梅々
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きょうはかすがとアニキ攻略
- 2012/02/24 (Fri) |
- 土沖 |
- CM(0) |
- Edit |
- ▲Top
今日はとりだめた銀魂のCMカットに半日を費やしました。でもまだ半分も終わってない。
カイザー麗しい。本当に麗しい。ハリセンでぶって咄嗟にカイザーのフルネームを呼べる土方がとても素敵。沖田は向上心でマヨ丼食べられるようになったんだね。
あと年賀状とかラブチョリスとかごちそうさまです。銭湯編本当にかわいい。あんたも好きねぇしゃちょさんってどこで学んだの。あと沖田に期待する土方。
あんぱん回の、女はどこまでいっても化粧、化粧、化粧……は土方の本音だったら萌える。
あと、ラブチョリスの新八の相手の声陽毬ちゃんですね!
今日気づいたのは土方も沖田も新八も神楽も末っ子で、しかも各々兄姉にコンプレックスがあることでした。銀魂主要キャラの4/6が弟妹なんだね。
それではにゃんこの日後半。
土沖に転びました。えろはないですが、改装してるので一応18禁です。
続きのえろ必要だろうか。
カイザー麗しい。本当に麗しい。ハリセンでぶって咄嗟にカイザーのフルネームを呼べる土方がとても素敵。沖田は向上心でマヨ丼食べられるようになったんだね。
あと年賀状とかラブチョリスとかごちそうさまです。銭湯編本当にかわいい。あんたも好きねぇしゃちょさんってどこで学んだの。あと沖田に期待する土方。
あんぱん回の、女はどこまでいっても化粧、化粧、化粧……は土方の本音だったら萌える。
あと、ラブチョリスの新八の相手の声陽毬ちゃんですね!
今日気づいたのは土方も沖田も新八も神楽も末っ子で、しかも各々兄姉にコンプレックスがあることでした。銀魂主要キャラの4/6が弟妹なんだね。
それではにゃんこの日後半。
土沖に転びました。えろはないですが、改装してるので一応18禁です。
続きのえろ必要だろうか。
嫌いなのに込み上げる愛しさはなんなんだろう
ひみつのじゅもん
すっかりなついたとうしろうを抱いて、山崎の部屋の障子を開く。背を向けていた山崎がこっちを見て、やっぱり沖田さんかと困ったような顔をした。その情けなさが山崎らしい。
腕の中のとうしろうをちらりと見てから山崎はお汁粉持ってきますね、と立ち上がった。はらりと赤地に黄色い花の模様が入った着物が畳の上に置かれる。
山崎のくせに贈り物? 彼女いるの?
思わず言えばむっとしたような顔をする。
「山崎のくせにってなんですか。これは変装用の物です。おはしょりつめとくと便利なんで」
「ふーん」
そう言えば姉上もやっていたなと思いながら座って着物に手を伸ばす。素材がいいのだろう、手によく馴染む。
お汁粉やってきます、言って部屋を出た山崎をちらりと見て、とうしろうを足の上に置く。頭を撫でてやるとミーと鳴いた。段々愛嬌が出てきたと思う。可愛い。
「……姉上が大事にしてた振り袖も真っ赤だったなぁ。着てんの一、二回しか見てないけど」
母上の形見なんだと、大事にしまっていたのを思い出した。樟脳の匂いにくらりとした記憶がある。今は、俺の部屋の押入れの奥にしまってあるけれどあれを出すことはないだろう。やる相手もいない。
かぷっと指先を甘噛みされた。視線をとうしろうに戻すと此方をじっと見ていた。撫でるの止めたから拗ねたのか。そう思い再び撫でてやると、目を細めて顔を擦り寄せてくる。
「そんな撫でられたいの? お前」
「ニャー」
曖昧に鳴くものだから分からない。そもそも猫と意志疎通を目論む俺はちょっとやばいかも。
