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梅々

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命日

今日は近藤さんの命日ですね´;ω;`



なんて考えたら悲しくなりました。

そんな日にアニメイトへ行った私は・・・。

銀魂くじでタオルが当たりましたが何等か確認していませんww映画のパンフも土産も何もかも放置プレイ中ですww











それでは長らくお待たせしてしまいました!

52000打、お静様リクエストの土沖馴れ初めです!

ご期待に沿えていれば宜しいのですが(O.O;)(oo;)
































雲は風に散り



花は月に照らされる











月に叢雲花に風











平気か、総悟。

と頭をポンポン撫でられた。平気でさァと返すのは相手が近藤さんの場合、のみ。土方さんにやられて、俺は多分なんとも云えない表情になる。

昨日から土方さんが優しい。正しくは昨日の夕方、から。帰りに団子を奢ってくれたし、朝の起こし方もいつもとは違ったし。心配でもしているのだろうか。大事な弟分に女が出来ると。

何気に土方さんは貪欲だから、俺が構わなくなるのが嫌なのだと思う。あとは、悪い女に引っ掛かってないかだとか、そういう類。



「だから、アンタが心配するこたァねぇんですけど」



「・・・そうか?」



珍しく、いや初めて、髪の毛をさわさわ撫でられる。

近藤さんのような力強さはなくただひたすらに優しい手付き。壊れ物に触るようでなんとも言えないし、心臓が騒ぎ出すから嫌だ。ドキドキが伝わってしまいそうで怖い。

今はこんなに緊張している場合ではないのに。山崎からの報告が来次第、斬り込むというのに。一番隊隊長がなんで斬り込み前に頭撫でられてドキドキしてなきゃいけないんだ。



「副長! 予定通り行けそうです!」



「おう、んじゃあ近藤さんの方にも伝えてこい」



はいよっと山崎は来た道を引き返す。

それを見届けてから土方さんの手が俺から離れて、ホッとする。今日はいつもより斬れそう、なんて不謹慎か。所詮こんなもんなんだ。どんないいこともこの場合、やる気にしか昇華されない。人を殺す、戸惑いを払うだけだ。

だから、幸せにはなれない、なっちゃいけない。ろくでなしが並の幸せを求めちゃいけない。幸せの分だけ人を斬るのだから、俺らは。



「行きやすか」



「・・・行くか」



言って一瞥をくれる眼差しまでもがとけそうな甘さで余りにもこの場に似つかわしくない、というのに骨抜きになりそうで。気を引き締めがてら鞘を強く握れば、心が落ち着くから不思議だ。流石は愛刀。

なんて目前に集中していれば一番隊の皆の気も引き絞まっているから凄い。この一体感は他の隊には負けていない、絶対に。



「合図が来た」



「行きやすぜ!」



がっ、と土方さんがいつものように戸を蹴破り、その後を濁流のように、雪崩れ込む。同時に裏側からも近藤さんが率いる隊士たちが押し寄せ、倉庫は一気に、俺達に陥落する。

だが、敵はそう易々と陥落しない。

浴びせられる罵倒にはもう慣れて、名も知ら無い人間の声に耳を傾けもしない。ただ斬って、上からの命令に従って処分するだけだ。狗と言えば聞こえがいい、俺らはただの捨て駒。

そんな、ひとでなしが人を好きになるなんて。近藤さんのように善人でもない、人殺しの俺が。

許されたことではない。



「死ねェェェ!!」



「っ!」



捨て身で土方さんに斬りかかってきた男を薙ぎ払う。後ろに倒れたそいつに巻き込まれ、倒れかけた数人も、次の太刀で命を奪う。

ひとの心配ばかりしやがるくせに、自分が油断してどうすんだこの馬鹿上司。死んだら八つ裂きにしてやると、視線に込めてやれば悪いの一言。



「隊長! 此方は終わりました」



「んじゃあ撤収しろ! 確認は俺が行く」



「はいっ」



外に出たやつらは包囲から逃げられるはずがない、だけれど中で隠れられていたら厄介だ。気を抜いた瞬間背後から、というのは避けたい。

死屍累々、血が本来の色を奪った倉庫の中、彼方此方を注意深く観察しながら歩く。緊張の糸は張りつめたままで、それが心地よくも感じるのは倫理的に如何なものか。人斬りとしては良いのだろうけど。ならば恋心なんて、人斬りには必要なものなのかもしれない。

そういえば。土方さんはさっき、何を考え込んでいたのだろう、油断を生んだのは、何故。



「・・・美冬、太夫」



それが恋愛関係の考え事だったなら彼女しかいない。でもまさか大切な仕事の最中にそんな馬鹿なことを考える人ではない、はず。・・・でも冷静さを欠く程愛しているなら、あるかもしれない。

なんてことを考えていたら、背後、しかも直ぐ傍から感じた殺気。



「あっ・・・!」



「お前を討ち取りゃっ・・・!」



これぐらいの犠牲、とその唇は型どった。

俺一人の命がそれほど重いわけではない。怨みが、それほど重いんだ。なんて、死ぬかもしれないのに考えて凹んで、まるっきり油断していたから手は動けども間に合わず、刀の軌跡を目で追うだけだ。

