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梅々

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約一ヶ月

よっしゃマニフェストとのにらめっこ終わった!

あたしの義務終わった!

後は原稿だけ!



はい、今日もまた作業用BGMに助けられていた早良ですこんばんわー。

聖歌のメドレー(この表現新しい)のと、宇多田ヒカルさんのアルバムより、ってのを聞いたんですが、聖歌いい。

昨日見つけて初めて聞いたのですが、自分が寛容になれた気がした。まぁ、気がしただけ。

で毎度思うのだけれど宇多田ヒカルさんのは聞くと創作意欲がわきます。九割土沖。travelingと甘いワナは銀沖。











では一ヶ月遅れで漸く完結したおきたん土沖です。

もう、土方が勝手に動き回るから呆れてます。だからスランプです。



本当に沖田はぴば!!
































それでも俺はひた隠しにしてあんたを揶揄う。











茜の空の誘う艶言

八、枯れた紫陽花、迫る熱











 けほっ、と一つ咳をしたら隣で歩く男の肩がびくりと揺れたので若気た。自分の気が利かなかったから俺が風邪引いたらどうしようとか考えているにちがいない。

 あと少しで屯所につく。こんな格好でしかもびしょ濡れで、どうにか誰にも見られないようにしたいけれどそれは多分、この人の所為でできない。自分も変わらぬ有り様だというのに堂々と歩く様はなんだか格好良い。水も滴る良い男ってか。気に食わない。

 ふと、立ち止まって土方さんは此方を見た。



「乱れてんな」



「え? ああ、本当でさァ」



 襟元が開いてしまっている。直そうとする前に手が伸びてきて肌に張り付いたそれを正す。

 おばあさんが着せてくれた直後のように整って、違うのはどうしようもなく濡れているということ、だけになる。

 ありがとうございまさァ、言おうとした直前に言われた言葉に絶句した。



―――――まじ、エロい。



「~~っ!!」



「あ、沖田さん、副長!」



「おー山崎、どうせなら傘持ってこいっての」



「どこに行ったのか分かんないってのに無理ですよ。あーあ、沖田さんずぶ濡れじゃないですか・・・。って、あれ? 顔あかいですけ、どぅあ!!」



 余計なことを言いつつ顔を覗き込んできた山崎の鳩尾目掛けてチョップするとそれは見事に決まったらしく、山崎は奇声を上げダメージを受けたそこを押さえてごろごろのたうつ。

 くすり、と小さく土方が笑いやがったのに気付いて腰に手をかける、けれど刀は鞄とともに山崎にさっき預けてしまっていたので手は空を掴むだけ。

 畜生とぼやき、死ねと叫ぼうとしたらガヤガヤと、喧騒が近づいてきた。



「たぁーいちょー!! お帰りなさぁい!!」



「うわー!! やばっ、鼻血でそ・・・」



「お帰りなさい隊長!!」



「おう・・・」



 何故か出迎えられて眉を潜めていると奥からむさい人混みをかき分け近藤さんが出てきた。ほんわかするなぁと癒されながら駆け寄り抱きつく。

 抱きついてから濡れ鼠だったことを思い出したがもう遅い。

 お帰りー! と近藤さんは骨が軋む?%E:317%#ュく俺を抱き?%E:606%#゚て、にっこりと俺に笑いかける。



「楽しかったか?」



「へい! 薔薇が浮いた風呂に入りやした!」



「そうかそうか! んで、なんでトシと二人してずぶ濡れなの?」



「あー、色々あった」



 土方さんの煮えきらない返答を深く詮索せずにふーん、と呟き、近藤さんは俺を室内に促す。やっぱ癒されるなぁ、ほのぼのとするなぁ、思いながら着いていくと、俺の部屋の前で近藤さんが立ち止まって俺も立ち止まった。

 久々の自室に、肩の力が少し抜けた。



「取り敢えず着替えなさい、着替えたら俺の部屋ね。絶対だからね」



「へい」



 指切りげんまんまでしてカラカラカラ、障子を開くと山崎が運んでくれたスーツケースと愛刀が部屋の真ん中に置いてあった。念の為にしまっておいて良かった、スーツケースのポケットから懐中時計を取り出す。綺麗なその模様に指を這わしていると音もたてずに紫煙を纏った男が入ってきた。

 項にそうっと指が触れて、離れた。遠慮気味なその触れ方に思わず口角が上がる。



「急いでやんねぇのかよ。近藤さん待ってんぞ」



「覗く気ですかィ? 悪趣味ですぜ」



「手伝ってやるだけだ」



 しゅ、と先程整えられたばかりの帯が解かれる。クリーニング出せばまた洗えそうだな、男の呟きが耳元で聞こえて、先程の行為で高まった熱がぶり返しそうになった。

 後ろから好き勝手に着物を脱がしていく手先に、さっき言われた言葉を反復する。どういう意味だと問うタイミングはもう逃してしまっていて、今更聞いたらからかわれるに違いない。

それに、エロいのはアンタだろ、と思うのだけれど。

 前は全て開かれて、ただ羽織っているだけの状態になる。いつの間にか、土方さんの足の上座らされていて、かつてない程甘やかされて正直気持ち悪い。



「肌白いなー。すべすべだし・・・」



「自分でやりやすから離しなせェ。べたべたすんな土方コノヤロー」



「うっせ。いいから大人しくしとけ」



 離すもんかとばかりに後ろからきつく抱き?%E:606%#゚られて、胸元で服の擦れる感触に身をよじる。擽ったい、訴えたら耳にふーっと息を吹き掛けられあられもない声を上げてしまった。