そんぐらい暇なのだ。あの人がいないから。
「沖田さん、入りますよ」
「んー」
盆を持って山崎が入ってくる。それを俺との間に置いて、どうぞとお汁粉の入った漆塗りの椀を俺の前に置く。それとお茶もある。しかも、山崎の分だけでなく、とうしろうの分のお茶もある。猫にまで気が利くのかこいつ。
山崎の話だと、急な出張が入って土方さんは今朝出ていったらしい。その慌ただしく支度してる最中に俺は部屋へ行ったらしく。結局会うことはなかった。つまらない。
「いっただっきやーす」
「はい。……で、その猫見廻りに連れてったんですか」
「勿論」
程好い温度のお汁粉を一口食べる。甘くておいしい。しかも小豆の柔らかさもちょうどいい。流石山崎。
小姓だから連れ歩くのは当然だろう。と肩の上に乗せてみる。見廻りのときはちゃんといい子に横を歩いて、団子屋ではいい子に待って。一緒に昼寝もした。旦那にも見せてやろうと思ったのに会えなかったのは残念だけど、中々楽しかった。言ったことが分かるみたいだ。賢いやつ。
肩車のような体勢でじっとしてる、とうしろうの手をつんつんとつつく。散歩から帰ってすぐに足を洗ったからちゃんと綺麗だ。
「そういやザキー」
「はい」
「土方さん、あれから夜遊びしてねぇ?」
再びお汁粉を飲みながら聞くと、山崎はう、と言葉につまった。
その反応はもしかして。あの人夜遊びしてんの? え? まじで?
とうしろうが乗っている、なんてこと忘れて身を乗り出す。
「してんの」
「いや、してませんよ、一切。仕事終わったら真っ直ぐ帰ってますし、空いてる日もでかけてません」
「なんだ。よかった。おまえ紛らわしい反応すんなよ」
ふぅ、と座り直すと、とうしろうの足を踏んでしまったみたいで、ニャ! と鳴かれた。さっきの振動で落ちちまったのだと気づいて、腕に抱いて踏んでしまった足を撫でる。
夜遊びしてないのか。それなら、なんで俺を抱かないんだろうか、あの人は。
一回だけ、あの人に抱かれたことがある。その日は、見つからないように倉庫に隠れて昼寝していて、目覚めたら口づけを受けていた。なんで居場所がばれた、しかもなんでキスしてんの。寝惚けた上に慌てた俺は抵抗なんかできなくて、そのまま気持ち良くされちゃって、痛みを感じたときには繋がっていた。痛かったけれど、ゆっくりと腰を動かされると堪らなく疼いて、いやらしい声が止まらなかった。
あれから数週間、キスはされるけど一回も抱かれない。
出来心ならば、キスなんてしてこないはずだし、キスしてくるんだからそれ以上のことだって、本当はしたいと思ってくれてるんじゃないかとか、思うのに。
「もう、してくんねぇのかなあの人」
「沖田さん、」
「やっぱ遊びなんかな」
溜め息をつくと即座に、それは違いますとやけに力強く山崎が言った。
「副長が遊びなんかで沖田さんに手を出さないこと、沖田さんが一番よく知ってるでしょう」
目を真っ直ぐに見て言われる。
確かに、俺は土方さんに大事にされてる。腐れ縁だし、姉上の血縁者だし、仲間だし。だけどそれとこの手の問題は別な気がする。俺の見てくれが女っぽいのは確かだし、一番後腐れがないと思われてそうだし。もしもこれがただの武士としての契りだったら。それを思うと、あの人には何も言えない。
「副長は本当に想ってなきゃ男なんか抱きませんよ。下世話ですけど、後ろを試したいなら女の人でもできるでしょう」
「んー……。山崎が言うならそうか」
そうだ。確かに、あの人は男なんて眼中にない。数回男に告白されたことがあるらしいけど、そのたびに一日不機嫌そうにしていた。なら俺は、少しは特別なのか。
