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梅々

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旧正月

拍手ありがとうございますー!

小説打ってたら日付が変わってた。





では、遅くなりましたが姫始めネタ後編18禁です!土沖!
原稿の方はあと少し。
















本当は、誰にも触らせたくないのに。





北斗七星





膝を割って、脚がぐいっと太股の間に入り込んできた。そちらに意識を向けていればベストの下に手を入れられ、シャツの上からさわさわと、横腹を撫でられる。そして、文句を言おうとした唇は唇で塞がれた。
毎度のことながら手際の良さに呆れる。それは経験の賜物なのかそれとも生まれ持ったものなのか。恐らくは両者だと、近づく瞳に思う。
こんな求めてる眼差しを向けられたら、ちょっとその気のある女なんかとろんとしちまうに違いない。天性のたらしだ。そんな男にキスされて、いまどんな気持ち?

「ん、ふっ…ぁ、はぅっ!」
「勃ってんな」
「う、ぅっ握んな、このっ…!」

自問への答えは優越感ときもちよさしかない。でも、優越を感じたってそれは刹那のことで。繋がりがほどければただの上司と部下、兄貴分。ねだることも甘えることもできやしない。それは俺の担当じゃなくて、近寄ることを許された女の仕事。俺は憎まれっ子であればいい。求められてないんだから。
だから、求められた今だけは。

「はやく、いかして」

ズボン越しに俺を掴む手に手を重ねて、どうしても甘ったれる吐息交じりに強請れば、一瞬土方さんの瞳が見開いた。それから男前な顔をして笑う。いっちまう、そんな顔されちまうと。
じじ、とチャックを下げる音に、強請ったのは俺だけど恥ずかしくなって顔を背ける。ネオンの光さえ届かない路地裏、鳥目のくせによく土方さんはこんなにも器用に手を動かすことができる。俺には無理だ。
ひんやりとした空気に晒され腰が跳ねた。それを抑えるように尻を捕まれ、片手が、熱を持つそれに直に触れた。
普段は冷たい手が温くなっている。これが、繋がった時にはあったかくなるのが好きだ。俺でそんなに興奮してるんだと、思うと。

「んんっ……」
「前から思ってたけど、おまえって変態だよな」
「はっ、こんなとこでっ、盛ってるアンタに言われた、く、ねぇでさっ」
「ふーん?」
「い、あっ!」

二つの玉をきゅっと握られてびくりと腰が跳ねる。そのまま掌の上でころころ転がされて、もみしだかれて、同時に先端の窪みにぐいぐいと、広げるように指先を押し付けられるとひとたまりもなくて。耳元で出せよと囁かれて我慢をする間もなかった。

「ふぅぅぅっ!!!」

咄嗟に指を噛んで声を殺して、どくんと精を放った。酔ったときのように頭がふわりとして、足から力が抜けていく。壁に寄りかかったままずるずる落ちていくのを、片手で抱き止められる。
目の前は隊服の烏色で真っ黒だ。呼吸をするたび煙草の匂いが鼻孔を満たして、胸も満ちていく。麻薬みたいだ、離れがたくなる。
乱暴にズボンと下着が脱がされ、片手で尻をがしっと掴まれた。立てられた爪と、割れ目に触れる冷たい空気にぞくぞくした。

「い、ゃ……」
「焦らすなってか?」

ぴとり、外気に晒された孔に指が触れた。それがとろとろした液体を染み込ませるように円を描いて動き、むずむずと疼く。絶対にばれてる、ひくついてることが。しかも塗り込められてるのは俺が出した精液で、それがいたたまれなくもあるのに、どんどん高ぶってく。
くち、と指が入ってきて強く、土方さんの隊服を掴んだ。
最初に指を入れられるときはいつでもおぞましさに身震いする。それを前後に動かされたらそんなのも徐々に消え、気持ちよくなるけれど、この瞬間いつも思う。俺は男なんだなと。だからすんなりと受け入れることはできないし、孕むことも勿論ない。孕む可能性が零なのは楽だろうけど、その分いれるのには向いてない。性欲処理にもってこいなのかなんなのか。
中を荒らす指の動きを追って、より快感を得ようとしていたら腰が揺れる。

「総悟」
「ん」
「増やすぞ」
「ひ、あ!」

もっとと中の蠕動し始めたのに直ぐに気づいて、土方さんの指が抜かれたと思いきやもう一本を沿えてぐちゅりと入ってきた。もう不快感なんかなくて、ただ気持ちいいだけでしがみついたまま、もれそうになる息を唇を噛んで戒める。いつもなら目敏く気づかれて「唇噛むな。指でも噛んどけ」と下と同じように指を突っ込まれるけれど、肩に顔を埋めてるからそれもない。
こうやって、一番近くにいたほうが気付かれなくて済むことばかりなのかもしれない。灯台もと暗しだ。

