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梅々

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ハッピーバースデーまよらー

土方ハピバ!











というわけで土沖。

後編の目標は過去最大の濡れ場ですが過大すぎる目標\(^p^)/






























欲しい、欲しい



手に入れてもこれだけじゃあ足らない



だからもっと、誰も知らないところまで



見せてごらん?











Bluff











んっ、と小さく声を上げて、大きく息を吸い込む総悟はとても可愛い。赤い瞳を潤ませ、白く肌理の細かい頬を紅潮させ恥ずかしげに唇を手の甲でぬぐう。その表情に腹の底で宜しくない感情が渦巻いた。

キスまでは、なんとか許されている。それ以上はまだ、激しく抵抗される。だから、今生まれたこの欲望を発散する手立てがなくて。



「なぁ、総悟」



「ヤだ。・・・俺、部屋に戻りまさァ」



少しでも迫ればすぐコレで、脱兎の如く逃げられる。しつこくし過ぎればバズーカなり刀なりが向けられ半殺しにされる。

一応は、付き合っているのにこの仕打ち。もっと多くを、と望むのは人間である以上致し方ないことなのに。総悟だって、これだけで満ち足りているわけではないだろう。過剰ではない程度に、それなりには愛されている自覚がある。ふとした所作の端々に甘えがあるし、夜更けに部屋に来て、構ってほしそうに此方を窺っていたりするし。

でも。

物足らない。

大人というのは欲張りなものなのだと、最近頓に思う。





「副長」



「ん」



「今日、誕生日でしょう」



「誰の?」



書類を片付ける手を止め、携帯のディスプレイに目を向ける。

五月五日と表示されている字が赤いのは世間一般ではこどもの日だからで、大人な俺には関係がない。



「あ、あれか。クレヨンしんちゃん」



「そんなお茶目な答え求めてないですよ。・・・自分の誕生日ぐらい覚えててください」



「あぁ、俺か」



毎年誰かしらと交わすこのやりとり。今年も懲りずにまたやって、ほぼ儀式と化している。

年なんかとらない、所謂サ○エさん方式なのに毎年誕生日を迎える。祝うだけ無駄な気がしなくもない。



「俺からは懲りもせずマヨネーズです」



「悪いな」



「・・・何か、他に欲しいものはありますか」



「・・・くれんの?」



「沖田隊長にそれとなく、伝えようかと」



振り向いたら山崎は曖昧な微笑を浮かべていた。知っていたのか、なんて言うのは愚問だ。しかも、俺に味方してくれようとしているのだから、余計なことは言うまい。

欲しいもの。総悟に望むもの。それは、一つしかない。

だけどそんなこと、総悟にも、況してや山崎にも言えない内容で。

どうにか自分で機会を作るしか、ない。



「・・・今日の見回り、おまえ総悟と代われ」



「それだけでいいんですか?」



「ああ」



欲しいものは、自分の力で手に入れたい。

そう思いたてば色々と準備が必要で、書類なんかやっている暇はない。山崎が立つと同時に立ち上がり、目当てのものを買いに部屋を出た。

誕生日ぐらい我が儘になってもいいだろうと、自分に言い訳しながら。











「土方さん、アイス食ってもいいですかィ?」



「今仕事中だけど」



「もー。ケチ臭いこと言わないでくだせェよ、今日はこどもの日なんだからこどもに優しくしても罰はあたりやせんよ」



こどもの日、というのを知っているのなら、俺が誕生日だというのも知っているのだろうか。

素直に訊けるわけでもなければ、素直に言ってくれるわけでもない。どちらも素直ではないから、祝い事なんて柄ではないと分かっているけれど。



「・・・好きにすれば」



「さっすが土方さん。話が通じまさァ!」



パタパタ駆けていった総悟は珍しく俺の財布を取っていなくて、念のためポケットを探すが仕舞った場所にきちんと財布はある。

自腹だなんて、キャラじゃない。

思いながらも煙草を取り出し一服しているとプラスチックのカップに入ったアイスを手に総悟は戻ってきた。下の方はソーダ味のかき氷でその上にアイスが渦巻いている。涼しげなそれに視線を向けていたら濡れた唇が弧を描いた。