じゃあ期待はできる。毎夜毎夜呪ってるのは知ってるくせに本気で怒ったりしないし、キスだってしてくるし。気長に待ってみるか。
「……沖田さんは、どうして副長に抱かれたいんですか?」
「きもちいいから?」
普通そんなこと明け透けに問うか。それにしても珍しい。山崎がこの話に乗ってくるなんて。大抵は俺ののろけで終わるのに。そう思いながら、真っ先に浮かんだ答えを口にするととうしろうがミャッと鳴いた。なんか、この部屋に来てからよく鳴くようになった。山崎が好きなのか、こいつ。
呆然とした様子の山崎ににんまりと笑う。
山崎は知らないんだ、あの、土方さんの薄い唇が、どんな声で俺を呼ぶのかも、薄い舌がどんな動きで翻弄するのかも、節榑立った指が、どんなに卑猥に弄ぶのかも、腕の中の匂いも体温もあの人の腰使いも何も。
かくいう俺も一回しか味わったことないけど。
「いつも言ってんだろィ。あの人はヤるためだけに生まれてきた種馬だって」
「いつも言ってますね」
「だから、舌の動きとか手の動きとか尋常じゃねぇんでィ、あいつ」
思い出しただけでも体が震える。ふぅと息をついて畳についた手を強く握る。
総悟、と低く名を呼んで、俺の頬を撫でた土方さん。互いに一度絶頂を迎えた後だった。繋がったままふぅふぅ肩で息をしてる俺に、もう一度いいかと低く、吐息交じりに囁いたあの声が胸にずんと甘く響いた。そのまま胸をしゃぶって、再び立ち上がりかけた俺の性器、蜜を孕んだ窪みに爪を立てられて是非もなく、求めた。
「……沖田さん?」
「ん、なに」
「……なんでもないです」
ぼんやりととうしろうに落としていた視線を上げると、眉を寄せて山崎が此方を見ていた。
何か、俺したか? 首を傾げると目を背けられた。
「あっそ。じゃあそろそろ部屋戻るか。な、とうしろう」
「ミャー」
夕飯まで昼寝するかと立ち上がる。山崎は何も言わない。お汁粉ありがとな、と一言だけ言って部屋を出た。
**
ふと意識が浮上して、目を擦るとその手を包まれた。ふわりと香る煙草の匂い。土方さんだ。
土方さん。あれ? あの人出張じゃないっけ。瞼を開ける。目の前に土方さんがいた。
「土方さんじゃねぇですかィ」
「目ェ擦るなつったろ」
「なんでここに」
「あーあ。赤くなっちまってる」
会話は噛み合わないが目の前にいるのは本物らしい、手を包む温もり。
出張から帰ってきたんですかィ、また瞼を落としながら問うと、曖昧に言葉を濁された。
本当に赤くなってるのか、目元を優しく親指が撫でる。なんだこの甘ったるい雰囲気。山崎の部屋から戻ってそのまま寝たから、ここは俺の部屋だ。何してるんだこの人。出張行ってたなら自室で休んでりゃいいのに。
でも朝はこの人に会いたくて仕方がなかったのを思い出した。そうだ、俺、この人に呪いをかけたんだ。重い瞼を再度開ける。胡座をかいた土方さんが俺をじっと見ている。怒った様子はない代わりに、どことなく穏やかな顔。
「土方さん」
「あ?」
「今日、変わったことありやせんでした?」
「なんで」
「実は、アンタに呪いをかけたんでさァ」
「まぁたおまえは……」
眉が寄る。しかめっ面が似合う。憎たらしい顔だけど、この表情は好きだ。そして強くは怒らないところも。畳の上に置いていた手を腹の上で組む。
とうしろうがいない。確かに抱いて寝たのに。
「土方さん、猫知らねぇ?」
「あ? 知らねぇよ」
「確かに抱いて寝たんですけどねィ」
横になったまま部屋を見渡す。土方さんと同じような眼のあの猫は、どこにも見当たらない。
可愛かったのに、思わず呟けば、ふぅん、と意味ありげな反応を寄越された。
そして、土方さんの指が唇をなぞった。
「総悟」
「っ!」
