていたのに。対して探した様子もなく追い付かれて少し不愉快。
実は発信器でもつけられているんじゃ、と疑ってしまうほど、基本的にこの人は俺を探さずにして見つける。団子屋にいるときや河原で寝てるとき、ガキと遊んでいるときも当たり前のようにサボるなとか声をかけてくる。ストーカーのように。だから、見つからないとたまに物足りなくなったりもするのだけれど、行動範囲が知られているのは気に食わない。
風が止んで、濃厚な香りが辺りを包む。もう一度瞼を閉じて深呼吸すれば再び瞼の裏に姉上の姿が浮かぶ。どこまでも甘い香りに、淡い姿。
思春期真っ盛りなのだろうか、切なくて、あの頃に戻りたくて仕方がない。今も幸せだけれど、何も失っていない時代に焦がれてしまうのは仕方がないこと。
「土方さん、くせぇ」
「あぁ?」
「煙草の匂い、すごいでさ」
んなこと言われても、と自分の匂いをすんすん、嗅いでいるのを眺める。ヘビースモーカーだから、服と言わず体にまで染み付いているに違いない。だから自分じゃ分からないんだ。
だから善意で、顔を寄せて息をいっぱい吸う。甘い香りが負けてしまうぐらい、煙草の匂いしかしない。とても臭い。元来俺は煙草の匂いが大っ嫌いだ。
「アンタの匂いでさ」
「臭いってか」
こんなちっぽけなことにムッとして、煙草に火を付けた。長い指が、白いそれを持つ様に密かに憧れていたりする。
煙草の匂いは嫌いだ。でも、土方さんの匂いが臭くて嫌いだとは言っていない。寧ろ、安心する。
一歩土方さんから離れたらまた、不安定な香りが漂う。金木犀は好きだ。でも、それは姉上が好きだったからかもしれない。姉上が好きなものは自然と俺も好きになっていた。姉上を喜ばす為かもしれない。姉上が嫌いなものだって、似たようなもので。虫ぐらい外に捨てられたし、嫌いな雷だって、姉上を勇気付けられるぐらいには、堪えられた。要するに姉上が俺の世界の中心だ。
そして、多分土方さんもそう、だった。
「俺は近藤さんが好きでさ」
「唐突になんだよ、おまえ」
「多分、唯一姉上を理由にしないで好きになったんでさァ」
「・・・それで?」
「俺はアンタが大っ嫌いです」
瞼を開ける。紫煙を纏った土方さんが、俺を見る。
大分関係は変わった。俺が先輩だったのにこいつは上司になった。喧嘩ばかりなのは変わらないが肌を寄せるように、なった。それでも根本は変わっていない、はずだ。
俺のこの小さくて要領の悪い頭じゃ、いくら土方さんのことを考えても分かることなんて少ない。この人ならこう考えるだろうとか、確証にはならなくて想像の域を出ない。分からないのに分かった気になるのは愚かなことだから、分かることから考えてみた。優しくて生温い、土方さんについて。
「アンタは唯一、姉上が好きなものなのに俺が好きになれなかったものなんです」
「敬遠したんじゃねぇの」
「純粋な幼い俺は、アンタとこんな風になるとは思っていやせんでした」
「なるほど。じゃあ、俺も近藤さんと同じく特別ってわけか」
意外にも、満足げに笑った。嫌いって言っているのに喜び、甘んじるのが土方さんらしい。
くしゃり。頭を撫でられて髪についていただろう小花が落ちる。甘い香りはまた消えて、鼻だけでなく口までも苦い煙草が占領した。
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