「食べやすか?」



「・・・一口、もらおうかな」



昨日は陽気が良かった。今日はさらに気温が上がって暑くなった。だからというのもあり、また、くれるのが珍しいというのもあり、スプーンを受け取ろうとする。

そうしたら、アイスとハート型の寒天を乗せたスプーンを此方に向けてきた。あーん、という効果音はなかったけれど、それに躊躇えば、早くしないとやりませんぜと返された。

そんなこと言われたら、此処がどこだろうと食べないわけにはいかなくて。

あむ、と大口開けて食べれば、総悟は満足そうにした。いやいや可愛すぎる。鼻血もんだ。

あまりにもいつもとは違うので、ついつい、口が滑った。



「今日何の日か知ってるか?」



「こどもの日」



「うん、言うと思った」



望んじゃいないが予想通りの言葉だったので落胆はしない。

けどなんとも言えず煙草をやたらと踏んでいたら。



「アンタの誕生日だろィ、今日」



「・・・・・・」



「なんでィ。その目は。毎年祝ってやってるってのに」



「去年は殺されかかったんだけど」



「やだなァ。それだけじゃなくてちゃんと煙草一箱あげたじゃねぇですかィ」



もらったと言っていいのか。ずたぼろにされて立ち上がる気力もない俺の上に、冥土の土産でさァと一箱投げ捨てられた記憶は多分、間違ってはいない。

そこまで遡ったついでにその前の誕生日のことを思い出せば、同じようなノリでマヨネーズをもらったし、武州にいた頃、つんだ花を寄越された気もする。



「・・・まぁ、今年はおまけに、アンタの言うこと一つだけ聞いてやりまさァ」



何がいい?

と小首を傾げて問う総悟の手には空っぽのカップ。

今こそ絶好の機会だと、賢い俺が告げ口した。その横で理性が必死に止めさせようとしているがそんなこと知ったこっちゃない。



「じゃあ、キスさせろ」



「は?」



ポカンとした総悟の手からゴミを奪って捨てて、路地裏に引っ張っていく。

その間にさっき準備した薬を口に含み、総悟を壁に押し付ける。

困惑の理由はとても矛盾しているらしい。そんなことをここでするのか、というのとそんなことでいいのかと。いつもキスはしているけれどそれは必ず、俺か総悟の部屋で外で恋人らしいことをした経験は一切ない。



「本当に、ここですんの・・・?」



恥じらう仕草を見せる総悟にごくりと唾を飲む。そうだよ、と耳元で囁けば華奢な肩がびくりと跳ねた。

今まで我慢した分、無茶をしてしまいそうだと逸る気持ちを抑えて頬に口付ける。幾度もしたことがあるというのに眉をぎゅっと寄せて目を瞑っているものだからその初さに口角が上がってしまう。



「総悟」



「・・・分かりやしたよ。男に二言はありやせんし」



なんて言いながら首に腕を絡めて、俺がしたように、耳に、頬に唇が降ってきて。

あまりにも、逸そ感動するまでに情欲が滾って呼吸が一瞬止まった。

息がかかるほど傍で総悟が俺を見つめて、頬を染めたまま瞼を閉じた。

差し出された唇に、そっと唇を重ねて感触を楽しんでから目的を果たす為に唇を開く。くぐもった甘い声が俺を刺激して、それに背中を押されるように大分溶けた薬を総悟の口内へと送り出す。

総悟が抵抗しないよう選んだ苺味のそれを、躊躇なく総悟は飲み込んだ。確認してから唇を離せば、とろんとした表情で俺を見つめていて。



「・・・アンタ、何飲ましたんでさァ」



「・・・すぐにわかる」



言い終えると同時にフラリと総悟の体が傾いで、俺の腕の中に堕ちた。

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