低い声が俺を呼んだそれだけでびくりと身を跳ねさせた俺を笑う、土方さんの唇が俺のに重ねられた。
強まる煙草の匂い。目の前にある、綺麗な灰色がかった青い目。胸が落ち着かなくなる。
俺は確かにこの人を嫌いなのに、おなじぐらいこの人を欲しくなる。一度受け入れた熱を、また求めたくなる。殺したいのに、憎たらしいのに。
「代わりに、俺が可愛がってやるよ、おまえを」
さらりと髪を撫でる指先、色欲をあわく映した眼差しに、欲しがりな俺はこくりと頷く。
また抱いてくれる。土方さんが俺を。
もしかしたらとうしろうが願い事を叶えてくれたのかもしれない。そう思いながら顔中に降るキスにうっとりと瞼を閉じた。
ひみつのじゅもん
すっかりなついたとうしろうを抱いて、山崎の部屋の障子を開く。背を向けていた山崎がこっちを見て、やっぱり沖田さんかと困ったような顔をした。その情けなさが山崎らしい。
腕の中のとうしろうをちらりと見てから山崎はお汁粉持ってきますね、と立ち上がった。はらりと赤地に黄色い花の模様が入った着物が畳の上に置かれる。
山崎のくせに贈り物? 彼女いるの?
思わず言えばむっとしたような顔をする。
「山崎のくせにってなんですか。これは変装用の物です。おはしょりつめとくと便利なんで」
「ふーん」
そう言えば姉上もやっていたなと思いながら座って着物に手を伸ばす。素材がいいのだろう、手によく馴染む。
お汁粉やってきます、言って部屋を出た山崎をちらりと見て、とうしろうを足の上に置く。頭を撫でてやるとミーと鳴いた。段々愛嬌が出てきたと思う。可愛い。
「……姉上が大事にしてた振り袖も真っ赤だったなぁ。着てんの一、二回しか見てないけど」
母上の形見なんだと、大事にしまっていたのを思い出した。樟脳の匂いにくらりとした記憶がある。今は、俺の部屋の押入れの奥にしまってあるけれどあれを出すことはないだろう。やる相手もいない。
かぷっと指先を甘噛みされた。視線をとうしろうに戻すと此方をじっと見ていた。撫でるの止めたから拗ねたのか。そう思い再び撫でてやると、目を細めて顔を擦り寄せてくる。
「そんな撫でられたいの? お前」
「ニャー」
曖昧に鳴くものだから分からない。そもそも猫と意志疎通を目論む俺はちょっとやばいかも。
そんぐらい暇なのだ。あの人がいないから。
「沖田さん、入りますよ」
「んー」
盆を持って山崎が入ってくる。それを俺との間に置いて、どうぞとお汁粉の入った漆塗りの椀を俺の前に置く。それとお茶もある。しかも、山崎の分だけでなく、とうしろうの分のお茶もある。猫にまで気が利くのかこいつ。
山崎の話だと、急な出張が入って土方さんは今朝出ていったらしい。その慌ただしく支度してる最中に俺は部屋へ行ったらしく。結局会うことはなかった。つまらない。
「いっただっきやーす」
「はい。……で、その猫見廻りに連れてったんですか」
「勿論」
程好い温度のお汁粉を一口食べる。甘くておいしい。しかも小豆の柔らかさもちょうどいい。流石山崎。
小姓だから連れ歩くのは当然だろう。と肩の上に乗せてみる。見廻りのときはちゃんといい子に横を歩いて、団子屋ではいい子に待って。一緒に昼寝もした。旦那にも見せてやろうと思ったのに会えなかったのは残念だけど、中々楽しかった。言ったことが分かるみたいだ。賢いやつ。
肩車のような体勢でじっとしてる、とうしろうの手をつんつんとつつく。散歩から帰ってすぐに足を洗ったからちゃんと綺麗だ。
「そういやザキー」
「はい」
「土方さん、あれから夜遊びしてねぇ?」
再びお汁粉を飲みながら聞くと、山崎はう、と言葉につまった。
その反応はもしかして。あの人夜遊びしてんの? え? まじで?
