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梅々

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テクテクテクテク歩き続ける

こねた書いてたら長編になっちまったYo!
だから寝ます。


















アンタなんか、死ねばいい。そうすれば俺は、自由になれるんだから。
死んで。俺のために死んで。





破滅への道標





「総悟、」 

ベッドの縁に座り、俺を抱き締めようと両手が伸ばされた。その腕の中に、おとなしく俺は包まれる。抵抗することなく、あっさりと。骨が軋むぐらい力強く抱き締められ、鼻先を肩口につけると煙草の匂いに混じり女物の香水の香りが微かにした。
いくら俺とのコトが、遊びだからって。 

「アンタなんか死ねばいい」 

「やれるもんならやってみろって」 

いつもの切り返しに何の感情も生まれない。土方さんとの行為にも。気持ちいいとか、不快だとか思わない。こそばゆくて恥ずかしい。全てをこんなカスに見られてるなんて、と思うから嫌なだけで。
本当に殺せたら・・・。俺は、自由になるけど自由になれない。法律に縛られたままだから。
たかだか援交相手、此方が行方をくらませればいいのだけれど。 

「俺が、アンタに会わなくなったらどうしやす?」 

キスする間際に呟かれ、流石の土方さんも顔をしかめた。頬を撫でようと手が上がる。もう片方の手は執拗に俺の腰辺りを撫でている。 

「必ず見つけだして、抱いてやるよ」 

それはただの執着心故の行動で、束縛したいだけ。こんな陳腐な人間、他にもたくさんいるだろうに。何で俺を選んだの?俺とアンタが出会ったのなんてただの偶然だったのに。続きなんて求めていなかったのに。 

「ぅ・・・アッ」 

いつの間にか始まっていた行為に今更気付き、声が漏れる。この声が好きだという感性にはついていけないけど、女みたいだと自分で思う。女みたいだから、好きなんだろう。土方さんも。 

「やめて・・・」 

女々しく願いを口にしても、通用しない。それをわかっていても繰り返してしまうのは未だ僅かに残ってる矜持の所為。
早く、終われ。そう祈ってるのを知ってるから、土方さんはわざとゆっくり時間をかけて体を広げていく。
欲張りな指が、体中を撫で回し、中に入ってくる。 

「ん・・・っくァ」 

シーツを掴む指に自然と力が入る。土方さんは背に爪をたてられるのが好きなんだと、過去の経験で知ってるから、わざと抱きついたりしない。
サドとマゾは紙一重なんだと、土方さんを見るたび思う。まぁどうでもいいことだ。 

「お前さ、機嫌悪くね?」 

突然の質問に少し驚いた。行為の最中、あまり話さない人だから。こういう無駄な会話の一切を。 

「・・・アンタに抱かれてる時ァ、常に悪いですぜ」 

「だよな。でもよ、今日は一段と、」 

イイ。なんて言われて、趣味の悪さに目が点になる。嫌がる程もえるのか、この人は。それじゃ、そこらの公園で強姦とかしたらどうだ。
・・・俺的には今やってんのだってそれと大差ないが。 

「なァ、なんで今日は機嫌悪ィんだ?」 

クイッと中の指が曲げられた。いきなりの事に喉が鳴ったのを見て、愉しそうに笑ってるのがうるんだ視界の中鮮明に見える。 

「・・・」 

「言わねぇのかよ?」 

「んぁ・・・っ」 

早く言えば、早く終わる。漸くその事に気付いて、言いたくなかったけど素直に口を開く。 

「香水の・・・匂いが、する・・・ッ」 

言ってから嘘をつけばよかったと後悔する。こんな言葉、喜ばしてしまうだけだ。恥ずかしくなって顔を隠そうと手を動かすと、すかさず手首を握られた。顔が、赤くなってる。絶対に。 

「照れんなよ。いじめたくなるだろーが。それとも、焦らされたいのか?」 

「違っ・・・ぁあッ!!」 

指よりも太いものに貫かれ、とっさにしがみついてしまった。ハッとすると、押し殺した笑い声が耳元でした。 

「不覚、だな?」 

余裕そうに囁きながら、奥まで突き上げてくる。言い返せないようにか、己の欲のままにしてるのかわからないけど。
とにかく終われ、終われと強く念じる。
変な錯覚をしない内に。
「総悟、」と少しだけ切羽詰まったように呼ばれるとともに、意識が沈んでいった。 




白い靄がかかってるような、地に足がついていない感じがする。耳をすますとシャワーの音が小さくする。
終わった。
次にここへ来る羽目になるのは短くて、一週間。長くて一ヶ月。どうか出張でも入れてやって、上司の誰か。そうすりゃ、俺は救われるし、土方さんだって金が入って彼女に貢げたりするから、いいことづくしだ。
シャワーの音が止み、少ししてから足音がしだす。今の土方さんの気分によって貰える金額が変わるから、煙草がきれてたりしない事をひたすら祈る。神様なんて信じちゃいないが。
服を着終えると煙草片手に土方さんが部屋に戻ってきた。 

「起きたのか」 

「えぇ。それよか、」 

金、と手を差し出すと苦笑まじりに福沢諭吉が差し出された。
十枚。暗算なんてしなくてもわかる。十万だ。過去、最多の。 

「・・・なんか多くねェですかィ?」 

「言ったろ。よかったって」 

ニ、と笑う顔が腹立たしい。変態親父だ。見た目はまだわかくても中身が既に終わってる。彼女が気の毒に思えてくる。 

「じゃ、ありがたくいただきやす。さよーなら」 

精一杯の気持ちを込め別れを告げる。そのまま帰ろうと入り口に佇む土方さんの横を通り過ぎようとするが、再び抱き寄せられた。
そのまま、唇が重ねられる。 

「・・・未練とか、ねぇの?」 

「全然。彼女によろしく伝えといてくだせぇ」 

ニッコリ笑って腕の中から抜け出し、さっさと帰路につく。
どうすれば完全犯罪が成立するか、必死に考えながら。

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