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梅々

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にゃんにゃんにゃんこの日。

というわけでツイッターで言ったにゃんこネタを書いてみました。
スランプです。


ドグラマグラ下巻、1/3ぐらい読んだのですが、さきに課題やろうか悩んでます。どうしたものか。うーん。





とりあえず、土方と沖田でパラレル。猫猫!













拾ったのは気紛れだった。

気付いたら居座っていた。

そんな、猫がいる。





ペティションに手を差しのべて





 段ボール内で体育座りしている様が愛らしかった猫の名は総悟と言うらしい。小学校低学年ぐらいの身長の、色素の薄い少年。頭にちょこんと二つついてる耳とゆらゆら揺れる尻尾がなければ、ハーフの少年にしか見えないのに。
 クリスマスに拾った行き倒れの猫は、春の近づく今、大分懐いたようだった。
 初めの頃はぼんやりと日々を過ごしていたようだが、近頃は家事をやっといてくれている。家に帰ればキッチンは綺麗だし、洗濯物は干され、風呂も出来ている。流石に一人でいる間に火や包丁を使わせるわけにはいかないので、料理はできていないがとても楽だ。

「土方さん、土方さん」

「んー・・・」

 猫が呼ぶ声が微かに聞こえて、ぼんやりとしながら手を伸ばす。指先にサラサラとしたものが触れて、手触りの良さにそれを抱き寄せた。ぬくったい、それを抱き締めながら再びうとうと、睡眠へと舟を漕ぎ始める。

「起きろっての」

「いでっ!!」

 それを妨げるように、脇腹の肉を目一杯つねられてバチッと瞼を開いた。
 腕の中からじとっと、俺を見る総悟に慌てて手を離せば、猫は舌打ちをしながらベッドから下りた。尻尾が立っていて空気は剣呑。ただ寝惚けて抱き締めてしまっただけだというのに。一言も発することなく総悟は意外と丁寧にドアを閉め、寝室から出ていってしまった。とりあえず着替えて、後を追う。
 拾ってきた晩はあまりにも体が冷えていたので、風呂に入れてやって抱き締めながら寝た。だがそれからは、総悟はソファーで丸まって眠っている。寒いだろうに、一緒に寝るかと誘っても本気で嫌がる。
 改めて考えたら、懐かれていない気がしてきた。

「朝飯は?」

「パン! ほらそこ座りなせェ」

「ん。あんがとな」

 座れば総悟がマーガリンやら皿やらをせっせと運んでくれる。茶色い頭が行き来する様を見たらただぼんやり座っているのは悪い気がするが、ここで手伝うと座ってろと毛を逆立てて怒られる。
 パンを焼いてマーガリンを塗ってやる。オレンジジュースを運んで来てくれた総悟がよいしょ、と椅子に座り、がぶっと食パンにかぶりついた。総悟の食べ方はとても汚い。だが、その分とても美味そうに食べる。片付けが面倒ではあるが、一緒に食べると美味しく感じる、という言葉を実感できる。

「今日洗濯するんで」

「じゃあ手伝う」

「嫌だ。俺がやるんでィ」

 耳がピクピク、楽しげに動き尻尾がゆらりゆらりと揺れる。機嫌自体は良いのだろう。やると言うのならいいか、と自分の皿だけは下げる。
 もごもご、未だに食べ続ける総悟を横目に新聞を読み始める。
 総悟はあまり、贅沢を言わない。言わないが、耳や尻尾に現れる。団子やケーキのCMを見ると尻尾がたんたんと床を打つし、俺の料理が嫌いなのかたんまりマヨをトッピングした手料理を出すと耳が下がる。服を買い与えたときも、少し不満だったようだ。今日は白いシャツの上にカーディガンを羽織り、サスペンダーつきの黒の短パンという格好だ。これは中々好評だったが、安さで選んだ他のジャージだとかは不評で中々着てもらえない。
 だがあれが欲しいだとかこれが欲しいだとかは、言わない。生意気なことばかり言い、起こし方など正してほしいところもあるが、迷惑はかけないようにしようとしているのは伝わる。

「洗濯機止まったぞー」

「へーい」

 洗い物をしていた総悟はとん、と台から飛び降りて、たたたっと洗面所へ駆けていく。総悟が洗濯をしてくれるようになってから一月程経つが、俺がいるときにするのは初めてだ。昨日服を買ってきた所為だろう。
 戻ってきた総悟は篭を抱え、よいしょよいしょと声が聞こえそうな様子で運んでいる。俺は気にしていなかったが、実家の古いのをもらってきたから重ためなその篭。今度軽いのに変えてやろうと思いながら見守っいると、キッチンで使っていた台を抱え、それをベランダに置いた。
 シャツを一枚取りハンガーにかけ、そして。腰まである台に上り背伸びして竿にかける。
 ふらふらと危なっかしい、と思うと同時に言葉が出ていた。

「あっぶねぇだろ!」

「!?」

 びくっ、と総悟の肩が跳ねてフラリ、バランスを崩した。が、落ちることはなく両足を台につけて、総悟は此方を睨んだ。

「危ねぇのはアンタでさ! 急に声あらげんな! びっくりするじゃねぇかィ!」

「てめぇがフラフラしてんのが悪いんだよ。お前いつもあんな風に干してたのか?」

「そうでさ。悪い?」

 ぴょんと床に下りプイ、とそっぽを向く総悟の元へと歩み寄り、肩を掴んだ。
 洗濯をしてくれることも、帰ってきたときに風呂ができてることも、嬉しいしありがたい。だからって、それを目的に総悟をここに置いているのではなくて。
 何も言わない俺に眉を寄せて、徐に総悟は此方を向いた。口は反抗的だったが、尻尾が不安げに下がっている。心なしか目も潤んでいて、可愛いなんて思ってしまった。

「やってくれんのはありがたいけど、おまえが落ちて怪我でもしたら、怖いから」

「・・・怖いんですかィ?」

「ああ」

「・・・心配する?」

「心配する。ってか今してるから」

「ふーん」

 自己主張の激しくなった耳を、やんわりと撫でてやる。そういや初めて撫でるかもしれない、思いながら手を動かすと、くすっと笑いながら総悟が身を擦り寄せてきた。シャツをしっかり握って胸元に顔をさすさすする様はやっぱり猫だ。

「煙草くさい」

「悪かったな」

「・・・ね、手伝ってくだせェ」

 尻尾がぽんぽん、しゃがんだ俺の膝を叩いた。俺を見上げながら首を傾げる仕草は狙ってやってるのか。
 懐いてんのは俺かもな、思いながら手伝ってやると総悟は楽しげに笑った。

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