とうしろうが乗っている、なんてこと忘れて身を乗り出す。
「してんの」
「いや、してませんよ、一切。仕事終わったら真っ直ぐ帰ってますし、空いてる日もでかけてません」
「なんだ。よかった。おまえ紛らわしい反応すんなよ」
ふぅ、と座り直すと、とうしろうの足を踏んでしまったみたいで、ニャ! と鳴かれた。さっきの振動で落ちちまったのだと気づいて、腕に抱いて踏んでしまった足を撫でる。
夜遊びしてないのか。それなら、なんで俺を抱かないんだろうか、あの人は。
一回だけ、あの人に抱かれたことがある。その日は、見つからないように倉庫に隠れて昼寝していて、目覚めたら口づけを受けていた。なんで居場所がばれた、しかもなんでキスしてんの。寝惚けた上に慌てた俺は抵抗なんかできなくて、そのまま気持ち良くされちゃって、痛みを感じたときには繋がっていた。痛かったけれど、ゆっくりと腰を動かされると堪らなく疼いて、いやらしい声が止まらなかった。
あれから数週間、キスはされるけど一回も抱かれない。
出来心ならば、キスなんてしてこないはずだし、キスしてくるんだからそれ以上のことだって、本当はしたいと思ってくれてるんじゃないかとか、思うのに。
「もう、してくんねぇのかなあの人」
「沖田さん、」
「やっぱ遊びなんかな」
溜め息をつくと即座に、それは違いますとやけに力強く山崎が言った。
「副長が遊びなんかで沖田さんに手を出さないこと、沖田さんが一番よく知ってるでしょう」
目を真っ直ぐに見て言われる。
確かに、俺は土方さんに大事にされてる。腐れ縁だし、姉上の血縁者だし、仲間だし。だけどそれとこの手の問題は別な気がする。俺の見てくれが女っぽいのは確かだし、一番後腐れがないと思われてそうだし。もしもこれがただの武士としての契りだったら。それを思うと、あの人には何も言えない。
「副長は本当に想ってなきゃ男なんか抱きませんよ。下世話ですけど、後ろを試したいなら女の人でもできるでしょう」
「んー……。山崎が言うならそうか」
そうだ。確かに、あの人は男なんて眼中にない。数回男に告白されたことがあるらしいけど、そのたびに一日不機嫌そうにしていた。なら俺は、少しは特別なのか。
じゃあ期待はできる。毎夜毎夜呪ってるのは知ってるくせに本気で怒ったりしないし、キスだってしてくるし。気長に待ってみるか。
「……沖田さんは、どうして副長に抱かれたいんですか?」
「きもちいいから?」
普通そんなこと明け透けに問うか。それにしても珍しい。山崎がこの話に乗ってくるなんて。大抵は俺ののろけで終わるのに。そう思いながら、真っ先に浮かんだ答えを口にするととうしろうがミャッと鳴いた。なんか、この部屋に来てからよく鳴くようになった。山崎が好きなのか、こいつ。
呆然とした様子の山崎ににんまりと笑う。
山崎は知らないんだ、あの、土方さんの薄い唇が、どんな声で俺を呼ぶのかも、薄い舌がどんな動きで翻弄するのかも、節榑立った指が、どんなに卑猥に弄ぶのかも、腕の中の匂いも体温もあの人の腰使いも何も。
かくいう俺も一回しか味わったことないけど。
「いつも言ってんだろィ。あの人はヤるためだけに生まれてきた種馬だって」
「いつも言ってますね」
「だから、舌の動きとか手の動きとか尋常じゃねぇんでィ、あいつ」
思い出しただけでも体が震える。ふぅと息をついて畳についた手を強く握る。