これじゃあ、土方さんのこと言えない。

油断大敵、なんて初歩の初歩なのに。

俺がここでいま死んだら、この気持ちは俺だけが知ったまま、終わってしまう。どうせ叶わない、それは痛いほど理解しているけど。

それはあまりにも悲しい。お別れを、大好きな人たちに言えないのと同じくらい。



さようなら、近藤さん・・・土方さん。



刀が振り下ろされる音を、最後に聞いた。











「・・・トシ」



近藤さんの声が聞こえる。



「・・・近藤さん」



今度は、土方さんの声。



「寝なきゃ体に悪いぞ? 俺が代わるから」



「近藤さんこそ、寝とけよ」



「俺は十分寝たから」



「・・・近藤さん、クマ」



「これは魔除けのまじないだ」



なんか身に覚えのある会話まで聞こえてきた。

続いて、薬品の匂いまでしてきて天国とはこんなにも臭いものなのかと、瞼を開いた。

そうしたら。



「そうごぉぉっ!」



「っ総悟、目ェ覚ましたか!」



窶れた顔の二人と真っ白い天井が見えて、地獄か天国か分からなくなった。

二人とも酷い顔をしていて近藤さんなんか体液まみれだから尚更酷い。ぎゅっと強かに抱擁されて、応えようとしたが体はうまく動かず、手が意思の半分しか上がらない。



「近藤さん、医者呼べ医者!」



「う゛ん゛」



「ってか顔拭け、総悟が汚れる」



「でもだっでぞうごがぁ!」



汚れたっていい、言おうとしてもこれまた、小さな声になってしまう。近藤さん越しに俺を見た土方さんは顔を顰めた。

それから程無くしてナースコールに呼ばれた看護師に医者が来て、あちこち診察された。

どうやら、皆が退却した後俺の暗殺を企てた奴が無臭の毒ガスを撒いたとかなんとかで、感覚を鈍くされたらしい。後から走ってきた土方さんがそいつを殺さなきゃ殺られてたとぐしょぐしょの顔で近藤さんが教えてくれた。三日間眠りこけていたらしくて、それでも未だ数日は後遺症が抜けないらしく、絶対安静を言い渡されながらも翌朝、俺は白い病室から愛しの自室へ戻った。

空気が肌に馴染んでて、ホッと漸く息がつける。



「近藤さんは?」



「山崎を見張りにつけて寝かせた。あれから寝てねぇからな、今度はあの人が倒れちまう」



「アンタも、倒れそうな面してやすぜ」



「誰の所為だよ」



「知りやせん」



「てめぇの所為だよ」



行って枕元に胡座をかいた土方さんはハァと溜め息をついた。

体はまだ不自由だけど声はもう普通に出て、三日間も寝てた所為か動きたくて堪らない。それでも、土方さんがいる限り動けない。



「・・・俺がどれだけ心配したか」



「そいつはすいやせん」



心配してくれたのか、窶れるほどに。

それが喩え俺の望んだ形の愛情ではなくても、正直嬉しい。

なんて、ニヤニヤしていたら頬を包まれた。すりすり、撫でられる。



「おまえは分かっちゃいねぇよ、俺がどんだけ、心配したか」



「分かるわけないでしょ、俺はアンタじゃないんだから」



でも、立場が違ったならと考えたら、物凄くよく分かる。

俺だって一睡もできないし、怖くて怖くて堪らない。姉上のときのように。

考えただけで、泣きそうになる。

だからそれを頭から振り払うけれど、土方さんと近藤さんには、それを体感させてしまった。申し訳ない。いくら薬の所為だとはいえども、油断していたのは事実だ。責任転嫁の宛もない。



「・・・言うつもりはなかったから忘れていいけど」



「何ですかィ」



「俺はお前を心底愛してる」



「・・・」



「大事な弟分として、仲間として―――一人の、人間として」



「それ、どういう・・・」



優しい眼差し。

金縛りにあったように、それから視線が離せない。

何が言いたいのかさっぱりだ、頭が混乱する。

もしかしてこれは夢か幻か、それなら俺の頭は大層いかれてることになるけどまだその方が現実的だ。



「愛してる。無くしたくない、お前を」



「・・・・・・」



「誰を愛そうが近藤さんだけしか見えなかろうが構わないから、も少し自分の身を案じろ。本来なら確認は一人で行くもんじゃねぇだろ」



「でも、美冬太夫が・・・」



「アイツはもう、年季明けて関係ねぇよ。・・・妹がお前に気があるから、どうにか橋渡しになれって付きまとわれてたんだ」



それなら俺は勘違いばかりしてたことになる。

美冬太夫のことも美春さんのことも、土方さんのことも。

滑稽すぎて泣きたい、でも。未だ信じられずにいる。

幸せになっていいのか、誰よりも人を斬っているのに。



「お前は、万事屋が好きなのか?」



「へ?」



「一昨日、アイツと二人で話してたろ」



秘密基地での話かと、察しがついて首を振る。

尊敬しているだけだと告げるも、怪訝な目を向けられた。

愛してるなんて言うくせに、信じてくれないのか。でも省みれば自業自得かもしれない。

じゃあ、俺が想いを告げたとしても、信じて貰えないのか。

夢でさえ言えなかった、気持ちも。



「土方さん」



「ん?」



「俺がアンタを嫌いな理由知ってやすか」



「さぁな」



白地に傷ついた表情をするものだからつい笑ってしまった。嫌いなんていつも言っているのに。



「俺の為って、気持ちを押し付けてくるから、というのが主な理由でさァ」



「・・・そうかよ」



「俺が告白されて喜んでるのに、気付きもしないし」



恥ずかしいのを隠しきれなくて視線を反らしたら、近藤さんに負けないくらいの強さで抱き締められた。

総悟、と聞いたことのない声で名前を呼ばれて胸が満たされる。同じ温度で土方さんと呼んだらより力が込められた。



「疲れてんでしょ。このまま一緒に寝ちまいやしょうよ?」

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