梅々
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あ・・・つぃ・・・・・・
倒れそうです。
あまりの暑さ、喉の乾き、空腹感で。まぁバスが来たからね。乗り換えて日傘とともに歩いて家につくから。エアコンきいてることを祈ろう。
では、おきたん。未だ土沖と呼べはしないけれど、一応土方出てきました。
なんかスランプ?
そしてわたしは何故あせっかき?
あまりの暑さ、喉の乾き、空腹感で。まぁバスが来たからね。乗り換えて日傘とともに歩いて家につくから。エアコンきいてることを祈ろう。
では、おきたん。未だ土沖と呼べはしないけれど、一応土方出てきました。
なんかスランプ?
そしてわたしは何故あせっかき?
まるで天気の話をするように。
茜の空の誘う艶言
二、たんぽぽの綿毛で空を飛ぶ
駄菓子屋さんからの帰り、兎に出会った。桃色の髪に目の青い、兎に。
今日は突っ掛かる気分ではなくて、それでも突っ掛かってきたら面倒だから早々に立ち去ろうとするが、おい、と話しかけられた。
ピンクのチャイナドレスが日に反射して眩い。そういや初めて見る気がする、この服。
「なんでィ」
「おまえ、旅行ついてくるアルカ」
「検討中でさァ。スケジュールの調整が必要なもんでねィ」
コイツのことだから反対していたのだろうなと当たりをつける。それじゃあ行かない方がいいのかな、という気にもなる。
温泉旅行なんて行ったことない、だからこそ嫌なやつがいないに限る。だって楽しみにしていたことなのだから。昔よく嫌なやつに初めてのことを奪われたと思いを馳せているとくいくい袖を引かれた。
視線を向けると真っ白く柔らかそうな手が、炭で塗り潰したように淀みない黒の隊服を掴んでいて、よりその白を実感する。
「来るヨロシ」
「・・・はぁ?」
「おまえも来るといいネ。そしたら私の仕事も減る」
「おまえ・・・」
ハァ、と息を吐く。最近溜め息が増えた気がするがあの上司に似たのだろうか。それはとても喜ばしくない。
利己主義というかなんというか。こいつの仕事が減る、というのは気に食わないが、それでも温泉旅行は行ってみたい。
仕方ねぇな。行ってやるから跪け、言ったらやなこったと朗らかに笑うものだから。そんな顔もするのかとドキドキした。
ドキドキ? こいつ相手に?
「じゃあな」
「おー、じゃーなー」
台風のように過ぎ去っていく後ろ姿をまた見送って、のんびりとした足取りで屯所へ戻る。
用があるやつは引きこもっているのを知っているから、靴を脱いで直ぐにその部屋へと向かう。すすぅ、俺の部屋のより新しい障子を開くと冷気と共に目の前の白く霞んだ空気が此方へ吹いてきた。思わず呼吸を止めて、手で扇ぐが既にその害のある空気を吸ってしまっていて。
ケホケホ噎せているとこんな汚い空気の中で平然と書類整理をしていた男が振り返る。
「ちゃんとノックしろっての」
「ゲホッ・・・ちゃんと換気してくだせっ・・・コホッ」
「そんなに煙いか?」
大分マシになったとこで部屋に入り障子を閉める。代わりに窓を開けてはぁふぅと深呼吸。快適な温度ではなくなるがこれも自身の健康の為。だから仕方なしに窓際に座る。
すると、膝歩きで寄ってくる十近く年上の上司。煙から逃れるためにこうしているというのに、隣に腰掛け煙草を吸い始めたこの人を呪ったりしてしまうのは仕方ないことなんじゃないかと思う。
「土方さん」
「ん~?」
「八日、有休使わせてくだせぇ」
「・・・。なんで」
煙草を落とすんじゃないか、そんなこと考えてしまうぐらいに鳩が豆鉄砲を食らったような間抜けな表情をした土方さんは俺が驚くぐらい驚いている。
紫煙を吐いて、いつものすました顔に戻った土方さんは平淡な声で俺に問う。窓枠に背中を預けたまま俺はゆっくりと瞼を閉じた。
「万事屋御一行と、温泉旅行行ってきまさァ」
「温泉旅行?」
「へい」
目を瞑ると嗅覚がより優れて、臭い匂いばかりを拾う。ああでも、窓から花の柔い香りだとかどっかの御昼ご飯の匂いだとかが香ってくる。
駄目だ、と言われる確率は半分ある、何かあったらどうすんだとか、そういうこと言われたら俺は丁重にお断りしなくちゃならない。有休であろうとも。