 自己嫌悪とともに顔が赤くなる。



「ったく、煽んじゃねぇよ馬鹿が」



「っに言って・・・!」



 軽く体を拭いて、はいよとごく自然に俺の普段着を渡してくる上司をきっと睨む。変態め、悪態をつきながら背を向けて次々と身に付けていく。

足袋に足を通したところで、土方さんは言った。



「そのままの意味に決まってんだろ。素でおまえはエロい」



「何回もンなこと言うんじゃねぇや変態色情魔!」



 バタン、強く障子を閉じて廊下へ出るが土方さんが追いかけてくる気配は無かった。だからそのまま近藤さんの部屋へ向かう。

一応コンコンと控えめにノックしたらはいよーと朗らかな声が聞こえて、隙間から顔を覗かせると書類の山を背に近藤さんが書類に目を通していた。こんなに書類に囲まれた近藤さんを過去見たことがない。



「あ、総悟。よかったーあんまり遅いから食堂行ったかと思った」



「土方さんに捕まっちまいやして」



「ああそうか、トシね。昨日この書類全部上げてきて、明日休むからって。アイツはすげーよ。俺は囲まれただけでやる気が失せる」



「あはは。俺は紙一枚でダメでさァ」



「総悟はなー。昔から綺麗な字書くのに、勿体無い」



 向かいに腰かけて雑談していると急に誉めるものだから調子が狂う。近藤さんも、中々やる。

 いたたまれなくて近藤さんが書類を持っている手元を眺めていると山崎が、礼儀正しく入室してきた。流石空気の読めるやつだと有り難く思いながら、冷えた緑茶を受けとる。



「局長、いいですか」



「・・・う~ん。まぁ、いいな」



「・・・?」



 目配せしたな、と思ったら俺には分からない会話をされて首を傾げる。すると、山崎がこっちにバッと振り返ったので内心驚いた。

これを、と山崎が両手に箱を乗せて突き出した。長さ的に酒だな、と分かった。



「誕生日おめでとうございます!」



「へ・・・・・・あ、・・・ありがと」



「いえいえ」



 そういえばと何度も忘れて思い出したことを反復して思い出した。自分の誕生日に何故こうも疎いのか。利用してなんぼだろうに。

 自分に落胆しつつ、銘柄に期待しつつ箱を受け取った。美味い酒なら値段なんてどうでもいいけれど、こういう時に貰う酒は美味いのを知っている。気持ちがこもっているから、とかそんな薄ら寒いことを言うつもりはないけれど。



「俺からは、これをやるぞー」



「なんですかィ?」



 書類の山の奥に手を突っ込み近藤さんはにこにこ笑む。

じゃじゃーん、とありふれた効果音と共に目の前に現れたものにわぁ、と歓声を上げた。某高級料亭御食事券、あらまぁ漢字だらけ、じゃなくて。

こんなん接待とかでしか行ったことないのに。しかも俺は接待には滅多に行かないから片手で足りるぐらいしか行ったことない、というのに。



「すごいでさ、近藤さん!!」



「今日はもう予約入ってるからな、明日予約しといた。だからトシと三人で行こうな!」



「・・・まぁ、うん。嬉しいですぜ近藤さん」



「・・・いや、顔微妙ですけど」



 余計なことを言う山崎に拳骨を見舞いして、にっこりと近藤さんに笑いかける。

 するとそのタイミングでカラカラ障子が開いて、着流し姿の土方さんが入ってきた。土方さんの顔を見るなり山崎の顔がさぁ、と青ざめた。そのままピピューと風になった山崎は失礼しましたと言うのを忘れなかった。恐るべし。

ちっ、と舌打ちして隣に座った男は意味ありげに此方を一瞥した。



「トシはなんかあげたの?」



「え、いや・・・そんなくだらねぇこと・・・」



「・・・あ、」



 懐中時計、の意図を理解した。途端にそれはそれは恨みがましく土方さんがにらんできたものだから握った弱みをどう扱おうか頭が回転し出す。言うんじゃないか、気が気でなく此方を見る土方さんににっこり笑いかけたら失礼なことに青色に顔を染めやがったから、口を滑らせた。



「藤の花・・・」



「っも、もうそろそろ食堂行かないか、なぁ近藤さん?」



「ん? あーだな。行こう!」



 焦った姿に笑いを堪えきれずにいるとぽかっと頭を叩かれた。前を行く近藤さんは小さなパワハラに気付かず、呑気に歌を歌っている。

横目に見ると逸そ可愛い程に狼狽していて、愛しさが込み上げた。



「他意、ありすぎじゃねぇですかィ」



「うるせ。・・・昨日の晩、電話したんだけど」



「すいやせん、電源切ってて」



「山崎に言われたろ! ちゃんと持ってけって! 電源切れっつう意味じゃねぇよ」



「へぇ、山崎に言うよう頼んだんですねィ?」



 白地にしまったと顔に出すものだから。愉快な誕生日だなぁと染々思っていると、近藤さんがあ、と何か思い出したように言った。とんとん、と前に出て近藤さんに並んで歩く。



「なぁ、藤の花言葉知ってるか?」



「なんですかィ?」



「“恋に迷う”だ。前お妙さんに上げたポエムで使ったなぁー」



「・・・」



 驚いて振り向くと視線を避けようと足掻いて明後日の方向を見ている、恋の迷子。

確信犯だなんて!

 一気に生まれた嫌悪感と愛情を込めて、思いっきり殴りかかった。



「土方死ねェェェェ!!」



(でもあいしてる)

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