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梅々

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かに

かにかま食べたくなった今日の銀魂。新八の足袋にきゅんときてジ○リがいっぱいでしたね!ムスカ神楽可愛い。あと銀さんの40秒で仕度しなの言い方が本当に良かった。

来週は近沖近じゃないやかつあげでもない殴られ屋ですね!沖田が出るよ!沖楽もあれよ!あんぱんもあるよ!楽しみです。





それでは漸く本編終わった土沖おきたん!えろは持ち越しました。大事に書きたい。
とりあえず甘えろはおまけの形になりますが、甚平えろがいいかなぁ。でもその日のうちに、っていうのはやだな。













変なところ男らしいくせに可愛いから困るんだ





催涙雨





 焼き鳥に綿菓子、ラムネに林檎飴。俺の手は総悟の買った食べ物でいっぱいだ。総悟自身も、お面にくじ引きで当たった腕に抱きつく人形、それとヨーヨーとふざけたものばかりを持っている。その全てが俺の財布から出た金で賄われているけれど文句はない。寧ろ嬉しい出費だ。
 500m程続く商店街の間には大小様々な提灯に赤、桃、緑、青等の鮮やかな七夕飾りが吊るされており下から見上げると壮観だ。よくインターネットで目にする、高い位置からの写真だと綺麗に見えるだけで、やはり実際に見た方が迫力もあっていい。これらの飾りは水彩絵の具で塗られているらしく、雨の翌日などは塗料が剥げて大変らしいが降ることもなく、またそんな兆しもない。見上げずとも両脇にひっきりなしに露店が出ていて、暖色の灯りがあちこちに灯されていて夜にも関わらず鮮やかなのだけれど。
 人混みと独特な雰囲気の中、総悟がより煌めいて見える。目の錯覚だ、言われたなら頷かずにはいられないけれど。楽しんでくれているのかいつもよりも柔い表情なのは錯覚ではない。

「ぉわっ、土方さんっ」

「あ? っおい、はぐれるぞ」

 隣を歩いていた総悟が人波に飲まれふらり、斜め後ろまで流される。焦ったのか素直に差し出された手を取ってやり、隣に収まるのを待ってやる。その間も忙しなく人波は蠢くからそれに飲まれないと必死になる。ほっと、隣に戻った総悟が息を吐いた。その反応が地味に嬉しい。俺の隣が居場所だと告げているようなものだからだ。今だけだけど。
 とりあえず端へ避けようと掴んだ手を握ったまま歩き出す。拒まれないのが唯一の救いだ、頬が緩む。今日は総悟の誕生日だというのにこんなに、俺が浮かれまくっているのはおかしいんじゃないか。
 商店街の脇道へ入る。それだけで、喧騒とは大分遠ざかったように暗く、静かになる。

「他に買いたいもんあるか?」

「んー。あ、亀掬いってのが気になりやした」

「……亀?」

「亀でさ」

「ま、思ったよりかかんなくて良かった」

 休憩、とばかりに煙草に火をつけると総悟はしゃがんでヨーヨーで遊び始める。夕飯は家で食べるからと、焼きそばやお好み焼きなどがっつり系のものは買っていない。その分予定よりも浮いたのは幸いだけれど、どうせその金もいつかは総悟の腹へ消えるのだろう。それを悪く思わない俺は調教済みなのだろうか。
 しゃがんでヨーヨーで遊ぶその旋毛を熟視る。ただ貢がれているだけ、そう総悟に思われていたらどうしようか。もしそうなら人間性を大いに疑う、というかそれ以前にまともではないけれど。好きな奴だから、なんでも買ってやりたいと思うのに。伝わっていなかったらと考えるととても怖い。

「なにじろじろ見てんでさァ、気味が悪い」

「がきくせぇなって思っただけだよ」

「無理して大人びようと煙草吸う奴には言われたくねぇなァ。未成年の喫煙は法律で禁じられてまさァ」

 ニヤニヤとくだらないことを返す総悟の相手はせずにほら、と手を差し出す。建前はまたはぐれられたら困るからだ。本音としてはただ繋ぎたいだけだが。
 明らかにムッとした総悟がパシンと手を払う。それでも建前を並べ、手を出すとため息混じりに掴まれた。白く華奢だが同じように剣ダコのある手。滑らかではないその感触が総悟らしくてふと笑ってしまう。
 なに笑ってんで変態。機嫌悪く言いながら早く早くと急かす総悟が愛しくて堪らない。





