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梅々

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よしきた

今日はもう寝ます!

どろん!

そして私は明日こそ早起きする!



昨日の銀魂、今更ですが美味しい話だよなと思いました。

沖土的にも土沖的にも沖楽的にもいただけます(^q^)

もう土方のあの悪人面とかね、沖田が土方を見っけた時の反応とかね、沖田と神楽のやり取りだとか。いい。











それではおきたん土沖です。土沖といっていいのかわからない程オリキャラがでばるのはくせです。すみません。

次でどうにか収拾つけて終わらせます!






























人の心は不透明



でも感情ほど明らかなものはないよ











硝子の少年











起き上がろうとして軽く呻いた。ずきん、と腰が痛む。

でもそれほど酷くはないので無視を決め込んで、大きな欠伸を一つしてシャツに腕を通す。

あれから、二三回清水さんと会った。全て彼方からの連絡で、俺が非番の日に清水家に足を運び、他愛もない話をする。ただ話をして、夕飯を頂いて帰りは送ってもらう。原田さんなんかがからかってくるが、冷静に考えると確かに、いいご身分だ。

二回目に会ったとき近藤さんと一緒に行ったのだが、門の前に立った時口をあんぐりと開けていた。見合いから帰ったその足で相手のことと、縁談は断ったけれど友人として付き合うことは報告してあったけれど、実際目にするととても吃驚する。屯所よりも長い、厚そうな塀に、どっしりとした門。瓦は艶やかで扉も雨風に晒されているけれど威厳たっぷりで、流石は御三卿だ、お金持ち。

内心、圧巻されたままおずおずとしていたけれど皆いい人なので、近藤さんは直ぐに菖浦さんの父親と仲良くなって何かを熱く語っていた。

結構、お似合いだったけどな。そんな風に帰ってから言われてそれを聞いた山崎と土方さんが目を丸くしていた。想像できないのも無理はない。だって俺にも想像できない。



「総悟起きろ」



「起きてまさァ」



障子を開け様に言われて即答したら、起きられたかとボソリ、土方さんは呟いた。

昨日も昨日で大変だった。止めろと何度言っても止めてくれず、しつこく求められて。回数的には少なかったからいいけれど、この寝起きの気だるさは半端じゃない。

今日は、菖浦さんが屯所に遊びに来ることになっている。貴方にばかり来てもらっちゃって悪いし、どんな所に住んでいるのか見てみたいわ、と言われて一存では決められないからと屯所に帰ったら近藤さんには話が通っていて。下手に外で会うよりは警護もしやすいからあれよというままに話は決まり。



「あと三十分で来るぞ」



「へーい」



いつもより起こしに来るのが遅いってことはそれなりに反省してはいるのだろう。それなら、やらなきゃいいのに。

のろのろ座りながら着替えを済ませ、立ち上がってベルトを締める。休日だけれど隊服なのは真選組として迎えようという意味らしい。近藤さんの提案なので理由とかそこまで気にしないで従う。

着替え終えたのを見計らって、土方さんが俺のタイの乱れを直す。あまりにも眠いから適当にやって、顔を洗ってからやり直そうと思っていたのに。首元を弄くられている間にはぁふ、と大きく欠伸をしたら、不細工な面だと詰られて、仕返しにと脛を蹴っ飛ばす。



「いっ、てぇなお前!」



「邪魔でさ。出入口塞がねぇでくだせェ木偶の坊」



「っこのクソガキ!」



キーキー騒ぐのを放ってさっさと顔を洗いに向かう。

この情景に見慣れてる奴等はまさか俺とこの人が関係を持っているなんて思わないだろう。言わば奇跡のようなものだから。その奇跡が絶えず続いているのは不干渉のお陰なのだろうと思う。夜のことは日の上がっている間は口にしない。その逆はあっても、決して。だから距離は変わらないままだし、口論も相変わらず。

それは、悪いことではない。



「沖田さん」



「お早うごぜぇやす、菖浦さん」



屯所の前に黒塗りの艶やかな車が三台並んで停まり、その真ん中の車から彼女が降りてくる。車椅子のままでも乗降できる特注らしい。

今日の彼女の装いは若草色に菖浦の刺繍がされたもので、帯の紺が鮮やかだ。ほぅと、山崎が見惚れて息を吐く。こいつは美人に弱い。二度目だろうと同じように惚ける。



「この度は娘の我が儘をお聞きくださって、ありがとうございます」



「いえ此方こそ、むさ苦しい所で申し訳ない」



菖浦さんの父に合わせて近藤さんも軽く頭を下げる。父親が二人並んでいるようでおかしくて、違和感がとてもあって、むず痒い気持ちになる。

少し話してからそれではと彼は車に乗り、一台を残して走り去っていく。思えばあの人は清水家の当主であるのだ、この国の上の方にいる偉い人。一々こんなところに来るほど暇じゃないだろうに、娘には甘いらしい。上様にも何度かお目にかかったことがあるが、とてもよく似ている。優しい人だ。