このまま眠ってしまいそうだと思いながらも目を瞑っていると、ぺちんと額を叩かれた。
「いったぁ、」
「行って来いよ」
「・・・へ?」
「此方のことは心配すんな。おまえの出番作んねぇように見廻り強化させとくから」
そういって口角を上げた顔は腹立つ程男前で。言い方だって俺のことを気遣っていると、分かるようなもの。これだから気障な男は、呟いて顔を顰めるが気付いてしまった無駄な気遣いに、悪い気はしない。
鬼の副長の許しも出たことだし、楽しむか、とうーんと伸びをする。そしてそのまま横になる。
「オイコラ寝るな」
「いやでさァ」
「せめて自分の部屋に行け」
「嫌。ここのが涼しいし落ち着きまさァ」
「・・・」
頭上から聞こえたハァと大きな溜め息。続いて窓を閉める音がして、エアコンがうぃぃんと頑張り始める。
優しいんだから、甘すぎるくらい。
こんな俺のこと放っとけばいいのに、生温くなった空気を元に戻して、しかも空気洗浄機能まで活用するとは。
「ばかなひと」
「あ? なんか言ったか?」
「いや、別に」
あんたのそういうところが甘いと思うし、数少ない、俺の好きなところだったりするのだけれど。
涼しい風に心身ともに癒されながら寝返りを打つ。見えるのは書類に没頭する後ろ姿だけで、揺れる紫煙は気流に乗って上の方へ流れていく。
土産は、ぽんと浮かんだ単語をそのまま舌に乗せる。
「土産?」
「そう、土産でさァ」
「おまえがそういうこと言うと、なんかコワイ」
「・・・土産は使用済み藁人形でいいですかィ」
「まてまて」
茶化されてムッとして言い返すと冗談だと取られたらしい、九割本気なのに。こんな冗談(いや多分真面目な話)を言い合いながらも書類が一枚、二枚と片付いていく。
俺だったら話していることそのまま書いたりしちゃって、効率悪くなるのに、器用なこの人は容易くやってみせる。
なのに針に糸通せないとか器用且つ不器用なこの人は妙にすごい。そういや子どもの頃、俺がいとも簡単に糸を通すものだから躍起になって土方さんも対抗して、結局指に針刺して諦めていたなと思い出す。
あ、俺も朝刺した。
「土産よ、」
「へい」
「おまえが気に入ったのでいい」
「・・・ひきがえるの蒲焼きとか?」
「売ってんのかそんなもん」
朝刺したばかりの指の傷、他の指で触れてみるがもう痛くはない。
あっという間に治ってしまった。人間ってすごい、感動すると同時に若干呆気なさも感じてしまって、なんともいえないものが胸の中で蟠る。
「お前が俺に買いたいって思ったの、買ってこいよ」
「そんなの、・・・まぁ、あったら」
俺が土方さんの為に何か買ってやりたい、そう思ったことは一度もなくて、これから先もないと、そう思うんだけどなぁ。
茜の空の誘う艶言
二、たんぽぽの綿毛で空を飛ぶ
駄菓子屋さんからの帰り、兎に出会った。桃色の髪に目の青い、兎に。
今日は突っ掛かる気分ではなくて、それでも突っ掛かってきたら面倒だから早々に立ち去ろうとするが、おい、と話しかけられた。
ピンクのチャイナドレスが日に反射して眩い。そういや初めて見る気がする、この服。
「なんでィ」
「おまえ、旅行ついてくるアルカ」
「検討中でさァ。スケジュールの調整が必要なもんでねィ」
コイツのことだから反対していたのだろうなと当たりをつける。それじゃあ行かない方がいいのかな、という気にもなる。
温泉旅行なんて行ったことない、だからこそ嫌なやつがいないに限る。だって楽しみにしていたことなのだから。昔よく嫌なやつに初めてのことを奪われたと思いを馳せているとくいくい袖を引かれた。
視線を向けると真っ白く柔らかそうな手が、炭で塗り潰したように淀みない黒の隊服を掴んでいて、よりその白を実感する。
「来るヨロシ」
「・・・はぁ?」
「おまえも来るといいネ。そしたら私の仕事も減る」
「おまえ・・・」
ハァ、と息を吐く。最近溜め息が増えた気がするがあの上司に似たのだろうか。それはとても喜ばしくない。
利己主義というかなんというか。こいつの仕事が減る、というのは気に食わないが、それでも温泉旅行は行ってみたい。
仕方ねぇな。行ってやるから跪け、言ったらやなこったと朗らかに笑うものだから。そんな顔もするのかとドキドキした。
ドキドキ? こいつ相手に?
