梅々
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完成
こんばんわ。まだ題名が決まってないけどアップしようと思う第一段。もしかしたら並行してくかもしれない。ほかの連載と。
手錠の約束
「・・・潜入捜査?」
頬杖をつき、煎餅を齧りながら沖田は聞き返した。
「そう!マフィアのドンが中国から帰国して来んだよ」
上司である近藤のほうが腰を低くし頼み込んでいる。沖田は、気が向かない仕事はテコでもしない、極度の気分屋なのだ。そんな事が出来るのは近藤が沖田の親代わりだからなのだが。
「・・・ってか、ソイツ男だろィ?ホモじゃないだろーし」
たしか、かなり昔に聞いた話では、眉目秀麗で女にもモテモテらしい。だけど遊び過ぎず、引くところはちゃんと引き、仕事に私情を挟まない、部下にも信頼されている、そんな奴だ、と。
羨ましい限りだ。
「そうなんだけど・・・みんな出払ってんだよ」
そういえば、最近この職場、花がない。でも、だからって、男だぞ?俺は。
「じゃあ誰か仕事が終わってからでいいじゃねぇか」
「それが・・・一ヵ月でまた中国に戻っちまうんだよ」
それまでに、誰かが空く保障はない。だから沖田に、となったのだろう。
「・・・やんの?男と?」
「えっ・・・?」
反応したのは近藤の後ろにいた山崎である。顔を真っ赤にして沖田を見つめている。
「や、や、や、やるぅ~?」
近藤も顎を外しかねない、という程口をあけている。沖田の口からその手の単語が出てくるとは思っていなかったらしい。
「だって、近藤さんが言ってたんですぜ?床だとどんな野郎でも口が緩む、って」
だから、潜入捜査等の場合、此処では標的が男なら女を、女なら男が仕事を任される。俺は近藤さんが回さないように圧力をかけてるらしくそんな仕事した事がないが。
「でも、同性だよ?親友とか、片腕にでもなってくれれば・・・」
「高杉ィ、土方ってヤロー、知ってる?」
一人、隅の方で黙々と仕事をしている男に話し掛けた。三年前まで裏の世界で名を馳せていたが、まぁとにかく色々とあり、此処で働いているのだ。
「俺に話を回すな」
「いいじゃねぇかィ。知ってんだろ?お前なら」
肩にポン、と手を置くといやそうに手を払われた。それにもめげず、肩に抱きつく。
「・・・何が知りてぇんだよ」
「さっすが高杉。でさ、ソイツって男抱く?」
一瞬目を見開き沖田を見つめた後、高杉は鬼のような形相で呟いた。沖田にも聞こえないぐらい、小さく。
「・・・抱かせねぇ・・」
「えっ・・・?」
「いや、なんでもねぇ。・・・大丈夫、だとは思うけどな」
「じゃあいいや。行ってきまさァ。特別手当てみてぇの出やすよねィ?近藤さん」
「ああ。出るが・・・」
どこか乗り気ではない近藤に苦笑した。最初は頭まで下げてたのに、俺の貞操の危機を思うと、こんな仕事、回したくないのだろう。
でも、俺一人の事よりも、マフィアのドンを捕まえる事のほうが大切だ。
それに、大仕事を任された嬉しさと好奇心が、この仕事は譲れないと告げている。
「で?いつなんで?ソイツとご対面するのは」
「明後日だ。裏の世界のやつらがパーティーを開くらしい。それに来る、っつう情報がな」
――――そこまでわかっているのなら、そこを改めりゃあいいのに。と、俺は思うの
だが。それじゃあ損失が大きすぎるのだろう。相手も銃を持っているから、死人が出るかもしれない。
だから、芋蔓方式で潰していきたいのだろう。
「よし・・・高杉ィ、買い物付き合いなせぇ。じゃ、週に一回は連絡とれるようにしやすんで。また来週会いやしょう」
そう告げ、俺はパタンと扉を閉めた。
――――この仕事が、俺の人生を狂わす、ということも識らずに。
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