「じゃあ、総悟。あとは任せたぞ」



「お出迎えまでして頂いてしまって、お邪魔ですよね。すみません、本当に」



「いやいや。総悟がいつも世話になってますから」



豪快に笑う近藤さんに菖浦さんは笑みを返す。それがとても自然なものであるのは、相手が近藤さんだからだろう。彼女は家族相手に笑みを浮かべるとき、どこか遠慮しがちだ。

近藤さんはこの後とっつぁんに呼び出しをくらっていて、土方さんは書類整理といつも通り忙しいため、菖浦さんに着くのは実質的に俺と山崎の二人だけだ。一先ず屋内に入って、玄関で最初の難関が待ち受ける。

この建物は全面的にバリアフリーではないから、車椅子を持ち上げなきゃ中には入れない。



「じゃあ俺が菖浦さん抱えっからお前は車椅子な」



「次は交代してくださいよ~」



「それじゃ、いいですかィ」



「えぇ、お願いします」



身を屈めれば彼女は首に腕を回してくる。なので背と膝裏に腕を差し入れて抱き抱える。思ったよりも軽くて拍子抜けした。でも手首も細かったりと小柄だから、当然といえば当然な重さだ。

山崎が車椅子を持ち上げ薄汚れた廊下の上に置いてから、彼女を元のように戻す。思えば女の人を抱えたのなんて初めてだ。子どもとかなら、遊んでるときにやったことがあるけれど。



「ありがとう、沖田さん」



「いえいえ」



ナビは山崎に任せて、大広間や食堂、資料室などを差し障りのない範囲で回って、最後に庭へ出て一週し、剣道場についた。

中からは自主的に鍛練している奴等の声が聞こえる。隙間から覗けば、見るだけで暑苦しい感じに頑張っている。



「すごいわ・・・」



「中、入ってみやすか?」



「いいの?」



「大丈夫ですぜ」



やったわ、と嬉しそうに彼女は笑う。足が悪いから運動などあまり出来なかっただろうことは容易く分かる。だから、竹刀を振り回すぐらいいいだろうと。後ろを振り返って山崎に車椅子を持たせようとしたら。

煙草の煙がくゆった。



「山崎、ちょっといいか」



「あ、はい! すみません、菖浦さん」



「いえ、ありがとうございました」



腕捲りして胸元をだらしなく開けた土方さんが立っていた。チラリと俺を一瞥し軽く菖浦さんに会釈すると山崎を引き連れて母屋へ戻る。昨日の夜見た限りじゃ相当な量の書類の山だった。あれは徹夜だろう、なんて昨夜踏んだが美味しくいただかれてしまったので、今日こそあの人は徹夜のはずだ。今夜は平穏を抱き眠れるはず。

車椅子係りの山崎がいなくなったので、車椅子は出入口に置いたまま、菖浦さんを抱えて中へ入る。俺達に気付いた野郎共が慌てて身嗜みを整えたりする。汗だくのむさ苦しい男がもがく様は萎えるものがあると今知った。



「沖田隊長ォォォ!! どうしたんですか!? まさかでぇ・・・っ」



「神山煩い。今日は見学だから、お前らは勝手にやってな」



「お言葉ですがっ、隊長のあの麗しい刀捌きをご覧に入れたいと思っておられるのではないでしょうかっ!」



「見せてもらえるの?」



神山の馬鹿の言葉にぱぁぁ、と菖浦さんの顔が華やいだ。反応からして神山の言葉は間違っていないらしくて、それならと竹刀を借りて、道場の真ん中に立つ。

菖浦さんは真ん中の隅にちょこんと座っていて、目を爛々と輝かせている。そんなに面白いものだろうか。始める前から期待して見ることなんて俺はないけれど。初めて見るのかもしれない、そうなら合点がいく。

なんて思っていたら神山の準備が終わったらしい。面に籠手にとフル装備の暑苦しい人間を見るとげんなりする。

竹刀を構え蹲踞の姿勢から立ち上がる。暑いから最小限の動きで、煩わしいからそれなりに強く打とうと大きく神山が振り被った瞬間に、胴を強かに打つ。ばっしぃん、と痛快な音が響いて、ついでに神山が尻餅をついた。決して弱いわけではないのだけれど、神山は俺が相手だと無意識に手加減するのか直ぐ終わる。それとも俺が無意識の内に力加減をしていないのか、どちらかだ。



「・・・流石沖田隊長、容赦ないですね」



「次はおまえがやるか?」



「いえ結構ですすみません」



目を回した神山は任せて、菖浦さんの方を見る。こんなのが見たかったわけじゃないかもしれない。打ち合って、鍔迫り合いをして、というのが見たかったのかもしれないとふと思ったが杞憂だった。

相も変わらず楽しそうな、表情だ。



「流石です、強いんですね」



「まぁ、それなりには」



格好良いな、と呟いて、私にも少しやらせてくださいませんか? と彼女は首を傾げた。昔同じようなことを姉上が言ったのを思い出しながら竹刀を渡した。

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