「じゃあな」
「おー、じゃーなー」
台風のように過ぎ去っていく後ろ姿をまた見送って、のんびりとした足取りで屯所へ戻る。
用があるやつは引きこもっているのを知っているから、靴を脱いで直ぐにその部屋へと向かう。すすぅ、俺の部屋のより新しい障子を開くと冷気と共に目の前の白く霞んだ空気が此方へ吹いてきた。思わず呼吸を止めて、手で扇ぐが既にその害のある空気を吸ってしまっていて。
ケホケホ噎せているとこんな汚い空気の中で平然と書類整理をしていた男が振り返る。
「ちゃんとノックしろっての」
「ゲホッ・・・ちゃんと換気してくだせっ・・・コホッ」
「そんなに煙いか?」
大分マシになったとこで部屋に入り障子を閉める。代わりに窓を開けてはぁふぅと深呼吸。快適な温度ではなくなるがこれも自身の健康の為。だから仕方なしに窓際に座る。
すると、膝歩きで寄ってくる十近く年上の上司。煙から逃れるためにこうしているというのに、隣に腰掛け煙草を吸い始めたこの人を呪ったりしてしまうのは仕方ないことなんじゃないかと思う。
「土方さん」
「ん~?」
「八日、有休使わせてくだせぇ」
「・・・。なんで」
煙草を落とすんじゃないか、そんなこと考えてしまうぐらいに鳩が豆鉄砲を食らったような間抜けな表情をした土方さんは俺が驚くぐらい驚いている。
紫煙を吐いて、いつものすました顔に戻った土方さんは平淡な声で俺に問う。窓枠に背中を預けたまま俺はゆっくりと瞼を閉じた。
「万事屋御一行と、温泉旅行行ってきまさァ」
「温泉旅行?」
「へい」
目を瞑ると嗅覚がより優れて、臭い匂いばかりを拾う。ああでも、窓から花の柔い香りだとかどっかの御昼ご飯の匂いだとかが香ってくる。
駄目だ、と言われる確率は半分ある、何かあったらどうすんだとか、そういうこと言われたら俺は丁重にお断りしなくちゃならない。有休であろうとも。
このまま眠ってしまいそうだと思いながらも目を瞑っていると、ぺちんと額を叩かれた。
「いったぁ、」
「行って来いよ」
「・・・へ?」
「此方のことは心配すんな。おまえの出番作んねぇように見廻り強化させとくから」
そういって口角を上げた顔は腹立つ程男前で。言い方だって俺のことを気遣っていると、分かるようなもの。これだから気障な男は、呟いて顔を顰めるが気付いてしまった無駄な気遣いに、悪い気はしない。
鬼の副長の許しも出たことだし、楽しむか、とうーんと伸びをする。そしてそのまま横になる。
「オイコラ寝るな」
「いやでさァ」
「せめて自分の部屋に行け」
「嫌。ここのが涼しいし落ち着きまさァ」
「・・・」
頭上から聞こえたハァと大きな溜め息。続いて窓を閉める音がして、エアコンがうぃぃんと頑張り始める。
優しいんだから、甘すぎるくらい。
こんな俺のこと放っとけばいいのに、生温くなった空気を元に戻して、しかも空気洗浄機能まで活用するとは。
「ばかなひと」
「あ? なんか言ったか?」
「いや、別に」
あんたのそういうところが甘いと思うし、数少ない、俺の好きなところだったりするのだけれど。
涼しい風に心身ともに癒されながら寝返りを打つ。見えるのは書類に没頭する後ろ姿だけで、揺れる紫煙は気流に乗って上の方へ流れていく。
土産は、ぽんと浮かんだ単語をそのまま舌に乗せる。
「土産?」
「そう、土産でさァ」
「おまえがそういうこと言うと、なんかコワイ」
「・・・土産は使用済み藁人形でいいですかィ」
「まてまて」
茶化されてムッとして言い返すと冗談だと取られたらしい、九割本気なのに。こんな冗談(いや多分真面目な話)を言い合いながらも書類が一枚、二枚と片付いていく。
俺だったら話していることそのまま書いたりしちゃって、効率悪くなるのに、器用なこの人は容易くやってみせる。
なのに針に糸通せないとか器用且つ不器用なこの人は妙にすごい。そういや子どもの頃、俺がいとも簡単に糸を通すものだから躍起になって土方さんも対抗して、結局指に針刺して諦めていたなと思い出す。
あ、俺も朝刺した。
「土産よ、」
「へい」
「おまえが気に入ったのでいい」
「・・・ひきがえるの蒲焼きとか?」
「売ってんのかそんなもん」
朝刺したばかりの指の傷、他の指で触れてみるがもう痛くはない。
あっという間に治ってしまった。人間ってすごい、感動すると同時に若干呆気なさも感じてしまって、なんともいえないものが胸の中で蟠る。
「お前が俺に買いたいって思ったの、買ってこいよ」
「そんなの、・・・まぁ、あったら」
俺が土方さんの為に何か買ってやりたい、そう思ったことは一度もなくて、これから先もないと、そう思うんだけどなぁ。
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