「ふ、ん、ぁっ!」
「……おまえまた唇噛んでんだろ」
「うぅんっ」

二本の指が開いて、冷たい空気が中へ入ってくる。辱しめられているのが、堪らない。しがみついて、どうにかたえようと試みても、獰猛な眼差しと視線が交わると理性が馬鹿になる。
 ほしい。
 唇が勝手に、そう言葉にしていた。

「総悟」
「あ、あ、ぁっ、や、土方さん……!」

 指が激しく出し入れされる。その動きは繋がっているときを想像させるもので体が、我慢できないと疼いた。膝が笑う。しがみついていてもずるずると、落ちていく。ぐちゅぐちゅ音を立てて動く指なんかじゃ足りないと、懇願するように顔を上げた。
 一瞬、ほんの一瞬。土方さんの後ろに見えた星空に、なんでこんなところで、と理性が蘇るけれど。抱き寄せられて耳元で名前を囁かれたら、理性は音もなく粉々に砕け散るしかない。

「ひ、じかたさん」

 指が水音を立てて抜かれる。
 土方さん。
 土方さん。
 どうしても口に出せず、心内で名を呼んでいると会陰に熱くて大きなものが触れた。
 俺がほしいもの。独り占めしたいもの。

「土方さんので、いっぱいいかして……っ」

 ひくっと嗚咽が漏れた。こんなに、求めている俺は土方さんの言う通り変態だ。
 でも、土方さんはそんな俺を優しい目で見つめた。
 そして、ぐっと俺の右足を小脇に抱え、待ち望んだものが、焦らすようにずにゅっと入ってきた。

「あぁ、あっ、ん、ひっ!」
「まだ先だけだ、力抜け」
「っや、一気に、っねが……んゃぁぁぁぁ!!」

 尻に、土方さんの腰が当たりばちんと音を立てた。ぐっと奥を突かれて白濁が零れる。土方さんの隊服にもかかったのに、心配するそぶりも見せず土方さんは腰を動かす。
 奥まで挿れたまま、腰を回されてぼたぼた涙が落ちる。

「これっ、だめ……やぁ! 深いっ、あぁんっ、ふかいでさぁ」
「嬉しそうに絡み付いてきてるっての」
「いやぁ、ん! あぁっ、ひぅぅ」

 土方さんの腰に足を絡み付けて悶える俺の胸、つんと尖ったそれにも爪を立てられて、女みたいな声を上げるしかできない。緩い抽挿と合わせるようにきゅっと摘ままれると、軽くいってしまう。
 びくりと体が震える度に、どくどくと脈打つ性器を余計締め付ける、自分の体にさえ昂って腰を振ってしまう。
 もっと気持ちよくなりたい、気持ちよくしたい。

「は、ぅ、きもちっ、い……ですかぃ、んんぁ、あっ」
「きもちいいよ。おまえは?」
「あぅ、いい、でさっ……ひじか、さぁんっ!」

 返事をすると同時に、ずん、と突かれて意識が飛びそうになった。
 いつも思う。ずっと繋がっていたらいいのに。そしたら土方さんはずっと俺のものなのに。他の何も、苦しさも考えなくていいのに。
 そうしたら、アンタだけしか求めないのに。

「ああ、っあ、あん、はぁん……っ」
「総悟っ」
「あああっ、や、ぃ、くぅぅぅぅぅっ!」

 前立腺をごり、と抉られた。足の指の先までぴんと伸びるぐらい、死んじまいそうなぐらいの快楽にどろどろと力なく精液が垂れた。同時に、より中が密着して、土方さんが息を漏らしながら果てる。中にかけられるのにすら感じて身震いする。与えられる何もかもが気持ちよすぎて、涙が止まらなくなる。

「鐘、鳴ってたな」
「んなの、わかんね」

 繋がったまま強く抱き締められた。こんなの初めてだ。行為のあと、すぐ寝ちまうからされたことがない。土方さんには。旦那は、俺が起きるまでずっと抱き締めていてくれる。いつも。
 また、こうして比べてる。旦那のことを考えないのはやってる最中だけかもしれない。変なの。俺が好きなのは土方さんなのに。

「総悟」
「ん、なに」

 喉の痛さと体のだるさに短く返せば、くしゃくしゃ頭を撫でられる。俺の好きな触り方だ。土方さんが気安く頭を撫でるのは俺ぐらいだから、女は除いて。

「あー……あけましておめでとう」
「? おめでとうございやす」

 何かを言いかけた土方さんを見上げると、土方さんはどこか悲しそうな顔をして、俺の唇を奪った。

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