 赤い唇があーんと開かれて、いっそ毒々しいまでに赤い林檎飴がぴとりと触れる。そのまま噛むのかと思いきや唇は離れ、代わりに舌がれろりその表面を舐める。舌が引っ込むと、閉じられた唇がにんまりと弧を画いた。
 誘ってるんじゃねぇか。野郎が林檎飴食べてる姿に疚しい気持ちが芽生えるのはどう考えても異常だが総悟相手ならば仕方がないと納得がいくだろう。野郎なんて言葉が似合わない。中性的過ぎて青年という言葉もなんだかしっくりこない。体つきはともかく、少年だとか少女だとか、そう表現するのが似合う。内面的にも幼いヤツだし。

「土方さん」

「あー?」

 祭りも我が家でのお祝いも終え、総悟はまったりと俺の部屋で林檎飴を食べている。いつもなら夕飯を食べた後はリビングでまったりして、そのまま帰るのに。ミツバは先に帰ったが、総悟は折り畳みのテーブルの上に祭りの戦利品を並べてある意味見せつけるように林檎飴を食べる。うまそうに。
 漸くガジッと歯を立てたと思えば鼻の頭に林檎飴をつけた。餓鬼かコイツは何やってんだ。

「まだ俺の誕生日終わってやせんよね」

「俺今日結構お前に尽くしたと思うんだけど」

「じゃあ最後の我儘でさァ」

 鼻の頭を指先で擦りながら、総悟は林檎飴をコップに立て掛けた。
 それから悪戯好きな子猫のような目を向けてくる。丸く爛々とするそれに、頭を過るのは嫌な思い出ばかりで少し、後退りをする。

「キスしなせぇ」

「は」

 気の抜けた音が口から漏れた。それを見てケタケタ腹を抱える総悟に騙されたんだと知る。冗談だ、冗談。本気にした自分が馬鹿らしくなって溜め息を吐く。ここは余裕そうな顔をして、いいぜとでも返すべきだったか。そうすれば総悟の意表をつけただろう。
 だけど。真に受けてしまうに決まっている。いい感じで好きな奴と二人きり。しかも誕生日ときたら絶好のシチュエーションだ。不都合なところ全てに目を瞑れば。
 目に貯まった涙を指の背で拭う、総悟の頭を叩けば白地に拗ねた顔をした。これで唇が尖っていたならキスしていたかもしれない。誘惑には勝てない。

「おまえの冗談は質が悪い」

「冗談じゃ、ねぇですぜ?」

 言って総悟の手が俺の首に触れた。さわり、襟足を撫でる指に意識を奪われていると総悟の顔が次第に近づいてきた。段々と瞼が伏せられていく様が嫌にセクシャルだ、見惚れていると印象的な瞳が覆われてつまようじどころか箸が乗りそうな睫毛が頬に影を落とした。
 同時にふにっと、唇が塞がれた。キスだ、これは総悟の唇だ、冗談じゃなかった、そう気付くと同時にいままでの我慢が吹っ飛んだ。

「っ!?」

 左手で総悟の後頭部を押さえ右手で腰を抱く。びくり、跳ねた体は想像通り華奢で、唇を奪いながらも口角が上がる。さらさら、指の間を滑る髪も微かに震える腰も、小さく上がる高い声も柔く赤らんだ頬も。全部初めて見る反応で全部かわいくて。ぺろり、唇を撫でてやればヒッと驚かれ、胸を押し返された。
 調子に乗りすぎたかと、慌てて総悟の顔を見て安心した。顔が真っ赤になっている。

