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梅々

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タモさん好きだぁぁぁ

というわけで←どういうわけだ
おきたん土沖できましたー。またまた私の趣向がね、もう好きなんだ仕方ない。
ゴールが未だ見えない。
















きっと、気付いていないだろうけど。





茜の空の誘う艶言
五、ひとりの猫





 うーん、と伸びて未だとろんとしたままの目を擦る。はぁふ、と欠伸してぼーっと座りながら、もう一眠りしたほうがいいのかな、なんて考えている。
 だって、三人とも寝ている。
旦那もチャイナも、予想外の眼鏡までもが、皆すやすや夢の中。もう九時なのに。というかいつもならこんな時間に起きたりしないのに。
 夢を見た。
普遍的な、夢を。
ホームシックだなんて、笑えない冗談止めて欲しいんだけどな、思う傍から胸がぎりりと締め付けられて、息を吐く。
 夜の闇の中縁側を歩いて、あの人のいる部屋へ向かっていた。忙しない蝉の声はせず、静かに虫が鳴いていた。がらり、障子を開けると変わらない後ろ姿。いつも書類書いてて詰まらない、なんて文句が浮かんで、ちょっぴり自己嫌悪した。最近はそんなこと、考えたりしなかったのに。

「土方さん」

「・・・総悟」

名を呼んだら驚いた顔をして、それからあの人はああ夢か、と呟いた。俺もそれに気付いていたから夢の中で夢だと気付いているのはなんだか詰まらないとか思いつつ、振り向いた土方さんの向かいに腰掛けた。夢ならばもっと、空を飛ぶのだとか俺が副長になるのだとかそういう素晴らしいのがいいのに、こんなのありふれてて詰まらない。

「綺麗だよな」

「何がですかィ」

「・・・おまえ」

酔っているのか。ぞくりと悪寒がしつつ固まっているとやっぱ言わなきゃ良かった的なことを呟きつつも、土方さんが近寄ってきた。
そのまま前髪を一房手に取り、明かりに煌めかす。猫を可愛がるように優しい目で楽しそうにしている。本当に詰まらない。こんな夢ってあるのか。

「俺のどこが綺麗なんで?」

「ん~、全部」

「は、」

酔っ払いが。思いながらも大人しくされるがままでいる。それも自然と飽きてきて、手をやんわりと払うとその手を包まれた。
怪訝な目で見てやるがそれでも機嫌良さそうに俺の手を撫で始める。
気色悪く、擽ったくて、躍起になって拘束を解こうとするが強い力に阻まれてもみ合う内にごとん、と頭が畳にぶつかった。案外俺の頭は詰まってるんだな、と妙なことを考えつつ痛む頭を擦る。

「知っとくべきだ、お前は綺麗なんだって」

反論する前に夢は覚めて、もやもやが蟠ったまま朝になっていた。
 はぁ、と息をつき瞼を開けると目の前に人の顔があって、心臓が一瞬活動停止した。

「・・・なんでィ」

「いや、なんとなく? ねぇ?」

「そうアル。おまえ起きてるか寝てるか分からなかったから判断してたネ」

「おはようございます」

「・・・はよ」

 漸く引いていった三人に少し眉を寄せる。気付かなかった、わけではないと思いたいのだけれど、驚いたのは事実で。懐きすぎだ、土方さんが知ったらそう苦々しく言うだろう。
 窓から外を眺めると過ごしやすい天気で、眺めも緑が多く温泉街らしい独特の街並みがあって、心が弾んだ。

「沖田さん」

「へい」

「誕生日おめでとうございます」

「・・・ありがと」

 まさか眼鏡に言われるとは思わなくて、それに今日が自分の誕生日だと再び忘れていて、またまた驚いた。
 しかも小さな箱まで手渡されたものだから。

「神楽ちゃんと選んだんですよ、昨日。・・・趣味に合わないかもしれませんけどね」

「いや、すげぇや。俺こういうの好きなんでさァ」

 渡されたのは湯飲みとグラスのセット。落ち着いた青い花火の柄で、見ようによったら雪の結晶にも見えるから冬場でも使える。
 土方さんよかセンスいいかも、でも懐中時計のセンスはよかったな、なんてあの人からしたら失礼だろうことを考える。
 にしても、チャイナが? とチャイナに視線をやるとふん、と視線を反らされた。

「私の誕生日に倍返しにするヨロシ。分かったアルカ?」

「おう。湯飲みとグラスに茶碗と箸もつけてやらァ」

 にんまりと嬉しそうに笑いチャイナはそれならヨロシ、と満足そうに笑った。
 それから朝食をとって、街へ出た。旦那らはまたあのママに呼ばれて、一人になってしまったけれど土産を買わなきゃならないから仕方ない。
 浴衣着たまま下駄をコロコロならし、店を素見しながら歩く。道行く人々は殆んどが二人組で、それ以外は子供連れだ。一人は俺以外いない。その二人組も恋人たちが多いから、目障りでしかたないがそれはどうしようもない。

「そこの嬢ちゃん」

「・・・」

「そこの赤い目のお嬢ちゃん」

「・・・俺?」

「そう、あんただよ」

 還暦を迎えたぐらいであろう老人が、店の中程に腰掛け手招いていた。老人だから俺を嬢ちゃんと呼んだことはこの際許してやろう。俺は心が広いから。
 その老人は俺が近づくと手に一本の簪を取った。先端には赤い桜が球体をあって、その中で揺れる金の鈴。それと、長く垂れる赤い花びらの飾り。
 血のようだ、そう思うのは職業柄か。

「どうだい、可愛いだろう?」

「へい。でも俺買う気ねぇですぜ? こんな髪だしつけらんねぇし」

「いやいや、ちょいと此方おいで。つけてあげよう」

「・・・」

 話をきいてんのかと睨みながら近付く。この手の人はしつこいというか、ネバーギブアップの精神で此方が折れるまで折れない。なんかこの旅行はあの人のこと考えてばかりだと気が滅入ってくる。
 折角離れられたのに。なんでこういうときに限って。
 しゃらん、と鈴が自分の頭上で鳴って、よし、と機嫌良さそうにおじいさんが離れた。触ろうと手を伸ばすとあーだめだめと止められる。

「髪がさらさらだからねぇ、他の髪飾りもおまけでつけちまった」

「・・・つけちまったって、」

 あげるよ、悪戯にウインクしておじいさんは俺の手を引き向かいの店へ行く。いやいやそんなことはできないぞと思って、財布を取り出すと同時に今度はおばあさんがにんまりと笑う。

「よし、あたしに任せとき」

 あれ、なにこの展開。
奥へ引き摺られる時ちらりと視界に映った青色が目に焼き付いた。

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