総悟、と低く名を呼んで、俺の頬を撫でた土方さん。互いに一度絶頂を迎えた後だった。繋がったままふぅふぅ肩で息をしてる俺に、もう一度いいかと低く、吐息交じりに囁いたあの声が胸にずんと甘く響いた。そのまま胸をしゃぶって、再び立ち上がりかけた俺の性器、蜜を孕んだ窪みに爪を立てられて是非もなく、求めた。
「……沖田さん?」
「ん、なに」
「……なんでもないです」
ぼんやりととうしろうに落としていた視線を上げると、眉を寄せて山崎が此方を見ていた。
何か、俺したか? 首を傾げると目を背けられた。
「あっそ。じゃあそろそろ部屋戻るか。な、とうしろう」
「ミャー」
夕飯まで昼寝するかと立ち上がる。山崎は何も言わない。お汁粉ありがとな、と一言だけ言って部屋を出た。
**
ふと意識が浮上して、目を擦るとその手を包まれた。ふわりと香る煙草の匂い。土方さんだ。
土方さん。あれ? あの人出張じゃないっけ。瞼を開ける。目の前に土方さんがいた。
「土方さんじゃねぇですかィ」
「目ェ擦るなつったろ」
「なんでここに」
「あーあ。赤くなっちまってる」
会話は噛み合わないが目の前にいるのは本物らしい、手を包む温もり。
出張から帰ってきたんですかィ、また瞼を落としながら問うと、曖昧に言葉を濁された。
本当に赤くなってるのか、目元を優しく親指が撫でる。なんだこの甘ったるい雰囲気。山崎の部屋から戻ってそのまま寝たから、ここは俺の部屋だ。何してるんだこの人。出張行ってたなら自室で休んでりゃいいのに。
でも朝はこの人に会いたくて仕方がなかったのを思い出した。そうだ、俺、この人に呪いをかけたんだ。重い瞼を再度開ける。胡座をかいた土方さんが俺をじっと見ている。怒った様子はない代わりに、どことなく穏やかな顔。
「土方さん」
「あ?」
「今日、変わったことありやせんでした?」
「なんで」
「実は、アンタに呪いをかけたんでさァ」
「まぁたおまえは……」
眉が寄る。しかめっ面が似合う。憎たらしい顔だけど、この表情は好きだ。そして強くは怒らないところも。畳の上に置いていた手を腹の上で組む。
とうしろうがいない。確かに抱いて寝たのに。
「土方さん、猫知らねぇ?」
「あ? 知らねぇよ」
「確かに抱いて寝たんですけどねィ」
横になったまま部屋を見渡す。土方さんと同じような眼のあの猫は、どこにも見当たらない。
可愛かったのに、思わず呟けば、ふぅん、と意味ありげな反応を寄越された。
そして、土方さんの指が唇をなぞった。
「総悟」
「っ!」
低い声が俺を呼んだそれだけでびくりと身を跳ねさせた俺を笑う、土方さんの唇が俺のに重ねられた。
強まる煙草の匂い。目の前にある、綺麗な灰色がかった青い目。胸が落ち着かなくなる。
俺は確かにこの人を嫌いなのに、おなじぐらいこの人を欲しくなる。一度受け入れた熱を、また求めたくなる。殺したいのに、憎たらしいのに。
「代わりに、俺が可愛がってやるよ、おまえを」
さらりと髪を撫でる指先、色欲をあわく映した眼差しに、欲しがりな俺はこくりと頷く。
また抱いてくれる。土方さんが俺を。
もしかしたらとうしろうが願い事を叶えてくれたのかもしれない。そう思いながら顔中に降るキスにうっとりと瞼を閉じた。
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