「ひ、じかたさん……アンタ何してんですかィ」

「何がってキスだろ」

「他に好きな人いんのにこういうことやるような人間だったんですかィアンタ」

「それはおまえだろっ!」

 赤い顔をしたまま悪態をつく総悟に愛しさよりも腹立ちが勝って、声をあらげればびくっと総悟の肩が跳ねた。
 心外だとでも言いたげな顔を向けられるが、何が心外だ。坂田が好きなくせに。どうせ悪戯だったのだろうと、先程までの興奮が覚めきった今なら分かるのに。据え膳は食わずにはいられない。じわじわ後悔するが今更だ本当に。
 林檎飴に視線を反らしたまま、総悟は吐き捨てるように言う。

「俺が誰を好きか知らねぇでしょう土方さんは」

「お前だって知らねぇだろ」

「だけど俺なわけがねぇだろィ」

 お前だと、自棄で言いそうになって堪える。自覚してからそんなに時間が経っていないと言えども、誰にも負けないぐらい総悟を大事に思っている自信があるぐらいには好きだ。だから、それを軽々しく言いたくはない。然るべき時に言いたいのだ。流れではなくて自分の意思とタイミングで。ロマンチストだと近藤さんに言われたのを思い出した。総悟には、気障だと罵られたのも。
 どうせ自分が傷つくだけとは分かっていながら言葉が嫌に滑らかに零れる。最近こんなことばかりだ。祭りに誘ったときはうまくいったが。

「おまえこそ、俺が好きなわけじゃねぇんだろ」

「なんでそう決めつけるんですかィ」

「だから、お前こそ決めつけてんだろ」

 もどかしげに総悟が口を開き、閉じた。その様を見てふと思う。総悟にしては回りくどい。坂田が好きなら好きだと、総悟は真っ直ぐに言うだろう。確かに同性相手だからという葛藤はあるだろうが、こんな期待を持たせるような言い方をしない。こんな、まるで俺のことを好きだとでも言いたげな―――――。
 もしも。もしもそうならこのもどかしげな態度の理由も分かる。俺と同じだ。好きだと、言いそうになって堪えている。そうなのだと思ったら現金なものだが愛しくて堪らなくなった。もしもの話に過ぎない。だが、そうとしかもう思えなくて。

「……俺は、好きでもねぇやつとキスしたりしねぇよ」

「え、は?」

 姑息だと思いながら反応を窺う。反応次第で告白しよう、なんてヘタレすぎだけれど。
 ポカン、として

「な、なに言ってんですかィ」

「……」

 困ったように眉を寄せ頬を染めた、その顔に言葉よりも先に手が出た。土方さん、呼ぶ唇を塞いでそのまま頬を包む。普段は白い頬は赤く染まっていて、縋るような色をした大きな瞳に俺が映っている。肌触りの心地よさを楽しみながら頬を撫でていると催促するように首に腕が絡まってきた。
 普段の憎たらしさはどこへやら。ひたすらに総悟が愛しくて舌を出す。再び唇を舐めると驚きはしたようだが拒みはしないで襟足を掴まれた。

「んっ……」

 くちゅり、唇の中へ入れると甘い味がした。林檎飴の味だ。奥へ引っ込んでいく舌に舌を絡め、ちゅっと吸えば長い睫毛が濡れた。苦しげにどんどん、容赦なく背を叩かれて離すと瞼を閉じたまま肩で息をする。
 チラリと甚平の隙間から覗く真っ白い肌にそわそわして視線を反らせば、総悟の手が俺の甚平の袖を掴んでいることに気付いた。そんな、些細なことにまで興奮する。健全な青少年だから仕方がない。

「アンタをまぁ、それなりには好きですぜ、俺」

「っおまえは本当にもう、」

 俺が言おうとしたのに、と返すべきかもっとこう素直に言えと返すべきか。言葉を選んでいれば、どうせアンタは言わねぇんだろィと寄越された。
 いくらヘタレでもそれはないだろうと、咳払いを一つ。

「お前以上には、まぁそれなりに?」

「大事な単語がねぇですぜ。俺の誕生日なんだからそんぐらい言いなせェよヘタレ」

「最後の我儘聞いてやっただろ。ナシだナシ」

 じゃあクリスマスまで待ってやりますかね、仕方がねぇ。笑いながらそう言って林檎飴を食べ始めた総悟の耳元に、恥ずかしさを感じながら好きだと囁くと林檎飴なんか目じゃないほどに総悟の耳が真っ赤になった。

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